ゲイ・ボルクは勘弁してくれ!   作:かすかだよ

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(。・ω・)σ ⌒最新話
♪~<(゚ε゚;)>ば、バレてないよな?


第十二夜:狂気、退けども潰えず

 

 スカサハとオイフェ。二人の因縁が招いて勃発した戦争から七日経った今日、異境にして魔境である影の国の郊外にて、クー・フーリンとオイフェが対峙し、その再戦を執り行おうとしていた。

 

 

 本来ならば、決闘と銘打っている以上、命の取り合いを繰り広げなければならない。が、クー・フーリンの才覚と積年を経てすれ違いを改善したオイフェを失うことを恐れたスカサハの命令で、どちらかが敗北を認めるまでを条件にその再戦は執り行われた。

 

 

 そして、クー・フーリンの捻れの発作を懸念して、影の国で唯一クー・フーリンを相手に無敗を誇っているフェルディアがオイフェの後方に控えていた。

 

 

 

「……それでは、双方、覚悟はよいな?」

 

 

 両者の中間に立っていたスカサハが静かに問い掛けた。

 

 

「ああ。何時でも大丈夫だぜ……!」

「私もだ。何時でも構わん」

 

 

 その問い掛けにクー・フーリンは魔槍を一通り振り回すと魔槍の石突で大地を叩いた。それだけで周囲の地面が陥没し、自らの怪力をひけらかしたクー・フーリンは獰猛な笑みを浮かべた。

 対してオイフェは示された怪力に何ら変化を見せることなく、手にした二振りの朱槍に魔力を滾らせ、淡々と構えを取った。

 

 

 

「それでは―――始めぇいッ!」

 

 

 

 その声が耳に届いた瞬間、オイフェは地を蹴り、一直線にクー・フーリン目掛けて駆け出した。

 それに対してクー・フーリンは握り締めた魔槍を力任せに一閃。

 

 

 人智を凌駕した膂力で振るわれたそれに呼応するように遅れて発生した暴風がオイフェへと襲い掛かった。

 だが、オイフェは迫り来る暴風を前に立ち止まることなく、朱槍の切っ先でその風を切り裂いて前へと進んだ。

 

 

 それを見たクー・フーリンは魔槍をオイフェへと向け―――即座に魔槍を振るい、飛来してきた朱槍を弾き飛ばした。

 

 

 だが、クー・フーリンは弾いた朱槍の石突から紅蓮の魔力が糸を引いているのを視界に捉えた。それでオイフェが朱槍を手繰り寄せるのを悟り、飛びかかった。

 それを見たオイフェは左手から伸ばしていた魔力の糸を引いて、手離した朱槍を瞬時に引き寄せると朱槍を掴むことなく、左手でアンサズのルーンを虚空に描き、宙に舞ったクー・フーリンに爆炎を浴びせた。

 

 

 爆炎に呑まれ、身を焦がされてもクー・フーリンは頓着することなく魔槍を掲げ―――躊躇うことなくオイフェへと叩き付けんと振るった。

 音速に等しい速度で振るわれた魔槍にクー・フーリンの桁外れな膂力を加えた、当たれば死は免れないであろう必殺の一撃を前にオイフェは逃げるでも防御でもなく―――迎撃の構えを取った。

 

 

 自らの腕力に自負を持っているクー・フーリンも流石に回避されると思っていた一撃をまさか迎撃するとは思わなかったのだろう。僅かな動揺で微かに目を開いたが、その動揺を押し殺すように叫んだ。

 

 

「面白えッ! なら―――こいつは、どうだァッ!?」

 

 

 衝突の瞬間、クー・フーリンはオイフェの虚を突くように鮭飛びの秘術で空気の壁を蹴り上げ、再度舞い上がった。そして、最高点に到達し―――さらに威力を上昇させるべく、その身を捻り、旋回。

 オイフェは振るった朱槍が空振ると、右手で振るった朱槍を放り、左足を軸にその場で回転し、左の朱槍に空いた右手を添えて―――迎撃した。

 

 

 

 そして―――衝突。

 

 

 

 あまりの威力にまず、大気が揺らいだ。

 それに次いで金属と金属がぶつかり合ったような爆音が影の国に轟いた。

 

 

 勝利を確信したクー・フーリンは、そのままオイフェを地に伏させるために、勢いに身を任せて魔槍を振り切ろうと、体重を預け―――まるで緩急が付いたかのようにカクンッと体勢を崩した。

 

 

「―――あ?」

「はあああッ!」

 

 

 そして、予想外の事態に思わず力が緩んだ瞬間、朱槍が魔槍を弾き返し、クー・フーリンを空中へと押し返した! 

 それでもクー・フーリンは事態を飲み込めていないのか、呆然としており、その隙を突くようにオイフェの朱槍が放たれた。

 

 

 それを見てクー・フーリンは呆けていた意識を覚醒させ、振るった魔槍で朱槍を弾き飛ばし、身を翻しながら着地した。

 そして彼はオイフェの立っている場所を見て目を見開き―――その美貌を憤怒で染め上げて怒鳴った。

 

 

「テメェ―――あの時、手ェ抜いてやがったのかッ!?」

 

 

 オイフェの足元は陥没どころか、一切の亀裂さえ走っていなかったのだ。それはクー・フーリンの蛮神の如き膂力をあの一瞬で相殺したことに他ならない。それほどの絶技をオイフェはまるで呼吸をするかのように行ったのだ。

 

 

 それほどの技量を誇っているのなら、先の戦争でクー・フーリンはオイフェに成す術なく破れていただろう。そしてオイフェも捻れの発作に陥ったクー・フーリンに手傷を負うことはなかった筈だ。

 なのにクー・フーリンはオイフェに押されてはいたが槍を交えれたし、捻れの発作が発症したクー・フーリンはオイフェに重傷を負わせれた。

 

 

 現状、クー・フーリンを取り巻く環境はスカサハ、フェルディアと僅かばかりの格上とその他大勢の格下だ。唯一フェルグスだけが彼に追い縋れるが、それでも物足りなく感じていた。

 そんな時に拮抗した実力の持ち主(オイフェ)の登場は彼にとって思わぬ僥倖だった。それもスカサハに匹敵する美女だ。もう少し時が経てば恋慕の情だって芽生えるかも知れない。だからこそクー・フーリンは先の戦争で歓喜したのだ。この決闘を待ち望んでいたのだ。

 

 

 

 なのになんだ? 

 

 

 

 蓋を開けてみれば実力はかけ離れていて

 

 

 

 自分の持てる力を最大限発揮した一撃は容易く覆され

 

 

 

 挙句の果てには手を抜かれていた可能性まで浮上してきたではないか。

 

 

 

「敵に情けをかけるのは敵に対する侮辱だろうが! だからオレはあの日、本気でお前に挑んだ! お前もそうなんじゃねぇのかよ!?」

 

 

 クー・フーリンは目元を涙で潤しながらオイフェを糾弾する。それは側からみれば見苦しく見えるだろう。情けなく思えるだろう。

 

 

 けれど、彼だって心の何処かでは理解しているのだ。だけど漸く現れた待ち望んだ対等な存在であって欲しいからこそ彼は糾弾を続けるのだ。

 彼女の口から糾弾の内容を否定してほしくて。嘘だ。お前とは対等だ、と言って欲しいからクー・フーリンは喚くのだ。まるで―――欲しい物を買ってもらえない子供のように。

 

 

 

 そんなクー・フーリンの姿を見て憐れんだのか、答えねばならないと思ったのかオイフェは構えを解き、一歩前に歩んで口を開いた。

 

 

「当然だ。あの時、私はお前を殺す気で戦ったとも」

 

 

 その解答はクー・フーリンの望んだ言葉だった。

 

 

「そ、そうだよな。う、疑ってすま―――」

「だが」

 

 

 それを聞いて安堵したのか、詰まりながらも返答し、そしてオイフェに述べようとした謝意を―――続くオイフェの言葉に遮られた。

 

 

「本気ではあったが、正真正銘の全力では無かった」

「―――」

 

 

 オイフェの艶やかな口から放たれたのは言外に手を抜いていたことを仄めかすような言葉だった。

 それを聞いたクー・フーリンは僅かに目を見開き、その場でたたらを踏んだ。それを見たオイフェは更に言葉を続けた。

 

 

「そも、先の戦争の目的はスカサハを殺すことだ。私にとってお前はスカサハの前座だった」

 

 

 そして、自分にとってお前は全力を出すに値しないと伝えた。

 残酷に聞こえるかも知れないが、オイフェの目的を鑑みれば仕方のないことだと言えよう。

 彼女とスカサハの実力は拮抗している。対等の実力を持つ相手を前に全力で事に望んだらその後、どちらが敗北するかは火を見るよりも明らかだろう。

 

 

「…………」

 

 

 その点はクー・フーリンも納得しているのか、反論を飛ばすことはなかった。が、顔を俯かせているせいで表情から感情を汲み取れないが肩がワナワナと震えているから、悔しいのだろう。若しくは怒りか。

 

 

「そういえば―――お前は惚れた女を娶る為にこの国を訪ねたそうだな」

「…………武功を立てる為の下地にな」

 

 

 次にオイフェが指摘したのはクー・フーリンが影の国を目指した理由、その原点だ。

 オイフェの指摘通り、国一番の騎士だったクー・フーリンはルスカ領主フォルガルの娘であるエメルにプロポーズしたが武功を立てろ、と断られた事が彼が影の国に赴く起因になった。

 対するオイフェは神々によって死ねない身体になったスカサハを殺すべく永きに渡って武を磨いてきた。

 

 

「才覚は認めるが―――浅はかな覚悟で武と向き合うお前と、武に心血を注いできた私がよく対等だと思えたな」

「―――テメェッ!!」

 

 

 オイフェの残酷な言葉がクー・フーリンの心を抉る。

 だが、オイフェはクー・フーリンを蔑んでいる訳ではない。彼女はクー・フーリンの類稀なる才覚を認めている。

 そも、如何に半人半神と言えど、スカサハの薫陶を一年と受けていない者がスカサハと並ぶ実力者であるオイフェと戦闘を成り立たせている時点でおかしいのだ。故にあと数年も経てば自分を追い越すだろうとオイフェは踏んでいる。

 だからこそ彼の向上心を促進させるべく厳しい言葉で叱咤するのだ。

 

 

 だが、自らの純情を嘲笑されたと感じたクー・フーリンは俯かせていた顔を上げ、その場から飛び出し、オイフェへと襲い掛かった。

 だが、怒りで精彩に欠けた攻撃がオイフェに通じる道理が無く。

 そこからはより一方的に決闘は展開された。

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 

 クー・フーリンは青い戦装束を血で赤に染め上げ、息も絶え絶えにその場に跪いていた。

 対するオイフェは汗の一つもかくことなく、朱槍を手にクー・フーリンを見据えていた。

 

 

「畜生! 畜生! ちくしょおおおッ!!」

 

 

 クー・フーリンが手を振り上げ、嗄れた声で怒号を上げながら大地に両の拳を叩きつけた。

 満身創痍でありながらも放ったその一撃は地面を陥没させた。

 

 

「どうした。私に手を抜かれた事がそんなにも屈辱か?」

「ああ……! お前に手を抜かれた事は確かにムカつく!」

 

 

 自棄になったかのようなクー・フーリンを見て、オイフェが言葉を投げ掛けた。

 それに反応したクー・フーリンはオイフェを見上げ、血を垂らしながら、その問いに応えた。

 

 

「けど―――それ以上にお前と対等だと自惚れてた手前自身が最も気に食わねえんだよッ!!」

「そうか。なら―――もう眠れ、クー・フーリンッ!」

 

 

 その叫びを聞いたオイフェは僅かに口角を上げると地を蹴り、クー・フーリンに強襲を仕掛けた。

 当然、万全ではない彼は反応は出来たものの、防御すること叶わず。

 オイフェの繰り出した回し蹴りが華麗な曲線を描きながらクー・フーリンの顎に吸い込まれるように蹴り抜いた。

 

 

 まともに喰らったクー・フーリンは仰向けになるように倒れながら―――意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 静寂な夜空の中に黄金の残滓がまるで溶けるように消えていく中、フェルディアは先程までキャスターがいた場所に目を向けた。

 そこはまるでクレーターのように窪み、その中央にはフェルディアが放った鑿岩する光芒の剣(クレイヴ・ソリッシュ)が突き刺さっていた。そして、その傍らにはキャスターのものと思わしき腕が落ちていた。

 

 

 それを見たフェルディアはキャスターを取り逃がした事を悟ると、小さく舌打ちをし、心の中で来い、と念じた。

 するとその念に応えるように黄金の剣がその場から舞い上がると夜空を流星のように縦横無尽に駆け巡り―――フェルディアの手元へと戻って来た。

 

 

 流星のような速度で飛来する黄金の剣をフェルディアは難なく掴むとそれを魔力に変換し、闇に溶かした。

 これらの一連の流れは時間にして十秒にも満たないが、それでも黄金の残滓は溶け消え、戦闘の余韻がクレーターのみになると、森林は再度夜の帳に包まれた。

 

 

 キャスターを仕留め損なった。それだけが不服だが、今回優先すべきは聖杯戦争とは無縁の子供達の安否だと割り切ることで不満を飲み込むとフェルディアはルーンの結界に閉じ込めた子供達を親元に返すべく踵を返差よりも速く―――疾風を纏ったセイバーがフェルディアの元に到達した。

 

 

「…………キャスターはどうしました、ランサー」

「令呪での空間転移で逃げやがった。だが、片腕は削いだし、魔導書も焦げた筈だ」

 

 

 隣に立つやいなや、彼女は即座に周囲を目配せ、キャスターの姿が見当たらないと知ると、フェルディアに静かに問い掛けた。それに応えるようにフェルディアは推察と戦果を素直にセイバーに伝えた。

 そも、正当なキャスターならば兎も角、青髭ジル・ド・レェは明らかにキャスターとしては異例だ。恐らくプレラーティなる者から授かったという魔導書が彼をキャスターとして現界させているのだろう。でなければバーサーカーとして現界するに決まっている。

 

 

 手傷を与えたとはいえキャスターを逃したことは手痛いが、それよりもフェルディアは密かにキャスターを喚んだマスターに着目していた。

 如何に殺人鬼と言えど所詮は人間だ。クラスはキャスターだが、それでも只の人間との性能差は桁違いだ。

 だからこそキャスターが勝利を確信した瞬間、そのマスターも油断していると思っていた。それに、例えどちらかが悟っても今のは確実に殺れる一撃だと踏んでいた。

 

 

 それをまさか見事に逃げ果せるとは思ってもいなかった。あの様子から明らかにキャスターの指示ではない。自らの目で鑿岩する光芒の剣(クライヴ・ソリッシュ)に気付き、自分の意思で令呪を切ったのだろう。

 余程警戒心が高く、機転が効く男なのだろう。しかし外道に堕ちるとは勿体無いことをしたものだ。

 だが、如何に素質があろうが無作為に人々を、しかもその毒牙を子供にまで向けるような悪鬼にかける情けなど生憎持ち合わせていない。彼等の魂に安寧が訪れる願掛けに相応の報いを受けて貰う腹積もりだが、内心で締め括るとフェルディアはセイバーと手分けて子供達を親元に返すべく動き出した。

 

 

 

 

 

 

「お、おのれぇ……! あの悪魔め……!!」

 

 

 薄暗い路地裏に紺色のローブを血で赤く染めた大男が唐突に姿を現した。大男―――キャスターはその場で倒れ込むように跪坐くと全身を苛む激痛に頓着せずに先程まで対峙していたフェルディアを呪うような怨嗟の声を漏らした。

 

 

「青髭の旦那ぁ! 無事だったか!」

「ええ。リュウノスケ、貴方のお陰で助かりました」

 

 

 本来ならば視界に収まった時点で忌避感を覚えさせるキャスターの姿を見て躊躇うこと無く茶髪の若い男が駆け寄り、安堵を含んだ声色で言葉を投げ掛けた。

 話しかけられたことで茶髪の男―――連続殺人犯にしてキャスターのマスターである雨生龍之介を認識したキャスターは先の呪詛を孕んだ声色は何処へやら。まるで朋友と接するかのような声色で謝意を示した。

 

 

「あっ、でも旦那―――その腕……」

 

 

 キャスターの生還に喜んでいた龍之介だったが、先の一瞬のうちにもってかれた無き左腕を目を向けると整った顔に陰り、純粋に得難い共犯者の負傷を悲しんだ。

 

 

「いいえ、いいえ。リュウノスケ、悲しむ事はないのです。むしろ、悪魔と事を構えて腕の一本で済んだのです。これは聖杯が我等の勝利を望んでいることの証左なのでしょう」

「…………旦那がそう言うなら、それでいいよ」

 

 

 それに対してキャスターは龍之介を責める訳でなく、にんまりとした不気味な笑みを浮かべながら次は悪魔に勝てる、聖杯の信憑性はより増した、などと宣った。

 そんなキャスターの姿を見た龍之介は内心、悪魔(フェルディア)は明らかに人間だよなぁ、と思ったが口にする事なく胸の中に押し留めた。先日金髪の女性(セイバー)聖処女(ジャンヌ・ダルク)は別人じゃないか、と思わず口を滑らした際、逆上したキャスターに怒られたから懲りたのだ。

 

 

「それより旦那、一人で歩ける? 肩貸そうか?」

「ええ。お気遣いありがとうございます、リュウノスケ」

 

 

 二人は龍之介が先行する形で夜の冬木を歩き出した。

 

 

「それにしても―――その本が無いとあのCOOLな生き物を喚べないんだっけ?」

「ええ、そうですよ。ですが―――問題ありません」

 

 

 龍之介はキャスターが残る右腕で大切そうに抱える所々が焦げ落ちた魔導書に目を向け、そう聞いた。

 そう。キャスターは龍之介が命じた空間転移が完了するほんの一瞬の間をカバーすべく魔導書と咄嗟に産み出した海魔を楯にして難を逃れたのだ。

 だが、キャスターは唯一無二の宝具を失ったというのに慌てる訳でもなく魔本の表紙を龍之介に見せた。

 

 

「すっげえ!」

 

 

 龍之介が驚愕の声を上げた。だが、それも仕方のないことだろう。未だ修復に至っていないが、少しずつ燃えた所が新しい紙に生え変わっていくのだから

 

 

「我が盟友プレラーティの造った魔導書は他の魔導書とは一線を画する。この程度のこと―――造作も無いのですよ」

 

 

 不敵に笑ったキャスターに応えるように龍之介もにこやかに笑った。

 そして二人は足早に拠点としている下水道に赴き―――其処で失意の底に落とされた。

 拠点に帰還した彼等を出迎えたのは二人の手がけた『作品』ではなくアスファルトに刻まれた車輪の跡とむせ返る程の焦げた匂いだったのだから。

 

 

 

 

「これが人間のすることかよおおおォォォッ!!!」

 

 

 

 その惨劇を目撃した龍之介の悲痛の叫びが下水道に木霊した。

 

 

 




趣味に傾倒してたら長期休暇になってたゆるして?

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