光の女神   作:うどん麺

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10話 カルネ村2

 

 

 

「貴女達は助かりました。」

 

 

目の前の天使様のその一言ではっ、と気が付きました。背中の痛みが完全に引いて、更には帝国の兵士も死んでいることにも。

 

私はとにかく目の前の天使様にお礼をしなくてはと思いました。

 

「あ、あの、天使様!!私と、妹を助けて下さりありがとうございますっ!!」

 

私は出来る限りの感謝を伝えた。それを聞いた天使様は鷹揚に頷いてこう言って下さいました。

 

「無事だったようで何よりね。それで、貴女達はここの村の子ですか?」

 

「は、はい!そうです。あっ!そ、それで、村が帝国兵に襲われてて、それで、お父さんが・・・・」

 

私はとっさのことでしどろもどろになりながら天使様に今の状況を伝えました。

 

「そうですか・・・・」

 

それだけ言うと天使様はアンデッドの方に振り返り何かを話していた。そして暫くするとまたこちらに振り返った。

 

「あの、天使様。あちらの方は?」

 

私が聞いたのは勿論あのアンデッドのことだった。

何で天使様と一緒に居るのかが分からなかったから聞いてみたのですが。

 

「ああ、あのアンデッドのことなら心配する必要はないわ。彼は私の友人だしそれに生者への憎しみもないから大丈夫ですよ。────っと、アテナ達も来たようですね。」

 

天使様がそう言って振り向いた先にはあの黒い渦から出てくる、この世の者とは思えない程に美しい天使様が二人も出てきた。そして、もう一方の方の渦からは恐らく女性だろうと思えた、全身鎧の人が出てきた。

 

 

 

 

■■■■

 

 

 

取り敢えず皆揃った事だしそろそろ村に向かおうかな。

 

と、そう思ったのでモモンガに話し掛ける。

 

 

「モモンガさん。そろそろ村に行きましょうか。」

 

「ええ、そうですね。っと、一つだけ試したいことがあるので少し待ってもらえませんか?」

 

「ん?別に良いですよ。」

 

「ありがとうございます。───中位アンデッド作成───」

 

 

モモンガがそう言うと黒いもやみたいなのが発生して綺麗な死体(モモンガが心臓掌握(グラスプ・ハート)で殺した方)に纏わりつき、無理やり肉体を改造しているような気持ち悪い光景の後にデスナイトとなった。

 

「デスナイトよ、あの鎧と同じものを着た騎士を殺せ。」

 

モモンガがもう一方の、私が過剰回復(オーバー・リカバリー)で殺して、既に骨と鎧のみになってしまった死体を指差しながらデスナイトに命令した。すると、何とデスナイトは守るべき筈の主人を放置してさっさと騎士を殺しに行ってしまった。

 

「えっ・・・・」

 

そりゃ、こっちもえっ、だよ。何でデスナイトが先に行っているんですか?確かに、殺せと命じたのはモモンガですけど・・・・

 

「仕方ありません。私達も後を追いましょう。」

 

そうやって村に向けて飛んでいこうとしたその時、背後から声を掛けられた。

 

勿論、村娘の二人だった。それにアルベドが怒鳴りそうになるのをモモンガが制してから続きを促す。

 

「あの、貴殿方のお名前をお聞かせ下さい。」

 

その言葉に、モモンガは少し思案しているようだったので私から名乗った。

 

「私はシエル。たまたまここに来た女神よ。」

 

そして、モモンガは───

 

「我が名はアインズ・ウール・ゴウン!ナザリック地下大墳墓の主だ!」

 

と、大袈裟に名乗った。

 

 

 

■■■■

 

 

 

村までの道中。何故モモンガにギルド名を名乗ったのかと聞いてみると、『この世界にも他にもプレイヤーが居るかもしれないから、それに気づいてもらうため。』らしい。まあ、他にも目論見はあるのだろうけど・・・・

 

 

と、そうこうしているうちに村の中心部に着いたようで、そこには集められた村人と、絶賛騎士を蹂躙しているデスナイトの姿があった。

 

「デスナイトよ、そこまでだ。」

 

モモンガ、(もとい)アインズは魔王ロールで威厳のある低い声でそう命令すると、今の今まで縦横無尽に蹂躙していたデスナイトはピタリと止まった。

 

その一声で、その広場にいる全ての人間(どうでもいい存在)がこちらを見上げた。

 

あれ?私ってこんな思考してたっけ?まあいいや。

 

「私の名はアインズ・ウール・ゴウン。ナザリック地下大墳墓の主だ。」

 

と鷹揚に名乗りを上げた。

 

「そこな騎士の諸君。まだ私と戦いたいかね?」

 

その言葉に騎士達は察したのだろう。この存在(アインズ)が先ほどのアンデッドよりも圧倒的な上位に居る存在なのだろうと。それからは早かった。各々は助かりたいが為に一目散に逃げ帰り、あっという間にここには騎士は居なくなった。

 

この場に残るのは村人達と、広場に不気味に佇まうデスナイト。そして上空に待機する私達だった。

 

それから私達はゆっくりと地上に降りて来た。

 

 

「この村の代表者は誰かね?」

 

アインズがそう問いかけると、一人の壮年の男性が出てきた。

 

「あの、私がこの村の村長ですが・・・・あなた様は一体・・・・」

 

「ふむ、私は通りすがりのマジックキャスターだ。何、この村が襲われているのを見つけてね、助けに入った次第だ。─────無論、ただとはいかん。少しばかりの金銭と情報を頂こう。」

 

と、このように営利目的にした方が怪しまれにくいと思ったのか、アインズは対価を要求した。

 

あ、勿論私もアインズも偽装してるから、アインズは嫉妬のマスクを、私は羽を仕舞っている。勿論アテナ達も。

 

そして、これからカルネ村との交渉が始まる。

 

 

 


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