エ・ランテル市内
その街のある場所に人だかりが出来ている。その様子からは何かあったと言うことが伺える。しかし、この場合はその人だかりの中の中心人物達が居た。
それは蒼の薔薇のメンバーと聖光のエル、アテナ、ヘカテーだった。蒼の薔薇は大陸で有名であるし、聖光はその異例の昇格スピードとその美貌で有名だった。少なくとも既に王国と帝国の一部では広まっている。
そんな有名な二つの冒険者チームが一緒にいるのだ。逆に人だかりが出来ない方がおかしい。だから、シエル達が移動するにつれて群衆も移動するという、少々周りからしたら迷惑なことになっていた。流石に忙しいのか渋々離れていく人もそれなりには居たが、それでも彼女たちと同じ冒険者はついてきている。冒険者達はそれぞれ羨望の眼差しや尊敬の眼差しで彼女たちに視線を送っている。彼等からすれば蒼の薔薇と聖光は雲の上の人なのだ。そして冒険者ならば目指す目標でもある。が、しかし、実力の差は如何ともし難くて特にシエル達との実力差ともなれば月とすっぽんの度を大幅に越えていてもはやどうこうのレベルではない。そもそも種族さえ違う。
「ねぇ、ラキュースさん。これ、どうしようかしら?」
シエルが本当に困ったという風にラキュースに答えを求める。
「済まない。これは私にもどうしようもない。力ずくは私の主義ではないのです。」
「勿論それは分かっていますし、私もそうですよ。だからこうするんです。ヘカテー、お願いします。」
「分かりました、エルさん。
ヘカテーがそう詠唱すると周りから見ればたちまち私達の姿が消えてしまった事だろう。この
「これで周りから見えていないですよ。ただ、あまり大声で話さないのとこちらから接触すると魔法が解除されるので注意してくださいね。」
少し戸惑っている様子の蒼の薔薇の人達にそう言うと流石はアダマンタイト級冒険者と言うことだろう。直ぐに状況を理解した様子だった。
「ああ、そう言うことか、済まないな助かったよ。」
「どういたしまして。さて、ここからは
と言ったが、蒼の薔薇ではそれを使えない人もいるのでまた魔法効果範囲拡大化を使って全員に効果を行き渡らせてギルド前まで飛んできた。
それから
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それから冒険者組合で昇格の為の小さな式年みたいなのを終えた後にアダマンタイト級冒険者のプレートを渡されて晴れて新たなアダマンタイト冒険者の仲間入りをした聖光ことエル、アテナ、ヘカテーの3人。それは直ぐに皆の知るところになる。情報が波及するのは電子メディアが無いこの世界でも早いもので、人の口伝てに直ぐに広まりそれは勿論貴族や王族の耳にも入ることになった。
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「ふむ、新たなアダマンタイト級冒険者か。」
そう呟いたのはこのリ・エスティーゼ王国の国王のランポッサ三世だった。
「はい。どうやらあの蒼の薔薇の推薦もあったと聞いております。」
「蒼の薔薇か。確かにその蒼の薔薇の推薦ならば実力も確かだろうな。」
「その通りですね。後は、エ・ランテルのアンデッドの一件を鎮圧した『漆黒』も近々アダマンタイトにも昇る実力者と聞いています。今この王国から新たなアダマンタイト級冒険者が現れたのは対外的にも誇れる事でしょう。」
「うむ。そうだな。しかし、バハルス帝国との例年の戦争ではこちらの被害が大きいと聞いているが、それを差し引いて帝国には誇れるか?」
「それは····」
執政官は言葉に詰まってしまう。
幾ら自国内で人類最高戦力であるアダマンタイト級冒険者が誕生したとはいえ、毎年のカッツェ平野での王国と帝国の戦争ではその物量の差にも関わらず敗北している。王国はその物量故に敗北ではないと言い張っているが、一部の良識派の貴族はしっかりと敗北と捉えている。
故に、外交的に帝国に敗北している王国ではアダマンタイト級冒険者の誕生というカードは正直言ってあまり使い物にはならないと思われる。
それに冒険者とは国により縛られないものであるから、ただ単にその国で誕生したという結果だけが残り別にその国にそのまま戦力になる訳ではない。まあ、レエブン候と元オリハルコン級冒険者の関係もあるが、それはレエブン候個人の交友関係に依るものだからただ善意の加勢なのであくまでも個人の戦力と数えられる。
「はぁ。私はこの国を守れるのだろうか·······」
国王のそのため息と共に吐き出された一言がこの玉座に重く響くのだった。