はぁ。やっと解放されましたよ。あの王女、何かと話が長いんですよね。しかしまあ、この王国の詳しい内情まで聞けて結果オーライでしたが。
あの王女様どうやらこの国が終わると思っているようですね。それに、この国がどうなろうと知ったことないと言った風な態度でしたし。それに、八本指でしたね。それの対処を表だってしているようですが本人はどうでも良いようでしたし。
「シエル様?」
おっと、しまった。少々考え事をし過ぎたかな?
アテナが私のことを呼んだ。
「どうしたの?」
「いえ、その先程から何かずっとお考えの様でしたから。」
「そうね。あの王女について考えていたわ。」
「あの王女、と言うとラナー王女の事ですか?それなら彼女は民衆から『黄金』と呼ばかなり支持を持っているようでしたよ。」
「それは私も知っているわ。ラファエルから報告は受けているからね。でも、私の想像が正しければあの王女、裏の顔は相当そうよ。何せ、あのクライムとか言った王女の専属の護衛に近づいたメイドが城から姿を消しているという噂も聞きましたからね。多分、あの王女は護衛の事を愛しているのね。だから近づいた邪魔なメイドを消した。私はそう考えるわ。」
と、自身の推論を述べるシエル。
実際そのようなことなのだけれど、ラナー王女の場合は一種のヤンデレのような状態と言ってしまった方が正しいだろう。クライムのことはラナーは何にも優先して(それこそ祖国よりも)守りたい、手に入れたい、愛したい存在で、何よりも大切にしている。なのでラナーにとって王女と言う地位はラナーの望みであるクライムとの結婚と言うのには邪魔なものでしかない。王女と元スラムの平民ではどうやっても釣り合いは取れないからである。なのでラナーは政策を打ち出してはそれが上手くいかないように工作して自分の地位を貶めようとしているのだが、何故かそう上手くはいかない現状に納得していないラナー。民衆からの支持を集めすぎて第二王子のザナックやレエブン候から等の上級貴族からは疎まれている。なので本人としてはそれで追放されるのならクライムと一緒に国を出て静かに暮らそうと思っている。しかし、それが原因で殺されては元も子もないのでそこら辺は巧くやろうと思っているラナー王女。
「それは流石に深読みし過ぎでは?」
「確かにそうかもしれないわね。今の話は取り敢えず頭の隅にでも置いておいて下さいね。さて、私は今から少しギルドに戻りますがあなた達はまだしばらくの間今まで通りに活動して置いてくれる?」
「はい。私は構いません。シエル様のご命令ならば如何様にも。」
「私も構いません。シエル様の思うままに。」
と、アテナもヘカテーも納得してくれた様でホッとした。私としてはこれからは一旦冒険者としての活動は中断して法国の取り込みの段取りをもっと煮詰めたいと思っているし、その為にギルドに籠りっぱなしの諜報担当のラファエルにも指示はしておきたいし、法国を取り込む為にギルドの力を遺憾なく注ぎ込む予定です。
「ありがとう、二人とも。それじゃあ暫くは王国と帝国の両国で活動しててね。また追って指示は伝えるからね。」
「分かりました。」
それから私はギルドに
「さて、何日ぶりかなぁ。」
と、数日ぶりに戻ってきたギルドにそうこぼす。
「お帰りなさいませ。主よ。」
「あら、ミカエル。あなた私を出迎えてくれたの?」
「はい。勿論です。」
「それじゃあ私をラファエルの所に案内してくれるかしら?」
「了解しました。」
そうやり取りを終えて私はミカエルの後を着いていく。
「こちらです。」
と、手で場所を指し示して教えてくれるミカエル。その場所は確かラファエルの私室だったかと思い出した。
私はノックもせずに部屋に入った。そこには恐らく眷属からの報告を纏めているのだろうこちらに気付いた様子もないラファエルの姿があった。
「ラファエル、失礼するわよ。」
と、私が声を発すると初めてラファエルはこちらに気付いて少し驚いた様子をしたが、直ぐに何時もの冷静な態度に戻った。
「主か。ご帰還なされたのか?」
「ええ、そうよ。今帰ったわ。それで貴女に指示をするためにここに来たのよ。ミカエルに案内してもらってね。」
私がそう言うとラファエルは得心がいったようで頷いた。
「そうでしたか。それで、私にどのようなご命令を?」
「ええ、今貴女に複数の国家の情報収集をさせているけど、一時スレイン法国以外の眷属を最低限以外を全てスレイン法国に差し向けて情報操作をして。主に前に報告があった六大神とか八欲王、十三英雄とかの評判を探るのと、天使に対しての信仰心の深さ、それに政府。それらを主に調べてほしいの。それで、情報操作はエルフ国が王国と同盟を探っている、とか兎に角そんな感じのデマを流してくれるだけで良いわ。それをこっちが上手く使うから。」
「了解した。主よ。しかし、そのスレイン法国がどうかしたのか?主がそこまでするなんて······」
「ああ、それなら私がちょっと法国を乗っ取ろうかな、と思ってね。あの国なら多分神様とかそう言うのを信仰しているだろうし、それならば事実神である私が降臨すれば乗っ取れるかなってね。それに、前に会った陽光聖典とか言う特殊部隊とも面識あるしいざとなったら彼等に何とかしてもらえばいいでしょう。彼ならばそれなりに法国にも影響はありそうでしたから。」
斯くしてシエルはここで法国の取り込みを決定したのだったが、それがどのような結果を生むのかはまだ誰も知らない。