光の女神   作:うどん麺

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1話 現状把握

 

 

ふ、ふふ。俺は、いや、『私』は賭けに勝った。

 

確証はなかったけど、やはり、転移できたようだ。既に、サービスは終了した。そして、私はここに残っている。心臓と言う臓器は種族ゆえか無い。でも、なんと言えばいいかは分からないけど、私は生きている。そう感じることができる。

 

しかし、まさか本当に転移できるとは・・・・興味深いが、まずはこの世界が何時なのか知る必要がある。モモンガと同時期ならばそれで良し。もし、六大神や八欲王かそれ以前の時期ならばやはり協調はしにくい。描写がほとんど無いからどうなるのかも予測が出来ないから不安だ。

 

「ミカエル、居ますか?」

 

私はロールプレイを忘れずに丁寧な口調でこのギルド、『トゥワイライト・オブ・ゴッズ(神々の黄昏)』の『セクト・エンジェル(七天使)』の一人、四大天使の一人、ミカエルを呼び寄せる。

 

そもそも、このギルドはアインズ・ウール・ゴウンとは正反対の天使及び神官系の種族のプレイヤーのみのギルドで、最盛期ではメンバーたったの12人で『十二聖天』と名乗り、ギルドランキングでは10位に入ったトップギルドだ。それゆえ、集めたワールドアイテムは10を越えて、かのアインズ・ウール・ゴウンに伍するギルドまでに隆盛した。

 

そして、ミカエルとはその時に作成した私の子供だ。勿論、女である。

 

「お呼びでしょうか、我が主よ。」

 

そうして私の目の前に現れたのは三対六枚の羽を腰辺りから生やし、黄金の髪を腰まで伸ばした絶世の美少女。

 

三対六枚の羽は最高位の天使である熾天使の証。羽は純白に黄金が降り掛かったように少し黄金味を帯びている。

 

彼女は私の前に膝間付く。

 

そんな彼女に私はあくまでも冷静に事実のみを告げる。

 

「ミカエル。現在、我が界使の殿はユグドラシルではない別の場所に転移しました。ので、ミカエルに命じます。配下の智天使(ケルビム)以下数体を連れて周囲五キロ以内の調査を命じます。尚、他の生命体と接触したら攻撃は禁止。相手から攻撃された場合は殺さず無力化を命じます。出来るならばここに連れてきて下さい。分かりましたか?」

 

「委細承知致しました。我が主よ。このミカエルが必ず為し遂げますので、どうか今しばらくお待ちを。」

 

「分かったわ。それでは行ってきなさい。」

 

「はい。」

 

 

そう言いミカエルは飛び去った。

 

一人残った私は他の天使を呼び寄せることにした。

 

 

 

 

 

■■■■

 

 

 

 

 

界使の殿最上階神界の間。

 

そこにはセクト・エンジェルのミカエルを除く全てが集まっており、その何れも女性であった。

 

「皆、良く集まってくれました。現在、我が界使の殿は異界に転移しました。ので、ミカエルに周囲を探索してもらっています。ミカエルが居ないのはそう言う理由です。さて、それではここに呼んだ訳ですが・・・・・・先ずはラファエル。」

 

そう言うと私の前に出てきて膝間付くラファエル。彼女の長い蒼い髪が揺れる。

 

「ラファエルには諜報を命じます。各眷属をこの世界の町に放ち情報を集めて下さい。」

 

「はっ。了解した。我が主よ。」

 

そして彼女は下がる。

 

「次はウリエル。」

 

そう呼ぶと出てくるのは少女を連想させる背の低い熾天使。

 

「あなたにはこの城の認識阻害を担当してもらうわ。魔法は出来れば効果の永続するものを頼むわ。」

 

「分かりましたぁ。主様ぁ。」

 

「さて、次はガブリエルよ。」

 

出てきたのは眼鏡を掛けている一見お姉さんの雰囲気を放つ熾天使。

 

「ガブリエルには全天使の統括を頼むわ。巧く纏めてね。」

 

「分かりました。この私にお任せください。」

 

さて、とりあえずはこのくらいかな。

あとはミカエルが帰還するのを待つだけだ。

 

「さて、残るカマエル、ヨフィエル、ザドキエルは各守護領域に戻り最大限の警戒体制を敷いて欲しいわ。」

 

『はっ。お任せを。』

 

「それじゃあ各自持ち場について下さいね。」

 

そう言った直後に天使達はこの場から消失、『転移』した。

 

彼女たちにはこの界使の殿を自由に転移出来るように設定してあったのでそれが効力を発揮したのだろう。

 

そういえばプレイヤー自身にも設定が出来た筈だ。尤も、ゲーム内では完全にロールプレイの為の設定作りに過ぎないが、ここでは現実となる。

 

そして、私が設定した中にこんな1文がある。

 

 

『全ての光を集約した至高の女神。』と。他にも六対十二枚と言う量の羽も設定した。今は展開してないだけで、ゲーム時代も見た目の為に羽は四対八枚の羽を着けていた。

 

そして、アイテムボックスから手鏡を出して改めて私の姿を見る。

 

装備と相まって少しのエロティシズムを生んでいるプロポーションに、左右対称に整っているお人形のような顔。本物のエメラルドを嵌め込んだかのような瞳。そして、見るだけで目を細めてしまいそうな眩しい金髪。

 

全てが整っている黄金比の身体は正に女神そのもの。

 

さて、と深く玉座に腰を沈めミカエルを待つ。

 

その姿はやはり神の威光を地上に知らしめるような雰囲気であった。

 

 

 


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