異常航路   作:犬上高一

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第6話 配置につけ

「ふむ・・・。」

 

 大金をはたいて購入したAI に私は唸るしかなかった。

 まず船に関する事、航行や整備など殆どの事をこなしていた。ドロイドを自身の制御下に置き、それ等を操って航海や保守整備などを行なってくれる。

 

 それだけなら以前と変わらないが、このアルタイトには”成長”というものがある。初めは基本的な事しか出来なかったが、私の操船や、IPネットから情報を集め、それ等を研究しより効率的な動きを模索する。

 

 これによって船の効率が上がって来ている。補充や補修は元より補給品目や経理にまで手を伸ばし始め、より効率的になっていく。以前も節約に気を使っていたが、アルタイトによって更に維持費が安くなった。

 

 何よりこのAIの素晴らしい所はーーー

 

『艦長。ネルガリング重工の株価が20G上昇しました。売却をおすすめします。』

「いくら儲けられる?」

『全て売却して利益は134Gです。なお、これ以上は株価の上昇は見込めません。』

「よし。現在私のクレジットはいくらだ?」

『現在の総額は8340クレジットです。』

「よし・・・。3000クレジットでまた儲けられそうな株を買ってくれ。」

『了解しました。』

 

 この通り全自動で金を稼いでくれるのだ。おかげで資金がどんどん溜まっていきあっという間に元が取れた。

 

「また株ですか?」

「あぁ、アルタイトのおかげで安定して稼げるからな。金の心配をしなくて済むのはいい事だ。」

「確かにフリーの0Gドッグよりは儲かりますね。」

 

 航行制限の所為で仕事が減ったので、これまでの収入は結構不安定だった。

 反乱分子との取引に手を染めたもの金銭面の理由からだ。

 

 そうでも無ければヤッハバッハに逆らうような事はしない。

 

「・・・で、お前は何をしているんだ?」

「丁度研究がひと段落したんですよ。」

 

 船の維持管理をアルタイトが担っている為エドワードは半ば暇人となったのだ。

 人件費削減の為放り出しても良かったのだが、そうするとアルタイトの調整等を行う者が居なくなるのでそうする訳にはいかなかった。AIが導入され従来の仕事がなくなったとしても、それに変わる仕事が現れるのでAIだけで全て賄える訳では無いのだ。

 

 そしてエドワードは暇になった時間をもっぱら研究に費やしていた。たぶんこの状況の為にこのAIの導入を強引に進めてきたのだろう。

 

「で、何の研究がひと段落したんだ?」

「これなんですけどね。」

 

 そう言ってエドワードはデータプレートを見せてきた。そこには横にしたドラム缶に推進器やアームなどが取り付けられたものがあった。

 

「作業ポッド”オッゴ”。様々な機器を搭載可能でデブリ回収や採掘から戦闘も可能な万能ポッドです!これさえあれば何でも出来ます!」

「装備換装による多用途化か。一機で多様な任務に使えるのは素晴らしいな。」

「装備は市販されているものを調整すれば使えます。武装も市販のものが使えますが、データにある専用装備を使えば総合的な性能値はゼナ・ゼーを上回ります。」

「そんなに強そうには見えないが・・・。」

 

 ドラム缶に腕とブースターをつけただけの見た目からゼナ・ゼーより強いとは思えないが。

 

「しかもこの機体一機あたり250Gとかなり安く仕上がっています。」

「装備を全てつけるといくらになる?」

「480Gくらいです。」

「高いな。」

「この値段は現在考えられる全ての装備をつけた場合ですから、いらない装備を省けば安くなります。」

「なるほど。」

 

 得意げに話すエドワード。価格も高すぎず性能も悪くない(むしろ良い方だ)。

 

「だとしても作る気は無いぞ?」

「どぉしてですかぁぁあ!?」

「どうしてと言われても。」

 

 この船にはカタパルトなんて無いし、ペイロードも大きく無いので艦載機を積むスペースが無い。搭載できない訳では無いが、これを運用して稼ぐよりも別の貨物を積んで輸送した方が利益が見込めそうだ。

 その事を伝えたらブーイングしてきた。船から叩き出そうかなこいつ。

 

「まぁ大佐辺りにでも売りつけてやればいいさ。大佐ならこのなんでも出来る汎用機を喜んで買ってくれるだろう。」

 

 そう言って適当に慰めておく。拗ねられてアルタイトに変な調整をされたらたまらない。

 

「それで、今日も定期便ですか?」

「あぁ、採掘ステーションに食料を届け金と鉱石を受け取るのさ。」

 

 当然嘘だが、ナノマシンによる言語規制があるのでありのままには話せない。なので言葉を言い換えて話す。

 

 そしていつも通りゼアマ宙域のセクター4に行き、また暗礁宙域をくぐり抜ける。ドロイドやオートクルーズと違い、アルタイトのAIはこの状況下でも航行できる。

 

『左舷に岩石衝突。デフレクター±80で安定。航行に支障無し。』

 

 当初は航行は絶対に不可能とか言ってきたので、見本でこの岩石内を航行してやった。そしたらアルタイトはしばらく黙り込んだ後、理解不能と言ってきた。

 エドワードとデータのやり取りをしたり私から航行のコツを聞いたりしたアルタイトは、自分にも再現させて欲しいと言ってきた。

 エドワードによると自己成長機能により自分が不可能だと断定したものを他者に証明されたことに一種の対抗心が生まれた為、アルタイト自身で証明したいそうだ。人間でいう嫉妬やライバル心の形に近い物らしい。

 なので実際にやらせてみたら初回は岩石に頭から突っ込んでいった。デフレクターがオーバーロードを起こしかけ危うくダークマターになる所だった。

 

 その後10回以上の練習の末、ようやくアルタイトはこの航路を航行する事が出来たのだ。

 

 無事に航行出来た時、アルタイトは『反復した動作により行動をより精査する事が可能と理解しました。』と言っていたが、エドワード曰くこれは人間でいう「慣れれば楽勝」だそうだ。

 

 自己成長機能の所為か他のAIよりも少し人間味が感じられた。

 

 

 

 ガシャンと小さな振動と共に係留した音がする。いつも通り茶を進めてくるランディに荷物の積み出しを許可し、エドワードと共に大佐の所へ向かった。

 

「だから!あまり派手な動きはするなと言っているだろうが!!」

 

 部屋へ入ろうとしたら中から大佐の怒声が聞こえてきた。思わず部屋へ入るのをためらう。

 

「奴らへの報いをくれてやっただけだ!何も問題は無い!」

「テロを起こせば連中は血眼になって探し出す。そうなればここも見つかる可能性が高くなるのだ!!今日の焦りが明日の滅亡を生むことになるんだぞ!!」

「我々とてプロだ。ここが見つかるようなヘマはしない。それとも大佐は永遠にこの小惑星に隠れ住んでいるつもりか!?」

 

 おそらく言い合いの相手はギルバードだろう。そうこうしている内に部屋からギルバードが出てきた。彼はこちらを一瞥するとそのまま歩いて行ってしまった。

 

「大佐。失礼するよ。」

「あぁシーガレットか。とりあえず掛けてくれ。おい、誰か茶を持って来てくれ。」

 

 ソファに座るとアーミーズの一人が茶を持って来てくれた。大佐はそれを一気に飲むとため息を吐く。

 

「お疲れのようだな大佐。」

「あぁ、ヤッハバッハが憎いのは分かるが憎しみに駆られて行動しては後が怖いからな。せめてヤッハバッハの支配体制に隙が生じるまでは大人しくして欲しいのだが・・・。」

 

 大佐の愚痴を聞きながら商談をしていた。今回の売却値は相場相応と言った所だ。

 

「それと大佐。今回は別口で売りたいものがある。」

「なんだ?」

 

 大佐に一枚のデータプレートを渡す。それはエドワードが開発した例の作業ポッド”オッゴ”の設計図だ。詳しい説明はエドワードが行った。説明を聞いた大佐は

 

「なるほど、多様な作業も出来るし性能も悪くないし安いと来たか。確かに我々にはうってつけのものかもしれん。」

「売却額は50Gという事で。」

「よかろう。」

 

 そう言って大佐からクレジットを受け取りデータプレートを渡す。大佐は早速データを部下に渡し、一機試作で作っておくよう指示を出した。

 

「ふむ、こうなると採掘装備などの市販品も買わねばならないかな。」

「デブリ回収装備や武器はいるか?」

「回収装備はともかく武器はいらない。市販の武器の威力などたかが知れているし、ヤッハバッハに嗅ぎつけられでもしたら困るからな。こっちで自作した方が良い。」

「確かに。」

 

 次回は食料に加え採掘装備もいくつか追加された。丁度商談がまとまった時扉から一人の男が入ってきた。

 

「よぉ大佐。相変わらずしけた面だな。」

「ディエゴか。今日はなんだ。」

「用があるのは大佐じゃなくてそこの自称善良な0Gドッグさ。」

「私に?」

 

 ちなみに自称善良では無く善良な0Gドッグである。

 

「おう、あんたにちょっと頼みたいんだが。酒と煙草とドロップを運んでほしい。」

「ドロップ?」

 

 エドワードが首をかしげる。ドロップというのは隠語で違法ドラッグを意味する。服用すると快楽を得られる麻薬の一種みたいなもので海賊の中にも刺激を求める海賊にとっては娯楽の一品なのだろう。当然害はあるが。

 

「酒や煙草ならともかくドロップは無理だ。監視が厳しくて入手できる場所も無い。諦めろ。」

「入手出来たらでいいんだ。部下にも娯楽を与えねえといけねえからな。」

「善処はするが期待するなよ。」

「頼んだぜ。」

 

 そう言ってディエゴは部屋から出て行った。

 

「部下の忠誠を保つのも大変なのだな。」

「海賊連中は自分勝手な者が多いからな。薬物も必要になるのだろう。」

 

 大佐と私はそんな感想を漏らす。組織のボスとは聞こえが良いが、会社で言ったら唯の管理職だ。片や各派閥の調整を、片や部下の統率を保つのにそれなりの苦労がいるのだろう。

 調達するものが多くなり色々と忙しそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『艦長。出港終了、進路ゼアマ宙域にセットしました。』

「ご苦労様。」

 

 あれから3週間してようやく船を出港させることが出来た。というのも市販の採掘装備をそろえるのに手間取ったのだ。まさかフラベクで採掘装備を買おうと思った会社が倒産しているとは思わなかった。仕方なく別の星で買う事にしたが、工場で事故が起こって買えなくなり、別の会社でようやく購入できたのだ。

 

「いくら何でも機器の操作ミスで工場吹っ飛ばすか?」

『人間は間違いを犯す生き物だと言われています。あの会社の状況を見る限りいずれああなるのは自明の理かと。』

「いかにもブラック企業でしたからね。」

 

 作業員の過労による操作ミスでジェネレータをオーバーロードさせ、工場丸々吹き飛ばしたそうだ。死者が出なかったのが不思議なくらいだ。

 

 静かな航路株で金を稼ぎ、研究をしながら航行しているとあっという間にサンテールに到着した。

 

「艦長、あれ。」

 

 入港した私達が見たのは港内に係留されている大量の作業ポッドオッゴだった。見えるだけで50機以上のオッゴがいる。しかもすべてにレーザーガンやミサイルポッドが搭載されている。

 

「ランディ・・・これは一体・・・。」

「あぁ、君の所の乗組員が設計した機体を作ったんだけど中々性能が良くてね。大佐だけじゃなく海賊もレジスタンスも0Gドッグも欲しがって大量に生産しているんだよ。おかげでアーミーズの資金はうるおい戦力は強化され万々歳さ。」

「そ、そうか・・・。」

 

 こんなに大量に作られるとは思ってもいなかった。ふとエドワードを見るとドヤ顔でこっちを見てきた。お前がすごいのは分かったからその顔はやめろ。

 

「来たかシーガレット。そしてエドワード君。」

「大佐。」

 

 後ろから声をかけられたと思ったら、そこに居たのはベルトラム大佐だった。

 

「君が作り出したオッゴは素晴らしいな。ヤッハバッハと交戦したレジスタンスや海賊から素晴らしいと評価を得ている。」

「実際に戦闘したのか!?」

「あぁ、これまでにゼナ・ゼーを12機撃墜しブランジ級も1隻撃沈している。」

「それはすごいな。」

 

 ゼナ・ゼーはヤッハバッハの主力艦載機でクラスターレーザーやクラスターミサイルで武装しており、宙域制圧任務など幅広い任務に使われている。ブランジ級は以前エドワードを送る途中に遭遇した細長いスティック状の船体を持つヤッハバッハの突撃艦だ。

 

「どうかねエドワード君。うちに来て研究しないか?なんでもという訳では無いが可能な限り希望のモノは用意する。ぜひ来てほしい。」

「え。」

 

 突然のスカウトに困惑するエドワード。確かにエドワードは有能な人物だ。今回のオッゴを見てもそれが分かる。だが、ここでエドワードが居なくなったらアルタイトの調整や整備を行うものが居なくなる。それは不味い。

 

「大佐、引き抜きは感心しないぞ。」

「別に彼は君の所有物ではあるまい?私がここで引き抜いたからといって最終的には彼が決める事だ。」

「うちにとっても大切な船員なんでね。抜けられると困るんだよ。」

 

 私と大佐が火花を散らしている後ろで、ランディがエドワードに「モテモテですねー。」とか言っているのが聞こえたが、別にそういう意味ではない。

 

「そもそも―――『ウウゥゥゥゥ!!』なんだ!?」

 

 さらに私が何か言おうとした瞬間と基地内に警報が鳴り響く。見ればドック内に煙を吹いた船が数隻入港してきた。

 

「海賊達の船だ!」

「煙を吹いてるぞ!消火班配置につけ!!」

「医療班リジェネ―ションポットと負傷者搬送の準備!急げ!!」

 

 いきなり基地内が慌ただしくなった。入港してくるのは駆逐艦や魚雷艇などの船でディエゴ海賊団のマークが入っている。大半がどこかしらに損害を受けていて、ひどいものでは装甲板が吹き飛ばされ内部のブロック区画が丸見えになっている。あれでよくたどり着けたものだと感心するくらいだ。

 

「イテテ・・・やられちまったぜ大佐。」

 

 入港した駆逐艦からディエゴが入ってきた。頭に怪我をしているのか包帯を巻いて部下に支えられている。

 

「何があった。」

「ゲートの向こうでヤッハバッハの艦隊に遭遇したんだ。ブランジ2隻ダルダベル2隻、最後にゼー・グルフ一隻の計5隻だ。」

「ゼー・グルフに喧嘩売るとは血迷ったか?」

「んなわけあるか!奴らとばったり遭遇しちまっただけだ。戦闘になんてなるかよ。」

 

 確かに海賊の船とヤッハバッハの船の性能差は歴然だ。それこそ戦闘というよりも蹂躙という言葉の方が似合うくらいに。

 

「それとそのゼー・グルフは唯のゼー・グルフじゃねぇ・・・。艦首によく分からん強力なレーザー砲を付けてやがる。一撃で数隻まとめてダークマターにされた。レジスタンス基地を壊滅させたゼー・グルフはたぶんあいつだぜ・・・。」

「分かった。後は医務室へ行け。」

「そうさせてもらうぜ・・・。」

「大佐!こちらでしたか!至急指令室へ!」

 

 ディエゴと入れ違いに男が一人入ってくる。服装からしてアーミーズの一人だ。

 

「何があった?」

「フリーボヤージュから、セクター3に巨大な艦影を確認。こちらに向かっているとの報告です。一隻はおそらくゼー・グルフだと。」

「何!?」

 

 例のレジスタンス基地を壊滅させ、ディエゴ海賊団に痛手を負わせたゼー・グルフが隣のセクターからこちらに向かっている。この報告を聞き、ついにこの基地の所在がばれたかと思った。

 

「兎に角指令室へ!」

 

 慌てて走り出したベルトラム大佐についていく。本音を言えば即この基地から退散したいが、隣のセクターに敵がいる以上、迂闊に出港する訳にもいかない。何をするにしても情報が必要だ。

 

「状況はどうなっている?」

 

 指令室に着いた大佐はオペレーターに尋ねる。オペレーターから帰ってきた答えは最悪のモノだった。

 

「はい、フリーボヤージュの船トラプション号からの通信で、敵艦隊はブランジ級突撃艦2隻、ダルダベル級巡洋艦2隻、ゼー・グルフ級戦艦1隻です。」

「ディエゴ達が遭遇した敵で間違いないようだな。」

「レジスタンス狩りの部隊でしょうか?」

 

 部下の一人の問いに、大佐は首を振る。

 

「たかがレジスタンス相手にあの巨大戦艦を派遣するのはおかしい。むしろ空母を派遣して逃げられないよう殲滅するべきだ。」

「では他に何が?」

「新兵器の実験では無いか?」

 

 私の言葉に指令室内にいた人間が一斉に注目する。

 

「噂だがヤッハバッハが新兵器の実験でレジスタンス狩りを行っていると聞いた。レジスタンスの拠点を壊滅させたのもゼー・グルフなんだろう?ディエゴの話と艦隊編成から察するにそうだと思う。」

「・・・我々は実験相手という事か。」

 

 大佐の呟きに全員が黙り込む。星の海を渡り他の国家を力で屈服させるヤッハバッハにまともに相手にされないとは思っていたが、新兵器の実験相手などとされればあまりいい気はしない。ことにそれが誇りある元軍人であれば。

 士気が低下する彼らに大佐は指示を下す。

 

「相手の目的などどうでもいい、むしろこれはチャンスだと思え。連中が新兵器の実験程度に見ているのならば油断もしているだろう。そこに付け込む隙があるのだ。基地の全員に戦闘配備を命令。総力戦だ。」

「た、戦うんですか!?」

「当たり前だ。ディエゴ達のインフラトン航跡をたどればおのずとここにたどり着く。そうなれば戦闘は避けられん。今から逃げ出すにしても行く当てはなく、このセクターは行き止まりだ。逃げようがない。今のうちに戦闘配備を命じろ。動ける船も艦載機も全部だせ。もちろんオッゴもだ。戦えるものは全員出撃だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 サンテール基地が建設されてからこれほど慌ただしい日は初めてだろう。港内にいた巡洋艦や駆逐艦をはじめとした艦艇のほとんどが出港していく。

 

 この基地は隠れるのには絶好だが、どちらかというと補給基地としての側面が強く基地そのものの武装は少ない。対空パルスレーザーやミサイルを装備してはいるが、対艦用としては威力不足だ。

 

 もし港の入り口を破壊されれば内部にいる艦艇は出港できず、何も出来ないままそのまま基地と共に破壊されるだろう。

 そのため貨物船だろうが何だろうが出港可能な船は全艦出港する。

 

 そして何故か私も戦闘の頭数に入っているらしい。オッゴを4機積み込んで暗礁宙域に隠れていろとの事だ。

 

『アルタイトへ進路クリア。出港してください。』

「了解した。」

 

 どのみちダルダベルの艦載機が離脱を許さないだろう。暗礁宙域内ではレーダーが効かなくともその外は丸見えなので迂闊に出れば補足撃沈される。結局戦うしかないのだ。

 

「にしても基地の場所がばれるとはな。海賊達もちょっとは考えて行動しろってんだ。」

「仕方あるまい。どのみちいつかはこうなっていたんだ。オッゴが間に合っただけでもよしとするさ。」

 

 オッゴのパイロット、ポプランとコーネフという二人の男はウォッカ片手に喋っていた。二人とも優秀なパイロットらしく、元リベリア軍人だ。アーミーズに所属し、艦載機パイロットの育成や宙域の哨戒などをやっていたそうだ。

 海賊に文句を言っているのがポプランで、それに返しているのがコーネフだ。

 

「ポプラン少佐!コーネフ少佐!オッゴのチェックがまもなく終了するとの事です!」

「ご苦労さん!」

 

 そういって2人の少年がブリッジに入ってくる。二人ともオッゴのパイロットでついこの間訓練課程を修了したひよっこだそうだ。

 他にもオッゴの整備が出来るのが数人と、なぜかランディも乗り込んできた。ランディも多少の整備は出来るので乗せられたそうだ。

 

 「よし、ここら辺でいいだろう。アルタイト、ワイヤーを正面の岩石に打ち込んでくれ。その岩にくっつく。」

『了解。ワイヤー発射します。』

 

 岩石の裏にワイヤーを打ち込んで着陸し、インフラトン・インヴァイダーを落す。岩石の裏で宇宙船の動力源であるインフラトン・インヴァイダーを落とすことで敵から発見されなくするのだ。この状態の船を見つけるには、至近距離まで近づくか、目視で確認するしかない。レーダー波は岩石に遮られ、インフラトン反応も探知できなくなるからだ。

 

 ただしこの状態だと重力井戸(艦内に重力を発生させる装置。)やレーザー砲、シールドやデフレクターなど動力を必要とする装置が使用不可になる。生命維持用のオキシダントジェネレータは非常用バッテリーなどで稼働するが、最高でも1週間が限度とされている。

 

「さて、どうなる事か。」

 

 非常灯のみがついたブリッジで一人呟いた。




艦載機パイロットっていうとどうしてもあの2人が思いつきます。


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