Dolls FrontLine - Missing link - 作:いろいろ
目を覚ますと、知らない天井でした。手入れはされているようですが、どこか古くて寂しい感じがします。
そこまで意識がはっきりして、私はベッドからはね起きました。確かあの時緑のバケモノと戦って、意識を失って・・・まさか、連れ去られた?
服装は基本そのままのようですが通信機や銃、ナイフは奪われているみたい。それ以外は特に何もなく、手錠もされていません。
部屋を見渡すと、ベッドに机、椅子、エアコンなんかもありました。窓もあるけど、壊れているのか木の板とビニールで塞がれています。扉も見たところ普通のもののようで、ここが独房ではないことがわかります。
「あ、開いてる。」
扉は手動で、鍵もかかっていませんでした。
十分に警戒しながら外に出ます。遭遇戦になれば、武器もない今は非常に危険だと言えます。
少し進むと、通路の角の部屋から明かりと人の声がしました。ここからではよく聞こえませんでしたが、どうやら男の人と女の人が話しているようです。
慎重に近づき、中を覗き込みます。
「・・・俺も代理人ちゃんの努力は応援したいよ。」
「! では、」
「でもね、これ以上は流石にダメかな。」
「そんな・・・つ、次はできますから!」
「いや、でもね・・・
料理をするたびに台所を爆発されるのはちょっと。」
「・・・・・グスッ」
代理人、ですよね?あの鉄血のハイエンドの。
その人が男の人に怒られているようですが・・・台所が爆発?料理で?というよりも誰でしょうかあの人は?というよりも代理人の泣いてる顔なんて初めて見たような。
「・・・入らねえのか?」
「うひゃあ!?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
針のむしろってこういうことを言うのかな?
とりあえず引っ張り出してきた椅子にM4ちゃんを座らせて落ち着かせる。と言っても彼女からしたら敵に囲まれてる状況だから気が気じゃないだろうけど。
「えーと、M4ちゃんでいいのかな? 俺は剣崎一真、よろしく。」
「え、あ、M4A1です。」
「で、こっちが・・・」
「御機嫌ようM4。 あの時以来ですね。」
「・・・代理人。」
あれ?顔見知りだったんだ。 まぁお互いのことは知ってるかなって思ってたけど会ったことがあるならそれでいっか。ちょっとギスギスしてるけど大丈夫かな?
・・・代理人ちゃん、涙目だけど。
「あの、いいですか?」
「ん? 何かな?」
「剣崎さんはその・・・人間、ですよね?」
「・・・え〜と、」
「一真は人間よ!」
いきなり大声を上げないでくれるかなデスちゃん、M4ちゃんもびっくりしてるよ。あ、ゲンコツくらった。
「あ〜すまんな、コイツがいきなり噛み付いて。」
「い、いえ・・・」
M4ちゃんめっちゃ戸惑ってるよ。よし、ここはお茶でも淹れてゆっくり話そう。
まだ一応無事な台所に向かうところで、ドリーマーちゃんから声をかけられた。
「あら? さっき代理人が行ったわよ。(ニヤニヤ)」
「 」
俺は一目散に走り出した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
私の中にあった鉄血のイメージが音を立てて崩れていく気がします。
「ナズェトメルンディス!」
「ドゥーシテワガッテクレナインダァ!」
「・・・気にしなくてもいいぞ、いつものことだ。」
テーブルと人数分の椅子を運んで座っているハンターがそう言いますが・・・。
ほかのハイエンドたちも一度たったかと思えば、それぞれがお菓子やケーキを持ってきてテーブルに並べています。ただ、誰も座ろうとはしません。
「デストロイヤー、あんたの好きなケーキ置いといたわよ。」
「一番遠い席じゃない、あんたが座りなさいよ。」
「こういうのは早い者勝ちだろ?」
「あら? それで一度怒られたでしょ?」
「話し合いで解決が、一番望ましい。」
「私とゲーガーちゃんが両隣に座れば解決すると思いまーす!」
「いや解決はせんだろう。 ・・・座りたいけど」
「お前兄貴と二人乗りしたんだから今回は譲れよな。」
「「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」」
「なっ!? おい処刑人!?」
・・・なんとなく察しました。
そて件の彼・・・剣崎さんが戻ってきました。その他にはお盆が、その後ろには半泣きの代理人がいます。
「はい、みんなお待たせ。 ・・・ほら代理人ちゃん、もう泣かないで。」
「・・・じゃあ、隣座っていいですか?」
「? いいけどそんなことでいいの?」
そう言って剣崎さんは私の対面に座り、その横に代理人が座りました。あ、ちょっとニヤけてる。もう片方の席は結局ジャンケン(ハンター除く)でスケアクロウに決まり、あとは順次座っていきます。
・・・両隣がアルケミストとドリーマーなのは偶然でしょうか?泣
「・・・大丈夫?」
「そう見えますか?」
全然大丈夫じゃないです。
「・・・それよりも、聞きたいことがあるのですが?」
「それはこっちも同じだよ。 でも、答えるって約束してくれるならこっちも答えるよ。」
「・・・約束しましょう。 ではまず先ほどの続きですが、なぜ人間であるあなたが鉄血に協力しているのでしょうか?」
しかも見ている感じでは、ハイエンドたちも信頼を得ているようですし。
すると彼らは顔を見合わせて、何か話し合い始めました。・・・『本当のこと話す?』とか『信用できるか?』なんて聞こえてきますが。
「・・・そうだね、これは俺からの質問にも触れることだから答えるよ。 俺が彼女たちに協力してもらってるんだ。」
「えっ?」
彼が、ではなく彼に協力?どういうことでしょうか?
「じゃあこっちの質問だね。 ・・・M4ちゃん、君の部隊はここ最近人間を保護する任務が多いみたいだけど、彼らの名前を教えてもらえるかな?」
「・・・・・断れば?」
「こうなる。」
アルケミストが答えた直後、側頭部に銃を突きつけられる。その引き金にはすでに指がかけられているようです。
「まぁまぁアルケミストちゃん落ち着いて。 名前だけでいいんだ、ダメかな。」
「理由を聞いても?」
「彼らがやろうとしてることは、危険すぎる。」
会ったばかりの私のにも、その目は嘘をついていないことがわかりました。周りの彼女たちの表情も真剣そのものです。
名前を聞いてどうするつもりなのか、人間を殺すならあえて聞く必要はないのではないか、『彼らのやろうとしていること』とは何か、私たちは
「・・・・・答える前に、ひとつだけ教えてください。」
「・・・いいよ。」
「あなた方は、まだ人間を殺すつもりですか?」
「・・・・・・・・・『まだ』?」
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「いやぁ、今回は誰も犠牲者が出なかったなんて奇跡だね。」
「そうね、被弾した娘も修復可能なレベルだったし。」
S09地区防衛戦の後に調べたことだけど、どうやらあの場で戦死した者はいなかったらしい。
・・・やっぱり、あの噂は本当だったのかしら。
「ん? どうしたの45姉?」
「・・・前に聞いた噂よ、始さんに出会う前の。」
「鉄血関係のことか?」
「ええ。 ・・・・・ここ最近、鉄血の攻撃で死んだ人間がいないって話よ。」
「それはグリフィンが頑張ってるから、ってわけじゃなさそうね。」
察しがいいわね416。実際グリフィンも戦力を強化してるけど、どうしても生活圏全域を守ることは難しい。おまけに以前はその生活圏に侵攻してくることさえあったから、表に出る出ない合わせると相当の被害が出ていたって話だけど。
「情報統制ってことも考えられるけど、それにしても0はおかしいわ。」
「それっていつ頃から?」
「詳しいことはわからないけど、少なくともここ数日の話じゃなさそうよ。」
全員が黙り込む。
鉄血のこの動きに、トライアルシリーズ・・・私たちの知らないところで、何かが動いている気がした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
鉄血工造の拠点。
その一角の研究施設を改造して作られた工房で、私は作業に没頭していた。
目の前に広がるデジタル図面や各種データ、そして
「・・・ちゃん・・・アーキテクトちゃん!」
「うぇひあぁ!?」
突然声をかけられ、私は文字通り飛び上がった。いやぁビックリすると人って本当に飛ぶんだ・・・あ、人じゃなかった。
「もうこんな時間だよ、ご飯できたからおいで。」
「え、あ! ほんとだ。」
相当集中していたらしく、時計を見ればとっくに夕食の時間だった。
ぐーと背筋を伸ばして席を立つと、彼は図面を眺めながら頷いていた。
「うん、大丈夫そうだ。 ごめんね、こんなこと頼んじゃって。」
「ううん、一真の頼みだもん!」
そう言って図面をもう一度見る。
彼のライダーシステムを基にした図面が、完成率7割と言ったところで描かれていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
16lab
「所長、お手紙が届いています。」
「ん? どっから?」
「差出人は・・・書かれていません。」
「そっ、じゃあ捨てといて。」
「わかりました。」
続く
ちょっとくどくなっただろうか?
書いていてわかりにくいなと思ったので現在の時系列を書いときます。
1〜8話・・・だいたいその順番
9話と10話は一部同じ時間(9話のAR小隊vsジョーカーと10話の冒頭)
10話での一真vsトライアルE → 11話の16lab以外 →10話ラスト(鉄血区域に出発) → 11話ラスト(お手紙)
てな感じです。
というわけで解説。
M4A1
前回拉致られた娘。
ほんとは身ぐるみ剥がされてガッチガチに拘束されるという話だったが代理人のくだりを思いついてボツに。
この後ちゃんと名前を教えた(ついでに『教えた』という履歴を消してもらった)。
剣崎一真
ちゃんと名乗ったり彼の視点になったのはこれが最初。
ライダーのほかにジョーカーにもなれる。接近戦のみだが十分すぎるくらい強い。
ハイエンドたちにモテているが本人は「懐かれたなぁ」くらいの感覚。
代理人
もう一つの作品との差別化を図った結果、リーエンフィールドを凌ぐ料理下手になってしまった。鉄血勢では初のオンドゥル語の使用者。
一真の隣にいられればそれでいい。
アーキテクト
どの世界でも通じる問題児。
ペルシカ並みの天才(に加えて人形としての高い記憶、演算能力)を買われて一真からベルトの製作を依頼される。
一真とゲーガーが好き。
では次回もお楽しみに。