Dolls FrontLine - Missing link - 作:いろいろ
ケンジャキ「ダリナンダアンダイッタイ...」
57「私よ。」<キャストオフ
ケンジャキ「ウェ!?」
※本編とは一切関係ありません。
「はい、じゃあ今日はここまで。」
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
「くそっ・・・3対・・・1だぞ・・・」
「なんで・・・まともに、当たんないのよ・・・」
翌日、私は代理人に連れられて鉄血工造の地下演習場にやってきました。代理人の説明によると、ここはもともと新製品の性能試験用の施設だったそうですが、今ではもっぱら訓練施設としてしか使われていないそうです。
半円状のドームのようになったその演習場の中央付近では、息を切らす処刑人と膝をついてぐったりとするハンターと大の字に寝そべっって息を整えるデストロイヤーの姿が見えました。彼女らが向いている方、壁際には妙なベルトをつけた剣崎さんが立っています。
「イントゥルーダー、結果は?」
「継戦時間も伸びていますし、格闘戦も慣れてきていますね。 なんとか間に合いそうです。」
「そうですか・・・ところで『ガイア』の方は?」
「アーキテクトから、もう少し時間が欲しいと。 実際ベルトと同時作業ですから、仕方のないことですが。」
「時間が無いのも事実です。 ・・・一真さん、聞こえますか?」
『ん? 代理人ちゃん?』
「ひとまずここまでとしましょう、上がってきてください。」
『わかった・・・あれ? そこにいるのはM4ちゃん?』
突然呼ばれ、わずかにビクッとしました。というよりも、そこそこ距離があるはずなのになぜわかったのでしょうか?
『・・・うん、今のうちにやっておくかな。 M4ちゃん、こっちにきてくれる。』
「・・・え?」
「待ってください一真さん、彼女にはまだ早すぎます。」
早すぎる?なんのことでしょうか?代理人の口ぶりから冗談のようなものでは無いようですが。
『・・・グリフィンに戻れば、もうできないことだからね。』
「しかし・・・」
『頼むよ、代理人ちゃん。』
昨日の会話ともまた違う、真剣な口調でそう言いました。代理人はため息をついて、マイクを切ります。
「・・・その階段を進んだ先で彼が待っています、行ってきなさい。」
代理人が指差す方、おそらくこの演習場の入り口に向かっている階段を見ます。本来ならば敵である鉄血の言うことに従うはずがないのですが、私にはなぜか、彼女たちから敵意が感じ取れません。それにもしかすれば、何か新たな情報が手に入るかもしれません。
私は覚悟を決め、階段を降りました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「え〜っと・・・確かこの辺りに・・・あっ、あった。」
「・・・あの〜、剣崎さん?」
背後から声をかけられて作業を中断する。見ればM4ちゃんが首を傾げてこっちを見てた。
っていうか敵地のど真ん中でよく落ち着いていられるよなぁ、まぁガチガチに怖がられるよりはましだけど。
「来てくれたんだねM4ちゃん。 ちょって待っててね、今から武器を・・・あったあった、はいこれ。」
倉庫の端に固められた山の中からソレを取り出してM4ちゃんに渡す。受け取った彼女はソレと俺を交互に見てる・・・そりゃ戸惑うよね。
「えっと・・・これは?」
「銃のレプリカ。 今からやる訓練で使うから。」
「え? 訓練って・・・え?」
あ〜・・・どうやって説明しようかな。流石にまだジョーカーの姿を晒すわけにはいかないんだけどなぁ。
そんな風に悩んでいると、同じく訓練のために集まってきたゲーガーちゃんとウロボロスちゃんが助け舟を出してくれた。
「・・・お前、不死身のバケモノと戦っただろ?」
「え、はい。」
「あれはそんじゃそこらの火器では到底かなわんのでな。 まだ接近戦の方が効き目があるからやっておる。」
「で、処刑人や私のような接近武器をわざわざ用意するわけにもいかないから、各々の銃器で行う必要がある。 そのためのレプリカだ。」
「・・・なるほど。」
うん、やっぱりこういうことは彼女たちの方が伝わるな。思えば俺って教わるだけで教えたことなんてほとんどないんだよなぁ。
やっぱり橘さんは凄かったんだな、改めてそう思うよ。
「あれ? ではその相手は?」
「ん? 目の前にいるだろ。」
「え?・・・・・・・え?」
おぉ、綺麗な二度見だな。まぁ一応人間だと思われてるからしょうがないか。
ともかく準備ができたことだし、早速始めようか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ルールは簡単。 一定時間耐えるか、戦闘不能にすれば勝ち。 逆に戦闘不能になれば負けだ。 いいな?」
「はい。」
「この組み合わせなら、メインのアタッカーはゲーガーじゃな。 私とM4でそれを援護する形になる。」
「・・・でも、どうやって?」
「私のランチャーとお前の格闘で足を止め、ゲーガーが仕掛ける。 下手に突っ込むでないぞ?」
直前までゲーガーとウロボロスに確認を受けます。どうやら爆発物ならまだダメージが通るらしく、ウロボロスがランチャーで攻撃、私とゲーガーは近接戦闘しかないようです。
「確認は済んだかな? そろそろ始めるよ。」
「あぁ、いつでもいい。」
「構わんぞ。」
「大丈夫です。」
それを聞いて彼は頷くと、腰にベルトのバックルのようなものを当て、左手を腰に、右手を左前に出すような独特の構えを取ります。
そして、
「ヘシン!」
《 Turn Up 》
ベルト横のレバー?を引くとやや古ぼけた機械音声が流れ、ベルトから青い壁のようなものが現れます。よく見るとカブトムシのような柄が描かれていて、なんだか一枚のタペストリーのような・・・
「来るぞ、構えろ!」
ゲーガーさんが叫ぶと同時に、剣崎さんが走り出し、その壁を突き抜けます。
「っ!?」
突き抜けると同時に現れたのは青と銀の戦士。腰に特徴的な形の剣を持ち、胸部を中心に装甲で覆われています。
そしてその見た目に反し、人とは思えないスピードで突っ込んできました。
「うわっ!?」
とっさに横に飛んで交わしましたけど、なんですかあの速さは!
「言い忘れてたが、一真はお前が戦ったヤツと同じくらい強いぞ。」
「えぇ!?」
「よそ見するでない! 次来るぞ!」
ウロボロスがミサイルを撃ち込むものの、煙の向こうから現れた剣崎さんは全くの無傷でした。今度はゲーガーを狙って突撃する彼を、ゲーガーはその武器を器用に操り防いでいます。
「君たち戦術人形は近づかれた時の対策が甘い。 それは君がよくわかっているはずだ。」
「それでコイツを呼んだわけか、なら一言くらいくれても良かったんじゃないのか?」
「悪かったよ。 ・・・ところで結構防ぐねゲーガーちゃん? 少しギアをあげようか。」
「嘘だろっ!?」
いうや否や、それまで単発の繰り返しだった攻撃に連撃が加わります。
ゲーガーは離脱できない、ウロボロスはフレンドリーファイアの可能性がある・・・なら!
「はぁっ!」
「っ!」
「M4!?」
横合いから銃(レプリカ)で殴りつける。剣崎さんが一瞬ひるんだのでその隙にゲーガーが離れ、仕切り直せます。
「・・・悪くないけど、君もすぐに離れるべきだね。」
「しまっ・・・くっ!?」
まずいと思った時にはすでに手遅れで、銃を弾かれて首を掴まれてしまいます。
こんな状況・・・前にも・・・
「あの時と同じだね、M4ちゃん。」
「っ! まさか、あのバケモノは!」
「喰らえっ!」
これを好機とみたのか、ゲーガーがビーム刃を形成して突撃して横合いから斬りつけます。ですが剣崎さんがわずかに早く反応し、直撃とはなりませんでした。
「ちっ、外した!」
「・・・いや、君たちの勝ちだよ。」
「む、時間切れか?」
剣崎さんは変身を解き、ウロボロスもそれに合わせて戦闘状態を解除します。
ですが、もともと予定されていた時間はもっと長かったはずですが。
「今回は少し変則で、途中で増援が来るという想定を加えてたんだよ。 ただしいつもより攻めるけどね。」
「・・・なるほど、もともとギアを上げるつもりだったのか。」
剣崎さんは満足そうに笑うと、訓練のおさらいだけを簡単に話して解散の指示を出します。ゲーガーとウロボロスもそれに従い、演習場の出口へと向かいます。
・・・確かめるなら、今しかありません。私は意を決して、呼びかけました。
「・・・剣崎さん。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「・・・剣崎さん。」
M4に呼び止められた一真が足を止める。ここからでは見えんが、すぐに足を止めるあたり呼ばれることがわかっていたのかもしれんな。
「あなたは、何者なんですか? ・・・人間ですか?それとも人を襲うバケモノですか?」
「おい貴様!」
その言葉に反応したゲーガーが掴みかかろうとするが、まぁとりあえず止めておく。コレはヤツと一真が話すことじゃ。
「そういうわけで大人しくしておれ。」
「くっ・・・だがアイツは!」
「M4は何も知らんのだ、そう目くじらをたてることでもあるまい。」
チラリと一真を見ると、声は出さずに口の動きだけで『ありがとう』と言ってきた。まぁこれも上司の役目なのだよ。
「・・・もし後者だったら、どうする?」
「・・・あなたを殺します。 それが私たち戦術人形の存在意義です。」
睨み合う、というよりは見つめあっているようじゃな。意外なことにM4のヤツはあんなことを言う割に殺気を感じられん、本心では殺したくないといったところか。
・・・ククッ、人形としてはアマちゃんじゃな。 それにそんな心配も必要ないだろう。
一真に敵う相手など、この世にはいないのだからな。
「・・・さっき、バケモノかどうか聞いたよね?」
「・・・はい。」
「これが答えだよ。」
一真の腰に、
実物を見たのは初めてじゃな・・・これが『ジョーカーアンデッド』か。
「っ!? やはり、あなただったんですねっ!」
「そう、これが俺のもう一つの姿だ。」
「仲間は・・・私の仲間はどうなったんですか!?」
なるほど、そういえばM4は先に気を失ってしまったんだったな。隊長であるなら仲間の安否が気になるのも無理はない。
さて・・・一真はなんと答えるかな?
「・・・君が気を失った後も、彼女たちは抵抗し続けたよ。」
「・・・まさか・・・嘘よ・・・」
「君を回収するのに邪魔だったからね。」
一真め、表情の見えないアンデッド状態を利用しておちょくっとるな。さぞかしニヤけとることだろうが、流石にM4が不憫じゃない。ゲーガーですら哀れみの眼差しを向けておる。
・・・もう少し見ていたい気もするがネタバラシじゃな。
「一人ずつ、ゆっくりと・・・」
「服をひん剥いてイイコトをしようと、」
「ウェッ!?」
「なっ!? なんて破廉恥な!」
「違う! 俺は何もしていない!」
「クククッ、まぁそういうことじゃな。」
あっ、というような顔の一真に思わず笑いそうになる。M4もM4で鳩が豆鉄砲を食ったような顔になっとるし・・・いかん、笑うな、耐えるんじゃ。
緊張の糸が途切れたのか、M4はその場にへたり込んでしまう。あ、ちょっと泣きかけとる、というか泣いた。
「うぅ、そんな嘘、つかないでくださいよぉ。」
「あぁごめんごめん、ほら涙拭いて。」
いかん、無理じゃ!一真も若干テンパっとるのか、アンデッドのままハンカチを差し出しおった!シュールすぎて、ダメじゃ、笑いが止まらん!
「ひぃ、ひぃ、か、一真! せめて人間になったら、どうじゃ!」
「ウェッ? あっ! 忘れてた!」
慌てて戻るがもう色々手遅れじゃ!
ひぃ、ひぃ、よし、落ち着いてきた。で、M4も泣き止んだようじゃな。
「落ち着いた?」
「・・・はい。」
「良かった。 ・・・それと、最初の質問の答えだけど。」
「えっ?」
「俺は確かにアンデッドっていうバケモノだ。 でも、俺は人を絶対に殺さない、殺させない。」
話すに連れて一真の表情も真剣なものに変わっていく。やはり、一真の過去に何か関わりがありそうじゃが、昔のことはあまり話してはくれんからな。
じゃが、その思いは通じたらしい。
「・・・信じていいんですね?」
「あぁ。」
「分かりました。」
うむ、M4も一真が悪人ではないことをわかってもらえたようじゃな。願わくばこのままこちら側に引き入れたいが。
「んんっ! なぁM4、ものは相談なんじゃが・・・」
『一真さん、聞こえますか!?』
ぬおっ!?なんじゃいきなり!というか誰じゃ・・・ってイントゥルーダーか、何かあったのか?
「どうしたの?」
『グリフィンの通信を傍受しました、M4の救出部隊がこちらに向かっているようです!』
「思ったよりも早いな・・・ならそろそろ」
『それだけじゃありません! 暗号が多く解析に時間がかかりましたが、正規軍の爆撃部隊も出動したそうです!』
「なっ!? 正規軍じゃと!?」
「まさか奴ら、M4もろとも「・・・みんな。」・・・一真さん?」
「すぐに移動できるようにしておいて。
・・・俺が出るよ。」
続く
鉄血に鹵獲されたM4サイド。
後半はウロボロス視点だけど・・・こいつの喋り方が安定しないな。
そしてついに正規軍介入、といっても上層部が勝手にやってるだけだけどね!
というわけでちょこっと解説。
レプリカ銃
強度と重量のみ本物と似せている玩具。白兵訓練用。
ジョーカーアンデッド(剣崎)
二次創作によってはブレイドカラーだったり武器持ってたりと様々ですが、今作ではオリジナルのジョーカーと全く同じ姿。強さも同じくらい。
正規軍爆撃部隊
A-10神。