Dolls FrontLine - Missing link -   作:いろいろ

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シリアスにはしたいけど死人は極力出したくない・・・でもそうも言ってられないのよね・・・。


第14話:襲撃

サイレンが鳴り響く。銃声が聞こえる。悲鳴が上がる。

平和、とは言えないが争いごとからは程遠かったこの16labは今、地獄絵図とかしている。

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

 

普段のズボラな生活のツケが回ってきたのか、すぐに息が上がって足が震えだす。

あぁ、ちょっと運動くらいはしとくんだったかな。

 

 

「いたぞ!」

 

「撃てっ!」

 

「っ!?」

 

 

もう追いついてきたか・・・けど、ここまでくれば・・・

角の部屋に入り、急いでスイッチを押す。扉が閉まり、何重にも施錠される。生半可な火器じゃあ破れない分厚い扉だし、今のうちにやることを済ませておこうか。

 

 

「データの吸い出しは・・・よし、あとはこのベルトだけ。」

 

 

十中八九、このベルトと試作品が目当てだろうね。狙われる可能性は考えてたけど、まさか皆殺しだとは思わなかった。

・・・まぁ軍とIoPの上の方で決まったんだろう、人形なんていらないと。

 

 

「さて、あとは脱出・・・ん?」

 

 

必要なものを集め終えて、ふと異様な静けさに足を止める。

これがまずかった。

 

 

ドォーン

「きゃあ!?」

 

 

突然の爆音、土煙、そして衝撃。

思いっきり吹き飛ばされた私が見たのは、モニターのある壁をぶち破って現れる特殊部隊だった。

痛む身体に鞭打って立ち上がろうとするが、直後に右脚に鋭い痛みが走り転倒する。どうやら撃たれたみたいだ。

 

 

「あぁあああ!!!」

 

「手こずらせてくれる・・・こいつで最後か?」

 

「はい、逃亡者もいません。」

 

 

あぁ、みんな死んじゃったかぁ・・・悪いね、こんな所長のもとで働かせて。

ごめんよ始くん。君の仲間の形見、壊すしかなさそうだ。

 

 

『・・・えるか!』

 

 

ははっ、幻聴まで聞こえてきたよ。私もいよいよ終わりだな。

 

 

『聞こえているようだね。 まだ死にたくないだろう?』

 

 

そりゃ死ななくて済むならね。

って何幻聴相手にしてんだか。

 

 

『わかった、少し君の体を借りるよ。』

 

 

体?こんなボロボロのをなんて好きものだねぇ。

くだらない憎まれ口を叩きながら、私は意識を落としていった。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「ん? なんだまだ動けるのか。」

 

 

ターゲットを持った女がゆらりと立ち上がる。あちこちから血を流しているが、女にしては根性がある。

もっとも、すでに満身創痍といったところだが。無駄とは言え抵抗されるのは面倒なので、今度は左脚に狙いをつける。

そして引き金を引き・・・

 

 

「なにっ!?」

 

 

発射と同時に女が後ろに飛び退く。バカな、右脚を撃たれてあんな動きができるはずが!?

すると女はいつのまにかつけていたターゲットの一つ・・・緑色のバックルのレバーに手をかけている。

 

 

「・・・変身。」

 

 

同じ声の、しかし全く別人であるかのような冷たい声に、俺は静かに恐怖した。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

窓の外にはいくつか建造物が見えてきた。もうすぐ着くようだ。

 

 

「・・・つまり、あの剣崎一真ってのが今の鉄血のボスってこと?」

 

「いえ、鉄血は相変わらず代理人を中心としたハイエンドたちが統制しているようです。 ただ、剣崎さんの目的のために協力しているようですが。」

 

 

ニ個小隊も抱え込んだヘリの中は少し狭苦しく、そこでは今M4から鉄血の内情を聴いているところだ。信じがたいことに、現在の鉄血にグリフィンと争うつもりはないらしい。

だが、それを伝えるためだけにM4を攫ったのか?

それに・・・

 

 

「目的ってのはなんなんだ・・・。」

 

「恐らく、トライアルシリーズの事だろう。」

 

 

これまでほとんど口を開いてこなかった相川始がそう告げる。だがトライアルシリーズとはなんだ?見たところ404の連中は知っているようだが。

 

 

「詳しくはペルシカに聞くといい。 もう直ぐ着くだろう。」

 

「・・・まぁいい、なぁパイロットさん、あとどんくらいだ?」

 

「もうじき見えてくるさ・・・ん? なんだこりゃ!?」

 

「どうした?」

 

 

パイロットの反応を不審に思った私はコクピットに向かう。が、そこで見えた光景に言葉を失いかける。

 

 

「16labが・・・燃えている・・・」

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「G11、敵は見えますか?」

 

「敵影なし・・・けど、あのトラックは・・・」

 

「正規軍、ね。」

 

 

11、AR-15の報告を聞きながら、チラリと横を見る。彼女らに指示を飛ばしたM4は以前見かけた時の不安定さがほとんどなく、私たち404小隊に対してもしっかり指示を出している。

・・・何かあったわね。

 

 

「正規軍か〜・・・どうする45姉?」

 

「正規軍を敵に回すのはマズイわよね・・・となると。」

 

 

隣に目を向けると始さんと目が合う。まぁそうなるわよね。

うちの隊員もそう考えてたみたいで、11もスコープから目を離す。

 

 

「・・・あなたが? 大丈夫なの?」

 

「問題ない。」

 

「あ、でも流石にいつもの姿はダメよ。 乱入者だと思わせたいからね。」

 

「あぁ・・・それに、こいつらにも教える必要がある。」

 

 

俺がどういう存在かを、そう言って始さんが前に出る。目を閉じ呼吸を落ち着かせ、腰に緑のバックルを出現させる。

 

 

「・・・変身。」

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「・・・ジョーカー・・・アンデッド・・・。」

 

「なっ!? お前は!」

 

 

相川始の姿が歪むと、次の瞬間にはあの時対峙した緑のバケモノに変わっていた。

M4がジョーカーなんとかって呟いたが・・・まさか、こいつが!

 

 

「待って姉さん! みんなも銃を下ろして!」

 

「わかっているのかM4! コイツはあの時の!」

 

「違うの、その人じゃない!」

 

 

私もAR-15も、すでにいつでも撃てる状態だ。SOPとROも銃口を下げてはいるが、警戒は解いていない。

相川始はそんな私たちに見向きもせずに、斜面を降りて研究所へと向かった。

 

 

「・・・あの男から聞いたのね、アンデッドのこと。」

 

 

45が薄ら笑いを浮かべながらM4に問い、M4はそれを黙って見つめ返す。だがやがて口を開き、真剣な眼差しで話す。

 

 

「彼は・・・いえ、彼らは間違いなく人間の味方です。」

 

「でも、あなた達を襲ったわよね?」

 

「えぇ。 でもそれは、私たちが保護してきた人間の情報を得るためでした。」

 

 

45の目つきが鋭くなる。同様にM4もまっすぐ向き合うが、二人とも睨み合っているわけではない。むしろ、二人とも同じ結論に至っていた。

 

 

「彼の敵は・・・おそらくグリフィンの上層部。」

 

「それとIoP、軍もね。」

 

 

M4は静かに目を閉じ、一度大きく深呼吸する。再び目を開いた時、AR小隊の面々は目を見張った。

そこにいたのは、数日前の彼女ではない。確たる意志と覚悟を持った、リーダーとしてのM4だった。

 

 

「私たちは、ペルシカさんと16lab研究員の救助に向かいます。 ・・・あなた方は?」

 

「フフッ。 いいわ、付き合ってあげる。」

 

 

互いに腹の探り合い、だがこの時だけは確かに分かり合えていた。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「て、撤退! 撤退!」

 

 

軍が引いていく。まぁ無理もない、こんなバケモノが現れてはな。

だが、それよりも前に建物から出てきた連中は、何から逃げていたんだ?

直後、研究所の壁が爆ぜる。そして土煙の向こうから、見覚えのあるシルエットが笑われた。

同時に、アンデッドの気配もだ。

 

 

「・・・・・。」

 

「やぁ、また会ったね、『相川始』くん。」

 

「・・・ジョーカーとは呼ばないんだな。」

 

 

現れたのは、以前ペルシカに預けていたベルト・・・レンゲルクロスを使用したライダー、『レンゲル』だった。

その声から変身者はペルシカのようだが、その体を操っているものがいる。

 

 

「クラブのカテゴリーK・・・タランチュラアンデッドか。」

 

「その通り・・・あぁ安心してくれ、別に彼女の体をのっとったわけじゃない。 ただ借りているだけだ。」

 

 

その言葉通りなのか、奴には戦闘の意思はなさそうだ。もとより人間に友好的なアンデッド・・・信じてもいいだろう。

 

 

「わかった・・・近くに仲間が来ている。 そこまでついて・・・!?」

 

 

直後、レンゲルは跳びのき、さっきまでいた場所に榴弾が落ちる。

振り向くと、404とAR小隊が向かってきていた。

 

 

「始さん、無事!?」

 

「アイツ・・まさかあれもトライアル?」

 

「なんて跳躍力だ!」

 

「落ち着いて姉さん。 ROとUMPは牽制、私と姉さん、AR-15とG11で足を止めます! 416とSOPはグレネードの用意を!」

 

「りょ〜かい、いくわよ9!」

 

「私らが前に出る、AR-15と11は狙撃を頼む!」

 

「大丈夫・・・あの時と同じ・・・みんなで生きて帰る!」

 

「合わせなさい、SOPMOD!」

 

「分かったよ!」

 

 

すぐさま戦闘態勢に入り、フォーメーションを組む。アンデッド相手なら確かに悪くない動きだが、今回は文字通り相手が悪い。

カテゴリーKが操っているとはいえ体はペルシカ・・・なんの訓練も受けていない女のものだ。あれほどの動きや銃弾の衝撃に耐えられるかも怪しい、加えて負傷している可能性もある。

 

 

「・・・仕方がない、変身!」

《 Change 》

《 Tornado 》

 

 

威力を調節し、誰も巻き込まないようにかつ戦闘を遮るように放つ。ちょうど放たれたグレネードも弾きとばし、俺は間に割って入る。

 

 

「は、始さん!?」

 

「おい! なんのつもりだ!」

 

「待て、こいつは敵じゃない。」

 

 

直後、背後で変身を解く音がして、続けて何かが倒れる音がする。

 

 

「え? ペルシカ?」

 

「ちょっとペルシカ! 大丈夫!?」

 

「気を失ってる・・・怪我もひどいわ!」

 

「なんだ・・・何が起きてるんだ!」

 

「ひとまず移動が先だ、そこで説明する。」

 

 

彼女たちがペルシカを運び、残りが周囲を警戒する。俺はレンゲルが現れた壁の方へ行き、その時レンゲルが持っていた袋を拾う。

 

 

「ベルトとカードは無事か・・・ん? これは?」

 

 

その袋の中にはギャレンバックルとダイヤのカテゴリーA、そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が入っていた。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「すまない。」

 

「構いません、慣れていますから。」

 

「・・・だけど。」

 

「あなたは人を殺すわけにはいかない、殺させない。 その役目は、我々が担うものです。」

 

「・・・・・。」

 

「我々は鉄血工造、人類の敵です。」

 

「・・・わかった。 でも、危なくなったら必ず守るから。」

 

「・・・わかりました。 では、行きましょう。」

 

「あぁ。」

 

「全部隊へ、作戦開始。 目標、IoP本部・トライアルシリーズ製造工場。」

 

 

 

 

 

続く




16lab壊滅。
これで人形の指揮モジュールの技術は失われ、M4やROの再製造が不可能になりました。


というわけで解説を。

レンゲル
ライダーシステムの3番目、ダイヤのカテゴリーJが造らせたという変わった経緯のベルト。
はぶらレンゲルとかフロート(笑)とか言われるけど素の性能は一番高い。
初回限定で謎の高速移動ができる。

クラブのカテゴリーK
あの人。
封印されてるのに割りと簡単に体を操ったり話しかけたりできるあたりやっぱり強いんだと思う。

謎の機械
ペルシカがライダーシステムを参考に作り上げたもの。人形の拡張装備であり、基本的にどのタイプの人形でも使用可能。
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