Dolls FrontLine - Missing link -   作:いろいろ

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ハッピーエンドを予定していた当初ですが、実は今アンハッピーエンドとも迷ってましてね。
まぁとりあえず完走するところからですが。

今回は説明多めの回です。


第16話:新たな力/力の代償

side:M4A1

 

 

「みんな、心配かけてごめんね」

 

 

16labが襲撃されてから数日がたった。救出したペルシカは出血と疲労でずっと寝たきりになり、ついさっき目を覚ましたところ。

もう大丈夫、とでもいうように笑っているけど、とてもそうは思えない。

 

 

「それよりもM4、おかえり。 みんなもありがとうね」

 

「・・・・こういう時くらい人よりも自分の心配したら?」

 

 

45がそう言うと、ペルシカは苦笑した。この場の誰もがそう思っていることだけど、ペルシカはなにかと背負い込みすぎるんだと思う。

 

 

「そうしたいところだけど、今はそれどころじゃないからね」

 

「そうね、これで私たちはお尋ね者になったし」

 

 

416がため息まじりに言うのを、ペルシカは黙って聞いていた。

あの日、ペルシカを匿ってもらえないかとS09地区の指揮官に問い合わせた。けど、その願いは叶えられなかった。

 

 

『ついさっき、本社から君たちの指名手配を受けた。 残念だが、私はもう協力してやれそうにない』

 

 

悔しそうにそう言ったのを覚えている。指揮官の立場なら、受け入れるふりをして本部に突き出せばいいのに・・・・・だから、これ以上の迷惑はかけられない。

そうして今は、404小隊が密かに確保していたセーフハウスにいる。周辺の廃墟や捨てられた司令部から持ち込んだ機器もあるから、メンテナンスも簡単にならできるって。

 

 

「それで、これからどうするつもりだ?」

 

 

始さんが尋ねると、ペルシカは持っていた袋からあるものを取り出した。そのうち二つは以前始さんが預けていたものらしく、剣崎さんが持っていたベルトによく似ている。

そしてもう二つは・・・・・

 

 

「まだ試作段階だったんだけど、人形用に調整したものよ。 幸い、コピーした設計図も無事だったわ」

 

「戦う、ということか」

 

 

ペルシカは頷くと、カードリーダーのようなものと箱のようなものをテーブルに乗せて、それぞれの説明を始める。

カードリーダーの方は擬似的に再現したラウズシステム。人形と同期することで、ラウズカードを使うことができるそうです。

 

 

「ただし、アンデッドの力は想像以上に大きいし、負担も大きいの。 だから、こっちで用意した劣化版のカードを使って」

 

「ラウズカードも使えるには使えるんでしょ?」

 

「理論上はね。 けどもし使うのなら、コンボは使わないこと。 まず間違いなく人形側が耐えられないわ」

 

 

それほど・・・・・やっぱりアンデッドの力は驚異的なんですね。だからこそ、トライアルという敵も人形では歯が立たない。

 

 

「それと、これがアブゾーバーシステムをモデルにしたものよ。 まぁ、効果は全く違うけど」

 

「これはどういうものなの?」

 

 

45がやや食い気味に尋ねます。彼女は過去にトライアルと呼ばれる相手と戦い、手も足も出なかったそうで・・・・・おそらく、隊長として責任を感じているのでしょう。

 

 

「さっき言った通り、ラウズシステムだけでアンデッドの力を使うのは危険なの。 そこでこれを取り付けることで、より安全に使用ことができるはずよ」

 

 

つまり、これがあれば剣崎さんや相川さんのように戦えるということ・・・・・そうだ。

 

 

「あの、ペルs「ペルシカ、これ今すぐでも使える?」・・・416、さん?」

 

「416?」

 

「え、まぁ同期さえ済ませればできるけど・・・・・」

 

 

416らしからぬ食いつきに、ペルシカも404のみんなも驚いている。けど416の表情は真剣そのもので、使えるとわかると今度は相川さんの方に向いた。

 

 

「始さん、私と戦って」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

side:HK416

 

 

システムと同期する間、私は始さんから今回使うラウズカードの説明を受けていた。

 

 

「これは『Gemini』、俺が以前使った分身できるカードだ」

 

「あぁ、あれね・・・・・G11が本気で怖がってたやつよね」

 

「・・・・悪いことをしたとは思っている。 最後に、これが『Thief』のカード。 相手の武器を奪ったり、姿を変えることもできる」

 

 

カメレオン柄のカードをテーブルに並べる。これが今回貸してもらえるダイヤのスートだ。

・・・・・ところで

 

 

「その3枚は?」

 

 

始さんの説明は、変身能力のエースを除く2から10のみ。J、Q、Kの説明はなかったけど、何か理由があるのかしら?

 

 

「この3枚は単体ではあまり効果を得られないものだが、JとKはそれぞれQと組み合わせることで、より大きな力を得られる。 が、正規のラウズシステムではない以上、使わない方がいいだろう」

 

 

そう、それは残念ね。そういえば、M4を救出する時にあの一真とかいう男が使っていたけれど・・・あれがそうなのね。確かに姿も変わっていたし、飛べるようになるほどの変わりよう・・・・・あれほどの力が・・・。

私は無意識のうちに力が入っていた拳を、さらに強く握りしめた。

 

 

「よし、これでセッティングはOKだよ」

 

「わかった。 なら先に行っている」

 

「えぇ」

 

 

そう言って始さんは席を立つ。

最後に簡単な確認だけ終えるとカードをホルダーに入れて、私も後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

side:相川始

 

 

『二人とも、準備はいい?』

 

「あぁ」

 

「問題ないわ」

 

 

俺は416と向かい合い、合図を待つ。驚くことにこのセーフハウスの地下には広大な空間が広がっていて、そこを演習場として改装していたらしい。演習場といってもただの広い空間だが、システムのテストが目的なら十分だろう。

 

 

『じゃあ始めるけど、あくまで動作のチェックが目的だからね』

 

「わかってるわよ」

 

『ならよし。 それじゃあ始くん、よろしくね』

 

 

頷くと、改めて416の方を見る。通常の装備に加えてラウズシステムを右腕に取り付け、今は落ち着いた様子でいるようだ。

・・・・・彼女から危うい雰囲気を感じたと思ったが、気のせいだったか?

 

 

「そろそろ始めようか・・・・遠慮はいらない」

 

「えぇ、そのつもりよ」

 

「ならいい・・・・・・変身」

《 Change 》

 

 

俺はカリスへと変身し、カリスアローを構える。416も武器を構えると同時に、早速カードを一枚引き抜いた。

 

 

『いいかな? では、始め!』

 

「まずはこれよ!」

《 Bullet 》

 

 

選んだカードをラウズし、アンデッドの力が416を通して銃に宿る。『Bullet』のカードは銃撃を強化するものだが、果たしてどれほどのものなのか。

 

 

「食らえっ!」

 

「っ!!」

 

 

416が引き金を引くと同時に横に飛び退く。そのすぐ横を、明らかに口径を超えた銃弾が突き抜ける・・・・・なるほど、発射されると同時にアンデッドの力が乗るというわけか。

その威力に、撃った本人も驚きを隠せないようだ。

 

 

「すごい・・・・・」

 

「そうだ、これがアンデッドの力だ」

 

「これがあれば・・・・私も戦える・・・・」

 

 

416はそう言うと再び銃を構え、こちらを見据える。カードの効果は切れているようだが、その手にはすでに新たなカードが握られている。

あの絵柄は・・・バットアンデッドか。

 

 

「次はこれよ!」

《 Scope 》

 

 

カードをラウズし、再び引き金を引く。『Bullet』ほどではないがアンデッドの力で強化された弾丸が放たれ、さらに『Scope』の効果で追尾してくるそれを打ち払い、今度はこちらから攻める。

 

 

「ふっ!」

 

「くっ・・・! まだまだ!」

《 Upper 》

 

「・・・甘いな」

《 Chop 》

 

 

距離を詰められて即座にそのカードを選ぶ判断は間違いではない、だが読まれやすい一手でもある。

威力を増したアッパーカットを手刀で叩き、怯んだうちにさらに追撃をかける。カードの力を使わない純粋な肉弾戦だが、同時に戦術人形にとってあまり想定されていない距離だ。

 

 

「どうした、その程度か?」

 

「ぐっ! まだ、まだよ!」

 

「ならば、この状況を打開してみろ」

 

 

416はナイフを握りなんとか距離を取ろうとするが、俺は少々強引に距離を維持する。これはラウズシステムのチェックでもあるが、同時にこいつらの接近戦闘訓練でもある。たとえ距離を詰められたとしても、戦わなければ死ぬだけだ。

 

 

「っ!? しまっ・・・ぐぁ!」

 

「ここまでのようだな」

 

 

攻撃を交わすことに集中しすぎたか、壁際に追い込まれたことに気がつかなかった416は逃げ場を失う。

まぁ、もった方か・・・・・

 

 

「まだよ・・・まだ、やれるわ・・・・!」

 

 

最後の足掻きか、416はカードを一枚抜き取る。カテゴリー6、『Fire』のカードか。

 

 

《 Fire 》

「これで・・・・っな!?」

 

「これで、どうするつもりだ?」

 

 

ラウズと同時に、俺は416の両腕を抑えつける。銃撃は出来ず、殴ることもできない。蹴りもこの距離では大した威力にもならないだろう。

これで詰みだ・・・・・そう思っていたが、416は当然頭を振りかざし、

 

 

「ふんっ!!」

 

「なにっ!? ぐぁっ!!」

 

 

『Fire』の効果は、使用者の攻撃に火属性を付与することだ。それがたとえ武器を使おうとも素手であっても、その効果を得ることができる・・・だがまさか、()()()に使おうとするとは思っても見なかったな。

だがその不意打ちのせいで、俺は416の行動を止められなかった。

 

 

「私は・・・負けられない! 私は完璧よっ!!!」

《 Drop・Tornado 》

 

「何!?」

 

 

416がラウズしたのは2枚、それも『Drop』とハートのカテゴリー6『Tornado』だ。見れば、腰のホルダーからカードが消えている・・・・・あの時か!

 

 

『416っ! 今すぐ止まって!』

 

「はぁああああ!!!!」

 

「ちっ!」

 

 

ペルシカの静止も振り切り、416は飛び上がると暴風を纏った蹴りを入れる。あれほど危険だと言われておきながらコンボを使うとは・・・・・仕方ない。

 

 

《 Reflect 》

 

「なっ・・・・きゃあっ!?」

 

「力に溺れたか? ならお前にそれを使う資格はない!」

《 Bio 》

 

「がはっ!?」

 

 

空中で身動きの取れない416にツタの鞭を振るい、壁へと叩きつける。激しく咳き込む416はなおも立ち上がろうとするが、直後に膝から崩れ落ちた。

 

 

「あぐっ・・・か、からだが・・・・」

 

「・・・・・・お前の負けだ」

 

「まだ・・・負けてない・・・・」

 

「そうか・・・・なら、認めるまで続けてやろう」

 

 

脅すつもりでそう言い、俺はカリスアローを振りかざす。本当に斬るつもりはないが、それを振り下ろすことはなかった。

 

 

タタンッ‼︎

「っ!? 」

 

「え・・・M4・・・」

 

 

振り返ると、そこには武器を構えたM4がいた。左手には416のナイフを持ち、銃口は真っ直ぐこちらを向いている。

しばらく睨み合うが、ふとM4が先に銃を下ろした。

 

 

「二人とも、そこまでです。 まずは416さんを修復しないと」

 

「・・・・わかった」

《 Spirit 》

 

 

カテゴリー2を使い、相川始に戻る。ペルシカや他の仲間が担架を持って走ってくるが、M4は真っ直ぐこちらに向かってきた。

彼女は運ばれる416を一瞥すると、覚悟を決めたように気を吐き、言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・相川さん、私と戦ってください」

 

 

続く




ついに人形たちもトライアルと戦うことができるようになりました・・・まぁ使いこなせるかは別ですが。

まだ一対しか完成していませんが、設計図は無事なので今後量産していく予定・・・・・彼女たちのペイバックタイムは近い!


相変わらず低速更新で駆け足気味な内容ですが、今後ともよろしくお願いします。
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