Dolls FrontLine - Missing link -   作:いろいろ

19 / 29
ごめんよ416、言われるまで今日がその日だと忘れてたよ
でもツンツンしながらも指揮官を気遣う姿、嫌いじゃないわっ!


第19話:上・級・降・臨

side:M16A1

 

 

『では、お披露目といきましょう。 これが我々の新たなる力・・・・・トライアルシリーズです!』

 

 

テレビの中から歓声が沸き起こり、拍手に出迎えられる形で化け物ども(トライアル)が壇上に上がる。その不気味な見た目に驚く者も多いが、その後流されたE.L.I.Dとの戦闘記録を見れば誰もが評価を改める。

表向きはIoPが一から開発したことになっているが、実際はそうじゃないってのは相川から聞いている。

 

 

「M16、ここにいたんですか」

 

「ん? あぁROか」

 

 

M4とのミーティングが終わったのか、ROが戻ってきた。もともとはM4をサポートするように造られたROだが、単体でもある程度の指揮をこなせるようにとM4に頼んで教えてもらっているらしい。

ちなみに私は日がな一日自由に過ごしている。こんな状況じゃ、動きたくても動けないからなー(棒)

 

 

「また昼間っから飲んで・・・・・トライアルのお披露目ですか」

 

「あぁ、ついに実戦配備だと。 E.L.I.Dの駆除と、鉄血の残党狩りが主だって言ってたが・・・・・」

 

「十中八九、私たちの・・・・・いえ、ペルシカさんの捕縛も含まれているでしょう」

 

 

ROはそう呟き、テレビの中に映るトライアルを見る。

私たちは、実際にトライアルと戦ったことはない。それにその存在も、相川とペルシカが語ったものしか知らない。

アンデッド、バトルファイト、ライダーシステム、そして『ジョーカー』・・・そのどれもが、私たちには荒唐無稽に感じられた。だが現実として相川もライダーシステムも存在する以上、信じるしかない。

 

 

「始さんが言っていました。 『一体誰が、どうやって、なんの目的で再び生み出したのか』、と」

 

「私としちゃ、これで人類が救われるなら歓迎なだけどな」

 

 

実際、一般人から見れば間違いなく人類の味方だ。E.L.I.Dを駆除でき、汚染区域を物ともしない。人間の命令に従順で、しかも強い。私らの立場がなくなるのが痛手だが、まぁその時はその時だろ。

・・・・・なんて気軽に言える問題じゃないんだろうな。

 

 

「おそらく、相川はこいつらの黒幕がアンデッドの可能性を疑っているんだろう。 そしてそのバトルファイトとやらに勝利するために、二人を倒せる手駒が欲しい」

 

「そして、自分の種族が繁栄する世界に作り変える」

 

 

それはおそらく、そのアンデッドの悲願なんだろう。自身の種族がこの世界を支配する。わかりやすい世界征服だ。そう思うと、今のこの世界があるのは人間の祖先のアンデッドのおかげってことか・・・・・

 

 

「・・・・もし私ら人形のアンデッドがいたとして、そいつが勝ち残ったら、私らが世界の覇者ってことになるのかねぇ」

 

「随分と酔っているようですね、姉さん」

 

 

ガバッと跳ね起き、振り返る。いつからそこにいたのか、愛すべき(M4)の笑顔があった。ただその目は決して笑っておらず、さっきの声も底冷えするような冷たさだったが。

 

 

「姉さん、私は今朝なんと言いましたか?」

 

「よ、416と交流を深めろ、と・・・・」

 

「えぇそうです。 これから当分彼女らと行動を共にする以上、いつまでもギスギスしていてもらっては困りますからね」

 

「わ、私は別に仲が悪いとは・・・・・」

 

「な・に・か?」

 

「いえ、なんでも!」

 

 

あぁ、私の可愛い妹よ、一体いつからやさぐれてしまったんだ?それもこれも、きっと全部剣崎一真ってやつの仕業なんだ!

 

 

「というわけで、これ(お酒)は没収します」

 

「なっ!? そんな殺生な!」

 

「文句ならやることをやってから言ってください」

 

 

悪かったM4!お姉ちゃん反省する!だからそれだけは、ジャックダニエルだけは勘弁してくれ!

お願いだM4! 返してくれよ、私のジャックダニエル返してくれよぉぉぉ・・・・・

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

side:ペルシカリア

 

 

「・・・・・本当に大丈夫なのよね?」

 

「あぁ、最悪の場合は俺が止める」

 

 

私は小さくため息を吐き、自分の右手に収まっているもの・・・・・レンゲルバックルを見下ろす。散々記録映像を見せられたからわかってるけど、自分が一度変身したってのはいまいち実感が湧かないのものね。

 

 

「けど始くん、私はあくまで研究員なんだよ? この中の誰よりも体力も筋力もないんだよ?」

 

「お前の他に人間がいないのだから当たり前だろ」

 

 

さっさとしろと言わんばかりに切り捨てられる。

ことの発端は実に簡単、私も自衛手段くらい持とうかなぁって呟いたのが始まりだ。そこで始くんはレンゲルバックルを渡し、『一度変身出来たから適正はあるはずだ』とか言ってきた。

 

 

「それにKとQもサポートしてくれる、安心しろ」

 

「それでもね・・・・・第一、どうせこれの前任者だって筋肉ムキムキのバトルジャンキーだったんでしょ? 私みたいなもやし研究員には荷が重いって」

 

「いや、そいつを使っていたのはただの学生だったはずだ」

 

「体力も若さも違うでしょ!」

 

 

言ってて悲しくなる。私だって別にブサイクではないと思うし、なんだったらチョチョッとメイクすればいけてる方だろう。でも年ばかりはどうしようもないんだよ始くん、わかってくれないかな?

 

 

「なら俺は1万歳を超えているぞ」

 

「その永遠の若さをよこせコンチクショー!」

 

 

もうこうなりゃヤケだ、変身だろうがなんだろうがやってやる!それで派手にぶっ倒れて、この小憎たらしい男に甲斐甲斐しく介護させてやる!毎日おいしいコーヒーを淹れさせてやるからな!

 

 

「変身!」

《 Open Up 》

 

 

ヤケクソで腰にバックルを当て、バックルを開く。光のゲート・・・スピリチアエレメントが現れ、それが私を通り過ぎて・・・・・

 

 

「問題なさそうだな」

 

「えぇそうね、問題なく変身出来たことが一番問題だけどね!」

 

 

あっさり変身出来てしまった。鏡に写るのはいつもの不健康そうな私ではなく、ごつい鎧を纏ったような姿。その見た目とは裏腹に全く重さを感じさせない。それどころか不思議と力が漲るような感覚さえある。

これが・・・・ライダーシステムの力・・・・・

 

 

「どうだ?」

 

「自分で変身してみてだけど、凄いわねこれ」

 

『どうやら、私たちの出番も必要なさそうだね』

 

 

突然、男の人の声が聞こえてくる。それもなんというか、頭の中に直接響くような感じ・・・・・これは一体?

 

 

「い、今誰かの声が・・・・」

 

「あぁ、それは・・・・・ちょうどいい、カテゴリーKとQ、それと10を出してみろ」

 

「え? えぇっと・・・・これとこれと・・・これね」

 

 

ホルダーから抜いたカードを抜く。始くんはそのうち2枚・・・KとQのカードを持ち、手元にはクラブの10だけが残った。確かこれ、アンデッドの封印を限定的に解くものだよね?

 

 

「それをラウズして、このカードの掲げろ」

 

「大丈夫なの?」

 

「あぁ」

 

 

始くんがそう言うならいいけど・・・もともと口数も多くないし表情の変化にも乏しいから、本当に大丈夫なのか不安になるのよ。

 

 

「えいっ」

《 Remote 》

 

 

カードをラウズした瞬間、ラウザーの先から光が真っ直ぐ伸びて始くんが持つカードに突き刺さる。

すると、今度はそのカードからはじき出されるようにして2体のアンデッドが姿を現した。

 

 

「わっ! 本当に出た」

 

「もう変身を解いてもいいぞ」

 

 

え?大丈夫なの?

言われるままに変身を解除し・・・・・なんでアンデッドが出たまんまなの!?

 

 

「それが『Remote』の効力だからだよ、ペルシカ君」

 

「しゃ、喋った・・・・」

 

「久しぶりだね、ジョーカー・・・・いや、相川始」

 

 

さも当然のように話すグロテスクな蜘蛛みたいなアンデッド。その隣にいる虎みたいなアンデッドも特に敵意とかはなさそうだけど。

 

 

「それより、早く人間体にでもなったらどうだ」

 

「ん? あぁ、そうだね」

 

「勝手に呼び出しておいて・・・・まぁいい」

 

 

あ、やっぱり虎の方も喋るんだ。で、その2体が光に包まれると、突然人間へと姿を変えてしまった。蜘蛛の方は風変わりな服装の男性、虎の方はいかにも姉御肌な女性へ。

 

 

「上級アンデッドは、こうして人間へ擬態することもできる。 そしてこいつらは・・・・・」

 

「初めまして、私はカテゴリーKの『タランチュラアンデッド』だ。 この姿の時は『嶋 昇(しま のぼる)』と呼んでくれ」

 

「カテゴリーQ、『タイガーアンデッド』だ。 一応『城 光(じょう ひかる)』と名乗っている」

 

 

2体、いや2人はそう名乗った。というか始くんといいこの2人といい、アンデッドって結構人間くさい感じがするんだね。それにもっと好戦的な感じかと思ってたけど、案外そうでもないらしい。

 

 

「それで、なぜ私たちを呼び出したのだ?」

 

「もっとも、カードの中から見ていたから事情は知っているけどね」

 

「なら話は早い、あいつらの訓練に付き合ってもらう」

 

 

なるほど、そういうことか。現状、トライアルシリーズとの戦闘を意識しての訓練は全て始くんが担っている。とはいえこれだと一度に相手にできるのは限られるし、時間だってかかる。

けど2人増えて3人になれば、それも一気に解決する。

 

 

「なるほど・・・・確かに必要なことだね」

 

「ふん、どのみち封印されている身だ、拒否権はない」

 

「助かる・・・・・それともう一つ」

 

 

あれ?まだあるんだ。始くんも結構遠慮なしに頼むんだね。

・・・・・とかなんとか思ってたら、とんでもない言葉が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ペルシカを鍛えてもらう。 今のこいつでは自衛もままならない」

 

「ちょっ!?」

 

「手段は問わん」

 

「いや、そこは問おうよ!?」

 

 

確かに自衛手段は欲しいと言ったけどさ!?何度も言うけど私は引きこもり研究員なんだよ!?ウ○トラ◯ンで言うところの本部勤めの人ポジションなんだよ!?

 

 

「わかった。 私も仕える主が弱くては敵わんからな」

 

「ふむ、じゃあそっちは光くんに任せようか」

 

「そういうことだペルシカ、どのみちここでは研究出来ることも限られる・・・・・そろそろ運動の一つでもしてもらおう」

 

「あ、それが本音だね!? 初めからこのつもりだったね!?」

 

「M4と45からの依頼でもある、諦めろ」

 

「あの娘たちぃぃぃいいいいい!!!!!」

 

 

結局、その日から私の日課に体力トレーニング(強制)が加わった。のしかかる疲労と急上昇した心拍数、そして翌朝訪れる筋肉痛が余計に私を惨めにさせる。

・・・・・人間って不便だなぁ。

 

 

「何をしている? さっさと起きろ」

 

「この鬼! 悪魔! 脳筋虎女ァ!!!」

 

 

続く




今回はちょっとややこしい話が多かったかな?まぁ基本的に頭空っぽにして読んでも大丈夫なはずなので気にしないでください笑

そして今回から上級アンデッドのお二人が登場!これで一応、トライアルが来てもなんとかなります。
・・・・・そう、トライアルの『集団』が現れても、ね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。