Dolls FrontLine - Missing link -   作:いろいろ

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仮面ライダーの話数って、だいたい50話くらいですよね。その中で導入からクライマックスまで進むことを考えると、アマゾンズって短い割に話の構成がよくできていたように感じます。
・・・・・・やっぱり脚本家さんってスゲーって思いますね。


第22話:転機

side:相川始

 

 

「・・・・・すまない」

 

 

45と9がトライアルに襲われた。それもほぼ同時に2体に。

確かに45にはラウズシステムを持たせていたし、45ならそれを使いこなせると信じていた。実際、45は9を逃しトライアルGを巻くことに成功したのだから、その見立ては間違いではなかったと言える。

だが、2体目のトライアルの出現は想定外だった・・・・いや、それはただの言い訳だ。俺がついていれば、こんなことにはならなかっただろう。

 

 

「始さんが謝らなくてもいいよ。 45姉も帰ってきたし」

 

「・・・・・そうか」

 

 

そうは言うが、9の顔色は相変わらず悪い。小隊一家族思いな彼女のことだ、きっと45を、姉を失うと想像してしまうことが怖いはずだ。

結果的に45は大きな怪我もなく救出できた。いや、『救出してもらった』と言った方がいいか。

 

 

「それにしても、まさかベルトを作れるなんてねぇ」

 

「あ、ペルシカ!」

 

 

整備室から出てきたペルシカに9が詰め寄る。目立った外傷がないとはいえ、トライアルとの戦闘やラウズシステムの使用でどんな不具合が出ているかもわからず、ペルシカが付きっきりで見ていたのだ。

本人はボロボロの体に鞭打ったと言っていたが、むしろここ最近の訓練のおかげでだいぶ血の気が良くなっているように見える。やはり人間には適度な運動が必要なのだろう。

 

 

「45なら大丈夫よ。 強制スリープに陥ってはいたけど、直に目を覚ますわ」

 

「よ、よかった〜・・・・」

 

「・・・・・で、ベルトのことよね」

 

 

ペルシカの問いに、俺は頷く。ハイエンドたちが使用していたというベルト・・・・416たちの情報ではレンゲルに似た形状のもので、おそらくはライダーシステムだろう。剣崎が作らせたのは間違いないが、まさかベルトを作ってしまうとは・・・・それに

 

 

「奴らは変身していたそうだな・・・・カードもないのにどうやってだ?」

 

「憶測でしかないけど、多分あのベルト自体にカードの効力を備えているんだと思う。 このカテゴリーAみたいなね」

 

 

そしておそらく、その力の元は剣崎一真だ・・・・ペルシカはそう言うと、悔しそうにため息を吐いた。

 

 

「自惚れじゃないけど、私だってそれなりにできる研究者よ。 それでもベルトの再現は断念したっていうのに・・・・・流石はかの鉄血工造かなぁ」

 

「それもあるだろうが、あっちには剣崎がいる。 俺はライダーシステムのことをそこまで知り尽くしているわけではない」

 

 

あぁ見えて、剣崎は頭がいい・・・らしい。それにアンデッドになったことで内面外面共にスペックが上がっている。ライダーシステムの解析くらい、できていてもおかしくはない。

 

 

「それもそっか・・・・・でもね、やっぱり思うのよ・・・もし45にベルトを渡せていたらって」

 

「ペルシカ・・・・・」

 

「たらればだってのは、わかってるんだけどね」

 

 

苦笑いを浮かべるペルシカだが、ぎゅっと握り込まれた拳が彼女の心境を物語っている。

以前G11と9が襲われ、今回は45。ペルシカ自身も、トライアル製造に関わっているであろう軍の襲撃を受けた。研究所を破壊され、同僚たちを失い、気がつけば世間から追われる身だ。しかもそれに愛娘同然のAR小隊をも巻き込んでしまい、彼女が開発したシステムによって第一線で戦ってきた人形たちも次々とお払い箱となっている。

 

 

「・・・・・ペルシカ」

 

「・・・・ま、嘆いてても仕方ないわよね。 それに、ラウズシステムでもトライアルに対抗できうることは証明できたし」

 

 

そう言って笑うペルシカ。無理をしているのは目に見えているが、しかしこれが彼女の覚悟でもある・・・・だから、俺からは何も言わない。

 

そんな時、後ろから何かがぶつかってきた。それもこの感じは、二人分だ。

 

 

「始さ〜ん、も〜疲れたよ〜」

 

「私も〜〜〜」

 

「ちょっとG11! 始さんが困ってるでしょ!」

 

「SOPも! というか元気じゃない!」

 

 

べったりと張り付いていたちびっこ(G11とSOP)を、保護者(416とM4)が引き剥がす。どうやら訓練も終わったようだ。

 

 

「くっそぉ・・・・アンデッドってどいつもこいつも化け物かよ・・・・」

 

「もうダメ・・・・今日はもう限界よ・・・・・」

 

「シ、システムの負荷もありますからね・・・・・」

 

 

4人の後ろからやってきたM16、AR-15、そしてROは見るからに疲労困憊といったところだ。トライアルとの戦闘経験がないのだから仕方がないが・・・・・一体どんなスパルタ訓練だったんだ?

 

 

「え? スパルタってほどじゃないわよ?」

 

「城さんは近接戦のみですし、嶋さんも基本的に肉弾戦での訓練でしたので」

 

「いやいや、なんで二人ともそんなけろっとしてんだよ・・・・」

 

 

・・・・・なるほど、どうやら今日はカテゴリーKとQが7人まとめて相手にしたらしい。確かに数の利はあるが、上級2体の相手は流石に厳しかったようだ。

404はトライアルとの戦闘経験も俺との模擬戦の経験もあるし、M4は剣崎の指導を受けていたらしいからまだ余裕はありそうだが、AR小隊の方はやはり不慣れなせいか消耗も激しいようだな。むしろSOPがここまで元気なのが不思議なくらいだ。

 

 

「なんでもいいよ〜・・・・・あ、そうだ始さん」

 

「ん? なんだ?」

 

「昨日闇市でコーヒー豆見つけてさ・・・・淹れてくれない?」

 

「あ、じゃあ私も頼むよ始くん」

 

「ちょっとG11! 始さんだって忙しいのよ!」

 

「え? じゃあ416はいらないの?」

 

「いるわよっ!!!」

 

「淹れてやるから喧嘩するな」

 

 

・・・・まぁ、気分転換にはいいか。ここ最近慌ただしかったからな。

さて、そうと決まれば久しぶりに本気を出すとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

side:???

 

 

コンコン

「・・・・入れ」

 

「失礼いたします」

 

 

扉を開き、部屋の中へと入る。安宿らしく質素なワンルームの中央に構える人物を見て、私は姿勢を正した。

 

 

「そう畏まらなくていい、むしろ怪しまれる」

 

「・・・・承知いたしました、()()

 

 

大柄なその人物・・・・G&K社の社長であるクルーガーはそう言った。変装のつもりか、地味なコートに帽子というどこにでもいそうな格好の社長を見るのは違和感がある。

 

 

「では、早速本題に入ろうか・・・・・君も気になるだろう?」

 

「はい。 わざわざ目立たない服装を指定したことも、この宿を集合場所としたことも・・・・何かあったのですか?」

 

「ふっ、それだけ監視の目が多いということだ・・・・・とくに軍のな」

 

 

社長が苦々しくそう言った。確かに軍の新兵器プロモーション以降、我々グリフィンの規模は縮小の一途を辿っている。小規模な司令部はすでにいくつも解体され、人形たちも異動になるか民生への解体・除隊処分となっている。

・・・・・私たちのS09地区も、主力の第一部隊を残して皆去ってしまった。

 

 

「・・・・すると、この会合は軍にとって不都合なことだと?」

 

「そうだ。 ついでに言えばIoPの上層部にも・・・・・そして我が社の役員共にもな」

 

「我が社の役員・・・・ですか?」

 

 

私の言葉に社長は頷き、話し始める。

 

 

「・・・・・軍の新兵器のことは知っているな?」

 

「えぇ、トライアルシリーズですね・・・・・それが何か?」

 

「あれはIoPと軍の共同開発、ということになっているが・・・・それは全くのでたらめだ。 そもそもアレは、この世に存在していいものではない」

 

 

社長が静かに、しかし力強く言った。だが、その意思とは真逆に味方はいなかったようだ。

元軍人である社長だけでは、グリフィンはここまで大きくなっていない。経営に長けた役員の支えがあってこそだが、どうやらその役員たちが社長を排斥しようとしているらしいのだ。

 

 

「役員連中も、トライアルシリーズへの出資を行っている。 そして、そいつらを束ねている奴がいる」

 

「それは・・・・軍ですか?」

 

「いや、違う。 それどころか人間かすら怪しい」

 

 

社長は一度だけその人物にあったことがあるらしい。見た目は若い青年だが、その瞳には人間離れしたナニかが映っていたという。

そして、16labの襲撃・・・・表向きは反逆罪だが、それがいわれのない罪であることは、AR小隊を預かったことのある私には気付いていた。

すると社長は小さな箱を取り出す。開けるとそこには指輪が一つ収められており・・・・・そして蓋の裏に一枚のメモリーチップが貼り付けられていた。

 

 

「社長、これは・・・・・?」

 

「私の友人が送ってくれたものだ。 4日後の正午、S07地区南の崩れた橋・・・・・そこに壊れた電話ボックスがある。 それをそこに置いてくれ」

 

「・・・・・・・了解しました。 第一部隊の哨戒任務の際に行います」

 

「うむ、頼んだ」

 

 

箱を受け取り、踵を返す。このメモリに入っているものが何かはわからないが、おそらく軍やIoPにとって不利益となるものなのだろう。

無用な検索は不要だ・・・・・私はただ、社長に恩を返すだけなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、あの安宿がテロによって爆破されたというニュースが流れた。

同時に私は、第一部隊を哨戒に出す・・・・・部隊長である彼女に、伝言を残して。

 

 

 

 

続く




45「ねぇ、私のコーヒーは?」
一同「・・・・・・・・」

次の入荷まで待つんだよ45。
ところで、始がコーヒーを淹れるのは4話以来。あの時はまだほのぼのしてたのになぁ

では今回もちょっと解説。


一真の設定:アンデッド

公式サイトにて
「頭脳明晰、文武ともに優秀。皆に愛され、希望をふりまく善人タイプ。努力を努力と思わず、人並み以上の能力を発揮する天才系」
と書かれていた・・・・らしい。
ここからさらにアンデッドとしての人外の能力を得た解釈の一つとして、『記憶や思考力も強化される』とし、そんじゃそこらの研究員を超える知識量を持つ、という設定に。
さらに長年使用しているライダーシステムを自分で修理しているうちにシステムを理解した・・・・・ということにしています。


416の始への態度について

執筆当初よりチョロインを目指して描いており、1、2、3話の時点では警戒心丸出し、4話でコーヒーを淹れてもらってから『始さん』呼び。
そしてラウズシステムの一件でやや暴走するも始に論され、気がつけば始を気遣ってG11を咎める・・・・・というのが今の状況。
416はチョロ可愛い
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