Dolls FrontLine - Missing link - 作:いろいろ
新たな敵「傀儡人形」を退けた始たち。
一方ペルシカは、鉄血工造から謎のメッセージを受け取っていた。
*今回は割と話し合いだけの回です。
side:ドリーマー
「・・・・・・本当に来るかな?」
「来るわよ・・・・・・・私たちと彼女たちの目的は同じなんだから」
だといいけど、とデストロイヤーが欠伸をしながら呟く。今回の作戦がどれほど重要なことか分かっているのかしら・・・・まぁ、彼女たちを完全に信用するっていうのも難しいと思うけど。それでも一真は無条件に信じるんだけど、あの真っ直ぐさというか愚直さにはお手上げね。
・・・・・だからこそ、親友のために人間やめちゃうなんてできるんだろうけど。
ピーーー
『こちらイントゥルーダー、レーダーに感アリ』
イントゥルーダーから通信が入り、『客』の訪れを知らせる。寸分たがわない体内時計の時間は、彼女らが約束を果たしたものであると示している。
うんうん、暗号で送ったメッセージはちゃんと解読してくれたようね。
「時間通りね・・・・間違いないの?」
『判別まではできないけれど、数と方位は事前情報と一致してるわ』
報告を受け、レーザーライフルを起動する。と言っても攻撃するわけじゃなくて、狙撃モードの超長距離用スコープを使うだけ。
報告にあった方角を覗くと、軍の輸送トラックに偽装した車両が3台・・・・その先頭を一台のオフロードバイクが先導している。なるほど、あれが『彼』ね。
「イントゥルーダーはそのまま周囲を警戒、アルケミストは出迎えに行ってちょうだい」
さて、これで
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side:ST AR-15
ペルシカからの緊急の招集、そして機材を詰め込めるだけ詰め込んだトラックに揺られて数時間、私たちは廃れた町へと足を踏み入れた。町と言っても周囲を荒野で囲まれたような集落に近い印象で、例えるなら西部劇に出てきそうなゴーストタウン。グリフィンの管轄下でない町は盗賊やならず者に荒らされやすく、こうして町として死んでしまうことが多々ある。
そんな町に入ると、先頭を走っていた相川さんがバイクを止めた。その視線の先には、白い髪を揺らした1体の人形。
「・・・・・・アルケミスト」
「遠路遥々、ようこそ我々の町へ・・・・・もっとも、ただのカモフラージュだがな」
「わざわざお出迎えなんて、随分と殊勝なことね」
まさか、鉄血に迎え入れられる日が来るなんて思ってもみなかったけど。やがてアルケミストが相川さんと何かを話し、相川さんがこちらに合図を送る。どうやらついて来いって意味らしい。
広くはない道を進み、町の反対側にある寂れた倉庫までやってくると、倉庫の床が傾き地下道への入り口が現れる・・・・・町がカモフラージュと言ったのはこれのためか。どれほどの時間を使ったのかは知らないけど、思ってた以上にしっかりとした造りみたい。
「すげぇ・・・・」
「腐っても鉄血工造、ってわけね」
無意識に銃を握りしめながら、私は大きく息を吐いた。
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side:代理人
「やーやー会えてうれしいよペルシカちゃん!」
「・・・・・初対面で『ちゃん』呼ばわりされるとは思わなかったよアーキテクト」
「アーキテクト、時間がないのですから控えなさい」
不満そうな顔のアーキテクトを下がらせ、改めて客人たちに向かい合います。何人かは警戒心を持っているようですが、こちらを『敵』とは認識していないようです。最初のいざこざくらいは想定していましたが、どうやら杞憂で終わりそうですね。
「さて、早速ではありますが本題に移りましょう。 ご案内します」
「連れて行くのは全員? それとも私だけかしら?」
「ペルシカリアさんと相川始さん、それから各隊の隊長の方だけでお願いします」
「おいおい、私らはどうなr「奥のレクリエーションルームにお酒がありますよ」よし、私らは大人しく待ってるよ」
「隊長命令です、M16姉さんには一滴も飲ませないでください」
納得がいかない様子の人形もいるようですが、これでいいでしょう。人数が増えればそれだけまとめるにも時間がかかりますが、それだけの時間はありません。
我々にとっても、
「こちらで・・・す・・・・・」
「ちょっ、まだ飾り付け済んでない!」
「だからそんなものはいらんと言っただろ!」
「歓迎の印、大事」
「・・・・・・ナニコレ」
4人だけを連れて会議室に入ると、なぜかアーキテクトとスケアクロウが紙リボンを飾り付け、ゲーガーが渋々手伝っていました・・・・そんな指示を出した覚えはないのですが。
後ろを振り返っても、ペルシカリアさんや相川さんは当然ながら、M4とUMP45もあきれている様子。
「あ、もう来たんだ」
「・・・一真さん、何事ですかこれは?」
「アーキテクトちゃんとスケアクロウちゃんがやりたいって・・・・代理人ちゃんの許可はとってるって言ってたよ?」
「・・・・・・・二人とも?」
時間がないのになぜ仕事を増やすのでしょうか・・・・とりあえず手短にお説教としましょう。
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side:ペルシカリア
代理人がアーキテクトとスケアクロウに拳骨を食らわせてるのを見ながら、私たちは席に着いた。説教も終わった代理人も合流し、あちらは代理人にドリーマー、アーキテクトと剣崎一真の4人・・・・・始くんと剣崎一真は、ごく自然に最も離れた席に座った。
「・・・・こうして会うのは久しぶりだな、始」
「・・・・・あぁ」
M4の報告にあった通り、人のよさそうな感じの好青年って感じだね。なんか、悪いことはできないというか、困ってる人を見つけたら考えるより先に動くタイプかな。
それにしても何というか、久しぶりという割にはあんまり感動的な再開じゃなさそう・・・いや、始くんもちょっと微笑んでるし、やっぱり旧知の仲ってことか。
「一真さん、そろそろ・・・・」
「あ、ごめんね代理人ちゃん、始めていいよ」
「わかりました」
代理人が一つ咳払いして、会議室のモニターを付ける。映し出されたのは小難しい用語がところどころ散見される何かのデータ・・・・・そう、トライアルのものだ。正確にはその細胞データってとこかな。既存の生命体とは全く異なる未知の細胞群、その中に紛れるように、私たちにとって嫌でも馴染み深いものが見える。
「おそらくはそちらでも把握していることでしょう。 トライアルの細胞には崩壊液が使用されています」
「少量のアンデッド細胞と崩壊液の融合物、そう言えるわね」
「こっちでも把握してるわ。 付け加えれば、先日の傀儡人形にも同様の物が使用されていたわね」
そう、傀儡人形だ。私の研究成果を台無しにされただけでなく、人類のために尽くしてきた彼女たちに対するあまりにも理不尽な仕打ち。自分でも感情の起伏が少ないタイプだと思ってるけど、あれを見せられた日はさすがに荒れたほどだ。
それでも怒りに身を任せるわけにはいかないと、何とか堪えてきているのだ。
「あぁ、あの出来の悪い操り人形のことね・・・・・ま、ポンコツがゴミ以下になり下がったくらいなものよね」
「ッ!!」
「ペルシカッ!」
掴みかかろうとした体を45とM4に止められる。わかってる、ドリーマーはもともとこんな人形だ・・・・それはわかってるけど!
「なぁに? 本当のことを言っただけ「・・・・ドリーマーちゃん」・・・か、一真?」
「俺たちは喧嘩するために集まったんじゃないんだよ」
「一真さんの言う通りです、慎みなさい」
剣崎一真と代理人に一喝されたドリーマーが大人しく引き下がる。正直私の方も完全に収まったとは言い難いけど、彼の言う通り喧嘩をしに来たわけじゃない。
場が落ち着いた頃合いを見計らって、代理人が口を開いた。
「まず先に、この会合の目的を話しておきましょう。 我々とそちらの敵は共通のもの・・・・ここは互いに協力関係を結ぶべきであると思われます」
「単純に戦力が増えるし、情報の共有もできるからね」
鉄血との協力関係、少し前なら考えもしなかったようなことだけど、世界から追われる者同士なら理にかなってるだろう。それに、そのこと自体は
それに、知る限りでは鉄血工造の疑似ライダーシステムとやらは近接戦主体、大してこちらのラウズシステムは人形の性能底上げという性質上遠中距離主体、互いにカバーし合えるのもメリットだと思う。加えてシステム面でも、両者の技術の融合が図れるかもしれない。あくまで真似事の域は出ないかもしれないけれど、オリジナルに近いライダーシステムを作り出すことができるかもしれない。
「うんうん、ペルシカちゃんの考えてることは大体わかるよ。 私もそれが楽しみだしね!」
「俺もできる限り協力するつもりだよ・・・・君なら、この力を悪用しないだろうからね」
「あっさり信用するのね・・・・・まぁ、その方が都合がいいけど」
「心配しなくてもいい、いざとなればクラブのキングとクイーンもいる」
「嶋さんか・・・・懐かしいなぁ」
あ、やっぱり知り合いなんだその人、というか尊敬の念すら感じられる。確かに優しいし親切だし強いけど・・・・・訓練の時の容赦のなさはいただけないね。
「で、どうするのペルシカ? 私は乗ってもいいと思うんだけど」
「私もです。 少なくとも共通の敵がいる以上は裏切ることはないはずですから」
「あらま、随分と信用ないのね私たち」
「まぁ無理もないだろうね・・・・で、どうするのかな?」
「もちろん乗るわ、そのつもりで来たんだから」
スッと手を伸ばし、代理人がそれに応えて握手を交わす。予定調和だけど、一先ずこれで懸念事項の一つは消えたといえるわ。
もちろんまだまだ問題は山積み・・・・トライアルに傀儡兵、軍やIoP上層部の動向、散り散りになった人形たちの安否に、すべての黒幕。それはおそらく、私たちの想像をはるかに超えるもののごく一部でしかないんだと思う。
けど、それに抗うための一歩は確実に踏み出せたわけだ。
「さて、用件も済んだことだしお堅い話し合いは終わりにしましょ・・・・・二人もその方がいいでしょ?」
「あぁ」
「うん」
そう短く返答し、始くんと剣崎一真は席を立った。互いにちょっと名残惜しそうにするけど、ずっと一緒に入られないってことなのね。
さて、私たちもみんなのところに戻りましょうか・・・・・というところで、ドリーマーに呼び止められた。
「ねぇペルシカ、ちょっと耳寄りな情報があるんだけど?」
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side:UMP9
「え!? 45姉の強化改修案!?」
衝撃の事実、45姉は鉄血製だった!・・・・うん、そんなに衝撃でもないかな。姉妹銃なのに人形部分の互換性があんまりないし、割と簡単に鉄血工造のサーバーに潜り込んでたしね。
でも今更そんなの関係ないよね、私たちと45姉は家族なんだから・・・・ん?てことは鉄血のみんなも家族?
「あぁ、また9がトリップしてる・・・・・」
「どうせいつものことよ、放っておきなさい」
「はいはい・・・で、45は?」
「・・・・・ハッ!? そうだ、45姉は!?」
「コイツ筋金入りのシスコンね・・・・一足先にメンテナンス受けにいってるわよ」
なにやら416が失礼なことを言った気がしないでもないけど、兎にも角にもまずは45姉にお祝いの一言を!
「だめだ、今回の改修案は今の45の素体を大きく作り変えることになる。 念入りにメンテナンスする必要があるから必要最低限の人数に抑えたい」
45姉のメンテナンスルームまでそこら辺にいたデストロイヤーを脅しゲフンゲフン道を訊ねてやってきたけど、結局ゲーガーに止められちゃった。というか私はその最低限の中に入ってないの?
「引っ込みなさい9・・・悪いわね、こいつアホで」
「いや、うちのバカで耐性はついている」
「・・・・・苦労してるわね」
「・・・・・お互いな」
おぉ、416が他の人形と意気投合するなんて初めてかも・・・・。でもやっぱり中には入れそうにないね。いるのはどうやらアーキテクトとドリーマー、それと・・・・・一真さんもいるっぽいね。
ってことはもしかしてアレかな、ライダーシステム標準搭載とかになるのかな?もしそうなら、確かに大幅な改修が必要になるのもうなずけるし、鉄血だからできることでもあるしね。
「プランも回収用のパーツも完成している、今日一日の辛抱d「た、大変だよ!!!???」・・・なんだアーキテクト」
「お、落ち着いて聞いてね・・・・・
一真と45が試作中のメンテナンスポッドに閉じ込められちゃった!!!」
「「「・・・・・・・は?」」」
「よ、45姉~~~~!?」
続く
次回、ギャグ回突入!
構想段階ではなかったけど、『45』『鉄血』『強化』とくれば入れないわけないじゃないか!
ちなみにこの作品は一人称視点で描いていますが、口調とかの関係で9が一番書きやすいんですよね。場を明るくすることも緊張感を持たせることもできる万能キャラ・・・・流石俺の嫁やで。