Dolls FrontLine - Missing link - 作:いろいろ
という勢いで書いてますのでご了承を。
場面は前回から数日後、IoPの16labです。
汚れひとつない真っ白な廊下を歩いていく4人の人形と1人の男。すれ違う研究員達に不審者でも見るような目で見られながら404小隊の後に続く相川始は、ひとまず自分の隣をひっつくように歩くUMP9に疑問をぶつけてみる。
「9・・・と言ったか。 ひとつ聞いてもいいか?」
「ん? なになに? ひとつと言わずなんでも聞いていいよ!」
「助かる。・・・ここは研究所か何かか?」
「そうだよ。 IoPの16lab、私たちが作られたのもここなの!」
「9、あまりベラベラと話すものではないわよ。」
HK416に咎められ、は〜いと気の無い返事をする9。
『研究所』というものにあまりいい思い出のない始は、いつでも行動に移せるように警戒する。案内されて着いた場所は、
「ペルシカ、連れてきたわよ。」
「ご苦労様、そこに座って。」
「・・・ほぉ。」
「・・・・・。」
研究室、というには色々と散らかった部屋。中にいたのはペルシカと呼ばれた白衣の女性とモノクルをつけた赤い服の女性、それと大柄の男だった。
「404小隊から聞いている。 君が、相川始だな。 私はクルーガー、グリフィンの社長をしている。」
「同じくグリフィンのヘリアントスだ。」
「IoP、16labのペルシカリアよ。 ペルシカでいいわ。」
「・・・相川始だ。」
各々の自己紹介も終わり、用意されてあった席につく。
・・・出入り口は見たところ一箇所、そこも404が居座っていて封じられている・・・逃がすつもりはない、ということか。
「警戒しなくてもいい、というのは無理な注文だな。」
「あぁ、そうだな。」
「ふむ、なら単刀直入に言おう。 ・・・我々に協力してほしい。」
「404の彼女らからも頼まれているだろうが、これはグリフィンからの正式な依頼だと思ってくれて構わない。 E.L.I.Dに鉄血と、我々人類は窮地に立たされていると言ってもいい。」
「・・・それを、俺のような得体の知れない奴に頼むのか?」
ほとんどの時間を日本で過ごしていたため詳しいことは知らないが、少なくともE.L.I.Dの汚染区域にいた俺は、普通の人間とは見られていないはずだ。
「それに関しては十分承知している。 君がE.L.I.Dに感染している可能性も考慮している。」
「それに自我を残しているE.L.I.Dとなれば、感染すれば待つのは死のみという現状を打開できる可能性もあるのよ。」
「そういうことだ。 協力してはくれないだろうか。」
「・・・協力しない、と言えば?」
カチッ
すぐ後ろでセーフティを解除する音が聞こえた。それも4つ同時に。
「・・・君のことは、まだ役員会議には出していない。 知っているのはここにいるものが全てだ。」
「E.L.I.D感染の疑い、いつ理性を失うのか、周囲に与える影響の有無、そしてあの能力・・・野放しにするには危険すぎる、ということになる。」
「協力しなければ殺す、そういうことか。」
「わかってくれ、とは言わない。」
「・・・・・。」
はっきり言ってしまえばここを脱出するにはさほど難しくはない。直接退治したわけではないが、E.L.I.Dに手こずるような相手に苦戦するとは思えない。
自身がアンデッドであることがバレると面倒になりそうだが、E.L.I.Dということにしておけば多少はごまかせるだろう。
だが断る理由がないのも事実だった。
唯一の親友と鉢合わせるリスクや、あの国での思い出もあって外に出ることはなかったが、こうして情報を得られる機会というのはそうあるものではない。
利用されている、というのは少々気に食わないが。
「・・・条件がある。」
「んむ。 言ってくれたまえ。」
「俺はお前たちの部下になるわけではない、ある程度の指示は従うがそれ以外は自由にやらせてもらう。」
「わかった。」
「俺のことは必要がない限り話すな。 話すのなら俺にも相談しろ。」
「いいだろう。」
「・・・最後に、俺がもし暴れ出したら、一切干渉するな。」
「なっ!? そんなこと認められるか!」
「無用な被害を出す、治るまで絶対に近づくな。」
「・・・私たちでは止められないっていうの?」
「あぁ、不可能だ。 ・・・俺を止められるのは、1人だけだ。」
「・・・わかった、その時は周辺を封鎖しよう。」
「クルーガーさん!?」
「私が責任を持つ。 それでいいな?」
「あぁ。 なら俺も協力しよう。」
そう言って握手を交わす始とクルーガー。
互いに気を許したわけではない、理解したわけでもない。互いが利用し合う関係。ただ利害が一致しただけのこと。
この後は現在の状況と鉄血工造についてをグリフィン側から聞き、始は封鎖区域内の状況とE.L.I.Dについてを話す。
・・・もちろん、自身のことも。
「・・・つまり君はE.L.I.Dではなく、『アンデッド』と呼ばれる生命体だと。」
「あぁ。 あの力は、それの一つに過ぎない。」
「『バトルファイト』ねぇ・・・それが本当なら、もう一人そのアンデッドってのがいるのよね? そいつは今どこにいるの?」
「分からない。 近くにいればおおよその位置はわかるがな。」
「・・・決着をつけないのには、何か理由が?」
「・・・・・あぁ。」
クルーガーもペルシカもヘリアンも404も、バトルファイトやアンデッドのことは突拍子もなさ過ぎていまひとつ信じることができなかった。だが最後に見せた彼の表情から、これ以上聞く気にならなかった。
「・・・確かに、それが本当なら黙っている方が良さそうだ。」
「そういえば、俺は具体的にどうやって協力すればいい?」
「む? あぁそうだな・・・ヘリアン。」
「はい。 ・・・こちらで用意していたことに変化はない。 加えてお前自身の特殊性から、あまり協力関係を公にすることは望ましくない。 よって、特殊部隊である404小隊と行動を共にしてもらう。」
「・・・へぇ。」
「えっ! 本当! これで始も家族だね!」
「私は楽できるならそれでいいよ。」
「・・・・・。」
「・・・わかった、それでいい。」
ではそうしてくれ、とクルーガーが締め、始はグリフィンの端末を渡される。45、9、11がそれぞれ改めて挨拶をする中、ただ一人黙っていた416がスッと立ち上がる。
「ちょっといいかしら。」
「ん?」
「あなたが戦えることはわかったわ。 E.L.I.Dに対抗できることも・・・でも人形はどうなのかしら。」
「・・・何が言いたい?」
「これから組む以上、実力を把握しておく必要があるわ。 ・・・試してあげる、あなたの力を。」
「・・・へぇ、面白そうね。」
「え? それでいいの45姉?」
「え? もしかして私も?」
「・・・いいだろう。」
416、ひいては404小隊からの挑戦状。 勝手に決めるなとため息をつくヘリアンだったが、どのみち直接見る方がわかりやすいということで了承した。
「場所は少し外れにある演習場でいいだろう。 ・・・クルーガーさんはどうされますか?」
「せっかくだ、見ていこう。」
「では観戦は中央コントロール室で。 そこ以外には漏れないから安心して戦ってね。」
「開始は1時間後、それまでに準備をしておけ。」
解散と同時に部屋を出る404。それに続くクルーガーとヘリアン。
「面倒なことになってしまって、すまないね。」
「・・・構わない。 それよりも、修理の準備をしておいた方がいい。」
「よっぽど自信がある・・・と見ていいんだね。」
「あぁ・・・あいつらには悪いが、勝負はもう見えている。」
そう言って部屋を出る始。
その手にはしっかりと、カマキリの描かれたカードが握られていた。
続く
次回、vs404小隊! 勝つのはどっちだ!?
・・って書いても緊張感が出ないくらいには勝負が見えていると思います。だって始だし。
当初は日本からの移動シーンを書いたりクルーガー達との会話をもっとメインに持ってきたりしてましたが、くどいなということでバッサリ切りました。ちょっと展開が早いかなと思いますが、生暖かい目で見てください。
というわけでキャラ紹介
クルーガー
グリフィン&クルーガー(G&K)社の社長。
・・・という以外書きようがなかったりする。
人間と人形を統括する立場であるためか、考え方が柔軟でいい意味で常識に縛られない人だと思っている。
ヘリアン
やや高圧的な話し方だが部下思いのいい人。
クルーガーとは逆にやや融通がきかないイメージ。
ペルシカ
猫耳色白白衣素足のお姉さん。
間違いなく変人の類だろうけど間違いなくすごい人。
一枚岩ではないグリフィンやIoPの中では比較的話のわかる人、というイメージ。
合宿免許に行くので次の更新は最短でも二週間後になります。ご了承ください。(待てないという方はハイパーゼクターを持参の上、ハイパークロックアップをお試しください。)
では次回もお楽しみに!