Dolls FrontLine - Missing link -   作:いろいろ

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書きたい作品は山ほどあるのに手も時間も足りない現状・・・


第8話:力

IoP 16lab

 

「・・・・・。」

 

 

修復室の窓に張り付くように私が見ているのは、先の戦闘で負傷した9と11。やられたのが片腕だけだったため修理にはそれほど時間はかからなかったが、メンタルモデルの方に少し影響が残ってしまった。

無理もない、と思う。あの後11と9の記録映像を見せられたが、私も45も確かに恐怖を覚えた。

圧倒的な火力、銃弾をものともしない耐久性、一瞬で間合いを詰めてくる機動性、どれもグリフィンどころか鉄血のハイエンドすらも大きく凌駕していた。9の片腕の仇を取ろうと意気込んでいた45ですら、弱音を吐くほどに。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

一時間前、ペルシカの自室

 

 

「・・・こんなの・・・どうしろっていうのよ・・・。」

 

「45・・・。」

 

「・・・君は、コイツのことを知っているね? 始くん。」

 

「・・・あぁ。」

 

 

視線が一斉に向けられる。あの時の反応からまさかとは思っていたが、やはりなにか知っていたようだ。

 

 

「あれは、『トライアルシリーズ』と呼ばれる、人造アンデッドだ。」

 

「人造アンデッド!?」

 

「かつて、ある組織が対アンデッド用として、そして兵器として作り上げたものだ。 実際にアンデッドの細胞が使われ、その実力は上級アンデッドにも匹敵する。」

 

 

上級アンデッド・・・以前彼が話した、アンデッドの中でも特に力の強い奴ら。人間に擬態することもできるほか、高い知能を持ち合わせているという。

話を聞くだけでも相当な相手だが、そんなのと同等なんて。

 

 

「・・・私たちじゃ、倒せないの?」

 

「! そうよ、以前言ってたわね、『仲間がいた』って。 その仲間はどうやってアンデッドと戦っていたのかしら?」

 

「・・・少し待っていろ。」

 

 

そう言うと、始は部屋を出る。

彼が部屋を出ると、隣から歯ぎしりする音が聞こえてきた。45だ。

 

 

「・・・気に病む必要はないよ45、あれは想定外すぎる。」

 

「でも・・・何か手はあったはずよ。」

 

「自分を責めすぎないで。 それに、彼は待ってろと言ったわ。 対抗できる手段があるかもしれないわよ。」

 

 

ひとまず落ち着かせてから座らせる。普段は飄々としているが誰よりもこの部隊のことを誇りに思っている彼女だ、今回の件は相当ショックだろう。

・・・私も同じだ。完璧完璧と言っておきながらこの有様。

そうしているうちに彼が戻ってきた。その手には、何やら見慣れない箱のようなものが二つ。

 

 

「これがその対抗手段、『ライダーシステム』だ。」

 

「「「ライダーシステム?」」」

 

 

始は頷くと、それぞれの特徴や使い方を説明する。中央にカードを差し込む部分があるのが『ギャレンバックル』、それよりもやや丸みを帯びている方が『レンゲルクロス』というらしい。使い方はシンプル、それぞれに対応するエースのカードを差し込み装着、起動させるだけ。

 

 

「だが、ある程度適性が必要になる。 それに封印しているとは言えアンデッドの力を扱う以上、生半可な覚悟では逆にアンデッドに操られる。」

 

「・・・なるほど、アンデッドにはアンデッドの力が効果的ってことだね。」

 

「・・・始さん、私たちでも使えるの?」

 

 

45のその言葉に反応して、私も始の方を向く。

 

 

「わからない。 はっきり言えば人間であっても想定外の事態が起きる可能性のある代物だ、人形が使って安全である保証はない。」

 

「・・・・・。」

 

 

それを聞いて再び俯く45。私もすぐにでも手を伸ばしたいところだが、あまりにもリスクが高すぎる。手段が目の前にあるのに、何もできないなんて・・・。

そんな中、そのベルトに手を伸ばす人物がいた。ペルシカだ。

 

 

「・・・ペルシカ?」

 

「始くん、これをしばらく預けてはくれないだろうか?」

 

「何?」

 

 

何かを疑うかのような目でペルシカを見る始。けどペルシカの目にははっきりとした覚悟が見えた。

 

 

「私がこれを調べ上げる。 あんなバケモノが出た以上、打てる手は打っておきたいからね。」

 

「・・・・・。」

 

「君がグリフィンやIoPを信用していないことは十分承知してる、でも他に方法がないんだ。 私も、これ以上()()()が傷つくとこは見たくない。」

 

「ペルシカ・・・。」

 

「・・・・・なら、これを持っておけ。」

 

 

始はそう言うとカードを四枚取り出し、ペルシカに渡す。

 

 

「・・・これは?」

 

「ハートとクラブのエース、それとクラブのクイーンとキングだ。」

 

「エースのカードはわかるけど、その二枚は?」

 

「最悪の場合に備えてだ。 ライダーシステムを使うときは常に持っていろ。」

 

 

それと、と言って始は45と私の方を向く。

 

 

「少し話がある。」

 

「「?」」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「で、話って何?」

 

 

私と416が連れてこられたのは、16labの屋上。

さっきのベルトのことが未だに頭から離れないが、なんとか意識を始さんに向ける。付き合いは短いが、彼は無駄なことはしない人だ。

 

 

「さっきの、トライアルシリーズのことだが・・・おそらく11を狙っている。」

 

「はぁ?! ど、どうゆうことよ!?」

 

「そのままの意味だ。 奴は近くにいた9ではなく11を仕留めようとしていた。 それにお前たちが連れて逃げた時、追跡対象とも言っていた。」

 

「で、ても狙われる理由って?」

 

「・・・あの時のデータだ。」

 

 

ハッとした顔をする416。おそらく私も似たような顔をしているだろう。

 

 

「データを吸い出したのは11だ。 そのデータが、トライアルシリーズに関するものだった。」

 

「だがら、狙われたと?」

 

 

それが本当なら、私たちは常に奴に遭遇する可能性があるということになる。あのバケモノに・・・。

そんな中、416はなにか考え込むような仕草でじっとしていた。

 

 

「・・・でも、本当に11だけを狙ってきたのかしら?」

 

「416?」

 

「考えてもみなさい45。 私たちがあそこに着いた時、基地はすでに壊滅していたでしょ? おそらくはあのトライアルE?の仕業でしょうけど、なんでまっすぐこっちに来なかったのかしら?」

 

「・・・普通に考えれば私たちの発見が遅れたんでしょうけど、わざわざ鉄血を潰すのも不自然よね?」

 

「もし、アレを作ったのがグリフィンかIoPならどうだ?」

 

「もともと鉄血を攻撃するようにプログラミングされてたってこと? でもそれなら確かにあり得るわ。」

 

「で、11はあのデータを見てしまったから口封じと・・・。」

 

 

その線で行くなら、間違いなくグリフィンが絡んでいる。ただこの件に関わっているのは相当上の方だけのようね、現にヘリアンは知らなかったみたいだし、ペルシカも同じ。

クルーガーがどっちかはわからないけど、今のところ疑っておいたほうがよさそう。

 

 

「なんにせよ、現状アレと戦えるのは始さんだけね。」

 

「・・・そうね、今回ばかりはどうしようもないわ。」

 

「あら珍しい、416がおとなしく下がるなんて。 明日はジュピターの雨かしら?」

 

「言ってなさい。 私だってできることとできないことの区別くらいあるわよ。」

 

「・・・『私は完璧よ』」(裏声)

 

「黙りなさい壁女。」

 

「あ“あ”っ!?」

 

「・・・仲がいいんだな。」

 

「「よくないっ!!!」」

 

 

こいつとは一度きっちり話さなきゃいけないようね・・・もちろん始さんもよ!

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

グリフィン本部:某所

 

「・・・おぉ、無事戻ってきたか。」

 

「えぇ、()()()人形様のおかげですよ。」

 

「クククッ・・・で、首尾は?」

 

「先に搬入していた各シリーズも完成しています。 加えてタイプEの実戦データも取れましたよ。」

 

「・・・その実戦データとやらには、我が社の人形部隊との戦闘も含まれているようだが?」

 

「これはこれはクルーガー社長、おかしなことをおっしゃりますねぇ。 あれは()()()()()部隊ですよ?」

 

「それに、いくら特別性とはいえ所詮は人形、壊れたら作ればいいだけです。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

「あんな人間に毛の生えた程度の性能しかない玩具に頼る必要などありません。 このトライアルシリーズがあればね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・本当に良いのですか? 剣崎さん。」

 

「大丈夫だよ代理人ちゃん、覚悟はできてるから。」

 

「・・・・・。」

 

「ん? どうしたの?」

 

「・・・いえ、お気をつけて。」

 

「ありがとう。 そっちも気をつけてね。」

 

 

そう言うと彼は愛用のバイクに跨り、飛び出していく。彼の強さは知っているし、彼の人となりも理解している。

だから不安なんですよ、とは口に出さず、私は頭を切り替えて指示を出した。

 

 

「作戦を開始します。 目標、S09地区ならびにAR小隊。」

 

 

 

 

 

続く




会話と地の文のバランスがやっぱり難しい・・・。
あ、リクエスト(こんな展開がいいなぁみたいな)があれば遠慮なく言ってください(書くとはいってない)


というわけでいろいろ解説

9と11
共に左腕を破損、修復中。
11の方はあまりの恐怖からメンタルモデルに異常をきたすも一部データを削除することでことなきを得る。が、全く消えたわけではないので何かの拍子に出てくる可能性もある。

クラブのクイーンとキング
あの過保護アンデッドたち。いざとなったら止めてくれる。

IoP職員
AR小隊が救助し(てしまっ)たやつ。わかりやすい悪役。

剣崎と鉄血たち
人間絶対殺すウーマンたちなのだが何故か剣崎は慕われている(一部は特別な感情)。
彼と彼女らの出会いはまたそのうち。

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