芥川龍之介の杜子春https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/170_15144.htmlの後半も参考にさせてもらっています。その影響と舞台装置としての役割のため仙人的な老人が急に出てきますが、書いている本人もよく考えていないのであまり気にしないでください
元々pixivに投稿していた作品(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9601451
)なので勝手がわからないとこもあると思います、何か間違えていたらすいません。
ハーメルンでは連載小説という形で少しずつ投稿していくつもりです。続きが早く読みたい方はPixivの方をどうぞ。
「試練は超えられなかったな、いいのか恩師を蹴り飛ばして」
上を見上げると、舵輪の側にあの老人がいた。少しずつこちらに近づいて来る。あの微笑を残したまま。
「おれが男の道を踏み外した時はおれの金玉かっ切って自分も首を切るって言ってたのがあのクソジジイだ。」
「相手がそのクソジジイの幻だろうがなんだろうが、ここで動かなきゃいまもあのクソレストランで誰それ構わず飯を作ってるであろうそのジジイに蹴られちまう。あの人に顔向けできねェ様な生き方をおれはしねぇ」
老人は目の前まで近づいていた。なおも微笑は崩さない。
「それが君の弱さだ。母親から受け継いだ人の心、恩師から受け継いだその信念。今回、君が手を出さなければそれを捨てられた。そうすれば、もっと楽に生きられたろうに。」ㅤㅤㅤㅤㅤ
楽な生き方なんざクソくらえだ。ㅤㅤㅤㅤㅤ
「全身に何百の武器を仕込んでも腹にくくった“一本の槍”にゃ敵わねェこともある。感情を捨てて、ヴィンスモークのバカどもと同じになるのなんざまっぴらだ。」
「おれはおれのやりたいように生きる。おれはおれのまま強くなって仲間に尽くす。おれはおれを捨てねェし「ジェルマ」にだって成り下がらねェ!!!」
ㅤㅤㅤㅤㅤ
それにうちの船長曰く、ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「メシ炊きに従事して仲間に料理を振る舞ったり、つまらぬ情に流され弱者の為に命を危険にさらすような脆弱な精神がおれのいいところらしいからな」ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
そのサンジの答えには今までにない晴れ晴れとした調子がこもっていた。
老人は笑った。心底楽しそうに笑った。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
「その言葉を忘れるなよ。おまえは試練を超えられなかったが、試練を得て自分を知ることが出来た。それも、また一つの答えだ。もう二度と会うことはないだろう」
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
そのままふわりと見張り台まで飛び、もう一度飛ぶかのように見えた時に、再度こちらに振り返ると
「そうそう君の船長はこうも言うぞ。科学の力は立派な“人の力”だと。腹にくくった“一本の槍”を捨てないでいられるのなら、それに頼るのも悪くない。目が覚めたら船長のポケットをあさってみるといい」ㅤㅤㅤㅤㅤ
そう愉快そうに付け加えた。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
その言葉に疑問を感じる暇もなく、老人が空に消えたその瞬間サンジの意識も途絶えた。