SSSS.GRIDMAN The Another Episode 作:赤星 傑
学校の昼休み、裕太と内海は向かい合いながら昼食を食していた。2人は食事をしながら、昨日の出来事を話す。
「裕太、グリッドマンの言う通り、何もかもが元通りになってるな」
「うん。やっぱり、みんな憶えてないみたい」
教室では机はいつも通りだが、街や記憶はまた修復されていた。今朝では2人共、クラスメイトに昨日の出来事について聞いたが、誰も憶えていなかった。
しかし、昨日まで憶えていなかった六花と内海は何故か憶えていた。
グリッドマンと関わりのある人物には修復が効かないのか? と、裕太は考えた。
「ちょっと、グリッドマンに聞いてくれないか? なんで俺たち以外誰も憶えていないことを」
「あぁ、それについてはグリッドマンも分からないみたい」
「マジかよ……」
内海はグリッドマンに聞こうとしたが、裕太が昨日聞いていた。しかし、グリッドマン自身も分からず、この謎は解からないままだった。
そんな裕太は窓を眺め、校門前を見た。そこには、猫背で無精髭を生やし、腰には何かを背負っていた。
そんな話し合っている2人とは別の場所、学校の屋外では、六花は友人達と食事していた。六花もはっすとなみこに聞いたが、やはり彼女たちも憶えていなかった。
2人が話しているのは高校生でよくある愚痴話だった。しかし六花は、その話に興味は無い。彼女は悩んでいた。今まで友達だった子が消えて、大勢の人から忘れ去られれてしまったことを。自分もその1人だった。それに気付いた六花は、精神が傷んでしまった。
いつも元気な性格だったが、今日は暗くなっていた。聞かれても誤魔化し、友達といつも通り愚痴話をするが、それでも彼女は悲しさを紛らわせなかった。友達と別れ、人気のない場所に行き、そこで泣いていた。問川を忘れた自分に怒り、問川にも謝っていた。誰もいない場所で、彼女は気が済むまで泣いた。そんな場所に、1人来た。
「あれ、六花、なんで泣いているの?」
「あ、アカネ……」
アカネだった。六花の近くに寄り添い、アカネは何故泣いていたかの理由を聞いたが、六花は黙っていた。しかしアカネはどうしても聞きたかった。
「誰にも言わないよ、それに、幼馴染じゃない」
アカネは誰にも言わないと約束して、六花の話を聞こうとした。六花も心を許し、アカネに話した。
「昨日、私の友達が来てたんだ。その友達は、私に久しぶりて言ってた。でも、私その子を憶えてなくて、誰? て聞いちゃった。その子は私を思い出させようと何回も話していたのに、私はウザいと感じちゃって、悪口言っちゃたんだ。その後、ようやく思い出して、またその子に会おうとしたら、もうその子はいなくなっていたんだ。謝れなかったて、後悔していて、今泣いていた」
嘘を混ざりつつ、悲しかったことを話した。その子こそが問川で、彼女は昨日まで忘れた友達を、居なくなってしまった友達に、謝っていた。
するとアカネは、そんな六花の目に流れていた涙を、ハンカチで拭き取った。アカネは優しく微笑み、六花を励ました。
「それは誰も悪くないよ。誰だって忘れちゃうことはあるんだから。それが、たとえ親友でも……。だから、忘れないように、 写真とか撮ったり、手紙を送ったり、別れる時は、最後に楽しく遊ばないといけない。人は、楽しいことを記憶する生き物だから、最後に楽しんだら、それは記憶に残るよ」
六花はアカネの話を聞き、彼女は決めた。今でようやく怪獣の存在を知った六花は、怪獣から皆んなを守る為に、避難させることを決めた。六花はアカネに感謝して、また2人で話をした。
すると六花は、とあることを思い出した。彼女が怪獣の存在を知った昨日、裕太はグリッドマンとなり、怪獣と戦っていた。最初の印象は、ただの普通の男の子だった裕太だった。幼馴染ではあるが、裕太のことをあまり知らなかった。
六花はアカネに、裕太の性格を聞いた。
「ねぇ、響君と一緒に居たんだよね。響君てさ、どういう性格なの? これから、友達になりたいし……」
するとアカネはさっきと同じように微笑み、裕太の話をした。
「響君は、誰よりも勇敢で、とっても優しいの」
最初の一言はそれだった。六花は興味を持ち、アカネの話を聞いた。
アカネが幼稚園の頃だった。幼稚園児だったアカネには、父親と母親がいなかった。ずっとではないが、親はいつも仕事で、出張するのが多かった。その為、いつもアカネを迎えに来るのは祖母で、その様子を、他の子は見ていた。
祖母をアカネの母親と決めつけた3人の男の子は、アカネの母親について、いつもアカネをいじめていた。
「やーい、お前のカーチャン、ババァ!」
何回もその言葉を聞いた。アカネは辛く、涙を流していた。誰も自分を救おうとせず、ただ悪口を言われ続けられていた。すると、1人の子がアカネの頭に飾っていた、髪飾りを奪った。アカネは髪飾りを取ろうとするが、身長が低く、髪飾りは取れなかった。そしていじめっ子は、その髪飾りをどこかに投げ捨てた。アカネは泣き、その様子を、いじめっ子は笑って見ていた。
そんなアカネを救ったのは、1人の男の子だった。
「ヤメろ! その子をいじめるな!」
その子は赤髪で、背もアカネと同じの小柄な子供だった。その少年は、3人のいじめっ子を押し、1人を泣かせた。残りの2人は怖がり、3人とも逃げた。アカネは少年を見てた。その少年が、アカネに近づき、手を挙げていた。アカネは怖がり目を瞑ると、その少年は殴ろうとしなかった。
「はい、これ」
アカネは少年の手を見ると、そこにはいじめっ子たちに捨てられた髪飾りがあった。アカネはそれを受け取り、少年に助けた理由を聞いた。
「ママが言ってたんだ。泣いてる子がいたら、優しくするのが一番だって」
アカネは困惑していて、髪飾りをギュッと握っていた。その少年は、アカネの頭をゆっくりと撫でた。アカネは驚き、その少年の顔を見た。少年は笑っており、アカネに「大丈夫だよ」と安心させた。
すると少年を呼ぶ声が聞こえ、彼は声の方向を見た。軽自動車に乗る女性が、窓を開き少年を呼んでいた。彼の母親だった。
少年は返事をして、母親の方に向かった。すると、少年は急に止まり、アカネの名を聞いた。
「……新条アカネ」
「新条アカネ、いい名前だね。僕は響裕太、よろしくね!」
と少年は言い、すぐに母親の下に向かった。少年は出発する時、アカネに向かって手を振った。アカネも少年に手を振った。やがて車は見えなくなり、先程少年に撫でられた頭を撫でた。何故か心は暖かくなり、顔もようやく笑顔になれた。
「……響君」
それから翌日、裕太が幼稚園の門に入る時、アカネが待っていた。裕太は思い出し、アカネに挨拶した。アカネは恥ずかしそうに右手を少し上げ、顔を伏せた。裕太はアカネに近づき、アカネの手を握った。
「早くしないと怒られちゃうよ」
裕太はアカネと一緒に幼稚園の中に入った。
しばらく時間が経ち、裕太が砂場で1人で山を作っていたが、そこに昨日のいじめっ子の3人が近づいた。裕太は3人を見ると、3人のうちの1人が、砂の山を裕太に向かって蹴飛ばした。裕太は反射で目を閉じたが、口に砂が入った。
「何1人で山つくってんだ〜?」
体の大きな1人が裕太を睨み、残りの2人はニヤニヤしていた。裕太は無視して別の場所に行こうとするが、ズルがしい顔をした1人が裕太の後ろ襟を掴んだ。
「どこに行くんだい? 遊ぼうよ僕らと」
いじめっ子達は裕太を別の場所に連れ込んだ。その様子を、アカネは1人不審に見ていた。
裕太は壁に何回も叩きつけられていた。いじめっ子の1人が裕太を掴み、体の大きな1人が、裕太の顔を殴った。もう1人は裕太の腹を殴り、餅つきのように、交互に裕太の体全体を殴った。その様子をまたいじめっ子は笑い、裕太は殴られ続けた。
ようやく体を離され、裕太はよつんばりになり咳を何回もした。いじめっ子らは高笑いをする。裕太はその場から離れようとするが、また襟を掴まれ、また壁に叩きつけられた。すると1人がポケットからダンゴムシを取り出した。
「これを、お前の口の中に入れてやる!」
と、裕太の口を無理矢理開けようとする。裕太は目を瞑り、覚悟を決めた時、ダンゴムシを持ったいじめっ子の足に、 1人の子がへばりついた。裕太は目を少し開き、状況を確認した。頭のてっぺんしか見えなかったが、髪は銀髪だった。
「裕太君をいじめないで!」.
アカネだった。アカネは裕太を逃がそうと、いじめっ子の気を逸らそうとした。
「ちょ、離せ!」
いじめっ子はアカネを振り離そうとしたが、アカネはしぶとく足を掴んでいた。裕太はその間に離れようとするが、2人はまだ掴んだままだった。
「どけよ!」
ついにいじめっ子は、アカネの顔目掛けて蹴りを入れた。見事に当たり、アカネは手を離し、吹き飛ばされた。
すると、裕太の様子が変わった。さっきまで何もしようとしなかった裕太だったが、アカネが蹴飛ばされた瞬間、裕太の顔は紅潮していた。
裕太は重心を傾け、いじめっ子と一緒に地面に叩きつけられた。ようやく手を離し、裕太は離された手をもう1人のいじめっ子の顔に向かって殴った。鼻を中心に命中し、いじめっ子は鼻を抑え悶えた。それに気づいた体の大きないじめっ子は、裕太の様子を見た。裕太の目は、まるで子供とは思えない目つきだった。その目はまるで、子供を襲われ、激怒する親オオカミのようだった。
いじめっ子は怖がり、体が動けなかった。裕太は近づき、ついにいじめっ子に向かって襲いかかった。いじめっ子は裕太の顔を殴るが、怯みもせず、顔面を殴られた。
裕太は荒れる息を整かせ、アカネに近づいた。
「大丈夫、アカネちゃん?」
アカネは裕太の顔を見た。顔には靴の跡が残っており、鼻から血を流し、目も腫れていた。アカネは持っていたハンカチで鼻血と靴の跡を拭き取った。
アカネは涙を流していた。それに気づいた裕太は、笑顔でアカネを落ち着かせようとした。しかしアカネは、裕太に対し謝り続けていた。
「昨日のせいでこんな事になってごめんね……。 私のせいで……」
アカネの顔はくしゃくしゃになり、目の下も真っ赤になっていた。すると裕太は、アカネの頬を触り、アカネと目線を合わせた。
「ううん、君のせいじゃない。大体、あいつらが君をいじめたのに、止めた僕をいじめるとか、アホだよあいつら」
アカネは裕太の話を聞いて少し落ち着いた。すると裕太はアカネを見て、泣いてないとわかると、裕太はホッとした。
「でね、私はそれから響君と友達になって、一緒にご飯だべたり……」
「わかったわかった」
六花は話を遮った。アカネは「なんで〜?」と聞くと、六花は答えた。
「これ以上2人のノロケ話を聞いたら、口から砂糖が出ちゃいそう」
と六花は舌を出し、アカネはすぐに「なにそれ?」と笑った。六花もつられて笑い、2人は教室の戻ろうとした。
戻る途中、偶然にも裕太に会った。しかし裕太は元気が無く、どこか落ち込んでいた。アカネはすぐに裕太に聞いた。
「実は提出するレポートでミスをしちゃって、字がズレていることに怒られたんだ」
レポートとは、物理の授業で提出する物で、裕太はそのレポートで字の列が歪み、それを先生に叱られた。
「まぁ、しょうがないわね。あの先生、細かすぎてうるさいし」
裕太と六花とアカネはそのまま教室に戻った。
だがアカネは、1人だけ、職員室を眺めていた。
内海と裕太、六花は帰り道、昨日の出来事について聞いた。怪獣が現れた昨日、内海と六花は、今までの日常が偽りだったことを知り、困惑をしていた。
そんな帰り道の途中、一つの中華屋を見つけた。「問川」と書かれた看板を見た3人はまた、問川を思い出した。すると裕太は、入学した時の問川の話を思い出した。
「うっす、私は問川さきるっす。実家は中華屋「問川」をやってます。暇がある人を来てくださーい」
問川の実家は中華屋だった。彼女いわく、客は来るが、ほとんど昼食する人しか来ないと言っていた。裕太たちは緊張し、入り口である襖型のドアを開けた。
「いらっしゃい!」
低い声が店に響いた。中にいるお客は7人と、そこまで多くはないが、意外にも繁盛している店だった。裕太は緊張しながら、店員に話を聞いた。
「あのすみません、問川さちるさんいますか? ツツジ台高の同級生の響と言う者です」
すると男は「はっ?」と思い、裕太に質問を返した。
「問川さちる? ウチにそんな子はいませんよ?」
「え?」
返しが意外だった。父親だったはずの男は、自分の娘を憶えていなかった。それどころか、娘の存在すら彼は知らなかった。裕太は問川のことを何度も聞くが、男は鬱陶しくなり、ついに痺れを切らした。
「何ですか? 嫌味ですか!? 私は結婚はしてません! これ以上、煽りをすれば、警察に通報しますよ!」
裕太は質問をまた続けようとしたが、内海と六花は裕太を止め、そのまま中華屋を出た。裕太は内海に何故止めたのかを聞くと、内海は怒りながら質問に答えた。
「あれ以上何回も質問すればお前逮捕されるんだぞ! 無茶に突撃すんじゃねぇ!」
内海の顔は怒りで真っ赤になり、なんでも首に突っ込む裕太に説教をした。裕太は内海の威圧に言葉が出ず、そのまま問川と書かれてある赤い看板を見ていた。守れなかった人たちは、友人や知人、さらには家族からも、存在を忘れ去られていく。常人には耐えきれない現象だ。
裕太は自分だけしか憶えていた為、その記憶を利用し、家族や友人に犠牲になった人達を思い出させようとした。しかし内海の言う通り、しつこく説明をしても、彼らは裕太を変人と認識して、彼は1人になるかもしれない。また、裕太だけが街を守れる唯一の存在であることを、彼に教えた。
裕太は内海の言葉に何も言えなかった。忘れていたのだ。自分だけが怪獣を倒せるグリッドマンに変身できるのは。それを忘れ、ただ突っ走っている自分は、猪突猛進すぎていた。
少し時間が経ち、裕太は六花と共に、草原に座っていた。内海は飲み物を買いに、自動販売機に向かった。裕太は先程やった行動を反省し、空を見上げていた。すると裕太は、視線を六花の方に向けた。六花はスマホに着けていたガンバルクイナを眺めていた。六花は悲しい表情をしていた。
「宝田さん、何でそのストラップを見ているの?」
裕太は六花に聞いた。六花は裕太に一回視線を変え、またストラップに視線を戻した。すると六花は裕太にストラップを眺める理由を話した。
「私とこの子は仲が良かったみたい。ストラップの帯の裏に、私に対してのメッセージが書いてあったの」
ガンバルクイナに付いていた帯の裏を裕太に見せた。裕太はすぐに察したが、聞いたのは自分ということもあり、話の続きを聞いた。
「なのに、私はその子の事を忘れていたの。私だけじゃない、他の友達も、先生も、それに、あの人も……」
六花は涙を流し、ガンバルクイナを握っていた。
そんな六花を見た裕太は彼女に話した。
「宝田さんのせいじゃないよ」
六花は裕太を見た。裕太もまた悲しい目をしていた。
「ほら、俺グリッドマンになれるじゃん、それで人助けもできるんだし。でも、俺は人を救えなかった。多分、問川さん達だけじゃない。昨日のように、他の人も救えなかった」
六花はアカネの話を思い出した。「誰よりも勇敢、それにとっても優しい」、今自分が泣いていた理由は、問川達のことを忘れていたことであったが、裕太は「救えなかった」という悔しさと後悔を持っていた。あの怪獣に対抗できるのは裕太だけで、自分達は何もできないと思った。
「でも、そんなにクヨクヨしていたらまた人が救えなくなる。だから後悔しないために、人を救うんだ。死んだ人たちの為にも」
そう言うと、裕太の目は厳つくなった。六花はそんな裕太を見た。正直、六花は裕太に対し「救ってほしい」と頼みたいが、昨日の内海の言葉を思い出した。内海は超がつくほどの特撮オタクであり、特にウルトラシリーズが大好きだ。内海いわく、ウルトラマンは地球の活動時間があり、その時間内に怪獣を倒さなければ、ウルトラマンは消えてしまうと言う。しかしそれは、ウルトラマン自身が消えるだけであり、変身者は消えるわけではない。しかしグリッドマンはウルトラマンではない。つまり、ウルトラマンのように制限時間があり、それを過ぎれば、最悪の場合、死ぬかもしれないからだ。
「優しいんだね、響君」
と言うと裕太は六花を見て頷いた。
遠くから声が聞こえた、内海の声だ。腕にはジュース1本と、炭酸飲料2本を持ってきていた。六花はジュースを手に取り、内海と裕太は炭酸飲料を飲んだ。すると内海が一つ提案を言った。
「実はグリッドマンに聞きたいことがあるんだ。この状況について、怪獣についても聞きたいし、それになんで俺らも記憶があるのかを」
内海も自分達が憶えていることにも疑問を持っていた。裕太はわかった、と言い、自宅に向かった。
それを見た六花は、何もできない自分を恨んだ。
3人は裕太が住んでいるマンションにたどり着いた。裕太と内海は今起きている出来事についてを考察している。「怪獣が現れた理由」「修復される町と記憶」そして、「何故内海と六花が憶えているのか」。しかしまだ解らないこともある。その事をグリッドマンに聞く為に、マンションに来たのだ。
裕太は自身の家の鍵を取り、差し込み穴に入れドアを開けようとした。しかし、開くときのガチャという音が聞こえなかった。裕太は、「鍵かけなかったのか」と失敗したと思い、ドアを開けた。
3人とも家の中に入り、すぐに裕太の部屋に向かったが、リビングにあるテーブルでコーヒーを飲む一人の男がいた。
裕太はギョッとし、内海は「知り合いか?」と聞くと、「いや知らない」と答えた。すると、男は裕太を見て、椅子から立ち上がった。
男の目の下にはクマがあり、無精髭を生やし、立ち方も猫背だった。
3人は逃げるための構えをした。すると、裕太はグリッドマンから呼ばれた。男は近づき、内海と六花は構える。しかし裕太は構えず、男を見た。ついに裕太の近くにつき、やばいと2人は思った。
「久しぶりだな、グリッドマン」
え? と内海と六花は男を見て、裕太はグリッドマンの言葉を二人に言った。
「二人とも大丈夫、この人は味方だ」
唖然とする二人だが、男は裕太に尋ねた。
「君が、グリッドマンの宿り身か?」
「は、はい、響裕太と言います」
「そうか、俺はサムライキャリバー、アシストウェポンの一人だ」
そのまま会話が続く二人に六花はさじを投げた。
「ちょっと、私たちにもわかるように説明して!」
六花の言葉に気づいた六花は置いてけぼりだった二人に謝り、キャリバーと一緒に、自身の部屋に行った。
部屋に着くと、祐太はすぐにジャンクの画面を触り、グリッドマンを自身の体からジャンク内に転移させた。
画面に映ったグリッドマンは裕太の隣にいるキャリバーを見た。
「よく来てくれた、キャリバー」
「あぁ、まさかこんな風に話すとはな……」
キャリバーは少し困惑しながらも、グリッドマンと再会した。
「え、知り合い何ですか?」
内海は急に横槍をいれ、グリッドマンは思い出したかのように話した。
「あぁ、すまない。まだ説明がまだだったな。紹介する。彼はサムライキャリバー、私のサポートをしてくれる、アシストウエポンだ」
「アシスト……」
「……ウエポン?」
三人は困惑してしまい、キャリバーは補足をしようと話そうとした。しかし、その補足は内海によりできなかった。
「あぁ、それは後でお願いします。 裕太、グリッドマンに聞きたいことが……」
「ああ! そうだった!」
思い出した裕太はグリッドマンに聞いた。
「ねぇグリッドマン! 何で死んだ人は家族から忘れさられたの!? 」
「……すまない裕太、それは私にもわからない。今までの任務で、こんな奇妙な出来事は見たことない。 気味が悪いくらいに……」
やっぱりか、と裕太は残念がってたが、キャリバーが口を動かした。
「誰かが改竄してるとかじゃないのか、もしかしたらこの前に侵入した何者かの仕業か……」
それを聞いた内海は納得した。
「そうか、ウルトラシリーズでも不可思議な現象は宇宙人の仕業になっている! つまり、この現象も宇宙人の仕業かもしれない!」
熱がかかり早口で説明する内海を見て、裕太は押され、グリッドマンは唖然、キャリバーは困惑、六花は引いた。
ようやく話が終わると内海ははぁはぁ、と息を切らしていた。
「ま、まぁそう言うことだな」
とキャリバーの一言で、内海の話は終わった。
「見て! 新しい怪獣出来たよ!!」
無邪気に新しく作った怪獣を画面に映っているアレクシスに見せた。
「ほぉ! これはまた素晴らしい怪獣だね!」
アレクシスは褒め、怪獣をじっくりと眺めた。
新しく作られた怪獣の見た目は、よく一般人が怪獣と認められる体型と立ち方をしているが、腹にはビー玉の半分がはみ出ており、顔もヒラメのようなギョロ目をしていた。
「で、今度は誰を殺すんだい?」
「うちの学校の理科室の山中! あいつ、いつも細かいし、変なこだわりを持っているから嫌なんだよね〜。 それに、響君も理不尽に怒られたし……」
「やっぱりね。 でもこのままで大丈夫なのかい? 昨日みたいに、あの巨人が君の邪魔をするかも知れないよ?」
アレクシスは怪獣がグリッドマンに倒されることを心配していた。するとアカネは口を手で押さえ、クスクスと笑っていた。
「大丈夫、その為にちゃんと工夫したんだ〜。 じゃ、アレクシス、お願いね!」
「わかったよ、インスタンス・アブリアクション!!」
アレクシスの目は光り、照らされた怪獣は机の上から消えた。
何かを感じたのか、裕太はすぐにカーテンをどけ、外を見た。外には怪獣が現れ、街を壊していた。
裕太はまずい! とすぐにジャンクに視線を移した。
「グリッドマン、早く変身しよう! あの腕輪みたいなのをだして!」
焦る裕太だが、グリッドマンは冷静に話した。
「心配しなくていい、今私と君は一つになっている。 それにアクセプターも、君の腕にすでにある」
聞いた裕太は、アクセプターがついていた左腕を見た。すると腕にアクセプターがついており、裕太は驚いた。
「怪獣が現れた時に、君が腕を構えればそのアクセプターは現れる、さぁ行こう、裕太!」
裕太は腕を構え、叫んだ。
「アクセス、フラッシュ!!」
裕太はジャンクに吸い込まれた。
「頼むぞ、裕太、グリッドマン!!」
内海は二人に頼み、キャリバーはその様子を見た後、窓の外に視線を移した。
怪獣が暴れ、街が次々と破壊されていく。中心で怪獣は叫び、また行進を始めた。すると、怪獣の目の前に眩い光が現れ、中かには巨人がいた。グリッドマンがいた。
グリッドマンはすぐに怪獣の顔に回し蹴りを決め、怪獣は地面に叩きつけられた。グリッドマンは構え、怪獣に近づいた。
口から熱光線を発射したが、グリッドマンはバク宙で回避して、光弾を怪獣に目掛けて発射した。見事怪獣に当たり、怯んだ。
今だ! とグリッドマンは腕を回し、両腕を下でクロスさせ、エネルギーを貯め、左腕から貯めたエネルギーを放出させるグリッドビームを怪獣に発射した。
すると怪獣は、腹の中から透明な球体を出し、光線を吸収した。驚いたグリッドマンは思わず、無防備になってしまい、それを見た怪獣は、球体からプラズマ光線を発射した。
光線は、グリッドマンの右肩に当たり、吹っ飛んでしまった。その様子を見た内海は、ジャンクに顔を近づけ驚いていた。
一方アカネは笑い、仕組みをアレクシスに言った。
「光線を吸収する怪獣は多いんだ、だからあの怪獣にも光線吸収能力を持たせたんだ〜」
「さすがアカネ君!」
怪獣に組み込まれたビー玉はグリッドマンの光線を吸収させるための部品であり、その吸収された光線は、反射で威力は下がるがプラズマ光線を発射できるようになっていたのだ。
「なんで攻撃が弾かれたの!?」
「わからない、あの怪獣にそんな能力が……」
驚く内海と六花。しかし内海は怪獣の体を見続け、弾く原因を見つけた。
「腹に球体……、これだ! これのせいで攻撃が弾かれたんだ!」
「響君、怪獣のお腹にある球体を狙って!」
六花はジャンクに向かって叫んだ。通じたのか、グリッドマンは立ち上がり、怪獣に向かって走った。途中で火球やプラズマ光線を発射されるも見事にかわし、ついに怪獣の腹にある球体に向けて、右ストレートを放った。
見事命中した、と思われたが、手を退けると球体の跡がない。驚いたグリッドマンはまた無防備になってしまう。すると、また腹から球体が現れ、至近距離からでのプラズマ光線が発射され、グリッドマンの身体に当たり、吹き飛ばされた。
その様子を見たアカネは高笑いをしていた。
「ちょっとー、私が無防備にあの球体を出したままにするぅ? 狙われたらすぐに閉まって、近づいたら発射する仕組みになってるの〜」
「さすがだよ! やっぱり素晴らしい!」
絶賛するアレクシス。
グリッドマンの身体は大ダメージを受けてしまい、ついに額のランプが点滅した。
「まずい、点滅し始めた!」
焦る内海、六花は危ない! と裕太に言う。
「まずいぞ、一気に決めなければ!」
「でも、どうやって!? 球体はすぐに閉まるし、近づいたらまた受けるよ!」
焦る裕太とグリッドマン、そして内海。 これまでかと思ったが、六花はキャリバーを思い出し、キャリバーに聞いた。
「キャリバーさん、あなたならあの怪獣を倒せますか!?」
「無理だ」
「そんな……。グリッドマンの仲間なら、彼を助ける力は無いのですか!?」
六花は声を荒げ、キャリバーに聞く。するとキャリバーはジャンクに近づき、深呼吸した。
「それなら出来る。 アクセスコード、グリッドマンカリバー!!」
そう叫ぶど、キャリバーはジャンクの中に吸い込まれていった。
ついに怪獣がグリッドマンに向かって火球を発射した。防御しようと構える。すると、真上から穴が開き、そこから剣が現れ、グリッドマンの近くに刺さり、火球を防いだ。
「俺を使え、グリッドマン!」
剣からはキャリバーの声が聞こえ、グリッドマンは剣を抜いた。
「電撃大斬剣、グリッドマンカリバー!!」
その様子を見たアカネは画面に顔を近づけ驚愕した。
「なにあれ!? 武器とかありなの!?」
「これは、一枚上手だね〜」
焦るアカネに対し、アレクシスはどこか余裕を持っていた。
怪獣がまたプラズマ光線を発射したが、グリッドマンはカリバーで光線を弾き、背中にあるブースターで怪獣に一気に近づいた。
裕太、グリッドマン、キャリバーの声が一つになり、必殺技を叫んだ。
「グリッド、カリバー、エンド!!!」
グリッドマンは怪獣の腹を切り裂いた。怪獣は上下半分に斬られ、腹にあった球体も綺麗に斬れた。そして、怪獣は爆発、グリッドマンの勝利だ。
その様子を見たアカネは怒り、アレクシスが映っていた画面を蹴り落とした。画面にひびが入り、アレクシスも痛がっていた。
「あぁ萎えた。 もう最悪!」
椅子から立ち上がり、ドアに向かおうとした。
「残念だったね、またあの巨人に負けるなんて〜」
アレクシスはアカネを励まそうとした。しかしアカネは立ち止まり、アレクシスにいつ言った。
「違うよアレクシス、あの山中が殺されなくて残念なの!!」
アカネは裕太を叱った山中が死ななかったことに腹が立っていた。意外だったとアレクシスは思い、聴くとアカネは言った。
「だって、あいつが生きてたら、また誰かが理不尽に怒られるんだ。 これ以上、響君のような子を増やしたく無いんだ」
アカネは部屋を出た。聞いたアレクシスは笑っていた。
「そうだね、君の言う通り、悪い人間は排除しないとね〜」
そう言い残し、画面から消えた。
グリッドマンが怪獣を倒した様子を見た六花と内海は喜んでいた。ジャンクから裕太たちが帰り、二人はおかえりと、出迎えた。裕太はただいまと言い返し、すぐに外を見た。
崩壊した街をみた裕太は、守れなかった人たちのことを思い、辛い感情を出した。その様子を見たグリッドマンは裕太に言った。
「裕太、君が行動しなければ、また多くの人が犠牲になっていた。君のおかげだ」
「でも、やっぱり、あの怪獣で他の人は……」
グリッドマンはなにも言えなかった。すると、キャリバーが口を開いた。
「だからこそ、犠牲になった人を忘れるな。 守れなかった人たちの為にも、また他の人を守るために、行動するんだ、それが一番のやり方だ」
それを聞くと、裕太ははい!、と決意し、キャリバーは握り拳を突き出した。
「これからよろしくな」
裕太は返事して、同じく握り拳を出し、グータッチをした。
すると、急に内海が横槍を入れてきた。
「キャリバーさん、あなた、さっき剣になりましたよね!」
「あ、あぁ」
「すごい! どうやって剣になれたんですか! それとも元は剣で、人間に化けているんですか!?」
「ま、待ってくれ」
ヒートアップした内海は次々とキャリバーに質問攻めし、キャリバーは押し潰されていった。
その様子を見た裕太は思った。
(賑やかになったな……)
To Be Continue
後書き
お久しぶりです、約1年も投稿してませんでした。理由としては高校生活が忙しくて、気づけば大学生になり、気づけば1年経ってました。これからは少しづつ、新作を投稿していきます。
誠に、申し訳ありませんでした。