霊夢は二週間ほど入院して退院した。目立った外傷も残らず、ダメージを受けたと思われる頭にも目立った異常も見られなかったため退院することができた。ただ少し入院する前と比べて、霊夢が少し爽やかになった気がする。まるで以前と違う別人のように。
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今日は学校に来た。みんなも心配していたが戻ることができた。霊夢も以前とは違って少し打ち解けられていた。そして今日は霊夢の退院祝いを開くとクラスの奴らが張り切っていた。そんな中に俺もいた。
そして霊夢の退院祝いなど色々やってその日は楽しんだ。そもそも学校で何やってんだと言われそうだったけどそうではない。俺が学校に来たのは学校においてあった荷物を取りに行くためだ。その退院祝いをやったのは病院の近くにあるファミレスだ。霊夢もファミレスに来るのは初めてだったのでちょっとびっくりしていた。
そして今は帰っている途中、颯も来ていて途中まで一緒に帰っていたのだが別れて今は霊夢と俺だけだ。
「大丈夫か?」
霊夢の肩を叩く。だが霊夢は全く反応しない。今度はもっと大きな声で霊夢を呼ぶ。だがやはり反応しない。いや、しないと言うよりできないと言うべきだろうか。霊夢は自分の両腕をつかんで震えているのである。体の調子が悪いのかと思って聞いてみたら大丈夫だという。だがその「大丈夫」も大丈夫そうではなかった。何かを怖がっているように見えなくもなかった。そして本当に大丈夫かと聞こうと思ったその瞬間、霊夢は倒れた。体の震えが止まっておらず俺は咄嗟に救急車を呼んだ。意識はあるし、息はしている。異常があるとすれば脈が異常なほど速いことだった。
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「彼女はおそらくPTSDでしょう」
心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder、PTSD)。何かしらの外的要因で自分の体が傷ついた後その傷の理由が自分の恐怖、トラウマになってしまうものだ。もし少しでもその記憶を呼び起こさせると体が突然に痙攣したり、その他諸々人によって違う症状が出る。霊夢の場合、あの地震の後時間稼ぎをしてくれていた。その時に受けた傷がその要因だと考えられる。
「心当たりがあるならその根本を克服してもらうしかありません」
医者らしからぬ発言だ。PTSDは治すのがとても難しい。心理医学界でも結構話題に取り上げられるそうだ。それはさておき、これは大問題だ。何故かというと霊夢がこの状態であると言うことは、もし彼女に能力が戻ったとしても戦えないと言うことだ。まあ個人的には霊夢を戦わせたくないとも思っていたからこれでもいいのかも知れないと思ったけどそれでは駄目だ。彼女のためにならない。
「わかりました」
そう言って俺は出て行く。するとその目の前には霊夢がいた。どうやら落ち着いたようだ。だが看護婦さんが車椅子を引いているところを見るにどうやら完全には治りきっていないようだ。看護婦さんから色々と話を聞いて何をすれば良いか教えてもらった。
そして彼女の車椅子を引いて病院を出る。
「ごめんなさいね、取り乱しちゃって」
「きにするな。よくやったと思うよ」
霊夢に話を聞いてみたところどうやら路地で暴力を振るっている奴を見たらしい。くだらねえことをする奴もいる者だなと思う。
しばらく霊夢の話を聞いていて霊夢は気になることを言い出した。それは霊夢が寝ているときに見たという夢のことであった。彼女曰く、その夢の中である人物に話しかけられたという。姿形はわからず、声だけが聞こえてきたそうだったがどこかその声に懐かしさを覚えていたそうだ。その人物はおそらく夢の世界の産物だろうと思う。彼女の心のどこかで帰りたいという強い意志がその声を出現させたのだろうと俺は考える。
「まあ、そいつに感謝だな。こうして霊夢も戻って来れたわけだし…そろそろ幻想郷に戻れるだろうし」
「そうね、帰ったら紫をぶん殴ってやるわ」
「自分でその症状の原因を作るな馬鹿」
いつもと違うこの状況。これがもし運命だというのなら俺は受け入れる。だがたとえ俺が死んだとしても俺は霊夢を助けるだろう。そう、たとえ「自分」を犠牲にしたとしても。
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「お疲れ様フラン」
そう目の前で話す吸血鬼姉妹。私はいつもと同じように図書館に来て本を読みあさっている。能力が使えない今でもなんとかして魔法を使えるようにしたいと思っている。だが魔力が操れていない今の状況で魔法を使うのは危険だと言うこともわかっている。制御が効きにくい牛を飼っているのと同じような状態だ。ひたすら読んで、読んで、読んで。とにかく魔道書をあさり続けた。それは「キライア」という魔法対抗用の魔法だった。自分の魔力以外による魔法をすべて遮断するという魔法だった。ただその代わり失敗すると魔力だけを吸い取るブラックホールのようなものができてしまうのだという。
今の私の実力で完成させられるかはわからない。だが出来ないと思っていて出来たことは一度も無いし、諦めずにやったら成功した。ちなみにその魔法を解除する方法もすでに記載されていた。さすがパチュリーの魔道書、わかりやすい。私も自分で魔道書を書いているがそれはパチュリーのようにわかりやすい方ではない。まあ生きている期間も違うし実力も年齢のように若いのであれだが…。
「それじゃあパチュリー。少しこの本借りてくぞ」
「ちゃんと返しなさいよ」