事件は起きた。何もしていない予期せぬ事態。それが俺たちの生死を分けた。現在、龍哉と合流してから数日が経過した。俺たちを襲った突然の襲撃。総動員で撃退に動いたが実際まともに動けたのは俺と龍哉だけ。龍哉の能力でほぼ一網打尽にできたのだが効かないやつが何人かいてそいつらに反撃を受けた。龍哉は軽傷で戦っている最中。俺もそうだ。ただ幻想郷の面々は重傷を負い永琳に運ばれた。今は実質俺たちだけで戦っていると言ってもいい。だが、だからこそハードだ。龍哉はなれているが俺は慣れていない。ここまで体を動かすなんて想像もしていなかった陰キャが俺だ。長持ちすることなどありえない。そして体が悲鳴をあげ崩れ落ちる。俺も息が上がりこれ以上戦うのは厳しかった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
隣で龍哉もそろそろ息が上がりそうだ。というか上がっている。俺も余裕はないが龍哉も来たばっかりで体への負担は相当のはずだ。しかし、その一瞬の隙が俺の体を蝕んだ。集中力がきれたせいで敵に追いつくことが出来ず、攻撃を受けてしまった。その部分からは多量の血が流れ出ている。俺もそれを抑える。これ以上戦えばガチに死んでしまう。それどころか既に出血多量の影響で意識が朦朧とし始めている。龍哉が少しかばってくれてはいるもののそれでは間に合わない。このままでは負けてしまう。なにか切り込む対策を考えなければ…と考えている間にも体の力は抜けていく。ここにいるヤツらを倒す方法は思いついた。だけどもう少し消耗させて、そして霊夢達がここにいないことを条件にしないといけない技だがそれは不可能だ。霊夢達を遠くに逃がすことは出来る。問題は龍哉だ。その範囲から外れられるのなら勝ち目がある。龍哉に話をした。体力も回復してきた。意識は朦朧としているが戦える。そしてその話を龍哉にした所快くとまでは行かなくても了解してくれた。そして一瞬の隙を作り、龍哉を霊夢達のいるところへ送る。急いで俺はその方法を試す。自爆でもした方が確実かと思ったが、さすがにそれは怖くて出来ないので、もう1つの方法。超高威力範囲攻撃にした。
「行くぜ!『セイクリッドアロー』!」
上空より飛来する数千本の光の矢。それが敵陣全体に撃ち込まれる。今使える最高の技だ。それが敵を全滅へと追い込むことが出来た…はずだった。何と1人だけそれを耐えきった奴がいたのである。そいつもかなり消耗していたのだが、これは予想外だった。俺はもう技を打つ力は残っていない。あちらも技は打てないがまだ戦えそうな雰囲気を醸し出している。この状況でどうすれば…。
(いや、ある…1つだけこいつを倒す方法が…)
「自爆するしかないか…」
死ぬのは嫌だけど覚悟を決めた。本当は逃げ出したいくらい怖い。だけど、それでは幻想郷は帰ってこない。俺の命でみんなが助かるなら…、そういう思い出俺は自爆を決意した。それで倒せていなくても大きなダメージを与えられるはずだ。そうすれば龍哉が倒してくれる…。大丈夫覚悟はできた。
「ありがとう…短い間だったけど楽しかったよ」
俺は最後の手段として自爆を選んだ。しかし発動する一瞬前に俺は一つの考えが頭をよぎったのである。自爆しなくても済む方法。それはエネルギーの補給もしくは代用だ。俺の近くにある生命のエネルギーを吸い取ることができれば俺はもう一発だけなら魔法を発動し倒すことができるかもしれない。それなら勝機はあるはずだ。時間はない。もうそれで試すしかないと思った俺はやってみることにした。まだ魔法の使い方に慣れておらず、周囲の生命力吸収の魔法を使ったときまとめて俺の生命力まで吸収してしまったのである。それが原因か途中で意識が飛びそうになった。俺の攻撃がどうせ弱いと判断しているのか敵さん方は待ってくれている。それはそれでうれしいが、馬鹿にされているのがわかるのでとてもイライラする。しかしその判断はあいつらに死を招くのである。俺は手にためた魔力を使ってもう一度はなった。
「セイクリッドアロー!」
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「聞こえなくなった…?航生!」
「ちょっと待て!」
航生の攻撃の音が聞こえなくなった。途端に心配になった私はかけだして彼の元へと向かう。廊下を走るのを面倒くさがり、窓ガラスを割って窓から飛び降りる。降りたとき足をくじいたような気がしたがそれよりもと彼の元へと駆け寄る。そこには倒れた航生がいた。周りには誰もいない。敵の反応というか威圧感のようなものが感じられないのである。私は航生を抱き上げる。心臓の鼓動を確認する。するとまだ心拍はあり、息もまだしているようだ。それがわかった途端どっと安心して肩から崩れ落ちる。
「心配させるんじゃないわよ…馬鹿…」
私は航生を抱え永琳のところまで連れて行った。永琳も「命に別状はないわ」といっていた。プロの確認が取れたのでひとまず安心といったところだろうか。しばらく治療をするから出てほしいといわれ、私は治療室からでた。その後私は自分の部屋に戻り、布団に横になった。いつもの神社の布団じゃないので少し違和感があるが、寝れる布団があるだけましだと思う。紅魔館の布団はいつも咲夜がほしているので質だけはいい。ただ汚すとめちゃくちゃキレられてしまうのである。だからあまりここに泊まるのは好きではない。汚さなければいい話なのではないかとも思うかもしれないが私の場合寝相が少し悪いので朝起きると布団がはだけていたり、恥ずかしい話だが夢精したことが一度あったときは泣きたくなった。そういうことがないようにしたいがためあまり寝たくないのである。
しばらくしていると永琳が呼びに来た。何か話があるのかと思いついて行くことにした。だけどそんな重要な話ではなく、力を貸してほしいというのだ。私ができることなんて何もないと思うのだが何だろうか。
「血が足りないから輸血に協力してちょうだい。あなただけいれば十分足りるから」
「もちろんいいわよ。でも血液型の方は大丈夫なの?」
「いつもなら能力でどうにかするけど、私は素でも薬は作れるわ。もちろんちゃんとした奴をね」
「本当の意味でのヤブ医者ね」
「今日は疲れたでしょうからもう寝なさい。明日だってあるんだし」
「ええそうさせてもらうわ。…航生のことよろしくね」
「ええ、わかったわ」
そうして私は自分の部屋に戻り俊足で布団に潜り込みそのまま目をつぶった。