ウルトラ怪獣擬人化計画 男だけど、怪獣娘やっています!?   作:断空我

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土日は更新するか未定です。

話数が残り少ないですがお付き合いください。


第十一話 ゼットンを探せ

 

「ほえぇ~、やっぱりすごいなぁ」

 

 アギラは怪獣大百科で“ゼットン”のことをみていた。

 

 様々な情報が大百科には載っている。

 

 怪獣が存在していた時代から既に長い時間が過ぎている現代においてもゼットンの知名度はとても高い。

 

「アギちゃん、また調べているの?」

 

 そんなアギラにネットサーフィンをしていたミクラスが声をかける。

 

「いっっっっっっっつも、調べているよね~」

 

「そ、そんなことないよ」

 

 本で顔の下半分を隠すアギラ、その姿をニコニコとみているウィンダム。

 

「研究熱心なのは良いことですよ。当初の目的から外れてはいますけれど」

 

 そういう彼女達の机の上には学校の教材が置かれている。

 

 休日、GIRLSのオフということで彼女達は学校の課題を片付けるということで集まっていた。

 

 その課題の片づけにやる気をだしているのは二人だけで、ミクラスは開始三分で息抜きに入ってしまっている。

 

「あの、ミクさん?」

 

「はいはーい、勉強しているよ」

 

「そうはみえませんが?」

 

「ソウルライザーの操作練習!」

 

「ウソだな」

 

 ミクラスが自信満々に胸を張っている中で否定の声があがる。

 

「その動きは操作練習じゃない。アプリか何かを操作しているな?」

 

 ザムシャーの言葉に固まった隙を突いて、アギラが彼女のソウルライザーを覗き込む。

 

「マンガ読んでいる……」

 

「げっ!」

 

「ミクさーん」

 

「ちちちち、違うんだよ!これは」

 

 ウィンダムはため息をついた。

 

「はぁ、先日の試験の時に少しは改まったかと思いましたが」

 

「だーってぇ!今、テストとかなんにもないんだもん」

 

「その場しのぎだといつか痛い目をみるぞ」

 

 ため息を吐く。

 

「なぁ、アギラ」

 

「駄目」

 

「まだ、何も言っていないんだが」

 

「帰るっていうんでしょ?駄目だよ。ザムシャーさんの介護担当はボクなんだから」

 

 むすぅと顔をしかめるアギラにザムシャーはため息を零す。

 

 三人が座っている場所のすぐ隣。

 

 そこでチューチューと炭酸飲料を飲んでいた。

 

 腕のほとんどが回復しており、介護の手を借りなくても良いのだがアギラは完全回復まで付き合うといって聞かない。

 

 その結果、ピグモンとエレキングに酷いプレッシャーを向けられる毎日だった。

 

「そもそも、ガールズ空間に男の俺がいるってことは異常だと思うんだが」

 

「……そんなことないよ」

 

「俺の目をみていいましょう。ミクラスもそう思うよな?」

 

「うん!」

 

「そこはもう少し!もう少し!緩和しましょう!」

 

 ウィンダムが慌てて叫ぶ。

 

「いいよ、こういうストレートな発言は嫌いじゃない」

 

「それにしても、アギちゃんは本当にゼットンさんが大好きだよねぇ」

 

 あら、スルーされた。

 

 ザムシャーはアギラに気付かれないように席を立つ。

 

 ドリンクを補充して戻って来ると三人娘は何やら決意を込めた表情をしている。

 

 あ、これは不味いぞとザムシャーは察した。

 

「ザムシャーさん」

 

「なんだ?」

 

「ゼットンさんを探そう!」

 

「はぁ?」

 

 ミクラスの叫びにザムシャーは気の抜けた声を漏らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうやら俺が席を外している間に「ゼットンさんが普段、何をしているのか調べよう!」とミクラスが言い出したらしい。

 

 流れに乗って?アギラとウィンダムも賛同したという。

 

「それで、どうして、俺?」

 

 ファミレスを後にして俺達はGIRLSの本部へ来ていた。

 

 本部ならばゼットンに会えるかもしれないという考えだ。

 

「ピグモンさんの話だとザムシャーさん古参だよね?ゼットンさんのことを何か知っていたり?」

 

「まぁ、そこそこの付き合いだな……」

 

「そうなんですか?」

 

「メッセのやり取りがある程度だが」

 

「……メッセの、やりとり?」

 

 ショックを受けたような表情のアギラ。

 

 今の表情からして連絡先も知らないのではないのだろうか?

 

「いや、ほら、普通だって、きっと」

 

「そんなことはないわ」

 

 背後に寒気がする!

 

 振り返ると絶対零度の笑みを浮かべているエレキングがいて、横にいるゴモラが嬉しそうにアギラへ抱き着いていた。

 

「エレキングさん、どういうことですか?」

 

 ウィンダムが先ほどの会話を聞いて尋ねた。

 

「あの子と連絡先を私も交換しているけれど、会話が成立したことはないわ……ほら」

 

 端末を見せるエレキング。

 

「うわっ!既読スルーだ!」

 

「おそろしいことをしますね」

 

 端末には既読の表示はされている。

 

 しかし、返事のメッセが一つものっていなかった。

 

 学校という集団の中でやれば、確実に浮いてしまう行動である。

 

「ただ一人を除けば……だけど!」

 

 楽しそうにゴモラが一人の人物をみた。

 

 気まずくなって視線を逸らす。

 

 余計にエレキングの絶対零度の視線が増した。

 

「ほら、ふ、二人も知らないみたいだし、他の場所へいってみるとしよう」

 

「そうだね」

 

「行くか~」

 

「ありがとうございます」

 

 ぺこりと三人が離れていく。

 

 俺も後を追いかけようとした。

 

「待ちなさい」

 

「ぐぇっ」

 

 しかし、エレキングが尾で首を絞める。

 

「ちょっ、絞めている!」

 

「私はとても傷ついたわ。貴方のせいでハートがボロボロよ」

 

「だから!?」

 

「何かしてほしいわ」

 

「わかった!今度、デートとか買い物付き合うから!」

 

「言質はとったから」

 

 端末をボイスレコーダーのモードにしていた。

 

「わかったから!ヤベッ、意識が」

 

 意識が落ちる寸前のところで尾から解放される。

 

「まったく、なんだよ」

 

「はぁ~、ザムシャーは女心がわかっていないよね?」

 

「いきなりなんだよ?」

 

「別に~、ところで私も傷ついたんだけどぉ?」

 

「今度、何かするでいいだろ?」

 

「うん!いいよ~!」

 

 そういって俺は急ぎ足で向かう。

 

「嬉しそうだね」

 

「そんなことはないわ」

 

「鏡見た方がいいよ?」

 

 ゴモラにいわれてエレキングは手鏡を取り出す。

 

 その表情を知っているのはゴモラしかいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 追いついたザムシャーは川辺にいるアギラ達の姿を見つけた。

 

 レッドキングがザンドリアスを川へ落とそうとしている。

 

「何してんの?」

 

「あ、お兄ちゃん!助けて~!」

 

「助けてっていうのはわかったが、何をどうしろって?そもそも、お前はレッドキングに何をしたんだ?」

 

「私が何かした前提!?」

 

 泣きそうな顔をしながらザンドリアスはザムシャーへ助けを求める。

 

「いや、お前の不用意な発言で川へ落とされそうになっているのかと」

 

「違う!師匠が私を特訓として川に落とそうとしているの!!」

 

「何でそうなったんだ?」

 

「おい、ザムシャー」

 

 じりじりとザンドリアスへ近づいていたレッドキングが声をかける。

 

「おう、何でザンドリアスを川へ落とそうとしているんだ?」

 

「特訓だよ。気合でなんとかさせてやろうってな!」

 

「流石に時期を考えてやれよ。風邪をひいたら問題だろ?」

 

 ザムシャーの言葉にザンドリアスはきらきらと目を輝かせる。

 

 レッドキングは申し訳ない表情になった。

 

「ところで、アギラ達はこの二人に話を聞いたのか?」

 

「あ、そうだった。あの、ゼットンさんがどこにいるか知りませんか?」

 

「アイツは気まぐれだからなぁ……オレも知らないんだよ」

 

 首を振るレッドキング。

 

 それに対してザンドリアスは思いついたように叫ぶ。

 

「私!見たよ!」

 

「本当?」

 

「どこどこ!?」

 

「テレビ!」

 

 ザンドリアスの言葉に空気が凍った。

 

「よし、お前、一回、川へ落ちようか」

 

「ひぃ!?なんでですかぁ!」

 

 レッドキングがザンドリアスを川へ落とそうとする。

 

「落ち着けって……そんなことしてザンドリアスが風邪をひいたら問題だろ?ここはランニングとかにしておけって」

 

「まぁ、そうだな。うし、行くぞ!」

 

「ひぃぃ~~~~」

 

 悲鳴を上げるザンドリアスを引きずるようにしてレッドキングは走り去っていった。

 

「って、ミクラスもいっちゃったぞ!」

 

「ミクちゃん…………」

 

「あははは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからあてもなくゼットンを探したが当然、見つかることもない。

 

 ミクラスはレッドキングたちについていっていない。

 

「困りましたね」

 

「うん……」

 

「なぁ、アギラ」

 

 ザムシャーはアギラへ声をかけようとした。

 

 その時、端末から音が鳴り出す。

 

「シャドウ!?」

 

「アギラ、ウィンダム、頼んでいいか?」

 

「はい!」

 

「避難誘導ですね?」

 

「頼むぞ」

 

 背中の刀袋から星斬丸を取り出す。

 

「「「ソウルライド!」」」

 

 ソウルライザーを起動する。

 

「アギラ!」

 

「ウィンダム!」

 

「ザムシャー!」

 

 獣殻を身に纏い、怪獣娘となる。

 

 地面を蹴り、ザムシャーはビルの屋上へ向かう。

 

「ゼットン!」

 

「ザムシャー……」

 

 ゼットンはビルの屋上にいた。

 

 いつもの怪獣娘の姿、しかし、鋭い視線で空を見上げている。

 

 歪み始めている空間を睨んでいた。

 

 彼女の傍に立ってザムシャーも理解した。

 

「シャドウが来るな」

 

「うん」

 

 頷いた直後、二人の目の前にシャドウが現れる。

 

 只のシャドウではない。

 

 シャドウビースト。

 

 

 シャドウの上位種。

 

 アギラ達には荷が重い相手だ。

 

 ザムシャーとゼットンへシャドウビーストは火球を放つ。

 

 二人は左右へ躱しながらシャドウビーストへ距離を詰めた。

 

 星斬丸を振るうが相手の姿が掻き消える。

 

 ゼットンがシャドウビーストの背後に回り込んで拳を振るう。

 

 ゼットンの一撃にシャドウビーストは空へ逃げる。

 

 動きを読んでいたザムシャーが星斬丸でシャドウビーストの体を切り裂く。

 

 切り裂かれたシャドウビーストは悲鳴を上げる。

 

 悲鳴のような奇声に顔を歪めつつもザムシャーは刀を振り切った。

 

 シャドウビーストは地面へ落下することなく火球をゼットンとザムシャーに放つ。

 

 ゼットンがバリアーを展開してザムシャーと自身を守る。

 

「…………」

 

 ザムシャーをゼットンが真っすぐにみる。

 

 その瞳の向けられる感情に気付いてザムシャーは頷いた。

 

「頼む」

 

「任せて」

 

 バリアーが解除されると同時にザムシャーが地面を大きく蹴る。

 

 こちらの動きに気付いたシャドウビーストが火球を放つ準備に入るが既にゼットンが必殺の一兆度の火球を放つ方が速い。

 

 火球でその身を焼かれるシャドウビースト。

 

「星斬丸――斬!!」

 

 星斬丸を逆手に持ち、勢いよく振り上げる。

 

 シャドウビーストは何もする暇もないまま、星斬丸によって切り裂かれた。

 

「あち!あちち!」

 

 斬る際にゼットンが放った炎を浴びてしまってでザムシャーの獣殻が少しばかり焦げていた。

 

「くそっ、最後に恥ずかしいことしちまったな」

 

 振り返るザムシャー。

 

 しかし、ゼットンはいなかった。

 

「心配性なのか、優しいのか」

 

 ビルの下へ向けるとアギラとゼットンが話し合っている姿がみえる。

 

 ザムシャーは笑みを浮かべた。

 

 アギラと話をしている時のゼットンの表情はとても柔らかい。

 

 そういう風にみえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 余談だが、アギラ達のことを忘れてついていったミクラスはあの後、二人に謝罪したという。

 




次回からザムシャーの過去に踏み込んでいきます。
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