ウルトラ怪獣擬人化計画 男だけど、怪獣娘やっています!?   作:断空我

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先生!もう少し、感想が欲しいです。


第十三話 史上最大の兄妹喧嘩

「どういうことか説明してもらおうかしら」

 

「話す、だから落ち着いてその鞭を下ろしてくれ」

 

 GIRLS本部。

 

 中に入った途端、待ち構えていたエレキングに鞭を突き付けられてしまう。

 

 眼光は今にも誰か殺してしまいそうなほど鋭い。

 

 付き合いが長いからこそわかる。

 

 求める答えを出さなければ俺の命はない。

 

「まず、何の説明を求めているんだ」

 

「これよ」

 

 エレキングがみせたのはソウルライザーの端末。

 

 怪獣娘達のグループメッセのようだ。

 

 そこに表示されているのはアギラの一言。

 

「告白しました」

 

 一言が記されていた。

 

 その内容を見て、俺は固まる。

 

「さぁ、吐きなさい。あの子に何をしたの?」

 

「どちらかというと……助けてもらったのは俺の方だな」

 

 エレキングに何があったかを話す。

 

 彼女は自分の事情を把握しているので誤魔化す必要はない。

 

「良かったわね。受け入れてくれるかわいい子がまた一人、手に入って」

 

「いや、だから……」

 

「不用意な発言をして傷つけたら殺すわ」

 

「……わかっている。だから、鞭を下ろしてくれ、首が絞めつけられていて、痛い……」

 

「今度、デートをすること、わかっているわね?」

 

「あの、今月は色々と財布の中が」

 

「デ・ェ・ト」

 

「わかりました、デートに行かせてもらいます」

 

 逆らえば命はない。

 

 俺にある選択肢はデートに行くことのみ。

 

 逃げれば確実に命はない。

 

 エレキングの言葉に逆らえば、俺の命はない。

 

 あと、確実に何回かデートの話が来るだろう。

 

 バイト、考えるべきだろうか?

 

「ところで、俺の頼んだことは調べてくれたのか?」

 

「私は所詮、遊びなのね」

 

「今度、買い物の荷物持ちをさせてもらいます」

 

「私の家で一泊、アニメ映画の鑑賞会」

 

「……わかりました」

 

 さっさと本題へ入ろう。

 

 これ以上は心身共にもたなくなる。

 

「情報」

 

「二宮マナ、年齢は16……桜ヶ丘中学校を卒業、以降は不明」

 

「不明?」

 

「中学卒業後の経歴がない……というべきかしら、ただ、考えるなら」

 

「軟禁したんだろうな。おそらく、中学卒業後くらいに怪獣娘として覚醒し始めていたのね」

 

「あの家なら、いや、あの二人ならありえるな」

 

「……大丈夫?」

 

「俺は大丈夫だ……」

 

「そろそろ会議の時間よ」

 

「行こう、我夢達も来ているはずだ」

 

「無理はしてない?」

 

 こちらをみずにエレキングが問いかける。

 

 心配してくれていることはわかった。

 

「無理はしていない。俺は俺のできることをやるだけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議室。

 

 ピグモンをはじめとした怪獣娘が待っていた。

 

「ザムシャー!」

 

「我夢、友也も来たんだな」

 

「今回の件は色々と興味がありましたから」

 

 白衣を纏い淡々と答えるのは一条寺友也。

 

 我夢の助手ということになっているが彼に匹敵するほどの天才だ。

 

「ザムシャーさん、大丈夫?」

 

「俺は大丈夫だ。アギラ、お前も会議に参加するのか?」

 

「うん、ミクちゃんとウィンちゃんの分まで頑張る!」

 

「そっか」

 

「おい、オレ達のことは無視か?」

 

「そんなわけないだろ……レッドキングやゴモラ達も頼りにさせてもらうぞ」

 

「任せろ!」

 

「ドン!と頼ってね!」

 

「私、凄い場違いの予感が」

 

「ザンドリアス、無理はするなよ」

 

 不安そうにしているザンドリアスへ声をかける。

 

 ガタガタと不安そうにしていた彼女だが、俺が撫でると嬉しそうに目を細めていた。

 

「無茶はするな。大丈夫だ。俺達がいるからな」

 

「はい!」

 

「よし……って、なんだ?」

 

 周りの視線が鋭い。

 

 エレキングの絶対零度はさらに増しているし、レッドキングはちらちらとこちらをみて、イライラするように拳を鳴らしている。

 

 ゴモラは面白いものを見つけたように微笑み、アギラは頬を膨らませていた。

 

「さ、会議をはじめるですぅ!」

 

「ピグモン、怒っている……」

 

「我夢さん、余計なことは言わない方がいいですよ」

 

 ひそひそと我夢と友也が端で話し合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ザムザムからの報告で該当する怪獣娘はおそらく、これになると思います」

 

 会議の内容は俺が遭遇した暴走怪獣娘、二宮マナのことだ。

 

 ピグモンが正面のスクリーンに表示したのは一体の怪獣。

 

 “パズズ”と称される怪獣。

 

「過去の資料によれば、パズズは雷撃と火炎だけでなく、格闘能力も有していた怪獣とされています。ザムシャーさんやアギラさんの報告から推測する限り、該当する怪獣娘はパズズではないかと思います」

 

「雷撃?使っていなかったような」

 

「いや、最後の方だが、雷撃を放とうとしていた……不発に終わったから力を使いこなせていなかったのかも」

 

「それは違うよ」

 

 スクリーンの映像を切り替えて我夢が立つ。

 

「ザムシャーが最後に撮影してくれたパズズの映像をみたんだけど、ここ!」

 

 我夢はスクリーンを拡大して銀色のチョーカーを映す。

 

「このチョーカー……前にオーストラリア本部が送ってきたノルバーグの研究資料にあったものと同じの可能性があるんだ」

 

「チョーカーには特殊な波長を感知すれば対象を抑え込もうとするシステム……ですが」

 

「どうしてパズズがそれをもっていたのか……という謎が残るわけね」

 

 友也の疑問をエレキングが繋げる。

 

「おそらくだが、パズズの実家、親の仕業だろう」

 

 俺の言葉に全員の視線が集まる。

 

「ザムザム……」

 

「貴方」

 

 二人の目が俺に向けられる。

 

 心配してくれていることは嫌というほど分かった。

 

 だが、ここは俺がやらなければならないことだ。

 

「パズズ、いや、二宮マナの家は元華族の流れをくむ名家だ。その力は今もかなりのものだときいている。あくまで可能性の話だが、ノルバーグの存在を知って取引を持ち掛けたのかもしれない。パズズの存在を世間に露見されないようにするためにな」

 

「何か、問題があるの?」

 

「あるのさ、あの家は世間体を気にする。悲しいことだが、あの家は怪獣娘に対して理解があるわけじゃない……いや、頭が古すぎる」

 

「お兄ちゃんは、どうして、わかるの?」

 

 ザンドリアスが問いかける。

 

 俺の表情を見て少し怯えているような気がしたが、感情を必死に抑え込んでいないとどうなるかわからない。

 

「俺の本当の名前は二宮レン、パズズ……二宮マナと血のつながった兄妹、らしい」

 

 誰かが息をのんだ。

 

「あの家から遠ざけられた後に妹は生まれたらしい……最近、わかったことだけどな」

 

 だから、と俺は告げる。

 

「パズズの相手は俺がする。みんなは周りに被害が及ばないようにしてほしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハッ、ハハハハァ……」

 

 暴走怪獣娘、パズズこと二宮マナは路地裏にいた。

 

 顔を歪めて、彼女は笑っている。

 

「ようやく、ようやくみつけたぁ」

 

 バチバチと首元のチョーカーから電撃が走る。

 

「あぁ、ウザイ……」

 

 チョーカーに手を伸ばす。

 

 パズズが怪獣娘としての力に覚醒したのは少し前。

 

 まだ、彼女が中学生の時。

 

 突然、怪獣娘としての力を覚醒してしまった。

 

 それだけのことで彼女の世界は闇に包まれる。

 

 優しかった両親は自分を化け物のように恐れて、蔵に閉じ込めた。

 

 しかし、パズズとしての力が強かったことで蔵は倒壊。

 

 彼女の力を抑制すると言って首にチョーカーをつけられ、さらに強固な倉庫のような空間にパズズは閉じ込められる。

 

 パズズはそれからずっと誰とも触れ合えずにいた。

 

 最低限の食事が運ばれてくるだけ、ずっと独りぼっち。

 

 クラスメイトが心配してくることもない。

 

 闇の中で孤独。

 

 偶然にもパズズは聞いた。

 

 聞いてしまった、通常よりも超えた聴覚によって。

 

 

――あの子もまさか奴と同じになるなど。

 

 

――兄妹揃って化け物なんて。

 

 

 兄?

 

 兄がいるの?

 

 暗闇の中でマナは問いかける。

 

 しかし、返答はない。

 

 返答はなかったがマナにとって救いだった。

 

 自分と同じ存在がいる。

 

 何より兄。

 

 兄に会えば――。

 

 気付けばパズズはチョーカーの力に抗いながら倉庫を壊して外に飛び出した。

 

 探しているうちに、色々と嫌なことに遭遇して。

 

「あぁ、ようやく見つけたんだ。逃がさない、逃がさない、絶対に逃がさない。そうして」

 

 にこりとマナは微笑む。

 

「逃がさないぞ。お兄ちゃん……」

 

 バチバチと音を立ててチョーカーから電撃が走る。

 

 パズズは気づかない。

 

 チョーカーに亀裂が入っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、ザムシャー」

 

 会議室を出ようとしたところで呼び止められる。

 

 振り返るとレッドキングの拳がさく裂した。

 

 防ぐことも抵抗する暇もないまま彼は吹き飛び、向かい側の壁に体を打ち付ける。

 

「ちょっ!?」

 

「レッドキングさん!?」

 

 ザンドリアスとアギラが慌てて止める。

 

「お前、これから何をするつもりだ?」

 

「……」

 

「当ててやろうか?お前の妹を誰にも迷惑かけずに倒すつもりだろ?」

 

「だったら、なんだ?」

 

「このバカ野郎がぁああああああああああああ!」

 

「きゃああああああ!?」

 

 真横にいたザンドリアスが悲鳴を上げる。

 

 かなりのデカイ声にやられたのだろう。

 

「お前、何でもかんでも一人でやろうとしてんじゃねぇよ!オレ達を頼れ!」

 

「……それは、これは俺の家の」

 

「ンなことしるかぁ!」

 

「私の時と真逆!?」

 

 目をくるくる回しながらザンドリアスが叫ぶがレッドキングは聞いていない。

 

 顔をぐぃっと近づけた。

 

「お前はオレ達のためにずっと戦い続けていただろう!こういう時くらい頼れ!それぐらいのことはオレ達だってできる!」

 

「……レッドキング」

 

「おう!何だ!」

 

「揺らすな、吐きそう」

 

 話をしている間、散々、体を揺らされたことで気持ち悪い。

 

 正直に言って放してもらってから。

 

「悪かった……といっていいかわからないけど、手伝ってくれ」

 

「最初からそういえばいいんだよ!」

 

 胸を張るレッドキング。

 

「みなさーん!パズパズらしき反応です!」

 

「……早速か、行こうぜ」

 

「あぁ」

 

 レッドキングと拳をぶつけ合う。

 

 それから、目を回しているザンドリアスへ声をかけた。

 

「すまないな、ザンドリアス」

 

 主にレッドキングの被害に対して。

 

「どぉ、いたしましてぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハッ、どうだぁ、出てこねぇかぁ?」

 

 パズズは笑いながら火炎を吐き出す。

 

 町や人に被害は出ていない。

 

 しかし、暴れる怪獣娘から逃げ惑う人たちは恐怖していた。

 

 怪獣娘に対して人が最低限の理解はあってもすべてを知っているわけではない。

 

 暴れていれば当然ながらそれは恐怖の対象になる。

 

 パズズは近くの車を掴む。

 

「ほぉらよぉ!」

 

 力強く投げる。

 

 車が宙を舞い、逃げ惑う人たちの頭上へ降りかかろうとした時。

 

「キャッチ!」

 

 下から現れたアギラが掴む。

 

「アンド!」

 

「セーフ!」

 

 くるんと回転しながら車を受け取ったレッドキングが安全な場所に置く。

 

「見つけたぞ!暴走怪獣娘!」

 

「あー?」

 

 パズズと向かい合う様に立つレッドキング。

 

 傍にはアギラ、ザンドリアス、ゴモラの姿もある。

 

 パズズは舌打ちした。

 

「てめぇらみたいなのに相手はねぇんだよ。お、か、え、り」

 

 シッシッというように挑発するパズズ。

 

 ニヤリとレッドキングは笑う。

 

「お前の大好きなお兄ちゃんなら、来ないぜ?オレ達の!だからな」

 

「殺す」

 

 カウンターの挑発がクリティカルヒット。

 

 地面にクレーターを作りパズズがレッドキングに接近する。

 

 振るわれる拳を正面からレッドキングは受け止めた。

 

「良いパンチじゃねーか!大怪獣ファイトに出ようぜ!」

 

「うぜぇ!興味ねぇ!」

 

 近距離で火炎を吐くも体を大きくのけ反って躱しながらキックを繰り出す。

 

 パズズは両腕を交差して攻撃を防ぐ。

 

「どうした?お兄ちゃんに会えなくてやる気もねぇか?」

 

「黙れ」

 

 苛立ちながら近くの車を投げる。

 

「よいよいせーっと!」

 

 横から現れたゴモラが車を受け止めた。

 

「危ないなぁ、もう!ザムシャーの妹でも乱暴すぎ――」

 

「消えろ!!」

 

「うわっ!?」

 

 慌ててゴモラは地面の中に潜る。

 

 しかし、火炎がゴモラの尻尾を少しばかり焦がす。

 

「ゴモたん、大丈夫?」

 

「アチチ、少し焦げちゃったよ」

 

 アギラが心配そうに尋ねる。

 

 地面から顔を出して尻尾をふーふーするゴモラ。

 

「余所見してんじゃねぇ!」

 

 レッドキングのパンチを受けたパズズが地面に倒れる。

 

「うし、どうだ!」

 

 パチリと目を開けるパズズ。

 

 瞬間。

 

「うあっ!」

 

「おう!?」

 

「痛い……」

 

 パズズの体から雷撃が走る。

 

 衝撃で痺れてしまう三人。

 

「ウザイ、邪魔、消えろ消えろ消えろ!お前らに何か用ねぇんだよ!うぜぇええええええええええええええええええ!」

 

 バチバチと迸る雷撃と雄叫び。

 

 レッドキングがみるとパズズの首のチョーカーがない。

 

「あ、壊れている」

 

 ゴモラの視線は地面。

 

 砕け散ったチョーカーがあった。

 

 チョーカーをパズズは踏みつぶす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黄色かった瞳が真っ赤に染まっていく。

 

 暴走し始めている。

 

 このままでは理性が失われてしまうだろう。

 

 だが、

 

「出番だぞ!」

 

 レッドキングが空に向かって叫ぶ。

 

 キラリと輝いた直後、弾丸のように落下してくる影。

 

「ようやくか」

 

 ゴキゴキと音を鳴らしながら体を動かすザムシャー。

 

 手の中にある星斬丸を握り締める。

 

「グルゥウウウウウウウウウウウウウウ!ウワァォオオオオオオオオオオオオオオオ!」

 

 怪獣のように叫ぶパズズはザムシャーに迫る。

 

「ザンドリアス、離れていろ」

 

 振るわれる拳を躱しながらザムシャーは上空にいるザンドリアスへ叫ぶ。

 

 ザンドリアスは悲鳴を上げながらパタパタと逃げる。

 

 レッドキングたちは近くで様子を伺っている。

 

 何かあれば助けようとするだろう。

 

 そのことがザムシャーは嬉しく思えた。

 

「コッチヲミロォオオオオオオオオオ!」

 

 叫びながら振るわれる蹴りを星斬丸で受け流す。

 

「煩いな。お前なんかに興味はない」

 

「ミロォオオオオオオオオオオオオオ!」

 

 近距離で火炎を吐かれる。

 

「熱いんだよ!」

 

 炎をふさぐべく顎を蹴り飛ばす。

 

 少し後ろへ下がった隙をついて、腹に一撃。

 

「ウガァアアアアアアア!ミロヨォォォオオ!」

 

「うるさいな。俺はお前に興味はないし、見る気はねぇんだよ」

 

 振るわれる尻尾を手で掴んで振り回す。

 

 近くの壁に体を打ち付けようが地面を抉ってしまったような気がするがザムシャーはやめない。

 

 止まる気すらなかった。

 

「何か……」

 

「ザムシャー、怒っているな」

 

「うん、激オコ!」

 

 楽しそうに話すゴモラの言葉に二人は何とも言えない表情だ。

 

 その間にザムシャーとパズズは距離が開いていた。

 

「お前に長く付き合うつもりはない。ここで潰して終わらせる」

 

 どことなく苛立った様子のザムシャーは体勢を落とす。

 

 パズズも構える。

 

 頭部の角にバチバチと雷撃が集まっていく。

 

 ザムシャーは静かに星斬丸を握り締める。

 

「お前を斬る」

 

「ミロォォオオオオオオオオオオオオオオ!」

 

 放たれる雷撃。

 

 先ほどまでのものと異なり真っ直ぐにザムシャーに迫る。

 

 雷撃が直撃して爆発が起こった。

 

「ザムシャーさん!」

 

「うわっ、直撃!」

 

 アギラとゴモラが叫ぶ中、黒煙の中からザムシャーが姿を現す。

 

 獣殻が剥がれ落ちて中の皮膚も傷ついている。

 

 ザムシャーの赤い瞳は真っ直ぐにパズズを見据えていた。

 

 そして。

 

 星斬丸の刃が煌めいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、それで、どうなったんですか?」

 

「アギちゃん!続きを早く!」

 

 病室でウィンダムとミクラスが続きを急かす。

 

 椅子に座っているアギラはジュースを一口、飲んで。

 

「ザムシャーさんの一撃で暴走した怪獣娘は気絶。GIRLSに保護されたよ」

 

「さっすがレッドキング先輩!」

 

「いや、そこはザムシャーさんの凄さかと……雷撃を正面から受けたのに平然としているんですよね?」

 

「そうでもないよ。雷撃のせいでしばらく痺れて動けなかったみたいだから」

 

 アギラは思い出す。

 

 パズズを倒した直後、雷撃によってしばらく動けずゴモラに弄られていた。

 

「あの姿を見ていたら、何か、ドキドキしたなぁ」

 

「「え?」」

 

「どうしたの?ミクちゃん、ウィンちゃん」

 

 トロンとした瞳のアギラに二人は戦慄する。

 

「いいえ!なんでもないです!」

 

「そうだよ!アギちゃん」

 

 二人は全力で首を振った。

 

「ところで、暴走していた怪獣娘ってどうなったの?」

 

「この病院で保護されているよ」

 

「え?」

 

「すいません、アギさん、もう一度」

 

「この病院で保護されているよ。今は大人しくしている」

 

「えっと」

 

「まぁ、少し複雑なところはありますけれど……大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫……とはいえないかな?」

 

 アギラは思い出す。

 

 

 運び込まれた病室。

 

 そこで暴れるパズズ。

 

「触れるな!触るな!失せろぉぉぉおお!」

 

「大人しくしろ」

 

 尚も暴れようとしたパズズだが、現れたザムシャーが迷わずにゲンコツを繰り出す。

 

「きゃうん!」

 

 殴られたパズズはベッドの上に倒れる。

 

「治療、よろしく」

 

「は、はい!」

 

 

「何度か暴れるとどこからともなくザムシャーさんが現れてゲンコツを繰り出すんだ」

 

「大丈夫なのかな?それ」

 

「容赦ないですね。ザムシャーさん」

 

「方針なんだって」

 

 アギラの出会った藤宮という人物の話によれば、落ち着くまで徹底的にスパルタ方針をとるらしい。

 

「でも、ザムシャーさんとパズズって姉妹なんでしょ?」

 

「話し合いで解決は無理なんですか?」

 

「うん、だから、ボクやってみようと思うんだ」

 

「「え?」」

 

 そういってアギラは微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何の用だよ」

 

 パズズの病室へアギラは足を運ぶ。

 

 アギラの姿を見てパズズは鋭い目で睨む。

 

「お話、しようと思って」

 

「はぁ?こっちはねぇよ。失せろ」

 

「嫌だ」

 

「は、おい!何勝手に座って」

 

 文句を聞き流してアギラは腰かける。

 

 パズズはそっぽを向く。

 

「ザムシャーさんとお話した?」

 

「バッ、なっ!てめぇには関係ないだろ!」

 

「あるよ、未来の義理の妹だもん」

 

「………………はぁ!?」

 

「あれ、聞いていないの?」

 

「何を!?てか、どういうことだ!?義理の妹ってんなんだ!」

 

 目をぐるぐるしながらパズズは叫ぶ。

 

「ボク、ザムシャーさんに告白したから」

 

「は、はぁあああああああああああああああ!?」

 

「院内では静かにしないとダメだよ」

 

 アギラは置いてあったお菓子を手に取る。

 

「いや、無理……てか、何だ!どういうことだよ!説明しろ!」

 

「そのままのことだよ。ボク、ザムシャーさんに告白した」

 

「二回も言わなくてもいいっての!理解できるからな!じゃなくって!」

 

 うがーっと叫ぶパズズ。

 

 頭の中が混乱してぐちゃぐちゃだ。

 

「ちゃんとザムシャーさんと話をしていないからだよ」

 

「うっ」

 

「話をしてみたら?」

 

「どうしろっていうんだよ」

 

 俯いたままパズズが問いかける。

 

「生まれてから一度もちゃんとした会話をしたことねぇんだ!そんな相手とどういう話をすればいいんだよ!」

 

「普通の話をすればいいじゃん。良い天気とか、色々あるでしょ」

 

「それは……」

 

「パズズは色々と考えすぎなんだよ。じゃあ、ボクも立ち会うから話をしようよ」

 

「ハッ、何でお前が」

 

「いいから、いいから!ほら、ザムシャーさん」

 

 アギラはザムシャーを呼ぶ。

 

 少ししてドアが開かれてザムシャーが姿を見せる。

 

「なんだ?アギラ」

 

「パズズが話をしたいって」

 

「……わかった」

 

 アギラが用意した椅子に腰かけるザムシャー。

 

「で?」

 

「え、あ、その……」

 

 少し詰まりながらパズズは視線をさ迷わせる。

 

「今日は良い天気ですね!」

 

「……曇っているぞ?」

 

 開始からつまずいた。

 

「何やってんの?パズズ」

 

「いや!?お前が話の振り方で言ったんだろ!」

 

「そうだけど、周りはみようよ」

 

 アギラの指摘に顔を赤くするパズズ。

 

「アギラと仲良くなったんだな」

 

「はぁ!?ンなわけないだろ!何をどう見れば!」

 

「違うのか?」

 

「ボクは仲良くできると思うけどなぁ」

 

「お前はもう黙れ!あぁ、くそっ、今まで悩んでいたのがバカらしく思えてきた」

 

「そうか」

 

「兄貴こそ!なんで私に話しかけてくれないんだよ!」

 

「……深い理由はない。ただ、俺が話しかけたことでお前が暴走するかもしれないから、話しかけられるまで何もしないと決めていただけだ」

 

「え、そうなの?」

 

「あぁ」

 

 呆気にとられるパズズ。

 

 頷いたザムシャーに呆れながら叫ぶ。

 

「バカ兄貴!妹を心配して普通は話しかけるもんだろ!」

 

「……そうなのか?」

 

「さぁ?」

 

 ザムシャーとアギラは互いに首を傾げた。

 

「お似合いカップルみたいなことしてんじゃねぇ!兄貴!兄貴なら妹の肩をもてよなぁ!」

 

「……わかったから、叫ぶのをやめろ」

 

「うぅぅ!バカ兄貴……これから色々な話をしてもらうからな!」

 

「わかったよ。マナ」

 

「!?」

 

 ザムシャーの言葉にパズズはぽろぽろと涙をこぼす。

 

「どうした?」

 

「どうしたじゃない!このタイミングで名前を呼ぶんじゃないよ……バカ兄貴ぃ」

 

 泣きながらパズズはザムシャーに抱き着いた。

 

 抱き着かれたザムシャーはパズズの頭をやさしく撫でる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く!院内は静かにしてくださいね」

 

「すいませんでした。美山婦長」

 

「家庭のことで色々とあるみたいだけれど、他の人もいるのだから……あと、無茶をし過ぎないこと!」

 

「わかっています」

 

「口だけではいえます!ちゃんと実行してください!」

 

 泣きじゃくるパズズが落ち着いた後、異変に気付いてやってきた美山咲子婦長に俺は事情を話してお説教を受けた。

 

 パズズは泣き疲れて眠り、アギラは仲良しの二人のところへ戻っている。

 

「ちゃんと聞いていますか?」

 

「はい、聞いております」

 

「妹さん、ちゃんと大事にしてあげるのよ」

 

「はい……」

 

 この人には頭があがらない。

 

 GIRLSに入りケガばかりしていた俺の面倒を見てくれた。厳しくも優しい人である。

 

 何度もケガをして怒られた。

 

 

 だが、それ以上に優しくしてくれた人でもある。

 

 パズズの面倒をみてくれているのが彼女なので色々と頼りになった。

 

「パズ……マナのこと、もうしばらくお願いします」

 

「わかりました。それと、彼女さんが来ているわよ」

 

「え?」

 

 笑みを浮かべながら美山さんは後ろを指す。

 

「ザムザム!迎えに来たですよぉ!」

 

 ニコニコと笑顔でやってきたのはピグモン。

 

 嬉しそうに手を振っている。

 

 前にピグモンが「ザムザムの彼女です!」といったことが原因で俺の彼女だと信じていた。

 

 美山さんは誤解したままらしい。

 

 ピグモンが訂正をする気がないから当然なのだろう。

 

 やってきたピグモンは嬉しそうにほほ笑む。

 

「どうした?」

 

「どうしたじゃないですぅ!タケナカさんから連絡が来たですよぉ!あとは任せてほしいそうですぅ」

 

「……待て、お前、まさか」

 

「はい!全部、話しました」

 

「……いや、これだけのことに日本の総理大臣を動かすなよ」

 

「えへへ、ザムザムのピグモンはがんばりますぅ!それに、怒っていますから」

 

「え?」

 

「ザムザムやパズパズがこれ以上、傷つくことはないです!」

 

「……すまない、ピグモン」

 

 ピグモンは俺に抱き着いてくる。

 

「ザムザムはこれ以上、傷つかなくていいんですよ」

 

「……そう、かもな」

 

「あとは、ピグモンを彼女にしてくれればオールオッケーですぅ!」

 

「さて、帰るか」

 

「もう!ひどいですよぉ!ザムザム!」

 

 プンプンと怒って(全く怖くない)ピグモンが追いかけてくるのをみながら俺は小さな笑みを浮かべた。

 

 

 




美山咲子

ウルトラマンレオ、恐怖の円盤生物シリーズに登場した美山家の大黒柱。
本編においても婦長だったので、登場してもらいました。
厳しいお母さんですけれど、とても深い愛情を持っています。
家族を失った悲しみに沈んでいたトオル君を救い上げるほどの愛情を持っています。


ちなみに、この国の総理大臣はタケナカというらしい。
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