神の後悔、聖女再生   作:木桜 春雨

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街に出た聖女と騎士達、何か波乱の前触れです。


いざこざ

とにかくできる限り、人々の生活、王族や貴族、教会等の高位の人間よりも

姿勢の人間達の生活を見て欲しい、それらの人々の幸福であるかどうかを確認

してほしいというのが、神の伝言だ。

 他にも色々と言われたが、まずは普通の人間が幸せだと感じることが必要な

のだという、まあ、それは基本だろうとミヤは思った。

 教会や貴族、王族達は自分たちの利益に関しては強欲過ぎるところがある、

勿論、無欲なのがいいかといわれたら、それも問題だか。

 どうせなら国や全て亡き者にして最初から作りなおせば面倒な事にはならな

いだろうが、そこは具合が悪いらしい。

 他の神が反対するだろうと言われては仕方がない。

「ねえ、二人とも、お腹空かない、屋台で串焼きでも食べない」

 後ろからついてくる二人の男に声をかけて、女は屋台の並ぶ通りへと足早に

歩き出した。

 

「こ、困ります、若旦那」

 店の主は困った顔で目の前の青年と付き従う三人の若い騎士を見た。

「代金は後で屋敷まで取りに来ればいいだろう」

「ですが、以前も」

店主が言いよどんだのも無理はない、この貴族の息子は以前にも同じ事を言っ

て代金を取りに行くと自分が食べた証拠はあるのかと、難癖をつけて代金を払

わないのだ。

 それも自分の店だけではない、他の場所、酒場や食堂でも同じように、ただ

酒を飲み、食べて知らないふりをするのだから始末が悪い。

 言うことを聞かないと腕の立つ騎士、どこから見ても金で言うことを聞くよ

うなならず者を引き連れてくるのだから、店の主達はいやいやながらもいうこ

とをきかなければ後で酷い目にあわされることになる。

 時には若い女を引き連れてくることもあると大いばりだ。

 

 

「まただぜ、あの息子が」

「商売あがったりだ

「何とかならないのか、父親は知らないのか」

 

 周りの露天の主達は渋い顔で見守っている、店番をしている女は店じまいを

したほうがいいのではと不安げな表情だ。

 口を出せないのは若者が貴族の息子だからだ、そのとき。

「ご主人、串焼きが欲しいんですが、いいですか」

 突然、声をかけてきた女の声に主は驚いた。

「一番大きなその串焼きを二本ずつ、六本、すぐに食べるので、それからこの

物乞いの方達にも一本ずつ、私が代金を払いますわ」

 最後の言葉に青年の顔が怒りで赤くなったのはいうまでもない、女は平然と

した顔つきだ。

「おい、女、誰が物乞いだ」

 すると女は不思議そうな顔で青年を見た。

「ああ、ごめんなさい、乞食、あなた、道化の乞食なのね、お供まで連れてる

なんて、どこの劇団かしら」

「なんだと、俺はギュールベルト、この国の貴族の息子だぞ」

 すると女の顔が驚きに変わった、嘘でしょうと呟きながら、貴族の息子が乞

食をするなんて貧しいのと言いながら目の前の串焼きを一本取り、青年に差し

出した。

「空腹なのね、だから、そんなに怒りっぽいの、ほら」

 可哀想といわんばかりの女の顔に怒りが抑えきれないのか、青年は腰の剣を

抜いた、だが、その腕は。

「な、何をする、貴様」

 いつのまにか一人の男が自分の腕を掴み、もう一人の男が女を守るように立

ちはだかった。

 周りはその様子を唖然とした顔、驚いた様に見守るしかできなかった。

 二人の長身の男達は剣を下げているのだが、抜くこともなく、素手で青年の

取り巻きを交わし、蹴りを入れたのだ。

 

「う、腕があ」

「若君っっ」

 苦しそう名声でうずくまる、おつきの者に青年は慌ててその場を逃げ出し

た、悪役の様な覚えていろという捨て台詞を残しながらである。

 

「覚えているわけないじゃない、ねえ」

 二人の男に視線を向けて女は店主に、もう一本串焼きを下さい、息子の土産

にしたいんですと、にっこりと笑った。

 

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