みなさん、こんにちは。波平です。
ワシは会社を退職(解雇された)しました。
それから純真な幼児たちを相手に商売をしたりしましたが、近所で問題になりましてね。
え?一体何を売ってたかって?
なあに、ただのオモチャですよ。
スイッチを入れたらブルブルと振動するキュウリみたいな形をした物や、ウズラの卵みたいな形の物とかをね。
あとは、全体的にヌメヌメしてて、空気を入れても膨らまない風船みたいな形をしたやつとか。
まあ、今ではのんびりと過ごしてます。
それにしても、最近の世の中はどうなってるのでしょう!いつまでも不景気だし、オヤジ狩りには遭うし。
しかも襲ってくるのはいつも野球帽を被って、サングラスとマスクと釘バットを装備し、短パンを履いている小学5年生くらいの男の子なんです。
そして妙なことに、オヤジ狩りに遭った日の夕方は必ずと言っていいほどカツオの服に血糊がこびりついているのですよ。
本当、奇妙な偶然ですね。
はぁ…最近は疲れることが多いです。
それにワシの家庭も崩壊寸前ですぞ。
ワシの“妻”のタイコはノリスケと不倫をしたままなかなか戻ってこないですしな。
おまけにワシを「お父さん」と呼ぶ変な婆さんまで家に住みついてしまいました。
何故かサザエたちはその婆さんを「母さん」と呼んで親しくしているようですが。
犬や猫ではあるまいし、婆さんまで世話をすることになるとは思ってもみませんでしたよ。
「父さ~ん!」
む。サザエだな。
「なんだサザエ。何か用か?」
「ちょっと夕飯の材料を買ってきて欲しいんだけど」
「ダメだ!ワシはこれから公園に行ってブラブラと時間をもてあまさなければいかんのだ」
「父さん。買いに行かないと、また夕飯は雑草にするわよ♪」
「っぐ…‼︎わ、分かった。行ってくる」
ワシは(仕方なく)買い物に出かけた。
買うものは…にんじん、たまねぎ、カレー粉、じゃがいも、肉…
ふむ。なるほど、今日の夕飯は冷奴か!
さっさと買い物を終わらせて帰るとするかの。
・
・
・
・
・
・
・
ふう。ようやく薬局に到着したようじゃ。
さて材料を買うとするか。
まずはにんじん…ん?朝鮮人参《ちょうせんにんじん》。
よし にんじんを発見したぞ。
あとは…むむむ。残りの材料は何だったかのう?
まあ冷奴など、にんじんだけでも作れるからこれだけでいいか。
さて買い物も終わったし、帰るとするか!
「今帰ったぞ!」
「おかえりなさい。夕食の材料は買ってきた?」
「もちろんじゃ!ほれこのとおり!!」
ワシは袋を開いて見せた。ん?サザエの顔色が変わったぞ⁇
「あ~ん?てめえ、誰がこんなもの買って来いって言った⁉︎」
「な、何を怒っとるのだ?」
「まったく、てめえはタマよりも使えねえな!」
タマ以下って…それはひどいじゃないか。
む⁉︎カツオか。何しに来おった?
「姉さん!とりあえずムカツクから、木刀で父さんの骨5、6本ほど砕こうよ」
「そうねえ。そうしましょうか!」
な、何を言っておるのだ⁉︎サザエ!カツオ!お前達は鬼畜か⁉︎
「待つです~!そんなことしちゃおじいちゃんがかわいそうです~!」
走ってきたタラちゃんが、サザエ達とワシの間に割って入り、サザエ達の方を向いて両腕を広げた。
おお。。まさに持つべきものは孫じゃ!
「あら。タラちゃん!でもおじいちゃんにお仕置きしなきゃ!」
サザエの言葉にも、タラちゃんは動じない。
さすがタラちゃんじゃ!サザエ達のような外道と違ってタラちゃんは素直でいい子じゃ!
…ん?タラちゃんが、ポケットから何かを取り出しよったぞ。
まさか、拳銃⁉︎
「おじいちゃん。ロシアン・ルーレットって知ってますか~?」(拳銃を波平に渡して)
「な、何じゃと!?タラちゃん!ワシにロシアン・ルーレットをさせる気か!?」
「ロシアン・ルーレットなんて恐ろしいことをさせるつもりはないですぅ」
ふ~!驚いたわい。
考えてみれば、タラちゃんがロシアン・ルーレットをしろなんて恐ろしい事を言うわけないか。
タラちゃんは素直でいい子なんじゃからのう。
「おじいちゃんには この拳銃でイタリアン・ルーレットをしてもらいます~!」
「イ、イタリアン・ルーレットじゃと⁉︎タラちゃん、なんだね?それは」
「ロシアン・ルーレットは6発入りの拳銃に弾丸を1発だけ入れてシリンダーを回し、引き金を引く。つまり死ぬ確立は6分の1。あんまりスリルがないんですぅ。
でもイタリアン・ルーレットは弾丸を“6発”入れて引き金を引くんですぅ。だから死ぬ確立は6分の6‼︎とっても面白いゲームなんですぅ!」
「6分の6って…確実に死ぬじゃないか⁉︎」
「おじいちゃん!ファイトです」
「さすがタラちゃん!素敵なゲームね‼︎」
「父さん!早く引き金を引くんだよ!早くしろよハゲ‼︎」
皆の目が一様に光り輝いておる…!もはや覚悟を決めるしかなかろう。。
「おのれ!このワシを愚弄するのか⁉︎そのゲーム(そもそもゲームなのか?)やってやろうではないか!」
と、勢いに任せて啖呵を切ってみたものの。
正直なところ、ワシの両膝は大爆笑していた。。
…まさか、こんな形で人生の幕を下ろすことになろうとは。家族に看取られて自殺とは、何とも変な気分じゃのう。
ワシは銃口を自分のこめかみに向け、引き金を引いた。
ガチッ
「おやおや…!どうやら、弾詰まりが起きたようです。
リボルバーでは滅多に発生しないんですがね。。
おじいちゃん、運がいいですね!」
「すげーぜ!まさに奇跡の生還だな」
「フ、フ、フハハハハ!み、見たか!ワシの底力を!」
どうじゃ⁉︎ワシの根性は‼︎磯野家のみんなはワシを尊敬するに違いないわい!
「みんな~!夕飯ができましたよ!」
例の婆さんの声だ。知らん婆さんだが、メシだけはなかなかにうまい。
「すぐ行くです~」
「今日の夕飯は何かな!?」
「キャッホー!ご飯よ~~!」
皆はまるで何事もなかったかのように、茶の間へ向かって行きよった。。
…まあ、よい。
そういえば腹が減ったな。さあ、食卓へ行くかの!
「おっ!今日はしゃぶしゃぶか。美味そうだのう」
「ちょっと!父さんの席はそこじゃないわよ‼︎」
「そうだよ。ほら、タマのお皿のとなりに ”父さん”って書いてある皿あるよね!
そこでご飯を食べるんだよ!」
「そ、そんな!このお皿って猫用じゃないか⁉︎ワシに猫用の皿で飯を食えというのか⁉︎」
甲斐性無しになったとはいえ、これが仮にも一家の大黒柱であるワシに対する仕打ちか‼︎
ん⁇しかもこの皿、なんか臭うぞ⁉︎
「なんじゃ、この臭いは⁉︎」
「タマがトイレと間違えて、その皿にう◯こしちゃったのよ。しかも、溢れるほど大量にね。
さすがに“モノ”は捨てたけど、面倒だから洗ってないわよ」
ゲエエーーーッッ‼︎
イカン、イカンぞ‼︎こんな屈辱を味わうくらいなら、さっき死んでおけばよかった‼︎‼︎
ワシが全力で鼻を摘みながら悪臭まみれの皿を眺めていると。。
「おじいちゃん。ご飯を持ってきてあげました~!」
タ、タラちゃん!優しいのう…さすがワシの孫じゃ!!
「ん?タラちゃん…これってキャットフードじゃないか⁉︎」
「そうです~。せっかく買ってきたのに、タマがそのキャットフードを食べないんです。だからおじいちゃんが食べるです~‼︎」
「タ、タマが食べないのをワシに食わせる気かー‼︎」
「ゴチャゴチャうるさいです~!おじいちゃん。
…あんまりうるさいと、おじいちゃんの顔面を煮えたぎったしゃぶしゃぶ鍋に突っ込みますよ」
「な、なんて凶悪な眼をしておるのじゃ!ひぃぃぃ」
まるで悪魔じゃ!かのY社長よりも数百倍恐ろしいわい。。
しかし、なんとかタラちゃんをギャフン(死語か?)と言わせる方法はないものかのう。
う~ん。。そうじゃ‼︎
リカちゃんじゃ!タラちゃんの彼女のリカちゃんを誘拐してしまうのじゃ!
そうすればタラちゃんなどワシのいいなりじゃ‼︎
ワシはすぐにリカちゃんを誘拐するべく家を飛び出した。
さてリカちゃんの家に急ごう!
・
・
・
・
・
「ちょっと、あなたは誰ですか⁉︎」
「ワシは怪しいものではない!ちょっとリカちゃんを誘拐しに来ただけじゃ‼︎」
玄関の扉を蹴破って入るなり、リカちゃんの父親が現れたが、ワシは構わず押し退けて進んでいき…
食事中のリカちゃんを容赦なく担ぎ上げた。
「パパー‼︎ママー‼︎助けてー‼︎‼︎」
「もしもし。警察ですか⁉︎すぐ来てください!
変な人がうちの娘を連れ去ろうとしてるんです‼︎」
…ワシは警察に捕まった。今は留置所の中じゃ!
ええい!何故ワシばかりこんな目に遭うのじゃ⁉︎
小さな子を誘拐する程度で、何故捕まらねばならんのじゃ~~~⁉︎
まあ。。この留置所にはカツオもいるからさみしくはないわい。
え?なんでカツオがいるかって⁉︎
それは、カツオがオヤジ狩りの常習犯であることを警察に密告したからじゃ‼︎
さんざんワシを愚弄した罰じゃ!カツオめ。ワシの巻き添えを食うがいいわ‼︎
ゲハハハハハハ‼︎‼︎