今回は本編が長めになってるのでお時間がある時にゆっくり読んでいただけると幸いです。
では早速本編です!!
モカ「ねぇねぇ、こんな所で待ってればホントに会いたい人に会えるの?」
有咲誕生日を終えた11月上旬、有咲とモカ、蘭はサークルのカフェテリアでとある人物を待っていた。
有咲「大人しく待ってろっつーの!てゆうか何で蘭ちゃんまでついて来てるんだ?」
蘭「別にただ少し気になっただけ」
モカ「私が男に会うって言ったら「私も行く!」って言って聞かないんだよー?蘭ってば独占欲強いー♪」
蘭「モカー!!」
モカ「そんな事より私を呼んでまで会いたい相手って誰ー?実はパンの国の王子様とか?」
ひさと「盛り上がってるところ悪いんだけど、パンの国の王子様じゃないな~。俺はみんなの王子様だから」
気がつくとそこには元Non Stop Emotion!(碧志の所属していたバンド)のボーカルである稲葉緋砂人が有咲達と同じテーブルに座っていた。
蘭「誰?」
モカ「ひ、ひさとだー!!あああああの、さ、さ、サイン貰ってもいいですかー?」
ひさと「サイン?いいよ?」
モカはたまたまカバンに入っていたノートを取り出すと真っ白なページを開き黒ペンと共に差し出した。
蘭「ねぇモカ……。この人誰なの?」
モカ「今日の日付とモカちゃんへって書いて貰ってもいいですかー?」
蘭「人の話を聞けー!!」
蘭の悲痛な叫びがカフェテリアにこだました。
そしてサインを書き終わるとモカは大切そうに抱き締めた。
モカ「家宝にしますー。モカちゃん幸せー♪」
蘭「……だからこの人誰なの!?」
ひさと「自己紹介が遅れてすまない、俺は稲葉緋砂人(いなば ひさと)。今日は有咲ちゃんに呼び出されて来たんだ」
モカ「そして師匠の所属していたバンド、Non Stop Emotion!の天才ボーカルでーす!」
ひさと「そうでーす!天才でーす!」
モカとひさとはハイタッチを交わした。
蘭「この人が碧志さんが言ってた湊さんよりも巧いボーカル……」
ひさと「さて余談はここまでにして本題に移ろうか」
有咲「はい、よろしくお願いします」
ひさと「碧志の事で相談があるって言ってたよね?碧志の女遊びが酷くて困ってるとか?」
有咲「碧志は真面目です!あなたと一緒にしないでください!」
ひさと「おやおや手厳しい。ゴメンゴメン、冗談だよ」
有咲「実は碧志が自分の思ってる通りにギターを弾けなくなってるんです」
蘭「そんな訳ない!!」
有咲の言葉に声を上げたのは意外にも蘭だった。
有咲「蘭ちゃん?」
蘭「この前碧志さんの演奏は見させて貰った。あそこまで見下せる程の圧倒的な技術がありながら、それよりも上があるなんてあり得ない!!」
モカ「でもでも言われてみたら昔の方が凄かったかもしれないなー」
ひさと「盛り上がっている所に茶々を入れてスマナイが、順序を追って確認していいかな?」
ヒートアップしている場を一旦ひさとが落ち着かせた。
ひさと「まず有咲ちゃん。碧志はいつからギターが弾けなくなったって言ってたか覚えてる?」
有咲「えっと……確かバンドが解散して別のバンドの練習に顔を出した時に気づいたって言ってました」
ひさと「えっと次は……赤メッシュちゃん」
蘭「美竹 蘭です。蘭でいいですよ」
ひさと「じゃあ、蘭ちゃん。この前碧志の演奏を聴いたって言ってたけど碧志は誰と何の曲を弾いたんだい?」
蘭「サークルの月島まりなさんと一緒にBUMP OF CHICKENの天体観測弾いてましたよ」
ひさと「その時使ってたギターは?」
蘭「赤色のレスポールでした」
モカ「もう一本のギターは今の俺に弾く資格は無いって言ってましたねー」
ひさと「他に何か気になること言ってなかった?」
モカ「そういえばこの間ー、俺にはバンドを組む資格が無いとかギターも辞める決心が中々つかないとか言ってましたよー?」
ひさと「碧志がギターを辞める?他には?」
蘭「あと私がひさとさんに弟子入りさせて貰えないか頼んで欲しいとお願いしたときは、俺はアイツに音楽に関わって欲しくないと思ってるって言ってました」
ひさと「俺に弟子入りしたいの?残念だけど俺ほとんど練習とかしたことないからアドバイスとかできないと思うよ?」
蘭「碧志さんにも同じことを言われました。もう諦めてるので大丈夫です」
ひさと「アハハ、自己完結しちゃってるんだね。そっか……碧志のやつそんなこと言ってたのか」
有咲「それで、碧志がギターを弾けなくなった理由に心当たりはありますか?」
ひさと「ある。というよりは今の質問で確信に変わった」
有咲「教えてください!」
ひさと「まず順を追って話そう。そもそもの発端は碧志が高校一年生の時にある」
ひさとは碧志の高校時代の事を話始めた。
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遡ること9年前、高校に入学した碧志は中学の頃磨いたギター技術を活かそうと軽音部に入部していた。
中学時代からギターの才能に溢れた碧志は入部すると飛ぶ鳥を落とす勢いで先輩達を追い抜き、軽音部の中でも上位のバンドに入りギタリストとなった。
そして事件は碧志が高校一年生の秋の文化祭に起きる。
その日文化祭のメインイベントであった軽音部のバンド演奏にてステージに立った碧志は圧倒的なパフォーマンスで観客の視線を独占し、たちまち学校中の人気者になった。
しかしそんな碧志を快く思っていない先輩達から疎まれた碧志は暴力を含むイジメにあっていた。
「ステージに立ったらボーカルである俺達を引き立たせろ」
「お前が自由に勝手に弾くな」
調教とも言える暴力と罵倒の日々に心をすり減らした碧志は軽音部を辞め、ギターを辞める事を決意をした。
そんな碧志の心を救ったのは一人の友人と、一人のギタリストだった。
その友人の名前は神保 猶黄(じんぼ なおき)。
後のNon Stop Emotion!のドラマーである。
碧志が軽音部を辞めた事を知った猶黄は、碧志をとあるギタリストのライブに連れて行った。
そのギタリストの名前は日本が世界に誇る天才ギタリスト布袋寅泰である。
布袋のライブの神々しくもあり、追随を許さない圧倒的なギターテクとその多彩な演出に心を射ぬかれた碧志はいつしかこの人みたいなギタリストになりたいと思うようになりギターを続けた。
そして個人練習に没頭した碧志はいつしか布袋の技術をほぼ完璧なまでに自分の物にしていた。それだけでは無く、海外で活躍するギタリストを模倣してみてはその技術を自分の物にしていった。
そして大学生になる一年前に碧志と緋砂人が出会い、Non Stop Emotion!結成へと繋がっていくのだった。
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ひさと「その時のなごりだと思うが、碧志は味方のレベルが低いと自分の本当の実力を発揮できない癖が身に付いた。実際に俺達のメンバーと弾く時は絶好調なのに他のグループとセッションしたりすると途端に技術が揺らぐ事が過去にも数回あった。モカちゃんだっけ?碧志が演奏を教える時に言ってなかったかい?"ボーカルを引き立たせるのもギターの仕事"だって?」
モカ「そう言えばそんな事言ってたかもー」
有咲「もしかして!!碧志のアルバムに高校時代の物が殆ど無かった理由はそれなの!?」
ひさと「そうゆう事さ。モカちゃんや蘭ちゃん達の前で弾けてたのも月島さんのレベルが高く、昔から弾き慣れているBUMP OF CHICKENだから無意識にリミッターが外れかけてただけさ」
モカ「そこまで師匠の事を理解してるなら何でバンドを解散しちゃったんですかー?この前師匠に聞いたら教えてくれませんでしたー」
ひさと「そこはスマナイが約束だから、誰にも言えないよ」
モカ「ぶー、いけずー」
ひさと「ただ話を聞く限り、碧志はバンドの解散に責任を感じているんだろう。だからギターを辞めようとしている。俺はそんな事望んでいないがね」
ひさとは少し考えた後に有咲に提案をした。
ひさと「ねぇ有咲ちゃん。俺なら碧志を元通り演奏できるようにすることができる」
有咲「ホントですか!?だったら今すぐにでも!!」
ひさと「ただし!!」
高揚する有咲の言葉を遮ったひさとに先程までの余裕は無かった。
むしろ何かを悟っているようだった。
ひさと「有咲ちゃんの言う通りならきっと碧志が本当の姿を取り戻し、ギタリストとして前に進む覚悟ができたらきっと争奪戦になる。そうなれば碧志はここにはいられなくなる。社会科教師の市ヶ谷碧志もギターを教えてくれる市ヶ谷碧志もいなくなる。君にその覚悟はあるのか?」
有咲(碧志がいなくなる……。寂しくない訳が無い。私は碧志が大大大好きなんだから。でも私は苦しむ碧志をもう見たくない。いつも笑顔でいて欲しい、その為なら何だってするって誕生日の夜に決めたんだ。だからっ!!)
「お願いします。私はもう一人じゃないし、いつまでも支えて貰うんじゃなくて私も支えたいんです!!いつまでも泣き虫な私じゃない!!」
ひさとの瞳を真っ直ぐ捕らえ有咲は決意を口にした。
ひさと「そっか……。だったら俺にも覚悟ができたよ」
有咲「???」
ひさと「1ヶ月準備に時間をくれないか?蘭ちゃんとモカちゃん、1ヶ月後に"俺達"の本当の姿を見せてやるよ。有咲ちゃんには準備して貰いたいものがある。君達も良ければ手伝ってくれないかな?」
有咲「よろしくお願いします!」
モカ「実際には何をすればいいのー?」
ひさと「まずはモカちゃん、蘭ちゃんには舞台を用意して貰おう。そして有咲ちゃんには碧志のもう一つのギターを用意して欲しい。きっとアイツの性格上、クローゼットに封印されてると思うからしっかり街の音楽店でメンテナンスして上げてくれ」
有咲・蘭「分かりました!」
モカ「らじゃー」
ひさと「みんないい子で助かったよ」
謎の美女「みんな可愛いしねー」
ひさと「あぁ全くだ……」
一同「・・・・・ん?」
次の瞬間、突如現れた謎の美女がひさとの首を締め上げた。
謎の美女「最近、フラフラいなくなる事が多いと思ったらやっぱり浮気してやがったか!!その上、女子高生三人?おかみに代わって私が裁いてやるわー!!」
ひさと「ご、誤解だー!は、話せばわかるー!!」
謎の美女「問答無用ー!!」
有咲・モカ・蘭「あっ……」
ひさとの魂が天国へ旅立った。
ひさと「全く……天国のじいちゃんに挨拶するところだったぞ」
謎の美女「えへへ~♪ゴメンゴメン♪」
有咲「あのこちらは?」
桃華「紹介が遅れたね。私は小室 桃華(こむろ ももか)。ひさとの彼女よ。よろしくね♪」
モカ「今度は桃華ちゃんだー!!あのサインを……」
蘭「そのくだりはもういいから!!」
桃華「ところでひさと、この子達は誰?」
有咲「じ、自己紹介が遅れてスミマセン。市ヶ谷有咲と申します」
蘭「美竹蘭です」
モカ「青葉モカでーす」
ひさと「有咲ちゃんは碧志の妹な」
桃華「碧くんの妹?確かに目元とか髪の毛の色とか碧くんそっくり!!」
桃華は有咲に抱きついた。
桃華「しかも碧くんに似てて可愛いー!!ねぇ?お持ち帰りしてもいいかな?」
有咲「えっ?ちょっま、ままま!?」
ひさと「止めとけ碧志に殺されるぞ」
桃華「確かに碧くんは怒ったら怖いもんねー。可愛い女の子だけど止めておくわ」
桃華は有咲から離れた。
ひさと「ちょうど良かった。桃華も俺の作戦に付き合ってくれ」
桃華「いいわよー」
蘭「内容聞いてないのに!?」
有咲「ノリ軽っ!!」
こうして碧志復活大作戦の幕が上がった。
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碧志「えーっと?サークルで乱入OKのフリーライブ?」
有咲「そうなんだ!碧志にまたライブに来て欲しいなって思って!!」
有咲はハロハピ(弦巻家)主催の観客乱入OKのライブに碧志を誘っていた。
碧志「ふーん、まぁこの日は休みだし前も楽しかったからいいぞ?ただこの乱入OKってどんな仕組みなんだ?」
有咲「バンド側が許可すれば客席からステージに上がってもいいらしい。お客さんも一緒に盛り上がりたいハロハピのらしいライブだろ?」
碧志「なるほどな。よし、この日は他に予定を入れないようにしておくよ」
有咲「頼むぞ!!絶対だからな!!」
碧志「お、おう……。凄い圧だな……」
無事碧志を連れ出す事に成功した有咲は一安心をした。
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そして来る12月3日、碧志にとって運命の日が来た。
演奏するバンドの順番は
ハローハッピーワールド
Pastel✽Palettes
Afterglow
Poppin'Party
謎のバンド軍団
Roselia
ハローハッピーワールド
の順番となっている。
弦巻家の主催ということで会場もそこそこ大きい会場になっている。
碧志「謎のバンド軍団って何だよ……。ネーミングセンスを疑うわ……」
そしていよいよライブが始まる。
ハロハピの「えがおのオーケストラっ!」でライブが始まり笑顔に包まれた楽しい演奏に会場のボルテージも上がっていく。
続いてのPastel✽Palettesの演奏を聴くのは初めての碧志だったが、観客の心を掴む演出に碧志は感心していた。
ちなみに碧志は5人の中なら千聖さん推しになりそうになったのは有咲には内緒だ。
その後Afterglowの番になった瞬間に碧志はメモを用意した。
碧志(モカが間違ったりしたら、しっかりダメ出ししないとな)
モカ「げぇー、師匠がメモ取ってるー」
蘭「後でこってり絞られるかもね。それよりいつも通り気合い入れていくよ!!」
蘭の掛け声で始まる「Scarlet Sky」彼女達らしい等身大の歌詞に碧志は心を捕まれていた。
碧志「この曲、凄く素敵だな。いつも通りの自分達を大切にしていて背伸びを全くしていない。蘭ちゃんの存在感が抜き出ている。モカが追い付きたいと言うのも分かる気がするな」
(なんで俺は向こう側に立っていないんだ……)
碧志は首を横に振った。
碧志(ダメだ!俺はもう向こう側に立つ資格が無い男なんだ!今はモカ達の演奏に集中しよう!!)
Y.O.L.O!!!!!が終わる頃には会場は最高に盛り上がっていた。
それからPoppin'Partyの演奏が始まる。
曲は「ときめきエクスペリエンス!」。
仲間との約束や想いを歌った歌詞が碧志の心に突き刺さる。
碧志はもはやポピパの曲が耳に入っていなかった。
無意識に指が動く。
「STAR BEAT!〜ホシノコドウ〜」が今の碧志を歌っているように感じて碧志は涙を流していた。
しかし碧志自身はその涙に気づいていない。
碧志の中で演奏したいという衝動が高まって行く。
それとは反して自分自身を戒める言葉の鎖でその衝動を抑えていく。
碧志の衝動がピークに高まった時にポピパの演奏が終了し、辺りが暗くなりバンドが入れ替わる。
そしてステージが暗黒に染まり会場が静寂に包まれる。
再び光を取り戻すと会場は見慣れぬメンバーの登場に複雑な空気となっていた。
ただ一人碧志を除いて。
ひさと「どーもー!謎のバンド軍団でーす!」
桃華「初めましての人も久しぶりの人もヨロシクねー」
猶黄「…………」
ステージの上には稲葉緋砂人、小室桃華、神保猶黄の三人が立っていた。
ひさと「ピンポンパンポーン~♪えぇー、我々謎のバンド軍団は本日ギタリストが欠席しており大変困っております。お客様の中に凄腕のギタリストはいらっしゃいませんでしょうーか?」
会場がざわつき始める。
しかし碧志は沈黙を守ったまま事の成り行きを見守っていた。
たえ「はーい!私です!」
有咲「バカ!空気読めっ!!」
日菜「なになにー?乱入してもいいってこと?」
千聖「違うわ日菜ちゃん。きっと誰かを待ってるのよ」
リサ「紗夜ー行かなくていいのー?ん?あの人達どこかで見たことあるような……」
紗夜「今は私の出る幕ではありません」
友希那「きっと……」
リサ・紗夜「???」
友希那「待っているのよ……彼を」
会場のざわつきはドンドン増して行く。
しかし碧志は未だにその場から動けずにいた。
ひさと「いませんかー?」
そうこうしている間に遂にひさとと碧志の視線が交わった。
碧志は罪悪感にかられひさとから視線を逸らした。
ひさと「そういうことか……。桃華、しばらく会場を暖めてろ」
桃華「え?ちょっとひさと!?」
ひさとはステージから飛び降りると一目散に碧志の元へ走った。
ひさと「迎えに来たぞ」
碧志「何のつもりだよこんなことして。俺はもうステージには上がらないって決めてんだよ!!」
ひさと「何故!?」
碧志「何故?」
ひさと「何故ギターを弾く事ができるのにギターを弾かない!?ギターも環境も整っているのに何故ギターを弾かない!!」
碧志「俺は自分の演奏が出来なくなってて……」
ひさと「そんなの関係無い!!自分の演奏を見失ってるのと、ステージに上がらないって決めてるのは関係無いだろ!!」
碧志「…………」
ひさと「どーせお前の事だ。俺への罪悪感だろ」
碧志「………………」
ひさと「そういや碧志。碧志には言ってなかったな。紫乃には俺の想いを伝えたんだけどな」
碧志「???」
ひさと「バンドが解散になったのはお前のせいじゃねーから気にするな。ただ俺から一つ頼みがある」
碧志「頼み?」
ひさと「碧志が凄いギタリストになって自慢させてくれ。"市ヶ谷碧志とバンド組んでたんだぜ"って。そしてお前は伝えてくれ"俺が今まで見たボーカルの中で一番の天才は稲葉緋砂人"だってさ!!」
碧志「ふ、はは……アハハ!!」
碧志の中で何かにひびが入る音がした。
ひさと「碧志には悪いが俺は俺で好き勝手やらせてもらう。自分の行動に対する責任は自分で取る。碧志はいつまで指を咥えて見てるんだ?らしくねーだろ?」
碧志「だな」
ひさと「行こうぜ相棒」
ひさとは碧志の胸を小突いた。
ひさとと碧志はステージに上がった。
会場からは歓声が上がる。
碧志は自分の特等席に置かれているギターに驚いた。
ZODIAC ( ゾディアック )
TC-HOTEI WHITE LINE
碧志にとって憧れの布袋寅泰が愛用しているギターだ。
碧志がアーミングを会得しようとした際、アームを付けようにもレスポールではギターの音色が変わってしまう恐れがあった為に購入したギターだ。
勿論FWFもこのギターで出場している。
碧志「最近ずっと倉庫に寝かせていたのに綺麗にメンテナンスされてある。有咲の仕業だな」
会場の端にいた有咲に視線を送ると有咲は照れながら碧志に微笑んだ。
碧志は有咲に口パクでメッセージを送った。
碧志(あ・り・さ・あ・い・し・て・る)
有咲「きゅんっ!!///」
沙綾「あ、有咲!?しっかり!!」
倒れそうになる有咲を沙綾が支えた。
有咲「う、うへへ…………///」
沙綾「こりゃ今日はダメだな…………」
碧志はギターを担ぐとステージから客席を見渡した。
碧志(このビリビリとした緊張感。観客の視線。高揚感。全てが久しぶりだ。ハッキリ分かる。俺は今日、最高の演奏ができる)
ひさと「お待たせしましたー!時間の関係上一曲しか歌えないので、その瞳にしっかり焼き付けてください!あとベースだけは打ち込みだけど許してね!!」
観客のボルテージが一気に上がる。
友希那「みんな、しっかり観てなさい。これがFWFを経験した者達の音楽よ」
ひさと「楽曲は俺の大好きなJanne Da Arcさんのカバーでshining ray!」
碧志「そういやひさとはJanne Da Arcが好きだったな」
ひさと「碧志、youさんのギターだけど付いて来れるか?」
碧志「誰に言ってんだ?お前こそyasuさんの名曲貶すなよ?」
ひさと「抜かせ!……碧志!!」
碧志「ん?」
ひさと「俺達の間に手加減とか調整はいらねーから、自由に全開で弾け!!」
碧志の中で自分を縛っていた言葉の鎖が砕けた。
ひさと「さぁ!楽しい音楽の時間だ!!」
猶黄「1・2・3・4!!」
「♪~♪♪~♪♪♪」
猶黄の合図で演奏が始まる。
Janne Da Arcのshining ray。
アニメ、ワンピースのEDにもなったこの曲はアップテンポで颯爽とした曲だ。
ただし、Janne Da Arcの曲は高いボーカルの歌唱力とギターの演奏力を必要とする。
覚醒した碧志は近年の地道な努力で培ったリズムキープと個性が強い演奏力と高いアーミング技術でメロディラインを形成していく。
碧志はすでにゾーンに入っていた。
碧志が形成するメロディラインに猶黄の精密機械とも呼ばれる正確無比なドラムの演奏と桃華のキーボードの音が重なる。
その圧倒的な技術の前に観客は次々に魅力され、他のバンドは自分達との実力差をマジマジと見せつけられた。
その中でも抜き出ていたのは、稲葉緋砂人の歌声だった。
ひさと「♪~♪♪♪~♪」
奇跡の歌声に恥じぬ、観るもの全てを魅力する神の歌声を披露した。
「♪~♪~♪~♪♪♪」
演奏を終えるとこの日一番の歓声と拍手が四人に送られた。
ひさと「以上!謎のバンド軍団でした!!」
碧志を含む4人は舞台袖に消えて行く。
その舞台袖には次に演奏を控えるロゼリアのメンバーが立っていた。
友希那「とても素晴らしい演奏でした」
握手を求めるように友希那はひさとに向けて手のひらを差し出した。
しかしひさとは友希那など眼中に無いと言わんばかりに、友希那の横を素通りした。
そして素通りする際に思いもよらぬ言葉を友希那へ送った。
ひさと「悪いな。俺は俺が認めたやつとしか握手しねーんだ。下手くそが移ったら困るから」
ひさとは明らかに友希那への敵意を剥き出しにした言葉を掛けた。
そしてひさと達は楽屋へ急ぎ足で向かった。
碧志「おいひさと!!何で握手してやらねーんだよ!!」
ひさと「あ?俺は俺が認めたやつとしか握手しねーの」
碧志「だったら友希那ちゃんも……」
ひさと「リハは見させて貰った。確かに歌は上手いけど今のあの子には致命的な欠点がある。それがあるうちは俺の足下にも及ばねーよ。そんな事より碧志、話がある」
楽屋に着くとひさとは急ぎ足で碧志に相談をした。
そしてロゼリア、ハローハッピーワールドの演奏を終え、演奏者達の舞台挨拶となった。
ひさと「俺達からお知らせがあります!!あ、SNSとかで上げてくれると嬉しいんで動画撮影とかお願いします!!さてさて俺達は元々、Non Stop Emotion!ってバンドで活動してたんですけど、この度解散対バンライブを開催したいと思います!!場所と参加メンバー等の詳細は後日発表したいと思います!!俺達は頂点で待ってますんで、誰でもかかってこい!!」
一同「…………えぇーーー!?!?」
この話題はSNS上で一気に燃え上がりを見せるのだった。
いかがでしょうか?
今回ついに碧志の過去&覚醒編になりました!!
さてさて対バンライブどうなることやら……。
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ではまた次回、ほなっ!(^^)ノシ