更新遅くなってスミマセン。
今回は前回の最後にお伝えした通りRoselia二章ですが、オリジナルがかなり入ってくるので原作が大好きでけなして欲しくないって方は読まない方がいいかもです(笑)
読んでから原作へのリスペクトが足りないとかは無しでお願いします(笑)
完全自己責任で。
では本編です!
その男は予定より1ヶ月程早く帰国した。
空港で稲葉緋砂人がその男を出迎えた。
今沢 紫乃(いまざわ しの)。
碧志達のバンドNon Stop Emotion!の元メンバーで、メンバーの中で最も輝かしい経歴を持っている。
<経歴>
日本トップクラスのベーシストである父とバイオリニストの母を持ち、3歳の頃にベースを始める。
父譲りの才能と彼を取り巻く最高の環境で育った才能は10歳の時点でプロと遜色無いレベルであった。
15歳の時に19歳以下のバンドの世界大会 World Rockband Tournament(通称WRT)に日本代表として出場。
日本代表は10ヵ国中8位に終わったが紫乃本人はゴールドベーシスト賞を受賞。
高校3年の冬に稲葉緋砂人と出会う。
3ヶ月に渡る緋砂人の熱烈なオファーの結果、音大への進学と同時期にNon Stop Emotion!を結成。
大学3年の頃、FUTURE WORLD FES.に出場、世界各国から脚光を浴びる。
大学4年の冬にNon Stop Emotion!を解散。
大学卒業後渡米し、多国籍バンドCrown.Clown.を結成。
デビュー後から3曲連続で全米チャート1位を飾り、現在では24歳ながら世界五指に入るベーシストと言われている。
※日菜ちゃんが小さい頃から紗夜さん以上の情熱を持ち努力を続けたくらいと思っていただければ。
紫乃「久しぶりだな緋砂人」
緋砂人「久しぶり。何かまたオーラが増したな。やっぱトップアーティストは違うねぇ」
紫乃「緋砂人は昔よりオシャレになったな。流石モデル」
緋砂人「嫌味か?」
緋砂人がジト目で見つめると二人は笑い合った。
緋砂人「それで?何で早く帰って来れたんだ?」
紫乃「ちょうどツアーが終わってな。新曲に取り組んでる所だったんだけど、リーダーからもう帰国してもいいぞってお許しが出てな。それより緋砂人、約束通り俺も好き勝手にやらせてもらうぞ」
緋砂人「あぁ、例の件は好きにしていい。ただし解散ライブに支障をきたすなよ?」
紫乃「それで?これからどうするんだ?」
緋砂人「SWEET MUSIC SHOWERってイベントにライブの告知も兼ねて参加することになった。結構凄腕のバンドが出揃うみたいだ」
紫乃「まぁ準備運動くらいにはなるか……。分かった」
緋砂人「あまり興味無さそうだな?」
紫乃「どうせ俺に対抗できるベーシストはいないだろ?」
緋砂人「お前に対抗できるベーシストなんて世界中に数人しかいねーだろ。それにお前は俺が認めた世界一のベーシストだからな!」
紫乃「お前ってホント身内に甘いよな」
緋砂人「事実だろ?」
紫乃「そういうのは面と向かって言うことじゃねーよ。それで?そのイベントはいつなんだ?」
緋砂人「明日全体リハで明後日本番」
紫乃「急だな」
緋砂人「桃華のお義父様に依頼されてね。文句言わねーの?」
紫乃「明後日だろうと今からだろうと俺にはそこまでの差は無い。それより天下の小室拓哉をお義父様と呼べるのはお前くらいだぞ」
緋砂人「えへへ♪お義父様には感謝しかねーからな♪それよりリハどうする?しないにしても顔合わせはしないといけないぞ?」
紫乃「リハはいらない。リハ無しの方が他のメンバーの現段階での実力が分かるしな。それに猶黄とは仕事のやり取りもあるから問題ない。あとは碧志がどこまで腕を落としてて桃華がどれだけ上達しているかだ」
緋砂人「俺は俺は!?」
紫乃「お前は昔からまともに練習したことないだろ。お前がもっと熱心ならきっと日本一のボーカルに…………ってスマナイ」
紫乃は緋砂人が複雑な表情を浮かべている事に気がつき、非礼を詫びた。
緋砂人「それじゃあまた明日、会場で」
紫乃「あぁまた明日」
緋砂人と紫乃はその場で別れた。
_______________
SMS前日。
久しぶりに再会したNSEに碧志は心踊る気持ちを必死に抑えていた。
碧志「みんな久しぶり!会いたかった!」
紫乃「だな。全員が揃うのは約三年ぶりか」
ここでNon Stop Emotion!のメンバーとプロフィールを簡潔に紹介します。
●ボーカル:稲葉 緋砂人(いなばひさと)
『奇跡の歌声』と呼ばれる天才ボーカリスト。
高校時代に初めて行ったカラオケで周囲から『歌巧すぎない?プロレベルだよ?』って言葉を受け自分の才能に気づきバンド活動を始めた。
現在の職業:ファッション誌の専属モデル
●ギター:市ヶ谷 碧志(いちがやあおし)
『レスポールの悪魔』と呼ばれる凄腕ギタリスト。
安定したリズムキープと悪魔と呼ばれる程のソロテクニックで周囲を魅了する。
現在の職業:社会科教師
●ベース:今沢 紫乃(いまざわしの)
『神の調べ』と呼ばれる超天才凄腕ベーシスト。
周囲が真似できない程の圧倒的な演奏技術を持つ。
現在の職業:アメリカのプロバンドに所属
●キーボード:小室 桃華
『演出家』と呼ばれるキーボードプレイヤー。
日本一のキーボードプレイヤー兼作曲家である小室拓哉を父に持ち、自身も作曲家として父の会社で仕事をしている。
緋砂人に一目惚れして度重なる交渉の末にNon Stop Emotion!のキーボードに入れて貰う。
現在も緋砂人の彼女である。
現在の職業:作曲家
●ドラム:神保 猶黄(じんぼなおき)
『精密機械』と呼ばれる凄腕ドラマー。
天性の才能とも思われる圧倒的精度を誇るリズムキープが特徴。
どんな曲でも決めたテンポを絶対に崩さない。
スタジオミュージシャンとして活躍しながら、自身の事務所を立ち上げようと計画している。
現在の職業:スタジオミュージシャン
紫乃「猶黄、新曲のデモテープありがとう。ウチのドラマーが伝えてくれと言っていた」
猶黄「仕事だしな。お前のグループは羽振りがいいから凄く助かっている」
紫乃「それに最近はプロバンドのバックアップメンバーのオファーが殺到してんだろ?」
猶黄「ツアーのバックアップならいいけど、所属契約のオファーとかいただいて断るのは気を使うよ。今はドラム仲間と自分達の事務所を立ち上げようとしている」
桃華「えぇ!?猶君自分の事務所持つの!?」
緋砂人「何か困るのか?」
桃華「困るのよー!!今日久しぶりにみんなが揃うってパパに伝えたら、碧君と猶君をスカウトして来いって言われたんだもん」
猶黄「俺より巧いドラマーなんて腐るほどいるだろ」
桃華「それはテクニックの話でしょ!?パパは『猶黄のリズムキープは世界でもトップクラス、是非ウチに欲しい』って言ってるんだから!」
猶黄「買い被りだよ」
緋砂人「余談はこれくらいにして本題に入るぞ」
紫乃「そろそろ話して貰うぞ。緋砂人と碧志が話した解散ライブをしようと思った理由を」
緋砂人「あぁ、それは_______________と_______________為だ」
紫乃「……確かにそれは俺達にしかできない事だな」
桃華「何かちょっと寂しいけどね」
猶黄「俺達にも実益があるしな」
碧志「その為にも明日とライブと解散ライブは失敗できない」
紫乃「一番不安なのはお前だぞ碧志」
碧志「あぁ、みんなの足を引っ張らないように努力する」
桃華「大丈夫だよしーくん♪碧君のこの前のライブ凄かったんだから♪」
紫乃「本当に大丈夫かは俺が判断する」
碧志「あぁ、頼むよ」
緋砂人「おし、それじゃあ全体リハ行くか。まぁ俺達はしねぇけど」
碧志達が会場に入ると既に数組が控えており、その中にはRoseliaもいた。
碧志達の入場に会場がざわつき始める。
『見ろよNSEだぜ』
『アイツら解散したんじゃないのか?』
『解散ライブするらしいぜ?今回はその告知だってよ』
『俺達は真剣なのによ』
『舐めやがって』
『過去の亡霊だろ?』
『今沢紫乃、あのレベルがこんなイベントに出てくんなよ』
緋砂人「おやおや俺達中々の人気者だねぇ」
碧志「周りは関係ない。俺達は俺達のやるべきことをやるだけだ」
スタッフ「Non Stop Emotion!さん、リハお願いしまーす!」
緋砂人「俺達リハはいいです。今日は見物に来たんでー」
スタッフ「わ、分かりました」
バンドマンA「ふざけんな!!」
碧志達の様子を伺ってたバンドのメンバーが声を荒げた。
バンドマンA「お前達は解散してバラバラだったんだろ?そんな奴らがリハもしないなんて俺は納得しねぇ!!」
緋砂人「別にお前が納得しようがしまいが俺の知った事じゃねーよ。納得行かねーなら出なければいいだけだろ?失せろ雑魚」
バンドマンAは緋砂人の首を掴み飛びかかった。
そんな二人を止めに掛かったのは意外にも碧志だった。
碧志「スマナイ、緋砂人の言い方が悪かった。だが……その手を離せ。…………離せ!!」
碧志の鋭い眼光にやられてバンドマンAは手を離した。
静まった空気を裂くようにRoseliaの氷川紗夜が口を開いた。
紗夜「リハーサルをやるやらないはそれぞれのバンドの勝手だと思います。しかし、その上で本番で失敗してイベントを台無しにするを許しませんが」
リサ「た、確かにそのバンド独自の調整方とかルーティーンってあるからね!……きっとNSEさんなりにベストで挑もうとしてるんだよ!」
友希那「私達はバンドとして明日の本番で最高の演奏をする。ただそれだけよ。ただ、今口論することで明日の演奏が良くなるとは思えないわ」
リサ「友希那……。そうだよ!口論したっていいこと生まないからさ!それより次のバンドのリハ始めませんか?」
バンドマンB「Roselia……。新参者の小娘共は黙ってろ!!」
紫乃「黙るのはお前達だ」
納得の行かない者が声を荒げたがそれを遮ったのは世界最高峰のベーシストだった。
紫乃「音楽に年齢・性別・人種は関係ない。それにお前は二曲目の一小節目の入りが1/4テンポ程度遅れたな。それでよく他人にどうこう言えるな」
バンドマンB「ぐっ…………」
言い争いが修まるのを待ってから緋砂人は口を開いた。
緋砂人「確かにみんなの言い分も分かる。だからこうしよう。俺もただリハをするのは面白くないから対バンしないか?」
碧志「対バン?誰とするんだよ?」
緋砂人「Roseliaはどうだ?」
友希那「興味無いわ。今日は明日のリハの為に来たのであって、対バンする為じゃないわ」
紗夜「それに対バンする事でこちら側にメリットがあるとは思えません」
緋砂人「メリットならあるぞ?お前らFWFに出たいんだろ?」
友希那・紗夜「!?」
緋砂人「測りたくないか?今の自分の立ち位置を」
友希那と紗夜は自分達の最大の目標であるFWFという言葉に戸惑いを隠せなかった。
緋砂人(もう一押しか……)
「負けるのが怖いのか?まぁ前に演奏は聴かせて貰った事あるけど、あの程度のレベルじゃ逃げたくもなるか。すまなかったね、察して上げられなくて。気をつけて帰ってくれ」
緋砂人の明らかな挑発に友希那と紗夜が食って掛かった。
紗夜「あの程度ですって?貴方が私達の何を知っているんですか?」
緋砂人「少なくとも俺らより遥かに格下って事は分かる」
友希那「行くわよ?」
リサ「ちょっと友希那!?悔しいのは分かるけど明らかな挑発に乗らなくても……!?」
あこ「あこもあそこまで言われて、引き下がるなんて出来ません!!」
リサ「ちょっと二人とも落ち着いて!?」
碧志「本当にやるのか?」
猶黄「緋砂人は言い出したら聞かないだろ」
紫乃「どうやって戦うんだ?」
緋砂人「同じ曲を同時に演奏する。どっちの勝ちかはロゼリアが決めていい」
紗夜「望むところです!」
桃華「曲目は?」
ひさと「革命デュアリズム!」
『革命デュアリズム』は水樹奈々×T.M.Revolutionによるコラボレーションシングル。
声量モンスターと呼ばれる二人の掛け合いは凄まじく、当然歌い手には高い歌唱力が求められる。
それぞれが舞台に楽器のセッティングを始める。
本来であれば運営側の誰かが止めるべきだろう。
しかし運営側も誰一人として二組を止めない。
イベント運営側も観たいのだ。
彼らの現在の実力を。
イマイチ乗り気でない碧志に緋砂人が耳打ちをする。
その耳打ちを受け碧志の表情が変わる。
緋砂人「やり方は任せる。碧志は自由にやってくれ」
桃華「私は私は!?」
緋砂人「桃華は碧志に合わせつつミスをしないように」
桃華「もー!!」
緋砂人「猶黄はいつも通りに。紫乃は全体の指揮を取ってくれ」
紫乃「緋砂人は楽しませて貰うってとこか?」
緋砂人「そうゆうこと♪さぁ!楽しい音楽の時間だ!」
リラックスしたNSEとは対照的にロゼリアは緊張の面持ちで準備を進めていた。
友希那「準備はいい?」
紗夜「あそこまで言われてミスするわけにはいきません。気を引き締めて行きましょう」
リサ「友希那も紗夜も落ち着いて!ホントにやるの!?私達の敵う相手じゃないって」
紗夜「今井さん、いくら格上とはいえ数年間も合わせていないバンドを倒せないようではFWFに出るなんて出来ません!それに彼らに私達のような息の合った演奏はできないはずです」
リサ「そうだけど……」
あこ「妾の闇に潜む混沌の力を示す時が来た!」
リサ「あこまで……」
燐子「………………」
唯一無言だった燐子はこの対決を止めるべきか悩んでいた。
燐子はピアノのコンクールを含めロゼリアの中では大舞台での経験はメンバーでも一二を争う。
その中で今のロゼリアの状況は最悪だった。
自分達の方が優れているという根拠は他ならぬNSEが音を合わせていないという相手任せの根拠であり、NSEは自分達の演奏なら大丈夫と自信を持っている。
更に格上の相手がどれだけ演奏できるか未知数という点とミスはできないというプレッシャー。
燐子は過去に数人の怪物や天才と呼ばれる類いの人達を目撃したことがあるが、NSEは全員から同等といえる程のオーラを感じた。
そして天才達はいつも常識を簡単に凌駕する。
しかし高まる士気を前に燐子は止める事ができなかった。
紫乃がベースを取り出すと周囲の視線を彼が独占した。
『Sugi NB5E 432 POP 5弦 エレキベースの特注品』。
彼が相棒を取り出すと周囲がざわついた。
バンドマンB「レフティ……。格好いいな」
バンドマンC「見逃すなよ。やつの演奏が生で見れるなんて今後無いかもしれないぞ」
バンドマンD「アイツ、5弦ベースなのか」
ロゼリアの今井リサは自分の4弦のベースと相手の5弦のベース、この時点で既に敗北感を覚えていた。
ひさと「準備はいいかな?Roseliaの皆さん?」
友希那「いつでもいいわ」
ひさと「入りはロゼリアに任せよう。俺達が後から入る形で。それではどうぞ」
「♪~♪~♪♪♪」
友希那「♪~♪♪」
ひさと「♪♪~♪♪~♪」
周囲は驚愕する。
稲葉緋砂人と湊友希那の歌唱力の高さに。
緋砂人はNSEを解散してからどこのバンドにも所属していない。
当然ボイトレなどもしていない。
その上での圧倒的歌唱力、まさに天才。
友希那もそんな天才に喰らい付いている。
奇跡の歌声と孤高の歌姫。
二人の高レベルな闘いに周囲は魅力される。
現状ではNSEがやや優勢であるが二組が同時に演奏を始めた瞬間、状況は一変した。
初対面のバンドの同士の演奏とはほぼ音が合わない。
しかし合わせる為には音の土台を決めてそれに合わせることが最優先とされる。
音の土台はつまりリズム隊、ドラムとベースである。
その中で今沢紫乃・神保猶黄は格の違いをまざまざと見せつける。
碧志というファンタジスタのようなギタリストがいながらも、NSEに音の土台は全くブレる事はない。
リサとあこは数小節で自分達が敵う相手では無いと理解した。
キーボード対決は思いの外互角である。
桃華(うん!この子可愛いしキーボードも巧い!ピアノ歴長そうかな?)
燐子(この人私とは全然違う。音域が広くて多彩。同じキーボードを弾いているはずなのに音選びが全く違う)
お互いがお互いの良さに気付き合っていた。
そしてギター対決は氷川紗夜が碧志に完全に振り回されていた。
紗夜(市ヶ谷先生はリズムキープも巧いですが、それ以上にチョーキングやミュートを全てのリフに入れてくる。派手な演奏テクとは裏腹になんと細やかな演奏なのかしら)
碧志(Roseliaは全体的に音が硬い。緊張しているのか?)
碧志の察した通りRoseliaは極度の緊張とNSEの想像を遥かに上回る演奏に軽いパニック状態になっており、自分達の演奏ができていなかった。
更にトドメと言わんばかりにギターのソロパートで悪魔の一撃がRoseliaに突き刺さる。
紗夜「♪~♪♪~♪」
碧志「♪♪♪♪~♪~♪」
紗夜・燐子・友希那「!?」
本来革命デュアリズムのソロパートのリフは一つである。
しかし碧志はRoseliaの『Determination Symphony』の冒頭のギターソロをアレンジしたリフを奏でた。
碧志としては緊張しているRoseliaの曲を弾いてリラックスさせようと無意識で演奏したのだが、受け手のRoseliaにとっては全く違う印象を受けた。
『お前達の曲くらい俺は簡単に弾ける』
そう言われているようだった。
決意の調べを軽々しく踏みにじる悪魔の一撃。
氷川紗夜へのダメージは想像以上に高かった。
紗夜は演奏を止めた。
そもそも碧志の一番の強味は派手な演奏テクでも細やかな基本テクでも無い。
他人の技術を模倣して自分の物にする模倣力が圧倒的に高いのだ。
これは高校時代に一人で練習に明け暮れた時に身に付いた能力である。
更に碧志の演奏レベルは依然より遥かに高くなっている。
今まで自分の演奏を見失いながらも地道に磨いて来た土台となるテクニックとギターを続ける事を自らに許し、覚悟した事で覚醒した精神が経験値として一気に還元され碧志を更なる高みへ押し上げた。
化ける奴は一瞬で化ける。
碧志は紫乃達がいる怪物達の領域に一歩足を踏み入れた。
そしてその碧志のアレンジに付いていける演奏者はRoseliaにはいなかった。
友希那「………………」
緋砂人「♪~♪♪♪~♪」
友希那「!?♪~♪♪~♪」
友希那は歌う事を忘れていた。
今までそんなミスをした事など一度もない。
それほどまでにショックが大きかった。
ボーカルが歌うのを忘れるなど言語道断である。
Roseliaの柱である湊友希那のあり得ないミスにRoseliaは完璧に崩れていく。
「♪~♪♪~♪♪♪」
二組の演奏が終わる。
誰が見ても結果は一目瞭然である。
しかし緋砂人は性格が悪いので敢えてRoseliaを称賛した。
緋砂人「いや~Roseliaの皆さんの演奏素晴らしかったですね~。勝敗はどうします?Roseliaの勝ちにしましょうか?」
緋砂人は完全に友希那下に見ている。
事実を口にさせる事で完全に優勢を得ようとしているのだ。
"敗北"を口にするのは圧倒的屈辱。
友希那は唇が切れるくらい噛み締めて僅かに口を開いた。
友希那「私達の……負け……です」
周囲は完全に言葉を失っていた。
NSEの演奏力は解散前より高まっていた。
今からまた再結成しても頂点を狙えるだけの実力がある。
何故解散に至ったのか周囲は全く理解できていなかった。
緋砂人「使うかい?」
緋砂人はお気に入りの真っ赤なタオルハンカチを友希那に差し出した。
友希那「いえ、結構です……」
緋砂人「紫乃、総括を頼む。多分お前が一番周りを見れてる。どのパートはどっちが良かったか教えてくれ」
紫乃「はぁ……面倒くさい。終わったら焼肉な……。まずはボーカル。ここは思ったより遥かにRoseliaのボーカルが良かったと思う。ただ歌を飛ばすなんてボーカル失格だな。それに致命的な欠陥あるようだしな」
友希那「致命的な欠陥!?」
紗夜「湊さんにそんな物は存在しません!」
紫乃「今のレベルのライブで演奏を続けるなら構わないがFWFに出るならお話にならない。世界を舐めるな!」
この言葉がボディブローのように友希那の中心に響いた。
この中で最も世界を知る男からの言葉はとてつもない重さであった。
紫乃「ギターは圧倒的に碧志の勝ちだ。演奏を止めるとは何事だ。ギターを弾かないギタリストはただの人だ。演奏者以外はとっとと舞台から降りろ。覚悟が無いならギターを握るな」
完璧なまでの敗北に紗夜は全く口を開けなかった。
紫乃「キーボードは桃華の判定勝ちだな」
紗夜「待ってください!白金さんが小室さんに劣っている所は無かったと思います!」
桃華「そーだよー。燐子ちゃん凄く上手だったよ?可愛いし!」
紫乃「確かに最後までちゃんと演奏できていたな。しかし碧志のアレンジに全く付いて行けてなかった」
燐子「…………」
紫乃「君はきっとクラシック出身のピアニストだろ?クラシックのピアニストは譜面の奴隷だからな。だから君は咄嗟なアドリブに弱い」
燐子「!!!」
燐子は絶句した。
紫乃は一度の演奏を聞くだけでそこまで理解したのかと。
そして専門では無いピアノについても理解した上でのこの発言。
紫乃の音楽に対する姿勢を燐子は感じた。
紫乃「それに桃華は元々マルチキーボードを得意とするキーボードプレイヤーだ。二刀流相手に一本で互角で引き分けと言えるか?」
桃華「今は三刀流だよ?えっへん♪」
紫乃「グランドピアノが弾けるからキーボードも弾けると思っているなら顔を洗って出直してこい」
燐子「…………」
まさに正論。
圧倒的な音楽に対する知識と現実主義にRoseliaのメンバーは彼に対して疑いを捨てた。
紫乃「ドラムとベースは俺と猶黄の圧勝。ドラマはリズムキープがイマイチだし、ベーシストは俺の音に釣られ過ぎだ。リズム隊がバンドの出来を左右する。お前達はまるで素人だな。よって5-0で俺達の勝ちだ。異議があれば聞こう」
当然異議は無い。
周囲の反応を確認してから紫乃はベースを締まって帰る準備をした。
紫乃「碧志、しばらくお前には練習に付き合ってもらうぞ」
碧志「分かったよ」
碧志と紫乃が会場を後にする。
それに続いて猶黄・桃華と続き最後に緋砂人が手をヒラヒラさせながら退場した。
Roseliaは屈辱でしばらくその場から動けなかった。
いかがでしょうか?
今回はRoseliaの二章とNSEの復活エピソードも入ってくるのであと1話か2話くらいは続きます。
ポピパファンの皆さんごめんなさいねm(_ _)m
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特に評価・感想は執筆の励みになりますのでよろしくお願いしますm(_ _)m
ではまた次回、ほなっ!(^^)ノシ