流星堂の新米教師(仮)   作:テレサ二号

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どうもテレサ二号です。
だいぶお久しぶりになってスミマセン。
最近はもうひとつの作品に力を注いでました(  ̄▽ ̄)
あとはFGOの新章を進めていました。
俺の相棒の武蔵ちゃんが儚かった…………。

さて余談はこの辺にして今回は前回に続いてRoselia二章の完結編です。
それでは本編です!!


#16 LOUDER

紗夜「失礼します。市ヶ谷先生はいらっしゃいますか?」

 

Roseliaのバンド内の揉め事があった数日後、紗夜は碧志を訪ね、職員室を訪れていた。

 

碧志「こんにちわ氷川さん。俺に何か用ですか?」

 

紗夜「はい、実は2つお願いしたい事がありまして」

 

碧志「お願い?」

 

紗夜「はい、一つ目はこれを稲葉緋砂人さんに渡して欲しいと湊さんから」

 

碧志は手紙のような物を受け取る。

""招待状 稲葉緋砂人様"

 

"湊友希那"

 

と書かれていた。

 

碧志「了解です。ただ緋砂人のやつ、ここ数日電話に出なくてね?連絡がついたら渡しておくよ。アイツ、きっと喜ぶぞ」

 

紗夜「稲葉さんは湊さんを敵対視しているように感じますが、喜んでくれるでしょうか?」

 

碧志「アイツなりに友希那ちゃんを気にかけてるみたいだし、素直には喜ばないとは思うけど、きっと招待は受けると思うぞっと」

 

そういうと碧志は招待状をデスクに閉まった。

 

碧志「それともう一つは?」

 

紗夜「もう一つは今井さんからのお願いなのですが、ベースの今沢さんを紹介して欲しいようです」

 

碧志「紫乃を?」

 

紗夜「はい、要件については私にも伝えられていません。今沢さんと唯一の繋がりが市ヶ谷先生なので、私に頼んできたのだと思うのですが……」

 

碧志「俺と紫乃はここ最近はサークルに入り浸ってるから、放課後にサークルに来てくれれば紹介するよ。ただアイツは気難しいやつだという事は今井さんには伝えておいてくれないかな?」

 

紗夜「分かりました。しっかり伝えておきます。…………そういえばNSEさんの解散ライブの出演者はもう決まったのですか?」

 

碧志「まだ確定してないんだ。今回の解散ライブの出演者は俺達メンバー一人一人が1グループずつ推薦するようになってて合計6バンドでの対バン形式になってる」

 

紗夜「市ヶ谷先生は推薦されたんですか?」

 

碧志「あぁ俺は有咲達、Poppin'Partyを推薦したよ」

 

紗夜「それで最近戸山さん達が気合いを入れて練習している訳なのですね」

 

碧志「みたいだね。ホントはもう1グループの推薦権も持ってたからRoseliaかAfterglowを推薦しようと思ってたんだけど、紫乃が推薦したいバンドがあるっていうから紫乃に権利を返したんだ」

 

紗夜「そうだったのですか。あと何グループ残っているのですか?」

 

碧志「あと緋砂人の推薦が決まれば全グループ決まるよ。アイツ中々決めなくて俺達も困ってるんだよ」

 

紗夜「早く決まるといいですね。それでは失礼します。湊さんと今井さんの件、お願いしますね」

 

碧志「あぁ、ありがとう」

 

碧志は紗夜に手を振ると自身の業務に戻った。

 

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

 

来る放課後、リサはサークルを訪れていた。

 

紗夜「今井さん、本当に一人で大丈夫ですか?」

 

リサ「うん、これはアタシがやりたい事だから。アタシが一人でいかないと……」

 

紗夜「市ヶ谷先生は紳士的で優しい方ですが、今沢さんは気難しい方だと市ヶ谷先生も仰っていましたよ?」

 

リサ「うん、それでもRoseliaの実力の底上げにはアタシの演奏技術アップが必須だから!行ってくるね、紗夜!」

 

リサは紗夜に手を振るとサークルの中に入って行った。

 

 

 

 

まりなから許可を貰い、スタジオに入る。

何個かのスタジオを通過し目的のスタジオの入口に手をかける。

 

リサ「失礼しま~す」

 

そーっと扉を開くとけたたましいギター音とそれを制するように美しく流れるベース音がリサを出迎えた。

 

「♪♪♪~♪♪♪~♪」

「♪♪♪♪♪~♪♪」

 

リサが入室した数瞬後には紫乃は演奏を止めた。

 

碧志「どうしたんだよ急に?」

 

紫乃「何の用だ?」

 

入口に立つリサに紫乃と碧志の視線が向けられる。

 

リサ(えー!あれだけ集中していてアタシが入った事に気がついたの!?)

 

碧志「なんだ、Roseliaの今井リサちゃんか。氷川さんから話は伺っているよ」

 

紫乃「ロゼリア?どこかで聞いたことある名前だな」

 

碧志「この前、SMSのリハで対バンしただろ!」

 

紫乃「あぁ、あのバンドか……」

 

リサはこの時点で自分達は眼中にも入っていない事を察した。

 

紫乃「それで?そのお嬢さんが何の用だ?」

 

リサ「あのっ!アタシにベースを教えてくれませんか!?」

 

紫乃「俺が?君に?」

 

リサ「確かにアタシは今沢さんみたいにベースの才能なんて無いですけど、今はRoseliaの為に少しでもベースが巧くなりたいんです!」

 

紫乃「…………では俺から質問だ。今のお前は何だ?」

 

リサ「今の…………アタシ……?」

 

紫乃「今の君はRoseliaのベーシストでは無い、ただの今井リサだ。何故か分かるか?」

 

リサ「それは…………」

 

リサは紫乃の質問の意図が掴めていない。

リサの答えを待っていた紫乃だったが、中々出ない回答に痺れを切らし答え合わせを始める。

 

紫乃「今の君はベースを握っていない。だからただの今井リサだ。……確かに俺はプロのベーシストの父とバイオリニストの母を持ち、最高の遺伝子と最高の環境で育った。ただここに至るまでに血の滲むような努力をしている。周りの子が友達と遊んでいる時もベースを弾き、夏祭りで思い出を作っている時もベースを弾き、クリスマスやお正月も返上でベースを弾いている。才能なんて言葉は頂きまで登った者がその次のステージに足を運べるかどうかで使うもの。今の君はそこまでの努力をしていない…………俺ならそんな言葉を吐き出す暇があったらベースを握っている」

 

完璧なまでの論破。

そしてストイックさ。

軽い気持ちでここに来ていた事をリサは後悔した。

そんなリサに追い討ちがかかる。

 

紫乃「今の君はベースに全てを賭けていない。だから君の音は軽い」

 

改心の一撃。

リサはショックのあまり涙が流れ出した。

自分が情けない。

その程度の覚悟でこの"天才"の前に立ってしまったこと。

そんなリサに救いの手が差し伸べられた。

 

碧志「大事なのは過去ではなくこれからなんじゃないのか?」

 

紫乃「これから?」

 

碧志「そう……。確かにリサちゃんはここに来るまで、ベストを注いでいるとは言えないかもしれない。ただこれからのRoseliaの為にリサちゃんなりにベストを尽くそうとしている。その想いは悪い事なのか?」

 

紫乃「教育者みたいな発言だな」

 

碧志「教育者だからな」

 

紫乃・碧志「ふ、ふふ、アハハ!!」

 

紫乃と碧志は久しぶりのやり取りに思わず声だして笑った。

そして紫乃はリサのお願いの回答をする。

 

紫乃「えっと……リサちゃんだったね?俺にベースを教えて欲しいというお願いは断らせて貰う。俺と君のベースは弦の本数も違うし、俺と君とではタイプが違うからな」

 

リサ「そうですか……」

 

紫乃「…………ただここに来て、俺の演奏を見る事は許可しよう。そして休憩時間に質問をすることも許可する。俺は日本にいる時間は長くは無いが、その間に君の疑問には全て答えよう」

 

リサの表情が明るく色付く。

 

紫乃「さて碧志、練習を続けるぞ」

 

それからのリサは紫乃の技術を盗もうと一挙手一投足全てに熱い視線を送った。

 

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

 

翌日、花咲川女子学園の校門前に立つ男が1人。

 

『あの人他校の人かな?』

 

『スッゴイイケメン……声掛けようかな』

 

『誰を待ってるんだろう……』

 

通り過ぎる女子生徒達の視線を集める男は全くその視線に答える素振りを見せなかった。

 

香澄「ありさ~、今日はおたえとりみりんと沙綾は遅くなるって~」

 

有咲「マジか、だったらしばらく二人で練習だな」

 

香澄「ふふ、今夜は二人きりだね☆寝かさないぞ仔猫ちゃん☆」

 

有咲「はいはい、キャー怖い怖い」

 

香澄「ちゃんと突っ込んでよー!!…………ってあれは?」

 

香澄と有咲が校門に立っている男を捉える。

 

有咲「稲葉緋砂人!!」

 

急に呼ばれた自らの名前に緋砂人は驚きながらも有咲と香澄をその視線に捉えた。

緋砂人は少しずつ二人に歩みを寄せる。

 

香澄「あぁ!!あの碧志先生のバンドのボーカルの人だよね!?」

 

香澄はその場を駆け出し、緋砂人の元に駆け寄ると両手を握った。

 

香澄「あのっ!!この前のライブ凄かったです!!一曲しか歌ってないのにみんな碧志先生達のバンドに視線を奪われてました!!」

 

緋砂人「あ、ありがとう……」

 

香澄「それから!歌がとても上手くて声が綺麗でした!何か気を付けている事とかあるんですか!?それから!!」

 

有咲「おい香澄!!困ってんだろ!!」

 

有咲が香澄を引き剥がす。

香澄は悲しそうな声を上げながら引き剥がされた。

 

緋砂人(た、助かった……)

 

有咲「今日は何の用ですか?碧志なら多分まだ職員室にいますよ?」

 

緋砂人「今日は碧志に呼び出されて来たんだ。渡したい物があるってな?まぁそれはオマケだ」

 

緋砂人は有咲を壁に押し付けると片腕で進路を塞いだ。

いわゆる"壁ドン"である。

 

緋砂人「この前は有咲ちゃんからのお願いを俺が聞いたよね?今度は俺のお願いを有咲ちゃんが聞いてくれないかな?」

 

有咲「ちょっ!ちょっま!!ちょっ!!」

 

緋砂人はファッションモデル。

その容姿は碧志を凌ぐ程整っている。

そんな緋砂人に言い寄られ、有咲はタジタジである。

 

沙綾「有咲ピンチだねー」

 

香澄「碧志先生とどっちに流れるのかな?」

 

たえ「これがモテ期ってやつー?」

 

沙綾「ちょっと違うかなー」

 

有咲「お前ら助けろよ!!」

 

合流したが事の成り行きを呑気に見守っていた、沙綾とたえに有咲は突っ込んだ。

 

香澄「早かったね?りみりんはー?」

 

たえ「日直だよー」

 

沙綾「日誌を碧志先生に出して荷物を取ったら蔵に直接行くって」

 

有咲「コイツら、私の事を放置して会話を続けてやがる……」

 

沙綾「まぁ、冗談はこれくらいにして……。そろそろ有咲の事を離して貰えますか?いくら碧志先生のお友達でも、度が過ぎると私達も誰かを呼ばないといけなくなるので……」

 

緋砂人「確かにこれはちょっとやり過ぎたかもね……。スマナイ。碧志に見られたら殺される所だった……」

 

緋砂人は有咲から手を引いた。

 

有咲「大体、緋砂人さんには恩がありますのでいつか返したいと思ってたんで余程のお願いじゃなければ断りませんよ……」

 

沙綾「それで?お願いって何ですか?」

 

緋砂人「…………俺にキーボードを教えてくれないかな?」

 

有咲「あぁ…………それくらいなら別に…………ん?…………えぇぇぇぇ!?」

 

香澄「もしかして弾き語りでデビューするんですか?」

 

緋砂人「ブー。ハズレー」

 

たえ「幼稚園の先生になる!」

 

緋砂人「ブッブー」

 

有咲「会話を続けんな!!」

 

沙綾「アハハ!碧志先生のお友達って言うからもっと真面目な方だと思ってました」

 

緋砂人「碧志は硬いからねー」

 

有咲「それで?理由は?」

 

緋砂人「…………今はまだ言えない。碧志達にも相談しないといけないから。全てが決まったら君達には事情を説明するよ。ただ今から動いておかないと間に合わないリスクが発生するからそこだけは抑えたいのさ」

 

有咲「…………分かりました。それじゃあ、またスマホに連絡ください」

 

緋砂人「あぁ、頼むよ」

 

緋砂人がはにかむと有咲は少し頬を赤らめた。

 

緋砂人「それにしてもみんな可愛いねー?碧志が対バンの相手に推薦するわけだー」

 

碧志「俺の可愛い妹と教え子達に手を出したら半殺しだからな」

 

緋砂人「いって!!」

 

碧志は学級日誌の面で緋砂人の頭を叩いた。

 

緋砂人「叩く事は無いだろー」

 

碧志「御慈悲に感謝するんだな」

 

たえ「さっきまで有咲に壁ドンしてたよー」

 

緋砂人「おい!バラすなよ!!」

 

碧志「いずれの道にもわかれをかなしまず」

 

緋砂人「おいっ!宮本武蔵の辞世の句なんて詠むな!!」

 

碧志から一瞬だけ六道のようなオーラが出たのを緋砂人は見逃さなかった。

 

碧志「ったく……それに!一週間も連絡が取れずにどこをほっつき歩いてたんだ!」

 

緋砂人「ふっふっふっ……、良くぞ聞いてくれた……。実はこの一週間……ボーカル仙人の下で修行をしていたのじゃ……」

 

碧志は学級日誌の角で緋砂人を叩いた。

 

緋砂人「カド…………」

 

碧志「たく……お前ってやつは……まぁいいや。これ、Roseliaの湊友希那ちゃんから…………招待状だってさ」

 

緋砂人「……招待状ねぇ。俺を呼びつけるなんていい身分になったもんだな」

 

緋砂人は舐めるように招待状を見回す。

 

緋砂人「Roselia第二章の幕開けに貴方を招待しますねぇ……」

 

碧志「それじゃ、約束は果たしたからな。行くも行かないもあとはお前次第だ。紫乃を待たせてるから俺は行くぞ……」

 

緋砂人「なぁ碧志……」

 

碧志「ん?」

 

緋砂人「この日…………付き合ってくんない?」

 

緋砂人は友希那の招待を受ける事にした。

 

 

 

 

 

 

_______________

 

 

 

 

 

 

ライブ当日。

招待を受けた緋砂人達は観客席の後方から事の成り行きを見守っていた。

 

友希那「Roseliaです。まずは一曲目を聴いてください『LOUDER』」

 

「♪♪~♪~♪」

「♪~♪~♪♪♪」

 

ギターのソロが静まった空気を引き裂き、ドラムとキーボードのカットインが反響して会場を熱くする。更にベースの重低音が床面に振動を伝える。

その音に支えられるように友希那の歌が空間を支配する。

 

緋砂人は驚くと同時に何かを悟ったように口を開いた。

 

緋砂人「…………そうか、お前は引き継ぐ者か」

 

Roselia第二章の幕開けに相応しい。

進化したRoseliaの音楽がそこにはあった。

オーディエンスの心を惹き付け離さない音楽がそこにはあった。

自らを許し、認め、慈しみ、全てを受け入れた"音"がそこにはあった。

 

Roseliaの新曲である『Neo-Aspect』が終えると会場の空気は最高潮に高まっていた。

 

緋砂人「ちと挨拶に行ってくるわ……」

 

碧志「緋砂人!?」

 

緋砂人は観客席の後方からステージに向けて歩みを寄せるとステージに上がり、湊友希那に正対した。

 

友希那「お久しぶりです」

 

緋砂人「あぁ、そうだな」

 

本来であれば観客やスタッフは緋砂人を止めるべきである。

しかしSMSのリハや当日の演奏は動画サイトを通じて、国内に流れている。

つまりこの会場にいる者はほぼ知っている。

 

飛ぶ鳥を落とす勢いで名乗りを上げてきたRoseliaの湊友希那に初めて完璧な敗北を与えた男がステージに上がり正対している。

会場は二人の一挙手一投足に視線を集めた。

 

緋砂人「少しはマトモに歌えるようになったみたいだな」

 

友希那「おかげさまで」

 

緋砂人が胸ポケットからレターセットを取り出した。

 

緋砂人「これは俺達からの挑戦状だ。逃げたければ逃げてもいい。すでに舞台は整いつつある。お前達より格上のバンドが集まる。それでもいいのなら……」

 

友希那「私はもう逃げない!!」

 

友希那は緋砂人から挑戦状を奪い取った。

 

緋砂人「オーケー。それじゃ、次は決戦の舞台で会おう」

 

会場からこの日一番の割れんばかりの歓声が上がった。

ステージを降りた緋砂人は碧志の下へ戻ると帰ろうと促した。

 

碧志「まさかお前がRoseliaを招待するとはな」

 

緋砂人「別に?ただ……」

 

碧志「ただ?」

 

緋砂人「湊友希那の底を見てみたくなっただけだ」

 

そこにはあの日、友希那を完全に下に見ていた稲葉緋砂人の姿はもう無かった。

 

 

運命の日が刻一刻と迫っている。

 

 

 

 




いかがでしょうか?

いよいよ次回から少しずつ解散ライブに向けて物語が加速していきます。

その中でポピパやRoseliaの立ち位置に注目していただければなぁと思います(^^)

それでは評価・ご感想・お気に入り登録ドシドシお待ちしております。
特に評価・感想は執筆の励みになりますのでよろしくお願いしますm(_ _)m

ではまた次回、ほなっ!(^^)ノシ
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