よろしくお願いします。
桂花視点です。
北郷一刀が天の国へ還った。
華琳様が呉蜀の同盟を打ち破り、和議を結んだ。
事実上の大陸制覇の夢を成し遂げたのだ。
長い戦の時代も終わり、これから始まる平和の時代への祝宴が開かれる中、一刀と共に暫く姿が見えなくなっていた華琳様が、目の下を腫らして帰って来た。
酒を浴びる程飲み、既に出来上がってる周りは気付いていなかったみたいだけど、私だけは見逃さなかった。
だけど、聞いてみても
「酔いが回っただけよ。少し風に当たっていたの」
とだけ言って宴の中へと消えていってしまった。
私は、何も言えなかった。
私は、何も聞けなかった。
一刀は?なんて、聞ける訳がなかった…
翌日、宴も終わり呉蜀の人間達は自分の国へと帰って行った。
戦が終わったらはい平和です、という訳にもいかない。
三国での同盟、国境や道の整備。
やる事は山ほどある。
これから忙しい毎日が始まるという最初の朝。玉座に全ての将が集めまれた。
だけど、その中に一刀の姿は無かった。
「皆、酔いはしっかりと覚めているかしら?」
「華琳様。まだ北郷の馬鹿が起きて来ておりませんが」
「そうね。その話をしないとね」
華琳様の顔に影が差した。
「一刀は、天の国へ還ったわ」
静寂。
誰も、声を発する事が出来なかった。
風や稟は勘づいていたみたいだけど、他は華琳様の言葉の意味を理解出来ていない様だった。
「あ、あの…華琳様…?お言葉ですが、お戯れにしては、少々…」
華琳様の言った事の意味を理解出来なかったのか、理解したくなかったのか、春蘭は顔を少し引き攣らせながらなんとか言葉を捻り出す。
「これは、嘘でも遊びでもなく、事実よ」
暫くの静寂の後、沙和が膝から崩れ落ちる。
そして、泣き出す者、呆然と華琳様を見続ける者、ただじっと拳を握り締め、震える者。
ざわつく一同を見て、華琳様が声を上げる。
「今は泣きなさい。今は怒りなさい。でも、私達にはこれからやらなければならない事が山ほどある。
私達が掴み取った平和、今まで死んでいった、奪ってきた民達の願った平和。
そして、一刀が作ってくれた平和を、私達が繁栄させる。
その義務がある!」
「だから、今は泣いて、泣き終わったら仕事に入りなさい」
それだけ言い残し、華琳様は玉座を後にした。
去っていく華琳様の頬には、涙があった。
私は、悔しかったのだろうか。
私は、羨ましかったのだろうか。
一刀は華琳様の隣にいた。
私が居たかった場所、焦がれた場所。
私が、憧れた場所。
一刀が居なくなって清々した。
これで、憧れの場所へ行ける。
これで、華琳様の隣へ立てる。
そう思った。
けど。
だけど。
何故、こんなに、辛いんだろう。
文章書くって大変ですね。