「桂花!今日休みだったよね!」
「…は?」
人が折角華琳様から頂いた休暇をゆっくり過ごして居たのに、脳が下半身と直結してるこの男は何の前触れもなくそれをぶち壊しに来た。
「私が休みだったらなんなのよ」
見れば、脇に小さな酒樽を抱え、小さな花のついた木の枝を持っていた。
あの花は…なんだったかしら?
「ほら、最近少し冷えてきただろ?さっき警備隊で街を回ってた時にオヤジさんから良いお酒を貰ったから一緒に飲んで暖まろうと思ってさ」
ニコニコしながら嬉しそうに言うこの顔が憎たらしかった。
「で!なんで!私が!折角の休みをアンタと酒を飲まなきゃならないの!」
「はは、相変わらず手厳しいなぁ。思いつきって訳じゃないんだけど、ほら、この花見たら桂花と一緒に飲みたくなったってのもあってさ」
そう言って一刀は手に持った花を見せてきた。
そう、確かこれは…
「俺の居た国だと、銀木犀って言うんだけど、こっちだと桂花って言うんだろ?」
そう言いながら私の向かいに”勝手に”座り、杯にお酒を注ぎ始めた。
そして、互いのお酒に花を乗せる。
「アンタ…分かってやってんの?」
「ん?何が?」
はぁぁぁぁぁ…
つい溜め息が出る。
コイツと話してるといつも頭が痛い。
勝手にやって来て勝手に私を掻き乱す。
「お花見ってあるだろ。まだ桜や桃の咲く季節じゃないけど、お酒に花弁が乗ると風流だねなんて言いながら飲むもんなんだってさ。自分で乗せちゃ意味無いけど」
そう言って笑いながら自分の杯を空ける。
私も、これ以上怒鳴った所でコイツが居なくなる訳もなく、仕方なく口をつける。
「ん…意外と美味しいじゃない」
ついつい美味しくてすぐ飲み干してしまった。
それを見て嬉しそうに新たに注いでくる。
「確かに美味しいお酒だけど、これで酔わせて襲おうったってそうはいかないから」
「はは、違う違う。あわよくばって思わない事はないけど、今日は本当に桂花と飲みたかっただけだよ。
最近忙しかっただろ?少しでも疲れを取れたらなって」
ほら、やっぱり。
コイツの脳は下半身と直結してるどころか、下半身に脳が付いてるんじゃないかしら。
そう思いながらも、飲む手は止まらなかった。
このお酒に罪はない。
今回は、素直に受け取ってあげてもいいかしら。
普段では思いもしない事を思ってしまう。
これもきっと、お酒のせい。
「銀木犀って、普段は気にした事無かったけど、良い香りだな」
花の浮かぶ杯を見ながら少し赤くなった顔で言う。
「これまた俺の居た国の話しなんだけどさ。花言葉ってのがあるんだ。色んな花や木に意味を持たせて、相手に送ったりって風習があるんだよ」
私の方を見て笑いながら
「銀木犀、桂花の花言葉は初恋、唯一の恋、なんだよ」
そう言った。
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「ん、んん…」
朝。
華琳様の口から北郷一刀が天の国とやらに還ったと聞かされてから数日が経った。
なんだか懐かしい夢を見た気がする。
これからが国にとって、大陸にとって1番大事な時期だ。
感傷に浸ってる場合じゃない。
目を覚ますため、頬を軽く叩いてから着替えて私は玉座へとむかう。
少し違うけど、よく分かんない人は銀木犀 酒で調べてみてください。
お洒落で素敵過ぎて腰を抜かします。