ちょっとした短編集   作:ミストラル0

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とりあえずリアルが落ち着いてきたのでこちらも久しぶりに投稿です。

今回は雪兎と交流会のなかった勇者達とのショートエピソード集となります。


あとがきにて重大発表が………


ゆゆゆい編⑦ 魔王と勇者の交流会

CASE1 乃木若葉

 

「は?手合わせがしたい?」

 

雪兎達が香川組に合流して数日が経ったある日、西暦勇者のリーダーである乃木若葉が手合わせしたいと雪兎に願い出た。

 

「何で俺に?」

 

「時雨さんから雪兎さんが剣術を使うと聞きまして」

 

「あいつの仕業かよ………」

 

どうやらその情報を洩らしたのは時雨らしい。

 

「………受けてはもらえないだろうか?」

 

「はぁ………わかったよ」

 

という訳で二人が模擬戦をする事になったのだが………

 

「何でギャラリーこんなにいんの?」

 

「私にもさっぱり………」

 

模擬戦をやるために体育館を訪れると、既にギャラリーで一杯になっていたのだ。

 

「そういえば、手合わせを受けて貰えたと時雨さんに話したような………」

 

「それが原因だろ、絶対………」

 

またしても原因は時雨らしい。

 

「まあ、邪魔にならない範囲にいる分にはいっか」

 

「使うのも真剣ではなく木刀ですしね」

 

ギャラリーに邪魔にならないよう離れて観戦するように通達して二人は模擬戦を始める。

とはいえ、最初はお互いの出方を伺うような睨み合いが続く。

 

(一見隙があるように見えるが、おそらく誘い罠の類い………しかし、ここはあえて死地へと飛び込む!)

 

そして、意を決して若葉が仕掛けると雪兎はそれを受け流し、そのままカウンターで胴を狙うが若葉も素早く横に跳んで躱す。

そこに雪兎が斬り掛かり鍔迫り合いとなる。

 

「やるじゃねぇか、乃木」

 

「雪兎さんこそ!」

 

そこからは凄まじい剣戟の連続で観客達も自然と声を潜め決着を見守る。

 

「このままだと埒が明かないな………お互いに決め技があるんだし、次の一手で決めようぜ」

 

「いいでしょう」

 

そう言ってお互いに一度距離を取り、それぞれ必殺の一撃を放つ構えを取る。

 

「我が気炎、刃に集え………」

 

「一閃………」

 

「奥義、暁の太刀!」

 

「緋那汰ァアアアア!」

 

木刀とはいえ勇者と魔王の気を込めた一閃は凄まじく………

翌日、体育館は使用不可能となり、原因となった雪兎と若葉は風とひなたの監視の下に体育館の修繕を行なった。

 

 

***********************

 

 

CASE2 土居球子

 

その日、雪兎は通学にも使用している愛用のロードバイクをメンテしていた。

 

「大分チェーンがヘタってきてんなぁ………今度交換して直しとかないと切れたり外れそうだな」

 

「おっ?雪兎じゃないか………って、それ、ロードバイクか!」

 

そこにやってきたのは土居球子。彼女はアウトドア趣味でロードバイクも嗜んでいるようで、雪兎のロードバイクに興味津々のようだ。

 

「土居か。こいつは通学用に使ってたやつで、色々カスタマイズしてあるんだ」

 

「ほうほう!」

 

「確か土居もロードバイク趣味なんだったな?」

 

「ああ!だがタマのバイクは持ってきてないからなぁ………」

 

「俺のは偶々俺が開発した収納ツールに入れてたから持ってこれただけだしなぁ………そうだ!」

 

「ん?」

 

「これから行きつけのロードバイクの専門店に行くんだが、一緒に来るか?」

 

「いく!」

 

という事で商店街のロードバイク専門店にやってきた二人。

その途中で球子の舎弟のような関係になっている三ノ輪銀も付いて来る事になり、三人で店の中を見て回る事になった。

 

「おお〜!!これはタマが乗っていたバイクの最新モデルじゃないか!」

 

「球子さん、このモデルの使ってたんですか」

 

「俺のやつのベースはコイツな」

 

「えっ、これ結構高いモデルじゃ………」

 

「ちと色々な方法で荒稼ぎしてたんでな」

 

その後、球子は自身の使っていたものの最新モデル。銀は雪兎のオススメのものを購入*1し、今度の土日にツーリングに行く約束をするのだった。

 

 

***********************

 

 

CASE3 伊予島杏

 

雪兎が昔読んでいたライトノベルを探しにに古書店を訪れると、そこには西暦組の一人である伊予島杏がいた。

 

「よっ、伊予島」

 

「あっ、雪兎さん」

 

「伊予島もよく来るのか?」

 

「はい。私が読んでいた本はこの時代だと古書になっているものも多いので。そういう雪兎さんは何を探しに?」

 

「俺は昔読んだライトノベルが久しぶりに読みたくなって探しにな」

 

「参考までにどんなライトノベルなんですか?」

 

「荒廃した近未来で人間に迫害されている天使って呼ばれてる青年達が何やかんやあって世界を救うってやつでな」

 

「それって確か時雨さんも読んでいたような………」

 

杏は元の時代にいた頃に時雨がそれと合致する内容の本を読んでいたのを思い出す。

 

「どうも前世で読んでた本の一部は今世にもいくつかあるみたいでな。俺も時雨からそのシリーズがこっちにもあるって聞いて探しに来たんだ」

 

「そうだったんですか」

 

「あったあった。全巻セットで1500円か………やっぱり古い本だけあってそこそこするな」

 

「あの………」

 

雪兎が値札を見てそんな事を思っていると、杏が声を掛けてくる。

 

「うん?」

 

「それ、読み終わってからでいいので貸してもらえませんか?」

 

「いいぜ。マイナーなシリーズだが、俺は割と好きな本だから読んで話せる相手が増えるのは歓迎だからな」

 

そんな約束をしつつ、同じく古書店に来ていた園子ズとオススメの小説を紹介し合うのであった。

 

 

***********************

 

 

CASE4 高嶋友奈

 

「ほんと見た目ソックリだな、お前ら」

 

「「そうかな?」」

 

その日、偶々練武場を訪れた雪兎はそこで友奈ズと古波蔵棗が稽古をしているところに出くわし、そのまま稽古に混ざって身体を動かしていた。

 

「息もピッタリだな………」

 

「知ってるか?結城の方の友奈の由来、高嶋なんだぞ」

 

「「えっ?」」

 

「何でも昔にいた勇者の一人に肖っているらしくてな、『出産時に逆手を打った娘は友奈と名付ける』って風習があるんだ。由来についてはほぼ風化してて失伝してるみたいなんだが、風習だけは今も残ってるんだ」

 

「「そうなんだぁ」」

 

「リアクションもシンクロしてやがる………」

 

「という事は例の赤嶺友奈という娘も………」

 

「だろうな。赤嶺に関しては古波蔵が昔助けた一族の末裔らしいぞ」

 

「そうなのか………」

 

意外に接点が多かったこの三人について雪兎はかつて調べた事を話していく。

 

「友奈ちゃ〜ん、他の皆さんもそろそろお昼御飯の時間ですよ〜」

 

「あっ!東郷さん!」

 

「高嶋さんの分は私が用意したわ」

 

「ぐんちゃん!今行くね!」

 

「古波蔵はどうする?」

 

「いく」

 

その後、その日の食事当番の作った昼御飯を食べながら西暦時代から神暦時代に伝わったものや雪兎のいる世界と時雨のいる世界の違い等について色々と話す事になった。

 

 

***********************

 

 

CASE5 村上千景

 

『Finish!』

 

「くっ、また負けたわ」

 

「今のは惜しかったねぇ〜」

 

「いくら凄腕ゲーマーだろうと、まだやり始めて数日だってやつに負けられるかっての」

 

その日は雪兎の家の居間にて時雨と千景、それと雨月の四人でゲーム大会と言う名の村上家親睦会を行なっていた。

今やっているのはこの時代の格ゲーで、ゲームの持ち主である雪兎と千景が対戦をしていた。

 

「負け抜けだから次は雨月か」

 

「私も嗜む方ではありますが、銀ちゃん程ではありませんのでお手柔らかに」

 

「ならハンデでコイツでやってやるよ」

 

「そのキャラはコマンドが複雑でコンボを繋ぐタイミングもシビアなのに単発技の威力が全キャラ中最下位のはず」

 

「よく知ってますねぇ〜、千景様。なら私はこちらのキャラを」

 

「雨月ちゃんは雨月ちゃんで置物系のトリッキーなの選んでる………」

 

「いいキャラ選ぶじゃねぇか………これは油断は禁物だな」

 

雨月も千景の子孫という事もあってか中々に上手く、手加減しているとはいえ雪兎を追い詰めれる程の腕前を見せた。

 

「あっぶね………あと1フレーム遅れてたらカウンター入ってたわ」

 

「惜しかったです〜」

 

「そろそろ別のゲームやろうよ〜、このパズルゲームとか」

 

「それはお前(時雨)の得意分野だろうが」

 

「ならこれのスコアを競わない?」

 

そう言って千景が取り出したのはガンコンを使うシューティングアクションの家庭用版だった。

 

「ほう………俺にそれで勝負を挑むか。なら見せてもらおうか、Cシャドウの実力とやらを」

 

その後、すっかり打ち解けた四人は雪兎が作った土佐料理を囲みながらお互いの事を話し合い、その際に時雨がぶちまけた千景の故郷の話で雪兎と雨月がその故郷の跡地を消しに行こうとしたので慌てて止める事となった。*2

 

 

***********************

 

 

CASE6 白鳥歌野

 

「今日はベリーサンクスね」

 

「いいって事よ。こっちも良い野菜を提供してもらってるからな」

 

「私はうたのんにはいっつもお世話になってるしね」

 

その日は白鳥歌野の借りている農園にて収穫の手伝いをしに来ていた雪兎と時雨。

歌野の野菜は雪兎からしても良い野菜らしく、合流後はこうして定期的に手伝いに来ているらしい。

勿論、時雨が召喚された当初から世話になっていた事も雪兎が歌野を懇意にしている理由である。

 

(原作だと遺品に愛用の鍬と野菜の種を残したくらいだしなぁ、こいつ)

 

「それにしても雪兎がこういうの得意とは思わなかったわ」

 

「そうか?」

 

「あはは………お兄ちゃん、いつも機械弄ってるイメージだもんね」

 

歌野の言葉に苦笑する時雨だったが、歌野からしたら意外な事実を口にする。

 

「でも、前世だと節約だって言って庭で家庭菜園作ってたんだよ?」

 

「リアリィ!?」

 

「最初は不格好だったが、やってるうちに凝り出してな………今も水やりとかは自動化してる部分もあるが、菜園は続けてるぞ」

 

「最新の農業システム………興味があるわね」

 

そんなこんなと話し込んでいると………

 

「うたの〜ん!時雨〜!あと時雨のお兄さ〜ん!配達終わったし、そろそろ戻ろう〜」

 

「わかったわ、みーちゃん」

 

「もうそんな時間か………」

 

「お兄ちゃん、今日の御飯は?」

 

「茄子に獅子唐、南瓜もあるし天麩羅にでもするか」

 

「天麩羅!蕎麦に合うわね!」

 

「俺は天丼派だが、勇者部の連中だと天麩羅うどん一択だろうな」

 

「ぐぬぬ………いつか絶対に四国にも蕎麦を広めて見せるわ!」

 

「………四国にも蕎麦をメインにしてる地域あるし、長野にもご当地うどんあったよね?」

 

「それは言ってやるな」

 

尚、天麩羅は皆思い思い好きなように食べたとさ。

*1
大赦からの給金で

*2
千景曰く「高知はまだ攻略されていない為まだ行けないのだが、その時の義兄さん(雪兎)達ならやりかねないと思った」とのこと




速報!

兎協奏曲番外ゆゆゆ編「天野雪兎は魔王である」

長編版連載決定!

投稿日等はまだ未定ですが、早ければ年内に投稿する予定です。
長編版と言う事でエピソードの掘り下げや設定が変更になる部分も多々あると思います。
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