友人に提案されたので投稿しました。
異世界からどうも、監督気取りの主人公です
今俺の目の前には殺すべき敵……グレートレッドがいる。
抑止力の龍、星に属する龍……と言えば聞こえは良いが、実態はかなりの自分本意であり、その為なら他人を利用することに心も痛めない屑だ。
俺の娘、フリージアも利用され、俺は今までで一番怒りに満ちている。
タタリを使い、抑止力の力を封じ込めた今。
ここで殺さねば何をしでかすか分からない。
娘たちは、友は、俺を信じて送り出した。
ならば……応えねば。
この時のために用意した対グレートレッド用決戦兵器『黒い銃身』。
それを手に持ち、銃口をグレートレッドに向ける。
「いいや、幕だ。
奈落に落ちる役者に次はない。
その闇で、永久に訪れることのない再演を待つがいい。
何、消えた先は心地のいい場所だろう。」
『ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
グレートレッドは最後の足掻きとばかりに自身の最大の攻撃をしてくる。
その巨大な口から俺を容易く飲み込む程の破壊の息吹。
くらえば一堪りもあるまい……だが!
「君のようなド三流が決めて良い脚本など1つもありはしない……!!」
『ガァァァァァァァァ!!』
その息吹に、グレートレッドの口に向けて、俺は一発の弾丸を放つ。
どれだけの威力があろうと…それを打ち消す力を使えば怖くもない!
弾丸はまっすぐと息吹に突っ込み、それを打ち消し──
──瞬間、黒い穴が出現する。
「─なっ…!!?」『ぬ──!?』
弾丸と息吹はそれに意図も容易く呑み込まれ、俺たちもまた、それに引き寄せられる。
力が強い!?俺の、ワラキアの力でも吸い込まれる!?
ふざけるな!ここまで来て、予測不能の事態なんぞ…!!
『ハ、ハハ、ハハハハ──』
『ハハハハハハハハハハハハハハハハ!!残念だったな!ズェピア・エルトナム!私はまだ死ぬべきではないのだ!運命は私に味方したぁ!ハハハ!去らばだ!今度こそ、貴様を消し、正しい方向へと修正してくれる!この世界をなぁ!』
「グレートレッドォォォォォッ!!!」
そうして俺たちはこの世界から…
姿を消した。
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……はい…グレートレッドを殺しきれなかったワラキーです……クソ!
クソ、クソ!このままだとフリージアたちが……!
しかも、どういうわけかワラキーの力を使えねぇ!
この黒い穴も何処に繋がって……いや、どの次元に通じているか分からない!
クソ、流されるままかよ…!
グレートレッドも何処かに行っちまったし…でも、あの様子だとアイツも成す術がないらしい…そのまま隕石にぶつかってくれ、頼む!
気持ち悪い…これが次元間の移動か…意識が保てなくなってきやがった……そこまであのくそ蜥蜴に味方するのか、運命っていうのは!
ああ、くそ……このままだと……皆との約束が……
─最後に見たのは、暗い空間を照らし出す、光だった。俺はその光に手を伸ばして、気を失った。
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「……お姉ちゃん……」
失意の底にうちひしがれる少女が一人、ある世界にいた。
ゲイムギョウ界の四つの大陸に一人ずつ存在する女神という存在であり、少女もまた、女神の資格を持つ候補生……女神候補生の一人であった。
少女の名は、ネプギア。
少女には愛する家族がいた。それは姉であり、ネプギアのいるプラネテューヌの守護女神であるネプテューヌ。
守護女神たちの敗北。
それは衝撃的なニュースであった。
ゲイムギョウ界を脅かす犯罪組織マジェコンヌを打倒するべく、四人の守護女神と候補生の中で唯一女神化が出来るネプギアは黒幕と思われる人物のいるギョウカイ墓場へと行き、紅い女神と戦った。
しかし、四人の守護女神と一人の女神候補生は敗北し、捕らえられた。
何が足りなくて、何が足りていたのか。
何も分からないまま……。
しかし、自身は救出された。
姉、ネプテューヌの友人であるアイエフとコンパが救ってくれたのだ。
ならば姉も、と思ったが……
どうやら救出出来たのは自分一人だけだった。
救出されたネプギアがすべきことは本人も分かっている。
このゲイムギョウ界に再び平和をもたらさなくてはならない。
しかし、ネプギアには問題があった。
(勝てるわけがないよ…お姉ちゃんたちでも歯が立たなかったのに、私なんかじゃ……)
一つのトラウマを抱えていた。
圧倒的な差をつけられての敗北。
そして、その結果が姉たちが捕まるという内容。
トラウマになるには十分だった。
だから、アイエフたちは少しの間だけ、そっとしておこうという結論になった。
その少しの間で精神的ダメージが和らぐのならと思ったのだ。
しかし、それでも和らぐ事はなかった。
自分の部屋で、ベッドの上で一人。
また涙を流す。
どうすればいいの、と
「う、ぅぅ……ぐすっ……お姉、ちゃん…!」
そんなネプギアに、変化が訪れる。
トラウマを克服したわけではない。
自分の今いる場所に、一つの変化が起こった。
黒い穴が、自分の部屋の真ん中で出現した
「えっ……!?」
それを見たネプギアは驚いた。
自分の部屋にそんなものが現れれば誰でも驚くだろう。
しかし、驚くのはそれだけではない
「だ……誰か出てくる……!?」
ずるりと、人が穴から落ちてきたのだ。
姉かもしれないと期待したが、そうではなかったことに落胆しつつも、落ちてきた人を見る。
落ちてきた人は男のようだった。
どうやら気絶しているようで、まだ意識は覚める様子がない。
黒い穴も、男を吐き出してすぐに消えてなくなった。
「……ぁ、だ、大丈夫ですか!?」
一体なんだったのかと呆然としていたがすぐに目の前の男の容態を確認しないとと思い、うつ伏せで倒れている男を仰向けにする。
「グレー…ッド……」
「グレー…?と、とりあえずコンパさんに見せないと……!」
ネプギアは多少引きずる形にはなるが男をコンパの元へと連れていく。
これから、その男とネプギアたちが意外と長い時間を過ごすのは、誰にも分からない。
「こ、コンパさん!」
「ギアちゃん!?」
「ネプギア!?アンタもう大丈……って誰!?」
「分かりませんけど、倒れてたので…コンパさん、お願いします!」
「は、はい!分かりました~!」
「一体どうなってんのよ~!?」
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「……知らない天井だな」
意識が回復すると、そこは知らない天井だった。
いや、本当に知らないんだけど……
何処だ、ここ?
冥界の何処かって訳でもなさそうだし……
いつの間にか未来に飛ばされていた?
次元の狭間ならあり得なくはないが……
いや、それよりも……
「グレートレッド……!!」
深い憎しみを込めて、あの蜥蜴の名を呼ぶ。
更に苛立つことに高笑いして何処かへ行きやがった。
俺と同じ穴に呑み込まれていたから同じ場所に転移したと思うが……だとしたら、この世界が危ない…!
俺のせいで、見知らぬ誰かに被害が……
自然と拳に力がこもる。
「…しかし、ここは何処なんだ……………あれ…」
そこで俺は違和感に気付く。
おかしい。
これはおかしいぞ。
どうして……
俺は言い知れぬ恐怖を感じた。
どうすれば……何か、確認する方法は…姿は変わってないかもしれない。
ベッドから起きようと思ったその時、扉が開く。
誰か入ってきたようだった。
「あ、起きたんですね」
「君、は……」
「ま、まだ起きちゃダメですよ!さっきまで倒れてたんですから!」
「倒れて…そうか、君が助けてくれたのか。なんとお礼を言えば良いのか…」
「いえ…」
入ってきたのは淡い紫の髪をした女の子だった。
アクセサリーなのか、白い十字の……うん?
何処かで見た覚えが……ダメだ、思い出せない。
「…すまない、鏡を見せてもらっても……?」
「え、鏡ですか?えっと……ありました、手鏡でいいですか?」
「ああ、ありがとう…………!?」
そこで見たものは、信じられないものだった。
黒髪、閉じていない目、少し冴えない顔。
声にしたってそうだ……
何故増谷ボイスではない!?
何故俺の姿が戻っている!?
自然と震える手に、少女は心配そうに話しかけてくる。
「あ、あの、大丈夫ですか……?」
「…あ、いや……大丈夫、大丈夫さ…そう言えば、名乗ってなかった…俺は」
……ズェピアと、名乗るのか?
嫌だが、俺のこの姿の名前は……
クソ、思い出せん。
…仕方ないか。
「ズェピア・エルトナム・オベローン。長いからズェピアでいい。君の名前を、聞いても?」
「ズェピアさんですね。私はネプギアって言います」
困った風に笑いながら、少女は自分の名を名乗った。
ネプギアねぇ、ユニークな名前じゃあないか
ん?ネプギア?
ネプギアって言ったか?
今聞いた名前と、俺の想像するキャラの名前が一致する。
ってことはここは……!
超次元ゲイムネプテューヌの世界か……!?
マジで次元越えたのかよ!
おいおいおいおい、待てよ?そうなると俺、帰る手段わからねぇぞ!
「な、何ということだ……」
「あの、本当に大丈夫ですか?」
「……いや、そうだな…ネプギア」
「は、はい…」
「……異世界から来たと言えば、信じてくれるか?」
「…え……えぇぇぇぇぇぇ!?」
当然だよなぁ、驚くよなぁ……
でも、信じてもらわないと…
ネプテューヌとかにも会えればよりこの世界から戻る方法も見付かりやすくなるし……
そう考えているとドタドタと足音がする。
ここを目指しているようで、すぐにその足音の主は姿を見せた。
「どうしたのネプギア!?」
「ギアちゃんの声が聞こえたから来ました…って起きてますぅ!?」
「彼が例の…」
えっと…アイエフに、コンパ…イストワールだったか。
プラネテューヌお決まりの面々だぁ、わぁい、ここゲイムギョウ界だぁ……
うわぁ、帰るのどうしよう……イストワールさんに頼ろうかな……
ていうか、すっごく失礼かもしれないけど言いたいことがあるんだ。
アイエフさんにね。
俺はアイエフさんの方を向いて
「……遠坂凛?」
「誰よそれ?」
「いや、何でもない」
言った~マジで言っちゃったー。
似てるよね?何がとは言わんが、似てるよ
「それで、ネプギアはどうして慌ててるの?アンタ、何か言ったんじゃないでしょうね?」
「…ネプギアにとっては恐らく、言ってしまったのかもしれない。多分、皆にもだと思うよ」
ああくそ、口調が安定せん。
ワラキーだよの挨拶できなくなるじゃん!
どうすんの、俺?
まあ、そんな事は仕方がない。
俺たちは互いに自己紹介をして、ネプギアを落ち着かせてから事情を話し出した。
そして、説明が終わると皆して難しい顔をしだす。
だ、だよねぇ……
イストワールさんがずっと黙ってるのが一番怖いんだよなぁ!
「それで、本来の姿はもうちょっと違うの?」
「そうだな……違う。結構違うな、きのことたけのこの論点並みに違う」
「微妙に分かりにくい違い出すな」
「すんません」
「エルエルは吸血鬼なんですか~?」
「こう見えてな。羽とかはないけど血とか飲むぞ?まあ、常に飲むわけではないし……気に入らないやつのをいただいたことはある。ゲロマズ」
「ゲロマズなんですねぇ……」
あれ酷い味だよ。
あれなら鉄パイプかじってる方がマシだよ。
心が清いと美味いんでしょうね、うん。飲む気しねぇ
てか、エルエルってなんだ。
エルトナムからとってエルエルか、コンパさん?
ズーちゃんよりマシか…
「えっと……異世界って、ゲイムギョウ界とは違うんですか?」
「かなり違うな、女神のような存在が統治していたりはしないし、そもそも地球と呼ばれる星だからね……」
「女神の統治がない……」
「……私もいいですか?」
「構わない」
「ありがとうございます。ズェピアさんはそのグレートレッドという存在とこの世界に来たとのことですが…
その龍はどのような存在なのかを教えてくれますか?」
「グレートレッドについてか…正直、口にするのも忌々しいが、今は仕方無いしな。」
俺は四人にあの蜥蜴がどんな存在か語った。
すっげぇ嫌でしたけど!嫌でしたけど!!
その後、俺は頭を下げた。
四人は戸惑っている様子だが、俺が悪いのは確かなのだ。
「すまなかった……俺がアイツを倒せていれば…」
「で、でも、ズェピアさんのその『黒い銃身』があれば倒せるんですよね?」
「……」
「ズェピアさん…?」
きっと俺は今、苦い顔をしている。
そもそも、何故俺があの龍に対して『黒い銃身』のみならずタタリによる隔離等のオーバーキル紛いの事をしたのかを話さねばならない。
ネプギアの不安そうな顔が俺の罪悪感をより強くする。
「実はそういう訳でもないんだ」
「どういうこと?話を聞く限りじゃ、『黒い銃身』はそのグレートレッドを倒すために造り出した兵器なんでしょ?」
「ああ……だが、それはあの龍の権能…先程話した抑止の力を封じる事を前提とした、ね。つまり、十分な準備の元、俺はアレを倒せる段階にまでいけた」
「…それが『黒い穴』によって倒せず、この世界にまで来てしまったということですか」
「その通りだ……だが、倒す方法は思い付いた」
「そ、そうなんですか?」
「この世界の技術があれば、可能となるかもしれない…だが、100%ではないことは今のうちに言っておく」
「なるほど…」
一つの驚異を必ずではないが倒せることが分かり、皆安堵の表情だ。
だが……やっぱり暗い雰囲気だな。
「そちらの事情も、良ければ聞かせてもらえないか?
俺で良ければ手伝えるかもしれない」
「こちらも話そうと思っていました。皆さんもしっかりと聞いてください」
そこから聞かされたのは、何となく予想していた事であった。
四女神達が捕まっていること、シェアと呼ばれるこの世界独自のエネルギーが犯罪組織マジェコンヌに集まっていっていること。
対抗するには女神たちの妹、女神候補生の力が必要不可欠であり、同じくゲイムキャラと呼ばれる存在の力も必要とのことだ。
ここまで聞いて分かったこと。
(よりにもよって超次元ゲイムネプテューヌmk2ですか!?内容分からないんですけど!?)
リメイク版は愚か、リメイク前すらしたことないわ。
ヤバイ、力になれないよぉ……
ハイスクールD×Dの世界は意外と行けたけどここでもやれるかなんて分からないよぉ……
もうだめだ、おしまいだぁ…逃げるんだぁ…戦える訳ないyo……!
……いやでも…
俺はネプギアを見る。
どうやら、話の通りなら、ネプギアは心細い状態、トラウマを抱えていても仕方ない。
姉であるネプテューヌが大好き、らしいしな……
少女が頑張ろうとしているのに、俺が頑張らないというのか?
……どうなんだ、それは。
…うん、分かった!
「……そういうことなら、俺も手伝おう」
「…お願いしようとは思っていましたが、よいのですか?」
「俺に出来ることがあればになるけどな。それに、各地を巡れるなら、それに越したことはない」
「そうですか…ありがとうございます、ズェピアさん」
「感謝したいのはこっちなんだけどな…」
「?取り合えず、私はゲイムキャラの行方を追いますので、何か分かり次第、連絡しますね」
イストワールはそう言って飛んでいってしまった。
ベッドにずっと居るのも怠いなぁ……でも、起き上がろうとするとネプギアがなぁ…多分、コンパもなぁ……
助けてネプ子ぉ!
「まあ、何はともあれよろしく頼む。アイエフ、コンパ、そしてネプギア」
「はいですぅ!」
「ま、よろしく頼むわね。頼りにしてるわ」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
「俺たちは、ランサーズだ!」
「デュエルもしないし、カードゲームもしないわよ!」
「分かった、分かった…遠坂はすぐ怒るんだなぁ」
「だからぁ……」
「その遠坂ってのも誰よぉぉぉ!!?」
ツッコミ役がいるなら俺はボケ役になるしかない。
そういう決まりがあるのだ、俺の中では。
アイエフ、頼んだぞ!持ち前のツッコミ力を見せてやれ!
(問題は、今の俺の強さとネプギアの精神面だな……)
突然ボケをシュートした事でツッコまざるを得なくなったアイエフに、それを楽しそうに眺めるコンパ、少し浮かない顔をするネプギア。
うん、取り合えずケア出来るところまでやっていこう。
後は流れで何とかなるなる。
突然ゲイムギョウ界に迷いこんだ俺は、この世界であのクソ蜥蜴を始末することを決め、家族の待つ世界に戻ることを決意する。
それでもすぐには帰れそうにないが…まあ、そこは許してくれよ。
多少原作と違っても、生暖かい目で見てください。