ワラキー異世界渡航劇   作:ロザミア

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監督気取り、揃える

体が気だるい。

起きてまず感じたのはそれだった。

 

しかし、その気だるさに負けてはダメ。

俺はベッドから起きて、背伸びをする。

…っはー、今日もいい天気☆

 

…さて、やあ、皆。

俺だ、ワラキーだ。

 

昨日はみっともないところを見せてしまった。

 

まさか死徒化にあんなデメリットがあったとは……

でも、この姿が強くなればそのデメリットも多少軽減されると見た。

 

『その通りだね。まあ、そもそもの差が……』

 

─だまらっしゃい

 

ともかく、頑張らないと。

 

「今日も元気に頑張るゾイ」

 

そんな事喋ってたら扉が開いた。

親父ぃ、なんだぁ……?

 

ユニが入ってきて、起きている俺を見た瞬間に

 

「うわ、起きてる」

 

なんて言ってきた。

起きちゃ悪いかこのやろう。

 

「ユニか。というか、うわって言うな」

 

「ふん!……それで?もう大丈夫なの?」

 

「ああ。心配かけたな」

 

「別に……心配なんてしてないわよ」

 

ツンとした態度だが、優しさを隠しきれない少女に笑ってしまう。

 

「はいはい。……そんで、今日こそは『血晶』を見つけたいな」

 

「ああ、それなら良いお知らせよ」

 

「えっ?」

 

「あんたが寝た後、少しだけ街で聞き込みしてたのよ。夜でもなかったし、暇だったからね。

そしたら、セプテントリゾートのテコンキャットが持ってるらしいわ」

 

「テコンキャット……ていうか、セプテントリゾートかよ」

 

「まあ、テコンキャットはあの時見つからなかったしね」

 

「だな……よし、さっさと見つけちゃおうぜ!」

 

「そうね……と言いたいけど。シャワーと朝ご飯食べちゃって」

 

「あ、はい」

 

そうだった。

昨日はすぐに寝てしまったから飯はおろかシャワーすら浴びてない……!

 

俺は急いでシャワーを浴びることにした。

というか、腹へったことにすら気付いてない俺に呆れる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待たせたぁ!」

 

「ホントね。ほら早く、セプテントリゾートに行くわよ!」

 

「おう。…にしても、手伝ってくれてるだけなのにここまでしてくれるなんて、悪いな」

 

「……別に、あんたを手伝ってるんじゃないわ。ラステイションの為にもなるから手伝ってるのよ」

 

「そうなのか」

 

「ケイが素材を要求してきたってことはそういうことなのよ」

 

「へぇ…」

 

まあ、分かってはいたけど……利用されるのってあんまりいい気分にはならないな、やっぱり。

 

利用って聞くと蜥蜴野郎を思い出してムカついてきた。

 

ケイはあのくそ蜥蜴とは違うからいいけどもね。

 

朝ご飯は、美味しかったです。

でも、出来れば俺が作りたいです。

腕が鈍る。

 

でも、私情は後。さっさと見つけねぇと!

 

俺たちはセプテントリゾートのテコンキャットを倒して『血晶』を取りに行くのだった。

 

「ところで、朝食はユニが?」

 

「そ、そうよ、悪い!?」

 

「いや、美味かった」

 

「そ、そう……よし!

 

「どうした?」

 

「別に何も!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、やって来ましたセプテントリゾート。

へっへっへ、テコンキャットの野郎は何処だ。

 

俺たちを苦労させた分攻撃してくれる。

 

「テコンキャットちゃーん、出ておいで~」

 

「それで出てきたのが危険種ならどうするのよ」

 

「そんときはまた…」

 

「それで倒れたのは誰か、忘れたの?」

 

「……よし、探すか」

 

「ハァ……」

 

溜め息吐かんといてくださいユニさん!

忘れてた訳じゃねぇし。

このズェピアさんが忘れるとでも?

あり得んなぁ……

 

……正直すまんかった

 

「でも、今更なんだけどさ」

 

「何よ」

 

「俺たちって二人パーティだろ?」

 

「そうね」

 

「これで万能型いたら完璧だったなぁって」

 

「まあ確かにね。アタシとあんたも射撃と拳の一辺倒だし」

 

「RPGでもこういう型の奴いたら助かるよな」

 

「アタシに不満でもあるっての?」

 

「いや、ないどころか助かりまくりなんだよなぁ。

俺が万能型だったらなぁって」

 

「結局二人パーティじゃない」

 

「あ……」

 

「あんた、馬鹿ね」

 

「やめてください、泣いてしまいます」

 

「泣けば良いのに」

 

「ぐはっ……」

 

二人で喋りながらダンジョン探索をしているがテコンキャット氏は何処なのだ。しかも、ユニの言葉に棘が…

 

がっくりと項垂れる

 

厳しい。

くそ、俺は馬鹿じゃないんだ。

俺はズェピアさんだぞ、馬鹿な訳がないの!

 

『えー?本当にござるか~?』

 

─その声でそれはやめて。頼むから

 

『そうかね。ところで、あれが噂のテコンキャットかね?』

 

「ん?あ、居た」

 

「え?何処よ……あそこね!」

 

ワラキアの言葉で顔を上げると、テコンキャットが二体ほど居た。

 

あの、ユニさん?ライフルの発射準備早くないですか?

 

「先手必勝よ!」

 

「ちょ、おま」

 

「──!?」「──!──!?」

 

「よし」

 

ライフルから放たれた一撃がテコンキャットAに当たる。テコンキャットAは唐突な攻撃に混乱している!

というか、今のでやられないとは、やるなあの猫。

 

ユニは不意打ち成功にガッツポーズ。

 

「不意打ちとは卑怯なり…」

 

「何言ってるのよ、勝率あげるのは普通でしょ」

 

「まあ、せやな?」

 

「何かムカつく言い方ね…ほら、来たわよ!」

 

「よっしゃ、お前らを倒して、任務完了だぜぇ!」

 

ぶち殺す!(若本)

 

俺は向かってくるテコンキャットBを蹴り上げる。

トラエラレマイ(トキィ)

俺の蹴りは吸血鬼の身体能力を使った蹴りだ。

早さが違う。

 

「ユニ!」

 

「言われなくても!」

 

ユニが蹴り上げられたテコンキャットBに銃口を向け、二、三発放つ。

 

全てがテコンキャットBへと命中し、テコンキャットBは塵のようにやられた。

所詮、屑は屑なのだ……

 

残るテコンキャットAは混乱が解けたようで、俺たちを攻撃するべく駆けようとしたが…Bをユニに任せてすぐにAの所にまで走った俺の助走をつけた鉄拳により、倒れた。

 

「やったぜ」

 

「まあ、こんなもんよね。さて……」

 

「『血晶』ちゃんはあるかねぇ」

 

テコンキャットたちがやられた場所を探す。

すると……

 

「あった!」

 

「ふう……長いようで短かったわね」

 

「まあ、よかったよ。ありがとう、ユニ!」

 

「だから別にいいって言ってるのに…でも、そうね」

 

はい、と言ってそっぽを向いて拳をこちらへ向けてくる。

俺はハハハと笑って拳をトン、とぶつける。

 

チラリとこっちを見て、微笑んできたので思いっきり笑顔を返す。

 

「ほら、帰るわよ」

 

「ああ、そうだな」

 

「嬉しそうね?」

 

「嬉しいさ、こうして手に入ったし…お前と仲良くなれたしさ」

 

「ふん、アタシと仲良くだなんて、生意気よ」

 

「なら、生意気で良いよ」

 

「…仲良く……ふふっ

 

「どうした?」

 

「なな、何でもないわよ!」

 

「ふーん……?」

 

まあ、気になるが、何でもないならいいか。

 

そんなこんなで、意外とあっさり手に入ったので、ユニと俺はラステイションへと戻ることにした。

 

順調だと後が怖いな……。

 

ああ、そうだ、聞いておかないと。

戻る途中で、俺はユニに話しかける。

 

「なあ、迷いは晴れたか?」

 

「…そうね……まだ、あと一歩踏み出したいのよ」

 

「あと一歩…ネプギアか?」

 

「……あんたって、妙なところで勘が鋭いわよね。心が読めたりしない?」

 

「しないな」

 

でも、そうか。

ネプギアか。

……ユニは自分の迷いを晴らすためにもネプギアに用があるのか

 

「…そうよ、アタシは今のアタシから成長するために、ネプギアと戦いたいの」

 

「必要なのか?」

 

「そうね、必要よ。ネプギアと戦って、吹っ切れたいのよ」

 

「吹っ切れたいか……なら、しょうがない」

 

「止めないのね?」

 

「止めない。第一、止めたら止まるのか?」

 

「ないわね」

 

「ほらやっぱり、まあいいんじゃないかな……」

 

要は、自分が否定していたネプギアと戦って、今の自分という殻を破りたいんだろう。

その気持ちは分かる。

 

家族を、ゲイムギョウ界を助けたいと心から願うであろうネプギアと戦えば、ユニの迷いは晴れる。

 

なら、止める理由がない。

 

「俺も元の世界に戻るために止まらねぇからよ…お前が進もうとする限り、その先に俺はいるぞぉ!だからよ……止まるんじゃねぇぞ……」

 

「何で死にそうな声で言うのよ」

 

「そういうネタです」

 

このネタで大人気になった男がいるねん。

いやほんと、なんだろうね、あれ。

 

「頑張れよ、ユニ」

 

「ネプギアを応援はしないの?」

 

「してるけど、お前に言っても困惑するだろ」

 

「もしそんなことしたらあんたの事軽蔑するわ」

 

「辛辣ぅ……」

 

何はともあれ、ネプギアたちが帰ってきたらになりそうだな。

 

……あっちは大丈夫なのかなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえり、二人とも」

 

「ただいま、ケイ」

 

「『血晶』、手に入れて来たわ!」

 

「おや、随分と早かったじゃないか」

 

何となく、白々しいと思った。

ラステイションにまで帰ってきた俺たちは教会まで行ってケイに約束の素材のひとつを渡す。

 

大して驚いた様子もなくケイはそれを受け取って微笑む

 

「これで……」

 

「『宝玉』、取ってきました!!」

「戻ってきたわ!」「ただいま戻りましたですぅ!」

「とうちゃーく!」

 

「うおぉ!?」「ひぁぁ!?」

「…揃ったようだね」

 

び、ビックリした。

ケイが喋っている途中で扉が開いてネプギアたちの大きな声が響く。

 

俺とユニはみっともなくビビり声が出てしまった。

 

ケイは苦笑してネプギアたちの方を見ていたが。

 

いやまて、貴様誰だぁ!?

ネプギアとアイエフ、コンパにもう一人……

赤いスカーフ、ライダースーツ……誰だよ?

 

「戻ってきたみたいだね」

 

「はい!『宝玉』、手に入れてきました!」

 

ネプギアはケイと話しているが、アイエフとコンパ…そして、誰かさんは俺たちの方へと来た。

 

「あら、ズェピア。あんた達も『血晶』手にいれたのね」

 

「エルエル達に負けちゃったです……」

 

「負けちゃったか~…」

 

「いや、自然といるけどお前誰だ!?」

 

「ネプギアの新しい仲間?」

 

「私?」

 

「お前以外に居ないだろ!名を名乗れ!」

 

「ふっ……名乗れと言われたからには名乗ってあげるわ!」

 

ライダースーツの女はポーズの取り、ドヤ顔で自己紹介を始めた。

 

「私は日本一!このゲイムギョウ界を支配しようとする悪、マジェコンヌを滅する正義のヒーローよ!」

 

「日本一は私達がピンチの時に助けてくれて、そのまま仲間になったのよ」

 

「頼もしいです~」

 

「そ、そう……」

 

「なるほど……仲間の危機を助けてくれてありがとうな、日本一」

 

「いいのよ、私はヒーローなんだから!」

 

おおう、ここまで来るとカッコよく見えてしまうな。

 

しかし、新しい仲間……来たぜ。

これはもう、素晴らしいぞ。

 

ん、待てよ?

これ元に戻ったら五人パーティ……あっ(察し)

 

「頼みます!パーティから外すのだけは勘弁を!」

 

「どうしたのよ急に」

 

「五人パーティなんて!スタメンから外すのだけは勘弁を!」

 

「ゲームのやりすぎか!!」

 

「ぐほぁっ!?」

 

「あっ……」

 

さ、流石はアイエフさん……俺に丁度いいダメージのツッコミ……これが伝説の超ツッコミ人……!

 

ていうか、ユニは何でそんな残念そうな顔なんだ…

 

「アンタねぇ……日本一が仲間になったからって控えとかいかないんだからね?」

 

「そ、そうか……よかった…もしそうなれば俺は日本一を…いや、これから増える仲間を恨まなければならなくなる。」

 

「大丈夫よ!私は恨まないわ!」

 

「日本一、話ややこしくしない」

 

「分かったわ!」

 

「素直かっ!」

 

思わずツッコんだ。

ハッ、俺がツッコミを……馬鹿な、滅多なことではしないのに。

なんだこいつは……只者ではない!

 

「ツッコミを入れる羽目になるとはな…俺はズェピア・エルトナム・オベローン。ズェピアと呼んでくれ」

 

「よろしく、ズェピア!」

 

「ああ。さて、話は後でするとしてだ……」

 

「ズェピアさん!」

 

「うおっとぉ!?」

 

ケイ達の方を向くと、ネプギアが俺の名前を呼びながら抱き付いてきたので驚きつつも受け止める。

 

「ただいま、ズェピアさん!」

 

「…おかえり、ネプギア」

 

笑って言うもんだから俺もつられて笑ってしまう。

ついでに頭を撫でるとまた嬉しそうに目を細める。

 

「えへへ…」

 

「アンタ、懐かれてるわねぇ」

 

「それはアイエフとコンパにも同じだろうさ」

 

「だと良いんだけど…」

 

「ユニ」

 

「……何よ」

 

「何度も言うことになるが、ありがとな、協力してくれて」

 

「別に……それより、ネプギア!」

 

ビシッとネプギアに指差すユニに、ネプギアはそんなユニに驚く。

 

「は、話しかけてくれた!」

 

「い、今はそんなこといいのよ!それより!ネプギア、アタシと戦いなさい!」

 

「な、何で?」

 

「何でもよ!」

 

「でも、私はユニちゃんと戦う理由が無いよ!」

 

「アタシにはあるわ」

 

「でも……」

 

「ネプギア」

 

「ズェピアさん?」

 

俺はこのままだと長引くなと思い、ネプギアに話しかける。

ネプギアは困惑した様子で俺に顔を向ける。

 

「戦ってあげてくれ。ユニの為にも」

 

「……」

 

「ユニに必要なことなんだ。俺からも頼むよ」

 

「…ユニちゃんに必要なことなの?」

 

「そうよ……アタシが、強くなるためにも必要なのよ」

 

「そっか……」

 

ネプギアはしばらく瞑目した。

次に目を開けた時には、困惑や混乱の色は見られなかった。

 

「分かった、戦うよ。ユニちゃん!」

 

「ふん、最初からそうしなさいよ。…リピートリゾートで、明日待つわ!」

 

ユニはそう告げて、自分の部屋まで行ってしまった。

 

「終わったかい?」

 

「ああ、部屋を貸してくれてありがとうな」

 

「構わないよ、こちらも欲しいものは手に入ったしね。それで、追加報酬として今日一日、ここで泊まっていくのはどうかな?」

 

片目を閉じて俺にそう聞いてくるケイに苦笑する。

何というか、大変な奴だな。

 

「じゃあ、頼む」

 

「そう言ってくれると思っていたからもう既に用意してあるよ」

 

「準備がいいな……」

 

「ありがとうございます、ケイさん!」

 

「ありがとうです!」

 

「取り合えず、その部屋でそっちとこっちで何があったかを話し合いましょう」

 

「おお、情報交換!正義っぽい!」

 

「誰でもやるからな、それ」

 

そんなツッコミをしてから、俺たちは割り当てられた部屋へと向かった。

ちなみに、俺は一人部屋です。

当たり前なんだよなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、俺の部屋に集まっての情報交換をした。

死徒化して動くとかなりの負担が来ること、ラステイションのゲイムキャラもまた、狙われていること。

ゲイムキャラに関してはマジェコンヌの下っ端のリンダが居たからという確証のない理由だが。

ネプギア達からは、女神化を出来なくする手段がマジェコンヌにはあるとの事、後はコンパが鼠を治療して、その鼠がマジェコンヌだったこと。

 

ていうかその鼠が襲ってきたらしい。

鼠……喋るのか。それってもしかしてディ

 

「それ以上はやめなさい!消されるわ!」

 

「ぐほぁ……!?」

 

鳩尾ぃ……!

は、早い!?俺でも見えなかった……!

 

「アイちゃん、どうしたです?」

 

「ツッコミを入れないと消される予感がしたわ…何でかは分からないけど……」

 

「うーん?」

 

「まあ、いいのよそれは。それで、ネプギア、アンタ本当に戦うの?」

 

「はい、ユニちゃんと明日、全身全霊で戦います!」

 

「意味があるとは思えないけど…それに、ゲイムキャラの件もあるし」

 

「ま、何かあれば俺達で何とかすればいいだろ!な?」

 

「そうそう、マジェコンヌが来ても私たちなら勝てるよ!正義は勝つ!」

 

「悪が栄えた試しなし」

 

「「いえーい!」」

 

「仲良いわねアンタら…」

 

ツッコミを入れてしまう相手である日本一だが、いい奴なので仲良くなれるのは当たり前なのだ。

アイエフは呆れて、コンパは嬉しそうだ。

 

「にしても、マジェコンヌは鼠すらも雇うのか」

 

「余程仕事がブラックなのかしら」

 

「可哀想ですぅ……」

 

「きっと、何処にも雇ってもらえなかったからマジェコンヌに……」

 

「正義の私でも職に関しては何も言えないわ…無念!」

 

俺から言い出した事とはいえ、あまりにもあんまりです

 

これが世界って奴か。

結局、ブラック企業に入ったら最後なのかもしれない…

 

「それで、死徒化についてだけど……」

 

「今回で女神化より少し使いにくい事が分かりましたね」

 

「でも、エルエルが強くなれば多少使いやすくなるですよ」

 

「私はその死徒化っていうのを知らないけど鍛えればいいの?」

 

─どうなんだ?

 

『概ねそう思ってくれて構わない。まあ、生半可な鍛えようではあの疲労感はまた来ると思ってはおきたまえ』

 

「…まあ、そうだな。俺のこの体が強くなれば負担は軽減されるが……」

 

「そんなに時間は取れないしね……」

 

「旅の道中でモンスターを倒していくくらいしか無いですね」

 

「だな……」

 

困ったもんだ。

元の世界に戻ってもこれだと恨むぞ。

 

「でも、モンスターを倒していくと鍛えられるわよ」

 

「危険種とか狩りまくればいけるか……?」

 

「エルエル、無茶はダメですよ?」

 

「はい……」

 

まあ、それでやられたら元も子もないしな。

俺としては効率よく体が強くなる方法はないか気になるが……ううん。

 

「それじゃ、明日に備えて今日は各自自由よ」

 

「じゃあ、私は少しお買い物に行ってきます~」

 

「正義っぽい行動してくる」

 

「人助けと言え!」

 

「そうそれ!」

 

コンパと日本一は行ってしまった。

にしても、あそこまで正義を志すなんて、いい奴だなぁ

 

アイエフはやることがあるらしく、何処かへ行って、残ったのは俺とネプギア。

 

「なあ、ネプギア」

 

「何ですか?」

 

「明日のユニとの戦い、全力でやってくれよ」

 

「…はい、分かってます」

 

「それで終わったら仲直りするんだぞ」

 

「何だか、ズェピアさんはお父さんみたいですね」

 

「そうかな?」

 

「はい、でも、私は……」

 

「うん?」

 

「な、何でもないです!それより、ズェピアさんは何かしないんですか?」

 

慌てて何でもないと言うネプギアに俺は本当かなと思った。

ネプギアは話題を無理矢理変えるように俺はどうするのかと聞いてきた。

 

「俺か…俺はそうだな、無理して明日に響いても困るし、ここで暇潰してるよ」

 

「そうですか。……じゃあ、私もここにいます」

 

「何か買いたいものとか無いのか?」

 

「あるにはあるんですけど、今はいいです」

 

「……無理してないか?」

 

「してないです」

 

「そうか」

 

あまり深入りしてもよくないし、俺は何も聞かないことにした。

ネプギアもユニも女神候補生であることを除けば普通の女の子なのだ。

だからこそ、こういう時は自由にすればいいと思う。

 

だから、何も聞かない。

したいことをすればいい。

ここに居たいならそうすればいい。

 

「…ズェピアさん、聞きたいことがあるんです」

 

「それは今聞かなきゃいけないことか?」

 

「はい、今聞いておきたいんです」

 

「そうか、なら、どうぞ」

 

「ありがとうございます。ズェピアさん」

 

真剣な空気を察した。

何を聞かれるのか……

 

「ずっと気になってました。ズェピアさんはグレートレッドを倒したら帰るんですよね」

 

「ああ、そのつもりだけど」

 

「どうやってですか?」

 

「……どうやって、か…」

 

まさか、今それを聞かれるとは。

いや、聞くか。どう帰るかなんて言ってなかったし、気になってたよな……

 

ネプギアは俺の考え込む姿に苦笑する。

 

「考えてなかったんですか?」

 

「いや、そうじゃないんだけどさ…確率が低いんだ」

 

「方法があるんですね」

 

「あるにはある……だけど、まだ確信が持てないんだ」

 

「あの黒い穴ですか?」

 

「ああ、あの穴が開いたらもしかしたらってレベルだ」

 

正直、これも見込みは薄い。

それはグレートレッドも考えているはずだ。

 

だったら、どうやって帰るか……

転移で帰れないから世界間移動の装置でも作るとか?

 

「……ううん、取り合えず、考えてはいるんだ」

 

「そうですか……私達も、ズェピアさんが帰れるように何か出来ないか考えますね!いーすんさんも考えてくれてますし」

 

「本当か?ありがたいな…まあ、それならそれでグレートレッドを倒さないとだな」

 

今度こそ、絶対に消してくれる。

 

……課題多いなぁ……

 

「そこまで心配してくれて、ありがとな」

 

「ズェピアさんは、私を助けてくれました。もちろん、アイエフさんやコンパさんもそうですが…でも、女神化が再び出来るようになったのはズェピアさんのお陰です。だから、私はその恩を返したいんです」

 

「…俺がやってあげられたのはただ背中を押すことだけ。女神化が出来たのは間違いなくネプギア自身の勇気が恐怖に勝ったからに他ならない……だから、恩なんて感じなくてもいいんだぞ」

 

ここまで言ってくれるネプギアに感謝の念を感じる。

だけど、きっと俺なんかが居なくても女神化をすることは出来たと思う。

それこそ、アイエフが何とかしたと思うんだ。

俺がした事の中に余計なことは必ず入ってたはずだ。

 

だけど、この世界に来た以上、俺は傍観なんて出来ない

 

だから自分勝手に、見てられないから言葉を送った。

 

けれども……そこまで言ってくれるのは嬉しい。

嬉しいという気持ちを伝えるのは難しいので頭を撫でることで伝える。

 

「…なら、私も私がしたいから手伝いたいんです」

 

何というか、頑固だなと思った。

人の事は言えないと思うが、頑固だ。

 

「そっか、なら、仕方無いな」

 

「はい、仕方無いですよ」

 

「じゃあ、俺が帰る方法、一緒に見つけてくれるか?」

 

「任せてください!皆、ズェピアさんを助けてくれると思いますよ」

 

「ハハハ、そりゃ、いいな」

 

暖かい。

ああ、暖かいなぁ。優しい子だ。

陽だまりみたいに、自然とそこへ寄りたくなる。

 

「ありがとう」

 

「どういたしまして!」

 

そう言って、二人で笑い合う。

こうして、言葉をしっかりと交わすだけでいいんだ。

 

…どうして、お前はその手段を講じなかったんだろう。

 

俺は、疑問を一つ抱いて、ネプギアと談笑して過ごした




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