ワラキー異世界渡航劇   作:ロザミア

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戦闘なんて書けるかよぉ!!(作品内容を見ながら)




監督気取り、決闘を見る

やあ、皆。

俺だ、ワラキーだ。

 

今日はユニとネプギアの対決日であり、ゲイムキャラと会う日だ。

ケイ曰く、ラステイションのゲイムキャラと上手く話がいくことを祈ってるだそうだが……?

 

何はともあれ、リピートリゾートまで俺たちは来た。

 

ユニが待ってるとの事で早々に準備を終わらせてきたのだぜ。

ていうか、結構早くからリピートリゾートに来てるのかアイツ…

 

「ねえ、ネプギア。本当にやるの?」

 

「はい。やらなきゃいけないと思うんです。

それでユニちゃんと分かりあえればいいです」

 

「そうは言うけど……」

 

「まあ、アイエフの気持ちは分からなくもない。こんな時に女神候補生同士が戦うなんて、とかの気持ちは分かる。」

 

「なら止めてよ。アンタ、むしろやれって言ったわよね」

 

「分かるけど、ネプギアともユニとも少しとはいえ時間を共にした俺はこうした方がいいとは思ったんだよ。

それに……対人戦は少しでもやっておいた方がいい」

 

「エルエル、マトモな意見です~…でも、エルエルが居るとはいえ、私たちだけでマジェコンヌの襲撃を防げるか不安ですぅ……」

「そうよ、前みたいにサマエルとかいう怪物が出ないとも限らないわ」

 

「何が来ても大丈夫よ!暗い気分になっているといざって時に動けないわ!」

 

「そうそう、日本一の言うとおりだ。やる前からそうネガネガするな」

 

日本一と二人でコンパとアイエフに出来ると伝える。

最初から諦めちゃいけない。

そうして挫折していくと後戻りが出来なくなる。

 

アイエフはハァと溜め息をつき、呆れた様子で言ってくる。

 

「…はいはい、今回はアンタに従うわ。でも、もしヤバくなったら決闘なんて止めて、二人を加勢させるわ」

 

「対処できなかったら一環の終わりですぅ」

 

「まあ、それは仕方ない。それでいいな?」

 

「はい!」

 

「いい返事だ」

 

「そうと決まれば、早く行くわよ!」

 

「近くにいると思うけどな」

 

という訳で、近くで待っているであろうユニの元まで俺たちは急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅かったじゃない」

 

「待たせたな!」

 

ユニの元まで、意外と距離がありました。

というか……

 

「ユニ、後ろのは……」

 

「ゲイムキャラよ」

 

「ここでやるのか!?」

 

「ええ、それがラステイションのゲイムキャラからの頼みだったからね」

 

「どういうことですか?」

 

〔それは私が説明しよう、プラネテューヌの女神候補生とその仲間達〕

 

ネプギアの疑問の声に答えるように、ユニの後ろから声がした。

どうやら、本物のラステイションのゲイムキャラのようだ。

 

〔聞けば、決闘をするとの事らしいな。そして、私の協力を望んでいるとも聞いている〕

 

「そうよ。それと決闘に何の関係が?」

 

〔正直に言うと、私は協力するわけにはいかない〕

 

「な、何でですぅ!?」

 

〔私はこのラステイションを守る使命がある。その使命を果たすためには力を貸すわけにはいかない〕

 

「でも、決闘の場をここにした意味がわからないわ」

 

日本一の言うとおりだな。

その使命を放棄しないと決めたゲイムキャラがどうして決闘の場を決めたのか?

 

〔私はこの決闘に判断を委ねようと思う〕

 

「というと?」

 

〔私には使命がある。それは果たしたい。だが、守るだけでは守れないものもあるのは確かだ。逆もまた然り。故に、この決闘でプラネテューヌの女神候補生が勝てば力を貸し、ラステイションの女神候補生が勝てばこれまで通りにこの地を守る〕

 

「これはユニちゃんの成長するための戦いです。

それを利用するような事は……賛成しかねます」

 

確かに、力があれば託すに値すると判断できるが、利用しようという魂胆なのは良くないとは思う。

ユニを除く皆は良くない顔をしている。

 

俺はユニに問うことにした。

 

「……ユニはいいのか?」

 

「いいわ」

 

「本当にいいんだな?」

 

「しつこいわよ、ズェピア。あんたの言いたいことは分かる。でも、アタシは決めたの」

 

「…そっか」

 

「ユニちゃん……」

 

迷うことなく、それを良しとしたユニに俺はもう何も言うことはなかった。

これ以上口出ししたら良くない。

 

ネプギアは心配するようにユニを見ている。

ユニはそんなネプギアを見て、ライフルを向ける。

 

「そんな目をしないで、これはアタシが決めたこと。

構えなさい!アタシが、女神候補生の中で一番だということを教えてあげる!」

 

「…分かった、決めたことなら、私は何も言わない」

 

ネプギアもまた、ビームソードをユニへと向ける。

俺たちはゲイムキャラの側まで移動して戦いを見ることにした。

こうしていれば、襲撃が来てもすぐにはゲイムキャラに害は来ない筈だ。

 

「これでいいの?」

 

「二人が決めたことだ。元より俺達が止めるのは御門違いだろう」

 

「そうかもしれないけど……」

 

「心配か?」

 

「当たり前でしょ」

 

「だろうな。でも、見守ってみよう。いい方向に傾くさ」

 

「……まあ、ここでやるなら、近寄りにくいだろうし、いいんだけど」

 

「エルエルはどっちが勝つと思うですか?」

 

「私はネプギアかな!」

 

「日本一はネプギアを応援か。……うーん…俺はどっちも応援したいんだけどなぁ」

 

どちらも応援したいけど、片方しかダメなら……

いや、でも……

 

「うーん……」

 

「迷ってるわね」

 

「どっちも勝ち筋がしっかりあるからな……」

 

「そうなんですか?」

 

「圧倒的に力量が離れてるわけでも相性が最悪な訳でもないからな」

 

だから、どっちが勝つか俺にもわからない。

 

俺は二人を見ながらそう言う。

 

「さあ、ネプギア、やるわよ」

 

「うん、ユニちゃん、全力だからね」

 

二人がそうして、目を閉じる。

全力。

そう言うからには、ならないといけない。

互いの誇りある姿に。

 

「「『女神化』!」」

 

二人に光が集中する。

互いが自身のプロセッサユニットを身に付ける。

 

そして、武器も二人に合わせて変化する。

ネプギアはビームガンブレードを。

ユニは大人一人分の大きさの銃器を。

 

「容赦はしないわ、撃ち抜いてあげる!」

 

「なら、それよりも早く斬るだけだよ!」

 

二人の同時女神化を、そしてこれから始まる決闘を静かに見る。

 

先手はネプギアだ。

ビームガンブレードは確かに遠距離もできるが、ユニ相手にそれは愚策だ。

ユニの方が遠距離での力量は遥かに上。

 

だからこそ、速さを活かして接近をした。

そして、距離が縮まるのはすぐだ。

 

「ハッ!」

 

「甘い!」

 

「なら、これで!」

 

「くっ……!」

 

ネプギアが横薙ぎに斬りかかるが、ユニはそれを後ろに跳び避けてビームを発射する。

ネプギアはユニの方まで地面を蹴って接近するときに体を捻りスレスレで回避。

そして、ユニに踊るように斬りかかる。

反撃を許さない怒濤の連撃に、ユニは銃器でガードしつつチャンスを窺う。

 

「せい、や、ハァ!」

 

「舐めんじゃ、ないわよ!」

 

「きゃっ!?」

 

ユニは強引に銃器を押し出し、ネプギアの体勢を崩すことでチャンスを得る。

ネプギアを蹴りで吹っ飛ばし、そこへ透かさず三発放つ。

吹っ飛ばされると綺麗に着地し、三発のビームを横に走って回避。

ユニは何発もネプギアへと放つがそれを尽く回避する。

回避しながら、ビームガンブレードでビームを発射するがユニもまた避ける。

「ちょこまかとぉ!」

 

「っ、そこっ!」

 

「っぁ!?」

 

痺れを切らしたのか、ユニがネプギアの居る位置に放った後、予測したかのように避けた先にも放つ。

ネプギアの右肩にそれが当たるが、それに怯まずビームを放ち、ユニの左腕にヒットする。

 

片や右肩を撃たれた、片や左腕を撃たれた。

互いにヒットした箇所がどう響くか。

 

「一進一退ね…」

 

〔……ふむ〕

 

「お前から見て、あの二人はどう映る?」

 

〔二人の実力に差はないと感じる〕

 

「そうか、なら後は一歩踏み出すのがどちらかになるな」

 

「はうぅ、二人とも怪我が……」

 

「……ねえ、後一歩って事はより強い一撃を叩き出せるかってこと?」

 

「そうだな、そう取ってもらって構わない。

日本一はどう……」

 

「……」

「わぁおガン見」

 

日本一は二人の戦いを見ることに集中している。

というより、何か盗める点があれば盗む気か?

向上心があることで……

 

「ハアァァァ!」

 

「こ、んのぉ!」

 

「負けるわけには、いかないの!」

 

「アタシだって!」

 

ビームを弾きながら、進むネプギアにユニは頭と足、腕を狙っての連射。

これにネプギアは頭への射撃をブレードでガード。

足への射撃を咄嗟に横へと転び回避。

腕への射撃をさらにガード。

 

何という反射神経だ。

俺じゃ無理です。

 

「っ、ふ───!!」

 

「なっ……!?」

 

低姿勢になり地面を蹴ってユニに迫る。

その速さは先程の速さとは段違いだった。

気が付けばユニの構えている銃器の目の前にネプギアがユニの顔を見上げ、ビームガンブレードを構えた状態で居た。

 

「両腕を使って……!」

 

「あの子無茶をして!」

 

そう、負傷している腕もブレードを持った状態。

痛いだろうに、それを気にしないような顔だ。

 

「これでっ!!」

 

「っ─!!」

 

ネプギアが斬り上げて、銃器を弾き飛ばす。

片腕で持っていた銃器が弾き飛ばされ、地面に転がる。

相棒を手放してしまったユニは、無防備となった。

 

そのまま、ネプギアはユニへとビームガンブレードを─

 

 

 

 

「トドメッ!」

 

 

 

 

─振り下ろした。

 

それをマトモに喰らったユニは…

 

「く、ぅ……!」

 

膝をついて、女神化が解除される。

これを意味することは……

 

「勝負ありだよ……ユニちゃん」

 

「っ…ええ…負けよっ……!」

 

武器を突き付け、宣言するネプギアにユニは顔を悔しげに歪めて敗北の宣言をする。

 

…一歩を踏み出したのはネプギアだったか。

 

ネプギアはそのまま緊張が切れたのか座り込んでしまう。

 

俺は二人の元へと歩いていく。

ユニのライフルを持って。

 

「二人とも…お疲れ様」

 

「…はい、ズェピアさん」

 

「……」

 

ネプギアはやりきったような笑顔で。

ユニは何も喋らず、俯く。

 

「ネプギア、よく頑張ったな」

 

「ありがとう、ございます…」

 

「そして、ユニ」

 

「っ、何よ…!」

 

「悔しいか?」

 

「当たり、前でしょ!」

 

片膝をついて、ユニの相棒を差し出しながら聞く。

ユニはライフルを受け取って、涙声で言う。

 

悔しい。

当たり前か……。

ついでに言えば、チャージする時間も無かったからな。

 

俺はユニの頭を撫でる。

 

「…前、進めそうか?」

 

「…誰に、言ってんのよっ。それくらい、余裕…なんだからっ……!」

 

「流石ユニだな」

 

「…うんっ」

 

そうして、しばらく、ユニは泣いた。

頑張ったと思う。

何はともあれ、これでユニは前へと進める。

今までの自分よりも強い自分へと。

 

ユニは涙を拭い、立ち上がる。

 

「もういいのか?というか、痛くないのか?」

 

「痛いわ、すっごく」

 

「うっ、ごめんねユニちゃん……」

 

「いいわよ。それよりネプギア」

 

「なに?」

 

「アタシの方こそごめんなさい」

 

「え?何で?肩の事なら…」

 

「違うわよ!…何でお姉ちゃんじゃなくてあんたなのかって事、言っちゃったじゃない」

 

「……あ!あれの事!あれなら、大丈夫だよ」

 

「そう、なの?」

 

「うん!」

 

許していたようだ。

というより、気にしてはいたけど、言われても仕方無いと思っていたようだ。

 

……大丈夫かな、ネプギア。

 

「でも……」

 

「じゃあ、仲直りしようよ!」

 

「え?」

 

「お互い、この事はもう気にしないで、仲直りしよう?それで、一緒に頑張ろう?」

 

ネプギアはそう言って、笑顔で手を差し出す。

握手を求めている。

 

ユニはそれを見て、困惑していたが……

 

「ええ!」

 

「これからもよろしくね、ユニちゃん!」

 

「こちらこそよろしく、ネプギア!」

 

「イイハナシダナー!」

 

俺はこの友情劇を見て、感激した。

戦ったあとに互いを認めあい、そして仲を深めていく。

凄くいい……!

 

そこへ、アイエフ達が近寄ってくる。

コンパは治療治療と駆け寄ってユニとネプギアの怪我を診ている。

 

〔決闘、最後まで見届けさせてもらった〕

 

「おう。それで、協力してくれるんだな?」

 

〔ああ、二人とも見事だった〕

 

「そりゃ良かった」

 

「全く、負けたらどうする気だったのよ」

 

「考えてなかった!」

 

「おいっ!」

 

「ニャンパスッ!?」

 

「うわぁ、凄い蹴り……」

 

あ、アイエフさん……そんな、痛い……また背中…

 

俺の背中が悲鳴をあげたが、最早日常風景なのか誰も気にしない。

泣きそう

 

「ハァ…でも、こうして協力は得られたしいっか」

 

「そ、そうだぞ……うごぉ……」

 

「ズェピア、結構いい蹴りだったけど平気?」

 

「これくらい日常茶飯事です……」

 

「日常になるほどくらってるんだ……」

 

日本一、引くな!

俺だってな、好きでツッコミをこの身に受けているわけじゃない!

 

そんなこんなで、コンパの治療が終わったようだ。

 

「もう、あんまり怪我しちゃダメですよギアちゃん、ユニちゃん!」

 

「は、はい!すみません!」

 

「はい……」

 

〔…いいかな?〕

 

「あ、はい!ゲイムキャラさん!」

 

〔…では、プラネテューヌの女神候補生。

お前にこの力を…ラステイション、いや、ゲイムギョウ界を頼むぞ〕

 

「何の、グホォ!?」

 

「二度目はやらせないわ」

 

アイエフの容赦なき腹パンが俺を襲う!

そんな、馬鹿な!?先読み!?

 

ゲイムキャラから一つの黒いディスクがネプギアの手に

 

〔『ブラックディスク』だ。ここ、ラステイションの力……使ってくれ〕

 

「はい!」

 

「よかったわね、ネプギア」

 

「うん!」

 

ユニとネプギア…仲良くなったなぁ。

嬉しいよ。

 

「ふう、何はともあれ、一件落着……」

 

「よかったですぅ……」

 

「マジェコンヌの襲撃も、結局無かったしね」

 

「このままドンドン行こう!」

 

そうして、俺達は無事に次の目的地へと進路を進めることが──

 

 

 

 

 

「いや、見事だったな」

 

 

 

 

 

─出来るわけでは、なかった。

 

一人の拍手の音が聞こえる。

俺達は全員、その音の方向を見る。

 

そこに居たのは……

 

「お前、は──!!」

 

「よう、タタリ。この世界(・・・・)を楽しんでるようだな?」

 

一人の男だった。




出てきた男は誰なのか。

次回、『監督気取り、その全力』

お楽しみに。

そして、感想待ってます

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