どうも……あ、ごめん、挨拶も辛いわ。
取りあえず、ワラキーです……。
はー、つっら……(疲労感)
もうダメ、動けない。
「おう…おう…」
「何だか元気のないセイウチみたいになってるわね…」
「仕方無いですよ、動きすぎると戻ったときの反動はすごいでしょうから……」
「日本一……重くないか?大丈夫か?」
「平気よ!疲れてはいるけど運べないほどじゃないわ!」
日本一に担がれている情けない男がここに一人。
俺ですね……はい。
ロムとラムも疲れはてているようでアイエフとコンパに背負われている。そんで、寝てる。
ネプギアは平気らしいが、多分、皆沈むように寝るだろうな、これ。
しかし、ドライグを倒せたときにヒントを得られた。
恐らくは正解だろうが……まさかこんな事だったか。
「エルエル、今にも寝そうですぅ」
「頭働かせて、タタリ使いまくって、動き回って……
正直、風呂入るのも辛いです……」
「かなり重症ね、これは」
「アイエフと日本一も動き回ったろうに……」
「まあ、今は倒れちゃ駄目だからね…」
「そうそう、本当は寝たいけどね」
「二人とも、お疲れさまです…」
疲れによる気だるさを隠しきれない皆はルウィーの教会まで歩く。
多分、ルウィーでも国際展示場の異変は察知してるとは思うが……教祖と話すの、明日じゃダメかなぁ……?
やはり、俺も歩こう、日本一に負担を強いるのは良くない。
そう思って体を動かそうにも腕しか動かない。
「無理しない。頑張ったんだから、素直に運ばれてなよ」
「うぐぐ…………」
「大人しくしてなさいって」
「はい……」
無念。
俺はそのまま、ルウィーの教会までぐったりとした様子で背負われたのであった。
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ルウィー教会
そこに着いた我々は教祖の姿を探す。
ついでに双子も起こそう。
「ロムちゃん、ラムちゃん。起きて、ルウィー教会に着いたよ?」
「んぅ……」
「ぅぅ…… 」
二人とも、目を擦って起きる。
そして、周りを見渡すと……
「あ、帰ってきたのね!」
「よかった……」
「おー……教祖は誰か知らない……?」
「お兄ちゃん、まだぐったり?」
「ぐったりです……」
「取りあえず、ズェピアはここに……ほい」
日本一に座れる椅子に置かれた。
俺は取りあえず、動けないことだし座っておこう。
喋れはするが早く寝たい。
双子は寝たこともあってか元気そうだし…子供っていいなぁ。
俺の右隣にアイエフ、更にその隣に日本一が座る。
ネプギアとコンパは別のところに座る。
やはりそれなりに疲れてるな。
「あー……絶対明日は走れないわ」
「筋肉痛は凄いかもね」
「諜報員がやることじゃないもんな。日本一は…ヒーローがやること?」
「今回はヒーローっぽかったわ!」
「ぽかった、じゃなくてヒーローだよ」
走ってたときの二人は結構かっこよかった。
あのキリッとした目付きはスゴいわ。
ドライグの火球を走りながら避ける様はアクション映画のようだったし……
「ロム、ラム!」
「あ、ミナちゃん」
「ただいま~!」
あ、教会の奥から誰か来た。
長い水色の髪で赤い縁の眼鏡をした女性で、ロムからはミナと呼ばれている…女神候補生と仲がよろしいのか。
ただ、そのミナと呼ばれる女性は明らかに心配している顔だ。
「ただいまじゃないですよ!地震も起こったというのに何処にいたんですか!?」
「あー……落ち着いてくれ」
「貴方達は………いえ、ロムとラムを連れてきてくれたのですか?」
「そうなる。少しくたびれているのは許してくれ」
「構いません、二人が無事なのも皆さんの…」
「ああいや、そういうわけでもないんだ、これがさ」
「それはどういう…?」
俺はミナさんにこれまでの経緯を教えた。
すると、段々と顔が青ざめていき、顔を俯かせてロムとラムに近付いていく。
「ロム、ラム」
「は、はい」「ミナちゃん、怖い……」
「ドラゴン…それもとても強い個体と戦ったらしいですね?」
「でも、勝ったのよ!」
「お兄ちゃん達がいたから勝てた…(ぶいっ)」
「そうですか、それは凄いですね。よく頑張りました……と、言いたい所ではありますがっ!」
ミナさんはとても怒っていた。
心配混じりの怒り。
きっと母親みたいな存在なのだろう。
「殺されてしまう可能性もあったのですよ!女神候補生といえど貴方達は子供なのですよ?」
二人をとても心配していたのは最初にロムとラムの名前を呼んだときにしっかりと分かった。
二人も危険なのは分かっていたからか少し申し訳ないといった雰囲気だ。
取りあえず、説教を止めよう。
皆どうしていいか分からないって顔だし。
というか、疲れてるので……
「ストップストップストーップ!ストップ高!」
「ストップ高は違うだろ!」
「痛い!?」
アイエフさんナイス。
ミナさんは俺の方を向いてくれた。
「あー、ミナさんでいいですよね?」
「はい、西沢ミナです。ここ、ルウィー教会で教祖をしています」
「俺はズェピア・エルトナム・オベローン。
ズェピアと呼んでください。
俺達がどんな一行かは多分、先程の説明で理解していただけたかと思いますが……まあ、彼女たちを責めないであげてくれませんか」
そう言うと、ミナさんは困ったような顔をする。
まあ、せやろなぁ。
「子供であるのはこちらも理解しておりますが…女神候補生でもある。彼女達はその自覚が少なからずあるからこそ、ドライグから逃げずに共に戦ってくれたのでしょう。
それに、言ってましたよ、ルウィーを守りたいってね」
「……」
「お兄ちゃん…(キラキラ)」
「ズェピア……!」
「しかし、子供であるこの子達がそのような危険な事をしたのは事実。こちらもそれに関しては何も言えません。二人の娘がいる身としては痛く気持ちは分かります。ですが、一つだけ……褒めてあげてください。
結果としてではありますが、二人は二人にとって大好きなお姉さんの国、ルウィーを守った。それもまた事実なんですから」
「……そうですね」
俺も、フリージアやオーフィスが二人でグレートレッドに挑もうものなら泣いてでも止める。
というか、それをさせたくなかったから俺一人で行ったんだし。
だからミナさんのロムとラムを叱ろうとするのはとても分かるのだ。
けれど、二人のお陰で勝てたのは事実。
だから、個人としては褒めてほしい。
ミナさんは俺の気持ちを理解してくれたのか、二人に向き直る。
「ロム、ラム…二人のしたことは危険であったのには変わりません。ですが、二人がルウィーを守ってくれたのもまた変わらぬ事実。…よく頑張りましたね」
「「ミナちゃん!」」
二人はミナさんに笑顔で抱き付いた。
ミナさんもまた、笑顔で抱き止める。
俺はそれを見て、自然と頬が緩む。
「アンタも親なのね」
「今更かよ?」
「話は聞いていたし、その手の愚痴も聞いたわよ?
でも、さっきのアンタは父親って感じだったわ」
「…父、か」
アイエフに言われて、二人の娘に思いを馳せる。
フリージアは確かに俺を父親的立場の人と見てくれているだろう。
だが、オーフィスは……。
ふぅ、そう思うと、俺は失格なのかもな。
「俺は父親というにはまだまだだよ」
「なら、頑張んなさい」
「ズェピアは父親としてはまだまだかもだけどヒーローとしてはいい線いってるよ!」
「マジ?」
「マジ!」
「仮面ライダーになるときが来たかぁ」
「やめなさい」
「あっはい……」
止められたのでライダーは断念します。
ワラキーはやはりバーサーカー……。
狂化連中より狂化してるとか言われるだけはある。
今日の戦いの事を話している双子とそれを聞いているミナさんを見ながら、くすりと笑う。
〔ズェピア、今回はどう?〕
〔まずまずの出来だ。日々精進だよ、フリージア〕
〔ん、フリージアの料理、上手くなってる〕
〔そう?えへへ……〕
簡単に昔を思い出せる。
あの頃のような光景だ。
「……今日のところは一件落着ってことで」
「そうね、重労働だったけど…少し良い仕事したかも」
「こういうのを見れるのがヒーローの特権だよね」
「分かるわ~めっちゃ俺分かるわ~」
「でしょ?」
「子供を助けて、怪人を倒した後に親の所まで送り届けたりして、親子がひしりと抱き合って喜ぶ光景…いいよなぁ。助けたって実感沸くよな」
「うんうん!それでそれで──」
「皆!」
日本一が更に語ろうとしたとき、ラムが俺たちを呼ぶ。
日本一は少し残念そうにしてたが、何の用かと気になってるようだ。
ロムとラムは一度互いの顔を見て、頷きあってからもう一度こちらの方に笑顔を向ける。
その後ろにはミナさんも笑顔で立っている。
「「今日はありがとう!」」
「皆さんのお陰でルウィーは守られました、ルウィーの守護女神ホワイトハート様に代わり感謝します」
「えっと…どういたしまして!」
「こちらこそ、手伝ってくれてありがとです!」
いち早く反応したネプギアとコンパに続くように俺たちも笑顔を向ける。
「─こういう感謝が、ヒーローの原動力になるんだろうね」
「そうだな」
「感謝されて、悪い気はしないわね」
ヒーローは柄ではないけど、悪くはないなと思ったのだった。
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その後、本当はゲイムキャラ等の話をしたかったが疲れが抜けそうにはなかったので後日改めて来ることにした。
宿はミナさんが手配してくれて、感謝感激である。
それで、部屋を割り当てられたのだが……
「ズェピアさん、体は大丈夫ですか?」
「寝れば大丈夫。明日には回復するさ」
ネプギアと一緒とは、どういうことだ。
いやまあ、事の経緯は簡単だ。
俺は一人部屋にしようとは思ったのよ。
でも、まずコンパがそれは駄目だと言って看病しますと言ってきた。
看護士が言うんだし、従った方がいいかなと思って了承しようとしたんだが……
『わ、私がやります!』
と、ネプギアが焦った様子で立候補してきたのだ。
コンパはそれに困惑したが、その後何を思ったのか笑顔で了承。
こうして俺とネプギアは一緒になった。
ちなみに、その間アイエフは日本一に取り抑えられていた。
まあ、一緒に寝なければいいのだ。
もう風呂も入った、夕飯も食べた。
寝るだけなのだ。
「それで、何でネプギアは立候補したんだ?」
「…嫌でした?」
「いやいや!嫌じゃないよ!でも気になってさ」
「本当ですか?」
「本当だって!ネプギアみたいな女の子に看病してもらえるのは個人的に嬉しいしな」
「そ、そうですか?」
「うん」
「そうなんですか……えへへ」
「うん?」
「何でもないです!」
慌てて何でもないと言ったネプギアが気になりはしたが何でもないなら、まあ……といった感じで俺は気にしないことにした。
「えっと……何となく、私がやりたいなって」
「というと?」
「あの時、手を握ってくれたじゃないですか。
……温かくて、落ち着いたんです。
その、お礼…みたいな?」
「ハハハ、何だそれ」
「笑わないでくださいよぉ!」
「ハハハ……でも、それなら俺だって感謝してもしきれないんだぜ」
「え?」
〔また一人で抱え込んでましたよね〕
「あの言葉が…俺の意識をしっかりと覚ましてくれた。礼を言うなら、俺もなんだ」
「…ズェピアさん」
「頼もしいよ、ネプギアみたいな女の子がいると…何だか頑張れる」
「え、そ、それってつまり……」
「相棒みたいなもんなのかもなぁ」
「……うぅ」
「どうした?」
ネプギアは俺の相棒発言にがっくりと項垂れる。
一体どうしてしまったのか。
「何でもないです……相棒で良いですよ……今は」
「そうか?」
「はい」
「そっか、頼りにしてるぜ、相棒!」
「はい!」
何だか残念そうではあったがすぐに笑顔になるネプギア。うんうん、この笑顔だよ。
守りたいって感じになる。
「さて、そろそろ寝よう」
「はい、おやすみなさい、ズェピアさん」
そうして、ネプギアは自分のベッドまで行き、寝た。
疲れもあったからか、すぐに寝息が聞こえる。
……お疲れ様。
俺もまた、ベッドで横になり、天井を眺める。
「……タタリ、その本質……」
『答えは出たようだね』
ワラキアが俺に話しかけてくる。
唐突ではあったが、本人としては早く聞きたかったのだろう。
─ああ。──だろう?
『素晴らしい回答だ■■■■。それを理解したのだ、君はもうタタリを使いこなせるだろう』
─そうだな
どうやら、当たっていたようだ。
そうか……そうだよな。
俺が欲した特典は、それだもんな。
何もおかしな点はない。
何と言うことか、こんなことにも気付いてなかったとはお馬鹿な。
『今日はもう疲れたろう。寝ると良い』
─ああ、おやすみ
ワラキアの夜、か。
だとすれば……
「─ズェピア・エルトナムで居続けるのは、おかしいのかもしれないな」
ドライグとの戦いを通じて答えと新たな絆を得たワラキー。
その答えと絆は、今後どう活かされるのか。
次回に続く。
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