やあ、皆。
俺だ、ワラキー…の姿じゃないけどワラキーだ。
さて、先程協力すると言ったのはいいが、問題は山積みだ。
アイエフがそう言えば、といい、俺に一つ質問してくる。
「アンタ、武器は?」
「………………あっ」
「あっ……って事は無いのね」
「どうするんですか?」
「普段の姿だと、爪とかが一番の武器だったんだ。今の姿だと何処まで力があるか分からないし…ううむ、持っといた方がいいよな。といってもな……」
「それだとマトモに剣も振ったことないわね」
「その通り、いやあ、参ったね」
「参ったね、じゃないわよ。どうするの?」
「まあ、取り合えずは素手でいくよ。
下手に武器持つよりは良い動きすると思うよ、うん」
「不安ね…」
「エルエル、無理はしちゃダメですよ?」
「…そうだな、無理しない範囲で何とかするさ」
心配してくれるなんて有難い。
でも、筋力は吸血鬼のそれだと思うんだけどなぁ。
タタリの力は感じるし、全部が消えた訳じゃないと思うんだが……むぅ。
そもそも、何でワラキアの夜の力が発揮できなくなったのか……ワラキーの何十分の一位の力しかないよ。
まあ、やっていけるとは思うけど…
どうだろう、案外ド派手に動くからな、ここの人たち。
それより、ネプギアが心配だ。
3年も捕まってたらしいし、かなりの差を感じて負けたらしいし。
俺も、そういうときあったし、気持ちはわかる。
でも、いきなり話し掛けて、お悩み相談なんかしたら気持ち悪がられそうだし。
様子を見るべきか。
「…ところで、起き上がって良い?動いといた方が俺としてはいいんだけど」
「体に違和感はないです?」
「この姿事態がもう違和感ありありだけど、他はないよ。体に慣れるためにも、頼むよ」
「分かりました、でも、無理はダメですよ~?」
「うん、分かった」
俺は許可を得たので立ち上がり、自分の服装を改めて確認する。
…ワラキーの服装はどこいったし?
今の俺、青いジャージ一式じゃん。
体育する人じゃん。
何でだろーとかネタでしないし。
ええ……って顔になってるよ俺。
「動きやすい服……だな、うん……」
「元々そんな格好でしたよ?」
「マジか…マジか…」
「凄い落ち込みようね」
「ダサいじゃん……」
「否定はしないわ」
「…くそぅ、で、でも俺にはまだ戦闘という挽回の機会がある!そこで男を見せれば見直すんだなぁ!」
「ハイハイ、無茶はすんじゃないわよ。それと、ここを案内するから、準備が出来たら来なさいよ」
「アイちゃん、待ってくださーい!」
そう言って、大丈夫そうだと判断したのかアイエフは出ていく。コンパも一緒に出ていくが……ネプギアは出ていかない。
何でだ?
「あの、ズェピアさん」
「ん?」
「ズェピアさんはグレートレッドを倒すんですよね」
「まあ、この世界に蜥蜴と一緒に来たのは俺だしな。
俺がやらないと」
「……どうして?」
「え?」
「どうして戦おうって、思えるんですか?」
「……どうして、か…」
グレートレッドを倒す。
それがどれだけ困難か、俺はよく知ってる。
どんな奴かも皆には教えた。
何でだろうか。
別に、いけないなんて考えたことは一度としてなかった。調子に乗っていたのかもしれない。
だけど、負けるとは微塵も考えたことはなかった。
…一つだけ答えを持ってはいる
「単純な答えだよ、ネプギア。家族だよ」
「家族、ですか?」
「俺は自分勝手な考えを持っていてさ、家族が大切で、大切で仕方がないんだ。だから、俺は家族の邪魔になるグレートレッドを消そうとした。決められた運命なんてそんなのは誰でも嫌だ。俺たちは考えられる…研鑽ができるんだよ。なら、それに敷かれたレールの通りに進まず、逆らってもいい」
「だから倒そうとしたんですか?」
「まあ、そういうことになる。……結局、俺たちは何処かで願いをぶつけなきゃいけない。その時がどんな局面かは知らないけどね。俺にとってのそれはグレートレッドを倒す時なんだろうさ」
「願いを、ぶつける……」
ネプギアはその後、考え込んでいた。
まだ答えは出ないだろうけど、その考えるという行動が大事なんだよ。
そうやって、運命に逆らう方法を模索してきた。
あの蜥蜴が決めた線路を、誰が好き好んで通る?
俺は真っ平ごめんだ。
そんなのはお断りだ。
「今はまだ、答えを焦らなくていい。
でも、いつか……そうだな、俺がこの世界にいる間に、聞かせてほしいもんだ」
一瞬だけ戸惑ったが、もうここまで喋ったし、変な所で臆病になるわけにもいかねぇ。
というか、俺にもプライドがある。
俺は微笑んでネプギアの頭を撫でる。
「ひゃっ!?」
突然撫でられて驚いたのか少し声をあげるネプギアに悪い悪いと手を離す。
「悩んでいるのを見ると、どうもな。すまない」
「い、いえ、大丈夫、です」
慌てた様子で大丈夫と告げるネプギア。
ちょいと馴れ馴れしかったなと俺は反省する。
「そうか?…よし、それより、ちょっとこのプラネテューヌを案内してくれないか?アイエフが言ってたときから気になってたんだよね」
「は、はい!」
まあ、何はともあれ、暗い気分のままでいさせても仕方がない。
アイエフたちも連れて明るくいこう。
そう、今はそれがいい。
「そうと決まれば行くぞー」
「あ、待ってください!」
「どうした?」
「あの、吸血鬼なんですよね?太陽って…」
「平気さ平気。ズェピアさんは特別なのだよ~」
「は、はぁ……」
飄々として、歩いて部屋を出る。
歩いて分かった事は、体が多少重い。
太ってるわけではないんだが、死徒の体が、とても優秀だったからか……
まあ、そこは慣れるしかないか。
何かの拍子に戻るかもしれないしな。
そうして、俺たちはアイエフたちのいる所にまで行った。
「やっと来たわね」
「待ってました~」
「すまない、遅れた。それで、案内って言ってたけど全部じゃないだろ?」
「まあね。そんな事してたら日が暮れるわ。
だから、今日はギルドへ行くわ」
「ギルド?…クエストか?」
「当たり。そっちの世界でも似たのがあるの?」
「いや、ゲーム知識みたいなもんさ」
「ああ……なるほど」
ギルドかぁ、クエスト……
なるほど、アイエフさん優しいじゃないのよ。
早く体を慣らせ、そういう意図ですね?
ふっふっふ……
「何気味悪い笑み浮かべてんのよ…」
「いやいや、それより、行こうぜ」
「何でアンタが仕切るのよ」
「そう言うなよ、遠坂」
「遠坂じゃないって言ってんだろっ!?」
「あだぁ!?」
アイエフのツッコミによる背中叩きは俺に大ダメージ!
痛い、痛いよぉ……
何て奴だ、俺の機体に損傷を……!
そんな俺とアイエフの様子をコンパは微笑んで見ていた。
「二人は仲良しですね~」
「だろ?」
「ちょっと?私とコイツの何処をどう見たら仲良しに見えるのよ!?」
「待て、アイエフ」
「何よ、変なこといったらもう一発叩き込むからね!」
「何、俺たちはチームだ。チームは信頼関係があってこそ連携が可能となる」
「まあ、そうね」
「つまりな、俺たちは今、チームとしての第一歩を歩んでいるというわけなのだよ。アイエフ君」
「なるほどね、こうした会話から絆が生まれて、息の合った戦闘が出来るって訳ね……」
「理解できたようだな」
「ええ、理解したわ……」
「アンタと私はまだ知り合って間もないから信頼も何もあったもんじゃないってことがね!!」
「たわばっ!?」
背中に対して鋭い一撃!
あまりにも痛いツッコミに俺は涙が出そうだ。
くそ、コイツ、何というツッコミ力だ……!
「容赦ないっすね……」
「何良いこと言った感じになってんのよ。ったく……
戦闘で良いとこ見せるんでしょ?」
「…アイエフ、ツンデレだな?」
「ちょっとは真面目になれっ!!」
「やばたにえんっ!?」
容赦ない腹パンが俺を襲う!
腹は……アカンて……
「あーもう…ほら、コンパ、ネプギア。そこの馬鹿は置いてさっさと行くわよ」
「……え?あ、はい!」
「あー、急ぎ足で行かなくてもギルドは逃げないですよアイちゃ~ん!」
三人とも、蹲る俺を放って行ってしまった。
……作戦は失敗か。
どうも、ネプギアのトラウマは深刻らしい。
俺じゃなくて、アイエフたちも何とかしようとは思ってるが、どんな風に接すればいいか分からない感じか…
「中々の一撃……よし、行くか」
俺は立ち上がり、アイエフたちを追う。
くそぅ、それにしても置いてかなくてもいいじゃないか
俺、まさか、期待薄状態かよ
……泣きますよ?
にしても……
何だってこんなに弱くなってるのか、俺は。
後、プラネテューヌはとても近未来的で、素晴らしかったです。
・
・
・
・
「ああ、来たわね」
「来たわねって、置いてったのお前だよ?そりゃ、俺だって悪かったけど、置いていくのは泣くよ?」
まあ、少し建物とか見てたから遅れたんだけど。
「泣くの?」
「無理です」
「じゃあ、平気ね。さて、クエストをやるわけだけど……」
「クエスト……ですか」
「ああ、ネプギアもクエストは初めてなの?じゃあ、初めて同士、ズェピアとは仲良くね」
「は、はい!」
あれぇ、何で俺には厳しいのにネプギアには優しいの?
あれか、女子同士は優しさが大事なのか?
はぇー、つっら。
このままだと俺は精神的に死に絶えますね
「エルエル~」
「…なんだ、どうしたコンパ?」
「エルエルも、私たちの仲間ですよ~」
「……コンパ…!お前は天使だ……!」
「あわわわ!?エルエル泣いてますぅ!?」
あれ、おかしいな。
涙が出てきたぞ?あはは、まだ俺は感動すらしてないのになぁ。
ああ、これが悲しみの涙……
「あー、悪かったって…」
「俺、仲間?」
「仲間よ、仲間。変に弄ったりしないからそっちもあまりネタに振り切れないように…」
「よし、仲間発言いただきました~遠坂、ありがとう!俺たち仲間だもんな!クエストも頑張ろうな!」
「なぁっ!?まさかの泣き真似!?仲間を騙してんじゃないわよ!あと遠坂言うなぁ!」
ざまぁみろ、俺をいじるとこうなるのだ。
ク、クク、演技派主人公の座はネプテューヌにもやれんなぁ!
あ、ネプギアはそのままの真面目で純粋な君でいてね。
「ごめんごめん」
「全くもう…!…いい?今回の受けるクエストはこれ……っていうかこれしか無かったわ」
「過疎り過ぎでは?」
「それだけマジェコンヌの影響が強いのよ」
「なる。んで、クエストの内容は……」
「【スライヌ】の討伐クエスト、ですね…」
スライヌ?スライム、ではなく?ヌ、ではなくてム?
犬みてぇな名前だな!
「【スライヌ】って、何でですか?」
「数が増えすぎてるから減らしてくれって依頼ね。
まあ、今回はネプギアとズェピアのリハビリでもあるし、丁度良いんじゃない?」
なるほど、やっぱりな。
俺のリハビリ…まあ、そうだな。
俺もこの体での戦いは初めてだしな。
「……素朴な疑問をよろしいですかね、アイエフさん」
「言っとくけど、変なボケならツッコミ拒否よ」
「いや、【スライヌ】って名前なのか?【スライム】じゃなくて?」
「【スライヌ】よ」
「ああ、そう……」
「でも、油断はしちゃダメよ。放っておくと増えていくんだから、あいつら」
「でも、アイちゃん。【スライヌ】はそんなに強くないから大丈夫ですよ?」
「それでも油断したら命取りってことなんだろ、気を付けていこう……ネプギア、大丈夫か?」
「………あ、はい、大丈夫ですよ!」
…心配だな。
あんまり無理はさせないようにしないと。
俺はアイエフにだけ聞こえるように声をかける
「アイエフ」
「何?」
「ネプギアに無理をさせないよう俺たちでフォローしよう」
「…分かってる、でも、リハビリも兼ねてるから…」
「まあ、そこは仕方無いか…」
「二人とも、何を話してるです?」
「あ、ああいや、ちょいとこのバーチャフォレストがどんなところか聞いていたんだよ」
「そ、そうよ、だから決して怪しいことは……」
「そうなんですね~…」
チョロいぜ……!
恐らく、アイエフもそう思っているはずだ。
多分!
「さあ、軽く終わらせて帰りましょ!」
「はいです!」
「はい!」
「はーい」
「アンタは緊張感を持ちなさいよ…」
「分かったよ遠さ…OK、その拳を下ろせ、な?アイエフさん」
「はぁ…ふざけすぎないようにね」
「はい……」
「レッツゴーです!」
こうして、我々ゲイムギョウ界救い隊はRPG定番の雑魚モンスター、【スライム】ならぬ【スライヌ】を討伐しにバーチャフォレストへと足を運ぶのだった。
・
・
・
・
さてさて、バーチャフォレストについた俺たちは、【スライヌ】君を探しているのだが……
「あ、見つけました!」
「ヌラ?」
「これが……【スライヌ】か」
ネプギアが見付けたらしく、そこへ向かうと……
すっげぇ分かりやすい姿です。
【スライム】の姿に犬耳とか生やしてやがる……
スラ犬じゃねぇか。
【スライヌ】は何匹も居て、正直こうも多いと愛嬌がある姿でも気持ち悪く感じる。
「こんなにいるなんて…骨が折れそうね」
「頑張るですぅ!」
「往きます!」
「拳でこれ殴るのか…」
アイエフはカタールを、ネプギアはビームソードを。
コンパは巨大な注射器……注射器ぃ!?
い、いや、待て、落ち着け、ズェピア・エルトナム・オベローン。
この程度で狼狽えるな。
アトラス院院長兼死徒二十七祖は狼狽えない!
俺は冷静に、極めて冷静に拳を構える。
「アイエフさんよ」
「何よ?」
「あれを殴ればいいのか?」
「…気持ちはわかるけど、我慢しなさいよ」
「……はい」
「ヌラァァァ!」
「って、ズェピア!後ろ後ろ!」
アイエフが焦ったように後ろだと言ってくるので、その言葉に任せて、振り向き様に拳を振るう。
「ヌラァ!?」
「あ、力はこれくらいか」
「う、うわぁ…」
拳がヒットした【スライヌ】は地面へ落ちた瞬間消え去った。
アイエフさん、ドン引きしてるとこ悪いけど、そっちの【スライヌ】も悲鳴あげながら斬られとりますやん…
コンパの方は……
「えぇい!」
「ヌ、ラァ……」
あ、やめよう。
見てるだけで怖くなってきた。
吸血鬼ですけど、あれは駄目だ。
あれで生身の人間を刺した日にゃ、病院に行けなくなるかもしれない。
ま、まあ、普通に戦えてるようだしいいか。
ネプギアは……
「や、はぁ!」
「「ヌラァ!」」
「ふっ!」
「「ヌラァァァ…」」
「やりました!」
どうやら大丈夫そうだ。
2体同時に斬り倒していく姿は美少女の姿も合わさり華麗だ。
タタリは人を出すことすら出来ないほどに弱まっているが、全くもってやりにくい。
今まで死徒の身体能力とタタリに頼りすぎた。
「数だけは多い!」
「ヌラ!?」
「ヌボァ!?」
「うわぁ、変な声出てる……」
黒い銃身なら今も持ってるが、まるで反応しない。
俺を、ズェピア・エルトナム…ワラキアの夜と認識できていない。
…参ったな。
「ぬ、ヌラァァァァ……」
「ああ、逃げちゃいます!」
「逃がすか…って早!?」
「追うわよ!」
「はいですぅ!」
一匹の【スライヌ】が逃げていくので、追うが、中々速い。
何て奴だ…逃げ足の特性を持ったメタル系モンスター並の逃げ足の速さだ!
しかし、それもここまでよ。
ようやっと追い付いた俺たちは、今度こそ仕留めんとそれぞれ構えるが……
「様子がおかしいです!?」
「ヌ、ヌラララ……」「ヌラァ!」「ヌラヌラ…」「ヌラ」
「まだこんなに居たなんて…しかも、これって……」
「まるで、合体ですぅ!?」
「ドラ○エじゃねぇか!」
スライヌが大量に集まり、合わさっていく。
そうして、一体の巨大な【スライヌ】……
王冠がねぇ!じゃあデカい【スライヌ】だから【ビッグスライヌ】じゃねえか!
「ヌッラァァ……」
「うわ野太」
「驚くところそこじゃないでしょ!…にしても、こうなると面倒ね…でも、丁度いいわ。ネプギア!」
「何ですかアイエフさん?」
「おいまさか」
「いつかはやるんだから、今やった方が良いでしょ。
ネプギア、『変身』してあのデカブツを倒しなさい」
「変身、ですか……?」
「女神化よ、女神化。女神化しちゃえば、あれくらい余裕でしょ?」
「女神化……女神、化……。……ッ!!」
様子がおかしい。
うわ言のように喋るネプギアに駆け寄ろうとする。
すると突然、ネプギアは震えだす。
「……い、いや……嫌…無理です……そんなの…ッ!」
「ネプギア!大丈夫か!」
「イヤ、私じゃ、無理です!」
「くっ…アイエフ、コンパ!そのデカブツを頼む!」
「わ、分かりましたぁ!アイちゃん、ギアちゃんをいじめちゃダメですよぉ!」
「別にいじめた訳じゃ…うぅ、謝るのは後!今はコイツを倒すわ!」
【ビッグスライヌ】をアイエフたちに任せ、俺はネプギアの元へと駆け寄る。
ネプギアは頭を抱え、膝をつく。
駄目だ、まだ早すぎた!
トラウマが女神化を出来なくしてるんだ!
ネプギアに声をかけるが、聞こえていない。
深刻だな……どれだけ強かったんだ、そいつは。
……仕方無い、今はまず!
「ネプギア!」
「!ズェピア……さん…ごめんなさい、私なんかじゃ、無理だったんです…!」
「…ネプギア、いいか?」
「……?」
「お前は一人か?」
「一人じゃ、ないです…アイエフさんに、コンパさん、いーすんさんに…ズェピアさんがいます…でも、私なんか……」
「大丈夫、大丈夫だよ。そんな、どうしても挫けてしまいそうな時に俺たちがいる」
「で、でも……!」
泣いて、怯えているネプギアに優しく語りかける。
目線が同じになるよう、片膝をつく。
「俺たちは、お前をそんな時、必ず助ける。お前が俺たちを仲間だと言ってくれるなら、何時だって助ける」
「……なんで…」
「言ったじゃないか。俺は、自分勝手なんだ」
頭を軽く撫でた後、ニッと笑い立ち上がる。
「お前を助けるのだって、俺がしたいからするんだよ」
「…」
「だから、お前もお前がしたいことをしろ」
仲間、だなんて。
一度裏切った俺が言っていい台詞じゃないかもしれないけど。
それでも伝えたかった。
この世界で得た絆は確かにある。
それを捨てるような男ではないつもりだ。
こんな男に言われても嬉しくないだろうけど、まあ、そこは仲間補正ってことで一つ。
アイエフたちの方を見る。
思ったよりかは体力があるらしく、【ビッグスライヌ】は何度も体当たりを仕掛けている。
まあ、避けられて反撃されてるけど。
加勢するか、さっさと終わらせなきゃな。
「アイエフ、待たせた」
「別に居なくても大丈夫よ」
「すぐに終わらせたいんだろ?」
「…まあ、ね!」
「ヌラー!」
「しつこいですぅ!」
拳を握る。
いけるか。
今のアイツの体力なら……
「往くぞ、これを喰らってみろ!」
「ヌラ?」
「必殺!」
俺は、デカブツへと接近し、そして──
「─
「ヌラァァァァ!!?」
取り合えず、悲しみを込めて全力で拳を振り抜く。
見事にヒットした【ビッグスライヌ】は叫びながら吹っ飛び、消え去った。
「─ふぅ。よし、完璧な勝利だ」
「いや今の適当な技名はなんだぁぁッ!!」
「タピオカパンッ!?」
「ああ!エルエルの決めポーズ中に蹴りが!」
「ハッ、しまった…つい……」
背中に、蹴りが!?
アイエフ、貴様ぁ、俺の背中に恨みでもあるのか!?
「わ、悪かったわよ…」
「いや構わないんだけど…流石にそのツッコミは予想外だった…ぐぉぉ……!」
「あ、あの……ズェピアさん……大丈夫ですか?」
おずおずと、ネプギアが話しかけてくる。
もう大丈夫なのか?とアイエフとコンパは心配そうに見ている。
「あいててて……どうだ?」
「えっ?」
「中々、やるもんだろ俺たち。頼ってくれちゃっていいんだぜ?」
「─」
背中を擦りながらニッと笑う俺に、ポカンとした表情で俺を見つめ─
「─はいっ!」
─次の瞬間には花のような笑顔を見せてくれた。
まあ…これが見れただけ、良しとするか……