今回はですね、9000字を少しオーバーしました。
何てこったい。
という訳で中編です。
どうぞ
日本一さんが気分転換に買い物に出掛け、アイエフさんがゲイムキャラさんを直せる人を探してる中、私とコンパさんは二人でズェピアさんを看ている。
ロムちゃんとラムちゃんも心配で様子を見に来てくれたけど、二人とも寝てるだけのズェピアさんに寂しそうだった。
一向に目を覚ましてくれないズェピアさんに、私はただ座って静かに寝ている顔を見るだけ。
私もゲイムキャラさんを直せる人を探しますと言ったけど、アイエフさんに
『アンタはズェピアについててあげて。
アイツ、アンタの事を特に気に入ってるだろうし……目を覚ますかもよ?』
それを聞いて……正直、嬉しかった。
でも、この人の一番大切なものは家族の人達。
そう分かってしまうから、同時に悲しい。
「ギアちゃん、はい。ココアですよ」
「ありがとうございます、コンパさん」
コンパさんから貰ったココアを飲む。
甘くて、温かい。
コンパさんが隣に椅子を持ってきて座る。
「ギアちゃんは大丈夫ですか?」
「はい、私は平気です」
「…エルエル、寝坊助ですね~」
「はい……いつも起きるのも遅いですし」
「きっと、夢の中で遊んでるですよ」
「ズェピアさん、ゲーム好きそうでしたもんね」
「そうです」
プラネテューヌでゲームを見たとき、顔を輝かせていたのを覚えている。
『何じゃあこのゲーム……何て素晴らしい形なんだぁ……俺の世界のゲームなぞ、所詮、先の時代の敗北者じゃけぇ……』
落ち込みながらも喜ぶという器用なことをしながらゲームをしていた。
流石に、お姉ちゃんのやってないゲームはやらせてはいないけど、心から楽しんでいたのは覚えている。
「ギアちゃんは、エルエルの話をするとき楽しそうです」
「そ、そうですか?」
「ねぷねぷの話をするときとはちょっと違う楽しそうな顔です」
「う、うぅ……」
「顔を少し赤くして、嬉しそうに──」
「わーわー!そ、そんな顔してないですよ!」
「えー?」
からかう時のコンパさんは少し意地悪だ。
というより、ズェピアさんへの何気ない一言とかえげつなく感じる。
普段はおっとりとしてるから余計に。
「エルエルの事、好きです?」
「え……?私が、ズェピアさんのことを?」
「はいです」
「え、と……」
どうなんだろう。
聞かれて、考える。
確かに撫でられて嬉しいし、一緒に寝たときは心臓が五月蝿いくらいだった。
一緒にいるときは安心するし、笑顔を見るとこっちも自然と笑顔になる。
無茶や無理をしていると泣きたくなるし、怪我をしてまで動く姿は思わず抱きついてでも止めたくなる。
泣いていた私の元へ、来てくれた人。
……でも、どうなんだろう?
これを好きと思っていいのかな?
好きって、なんだろう。
コンパさんに、取り合えずズェピアさんに対しての気持ちを言ってみた。
すると、コンパさんはニコニコと笑う。
「ギアちゃんは、大好きなんですね~」
「そうなんでしょうか……」
「じゃあ、ユニちゃんとかがエルエルとくっついてたらどう思いますか?」
思い浮かべる。
ユニちゃんがズェピアさんと一緒にいて、一緒に笑って話して。
それで──
そこまで想像して、ドス黒い感情が沸き上がる。
それは、嫌だ。
「……嫌です!」
「それじゃあ、一緒に居たいって思うです?」
「えっと……はい」
「好きって、そういう事なんじゃないです?」
「…うーん……」
そう、なのかな。
でも、本当に?
「でも、甘えたいだけな気がします」
「うーん……ギアちゃんにとってエルエルは仲間ですか?それとも、それ以上?」
「それ以上……」
多分、それは恋人とかの関係になりたいかって事。
…一緒に何処かへ出掛けて、一緒にお店でご飯を食べたりして、キスをしたりする。そんな関係。
少し、想像してみる。
ズェピアさんに告白されたら、嬉しいかどうか。
『ネプギア、好きだ』
え、でもズェピアさんって直球で言う人かな?
もう少し遠回りな形で言いそう。
でも、告白してくれたらそれは家族の人達と同じくらい大切だと思ってくれてるかもしれない訳で……
それは、とても嬉しいと思えて……
胸の内が温かくなる。
「───そっか」
─これが、好きって事なんだ。
自覚したら、顔が熱くなる。
「え、あ、うわぁ……」
「どうしたですか?」
「今まで、ズェピアさんにしてた事を思い出したら……恥ずかしくて……」
それに、ユニちゃん達に向けてたのって嫉妬って事だよね……
最低だ、私……。
「それに友達に、嫉妬してたなんて……」
「ギアちゃん…好きな人が取られるのは誰でも嫌ですよ」
「うう……そうですか……?」
「はい、今度から気を付ければいいです」
そう、だよね。
それに、一々嫉妬してたんじゃ、重いし……。
うん、 ズェピアさんもそれは嫌だろうし……気を付けよう。
もっと、話をしたい。
もっと、笑い合いたい。
「…もっと、一緒に居たいです、ズェピアさん」
「……エルエル、早く起きるですよ」
私は、貴方を待ってます。
・
・
・
・
ルウィー教会。
そこまで二人?一人と一匹を案内した
教祖の方もちょうどプラネテューヌの教祖から話を聞き終わった所のようだった。
「えっと……はい、プラネテューヌの教祖からの説明で大体の理解はしました。つまり、貴方方はズェピアさんの世界の家族ということですね」
「ん、そう」
「中々物分かりがいいねぇチミ。でも、その真面目なキャラはこの先の人気投票という荒波で生きていけるかというとそれはまた別のハ・ナ・シ」
「は、はぁ…」
少し困った風な教祖に内心私も同じ気持ちだった。
煙草を吸ってる奇妙なネコにそれを膝に乗せて短い返事をする黒髪の少女。
この二人はズェピアの家族だって話だけど…
すっごい変ね!
「それで、ズェピアに会わせてあげたいんだけど…いい?」
「それは構いませんが…とても話せる状態ではないですよ?」
「うむ、それはそこのどこぞの当主と張り合える胸のヒーローから聞いているから安心なさい。
吾輩達も長くここには留まれにゃいからね」
今聞き捨てなら無い単語が聞こえた気がするけど気のせい気のせい。
そう、ヒーローに胸なんて必要ないんだから!
「という訳でヒーローガール!吾輩達をソウルフレンドの所までの案内よろしく頼もう!お礼にこの非売品激レアDVD『二十七キャット、世界征服三秒失敗!』をくれてやろうではにゃいか!」
「要らないけど任せなさい!」
「ナチュラルに吾輩の贈り物を拒否しやがるとは汝中々辛辣orナイス判断と言わざるを得ないのである…」
「ん、ありがとう」
「これくらい、感謝されることじゃないわ!えっと…」
「おお、吾輩としたことが自己紹介を忘れるとは。
これはハードディスク内のお気に入り画像を親に見られて消されるくらいの大失態なのです」
「我、オーフィス」
「若干のスルーを感じるが吾輩いじけてにゃいよ……
ふっ、クールな自己紹介をしたドラゴンガールの手前、無様な自己紹介は出来ぬな」
何だか気合いを入れてるけど普通に自己紹介をしてほしい。
そう思ってしまう私と教祖は間違ってないはず。
オーフィスは膝からネコを降ろす。
降ろされたネコはファイティングポーズを何故か取る。
「生まれは冥界、年齢不詳、職は店主で順風満帆!
旨くて激辛拉麺を、お客の口に放り込む。
寄せる世間の不条理も、不死身の体でライディング~
そう、我こそは二十七キャットのコピぺの一角!
ジョージ意思のネコカオス!」
「あ、うん……」
「カオス、滑ってる」
「分かってはいたけど二番煎じに等しい台詞はやめようぜ
「それ以上いけない」
「え、えっと……日本一さん、二人をお願いしますね」
「ええ、任せて。ほら、行くよ!
「ん」
「ああ、髭を引っ張るのはやめようね、引っ張るならせめて吾輩の温もりを感じられる手にしてね」
「嫌」
「あ、ダメ?ですよねー……」
・
・
・
やっぱり起きない。
何時になったら起きてくれるのか。
「頬を叩けば起きたりしませんかね……」
「しないと思うです。もうしましたから」
「コンパさん?」
「何も言ってないですよ?」
「そ、そうですか……」
何だか、笑顔で何かを言っていたような。
ズェピアさんの右頬が何となく赤いし……
気のせいだよね。
そうしてズェピアさんの様子を見ていたら、扉がノックされる。
アイエフさんかな?
『ネプギア、お客さんが来てるんだけど入れて良い?』
「お客さんですか?」
日本一さんの声がした。
お客さん?私にかな?それともコンパさん?
それとも、ズェピアさんに?
「はい、入ってどうぞ」
「じゃあ、あんまり騒がないようにね?ってうわわ!」
「イダダダ!引っ張りすぎるとネコのか弱い腕がもげる!吾輩にM体質はナッシングなのであまり激しくはするのはNGと言わせてほしい!」
「ズェピア」
「きゃっ…だ、誰?」
黒髪のワンピースを着た女の子が黒い……ネコ?でも、本人は自称してるし……ネコさんを引き摺りながらズェピアさんの寝ているベッドに飛び込む。
私が何者か聞くと、女の子はこちらに首を向けて顔をずいっと近付けてくる。
「……」
「な、何?」
「──ズェピアの匂いが、特別濃い」
「に、匂い!?」
「やっと解放されたかと思えばこれ。いやぁ、吾輩達だけが来たのは間違いだったのか、それとも吾輩の脳細胞が貧弱なのか」
ネコさんが見た目と同じくらい意外と渋い声で何かを言っている。
「待ちなさい、ドラゴンガール。彼女は吾輩達というスペシャルゲストを知らないから、ここは自己紹介をすべきだと吾輩のイルカ並の知能が告げておる」
「……我、オーフィス。こっちはカオス」
「あ、はい。オーフィスちゃんとカオスさんだね。
私はネプギア。こちらはコンパさんだよ」
「よろしくです。それで、お二人はどうしてエルエルに?」
「ズェピアの家族で、ズェピアに会いに来た」
「えっ……」
オーフィスちゃんの言うことに少し理解が遅れる。
家族……?
会いに来たって事は……迎えに来たってこと?
「エルエルのご家族さんですか?じゃあ、エルエルの元いた世界から来たってことですか?」
「ん、そう」
「まあ、吾輩達もソウルフレンドを迎えに来たかったが……それは叶わないお約束にゃのよ、これが」
「そう、なんですか?」
カオスさんの発言に少し安堵してしまう自分がいる。
やっぱり、まだ離れたくないんだ、私。
カオスさんはうむ、と頷くと椅子に座ると話し出す
「まあこんな見た目だけどシリアス的雰囲気に入るんにゃけど、こうして来れたは来れたけども、吾輩達は本当の吾輩達ではないのだよ」
「我とカオス、力だけの存在」
「つまりどういうこと?」
「約二日前かそこらでようやくこの次元への道を当てたもう一人の家族の協力もあってここに来れるようにはなった。それは理解するであるよ。しかーし、本当の吾輩達が入るには少し小さすぎたのよ」
「繊細な世界の裂け目だった。我達がそのまま入ったら他の次元にまで影響、出てた」
「故~に本当の吾輩達…もう本体で良い?…はそこで寝腐ってるソウルフレンドの助けになる力だけを送り込んだって訳よ。正確には吾輩はこのドラゴンガールの補佐なだけにゃのだけど」
「じゃあ、貴方達でもズェピアさんを連れ戻せない?」
「そう言うことにゃね。偶然空いた穴がソウルフレンドと赤蜥蜴を吸い込むほどだったってだけなのよ。
…まあ、しかし、吾輩達が来て正解だった様子」
片目を開けて、ズェピアさんを見るカオスさん。
何となく、心配してるのかな?
オーフィスちゃんはズェピアさんの額に手を当てて目を閉じる。
私達は何をしているのかよく分からないので静かにそれを見守る。
やがて、目を開けたオーフィスちゃんはカオスさんの方を向く。
「ふむ、どうであったかな?」
「器が力に追い付いていない。だから眠ってる」
「ああ、なるほど」
「タタリがズェピアさんよりも強いってことですか?」
「うむ、説明すると少し長くなるがよろしいかね?」
「お願いするです」
「承知したメロン少女よ」
カオスさんは椅子から降りてズェピアさんのベッドに立つ。
ズェピアさんを踏んづけてはいない。
「だが、その前にここで起こったソウルフレンドに関することを全て教えてはくれまいか?憶測で語りたくはないのでね」
「はい、分かりました──」
私達はカオスさんとオーフィスちゃんにズェピアさんがゲイムギョウ界に来てから起こったことを話した。
グレートレッドの話をするとオーフィスちゃんの無表情が少しだけ怒ってるように変化していたけど…ちょっと怖いかも
全部話し終えるとカオスさんがやはりか~と喋り出す。
「タタリの本質を理解した弊害であるな。
確かに、その本質を理解することでよりタタリを使いこなせるようになるのは事実。ですが、彼のボディーは元々は人間。今も、何かシステムに障害が起こっているのか死徒の身体能力を持ってるだけの人間の体って訳よ。今から一人語り始まるから画面の前の君、少し耐えてくれたまえ」
「死徒化した時のスペックの元はこの人間の時のスペック。それを幾らか倍増ししたスペックだから疲れも現れるって訳よ。まあ、鍛えればその疲れも幾ばくかは晴れるだろうけどにゃー。
けれども、それはズェピア・エルトナムという所謂いつもの姿であればの話。七夜志貴は本質を理解したが故に出来てしまった新しいフォルダという話」
「新しいフォルダを既にズェピア・エルトナムボディーで満帆な器に入れたらどうなるか?
当然、こうしておかしくなる。しかも直死の魔眼とかいう中二心満載な眼まで入れれば許容オーバー、爆発寸前って事であーる。これからもその新しいフォルダさんが増えるであろうなぁ。わざと見えないようにされていた力を今回の特殊環境で見えてしまったわけだから」
「要するに、このままだと寝たままな訳よ!
よろしい?よろしいね。よし、理解した!」
カオスさんの話を聞いて、納得した。
元々ズェピアさんはあの姿だけを使えるだけだった。
それが、ゲイムギョウ界に来てから何かの手違いで使えるようになってしまった。
タタリの本質を理解したから体に収まりきらない程の力になってしまった。
「はい、理解しましたけど…オーフィスちゃんはどうやってズェピアさんを助けてくれるんですか?」
「ん、我の力を少し与える」
「え、それだとより許容量をオーバーしちゃうんじゃ…」
「うむ、そこを説明するとだね。その力を、許容限界を引き上げてくれるように与えるのだよ」
「そんな事できるですか?」
「普通なら無理。でも、我は無限」
「今の台詞を補足すると、無限の力を使ってそうするって事ですな」
「取り合えず、ズェピアは起きる?」
「ん、起きる」
「よかった~……」
「アイちゃんに知らせてくるです!」
「じゃあ、私が教祖に知らせるわね」
コンパさんと日本一さんがそう言って出ていく。
よかったぁ……本当に、よかった……!
オーフィスちゃんは、二人が部屋を出た後、私の方を向く。
「…1つ聞かせてほしい。ネプギアは、ズェピアの事、好き?」
「え?」
「答えて」
「吾輩のいる中で、しかもソウルフレンドが寝てるのにこんな女子会開くとはニャブン!?」
「これで起きてるのは二人」
「え、えぇ~……」
「それで、どうなの?」
カオスさんが後頭部を殴られてベッドに倒れる。
……気絶してるっぽい?
嘘は許さないという目で、オーフィスちゃんは私に聞いてくる。
きっと、この子もズェピアさんが好きなんだ。
私よりも、前から。
そんな子が、私に真剣な様子で聞いている。
なら、私も真剣に答える。
「うん、好きだよ」
「…そう」
「オーフィスちゃんも好きなんでしょ?」
「好き。ズェピアの為なら、世界だって壊すし塗り替える……つもりだったけど、もう懲りた」
「やろうとしたんだ……」
でも、出来ると思ってしまうくらいの存在感は感じる。
本当にやろうとしたんだろう。
「家族に迷惑かけたから。…もっと普通に攻めようと思ったけど、ライバル登場に驚いてる」
「そっか」
「でも、悔しいけど、ネプギアの方が今は有利。
状況的に、我は干渉できない。…でも負けない」
「私も負けないよ。ズェピアさんが帰ることになっても……その前に」
「ん、じゃあ頑張るといい」
「止めないんだ」
「ライバルだけど潰すような真似はしない。
それに、もしかしたら『そういう願望』が無いとも限らない……」
ズェピアさんを見るオーフィスちゃんは優しげな笑みを浮かべている。
「ズェピアは…この人は、優しい人。
本来のこの姿のこの人は、弱くて、脆い。
それでも家族の事だけは手放すことはしないし、助けるためにどんな傷を背負っても頑張る…。
変なところで頑固で…願いを押し通すために、家族の願いを否定するときだってある」
「…」
私はそれを静かに聞く。
オーフィスちゃんはズェピアさんの髪を愛しそうに撫でながら、話を続ける。
「ズェピアにとってのハッピーエンドは誰か一人でも欠けちゃ叶わない願い。ずっと走って、ずっと迷って……そうしてようやく得た願い。
ぶつかり合った我だから分かる…この人は馬鹿な人」
「そうなんだ」
オーフィスちゃんはうん、と頷く。
「そんな人だからこそ、カオスやフリージア、我…皆がこの人を見捨てない。帰りを待ってる。
我がしてあげられるのは、この人に我の力を少し与えて中身を強くしてあげる事だけ…心は強くなれない」
だから、とオーフィスちゃんはズェピアさんから視線を外して私を見る。
その優しげな目を、私にも向ける。
「ネプギアが、この世界でこの人を支えてあげて。
我達は力をあげたら居なくなるけどネプギアは違う」
「…うん、任せて。ズェピアさんがここでの用事を終わらせて、オーフィスちゃん達の元へ帰るまで支えるよ」
「ん、お願い」
「私からもお願いしても良いかな?」
「何?」
「─帰ったら、おかえりって言ってあげてね」
「─ん、分かった」
そっちの世界には居ることは出来ない。
オーフィスちゃんがこの世界に来れないように。
きっと、私も行けないだろう。
一目見てみたいという気持ちはある。
ズェピアさんの住む世界を。
でも、それは出来ない。
欲を言えば、この世界にずっと居てほしいとは思うけど……
ズェピアさんは帰るだろう。
「カオス、起きる」
「……殴られた吾輩に謝罪なしとは傲慢の獣であるな汝?吾輩、泣いちゃうよ?」
「大丈夫、カオスは強い子混沌の子」
「いや子供宥める風に言っても誤魔化されにゃいよ」
「それより…ズェピアを直す」
「……もういいのであるな?」
「ん、早くする」
「ふむ……では、お主が消えると同時に吾輩も消えるとしよう」
「オーフィスちゃん……」
「ネプギア」
オーフィスちゃんの力を与える。
それはつまり、力だけの存在である今のオーフィスちゃんが消えるということ。
私は折角友達でいて恋のライバルを得れたのに、その子が消えてしまうことに悲しみが隠せない。
そんな私にオーフィスちゃんは私の名前を呼ぶ。
「我が消えても、本体の我が記憶してる。
大丈夫、お願い、聞いたから」
「…うん!」
「こういう時ズェピアから教えて貰ったことがある─」
オーフィスちゃんの体が光り出す。
今から、ズェピアさんの中へと入るんだろう。
力を譲渡するために。
最後に、オーフィスちゃんは笑って─
「─
と言って、ズェピアさんの中へと消えていった。
「……うん、またね」
私も笑って、オーフィスちゃんに別れを告げた。
でも、また会える。
さようならじゃなくて、またね、だから。
終始見守っていたカオスさんは煙草を取り出してベッドから降りる。
「では、お主も行くとしようか」
「え、何処にですか?」
「何処にとは面白い話であるな。話を聞いたところ、ゲイムキャラとかいうのを直さねばならんのであろう?
ほら、こういうイベントが終わった後は大抵、次の進展があるものなのです」
「でも、ズェピアさんが…」
「何、ソウルフレンドはその内起きる。
それまでは、吾輩がソウルフレンドの代わりを務めるとしようではありませんか。
よくある、限定ゲスト参戦のお知らせって奴よ」
「何だか、お姉ちゃんみたいな事言うんですね」
「ほう、汝の姉も吾輩のようなメタを張り付けた存在ということか。であれば意気投合どころかキャラ奪い合いの戦争になるので現状いなくてセーフという訳ですな」
変なことを話すカオスさんにちょっとついていけない。
というか、お姉ちゃんはここまで変な姿してない。
うん、でもズェピアさんの家族が言うのならその内起きるよね。
何もせずにいると、それこそ叱られそう。
頑張らないと。
そう思って立ち上がるとNギアから音が鳴り響く。
取り出すと、アイエフさんからの連絡だった。
「はい、ネプギアです!」
『ネプギア、ゲイムキャラを直せるかもって子を見付けたわ!』
「本当ですか!?今から皆と行きますね!」
『ええ、広場で待ってるわね』
「はい、後でまた!」
アイエフさんとの通信を終えて、Nギアをしまう。
その後カオスさんを見ると
「では、行くとしようか」
「はい!」
私とカオスさんはズェピアさんの寝ている部屋を後にする。
…ちゃんと起きてくださいね、ズェピアさん!
・
・
・
・
何とか意識を保ってはいるが、困ったな。
ワラキアに呼び掛けても返事もない。
これは詰み、という奴では……?
(ツケが来た、か)
旧魔王派を全員殺したり、はぐれとはいえ元は幸福を口授すべき悪魔を殺した俺への罰なのかも知れない。
…それでも、あの蜥蜴だけは殺さないと。
容量限界の体に鞭打ってでもあの蜥蜴を始末しなくては俺は自分を許せない。
(だってのに──)
動いてほしいのに、起きたいと思っているのに海に沈む
このまま、俺はこの海の底まで沈んでいくのか?
そんなのは、お断りだが…体が言うことを聞かない。
死ぬのが怖い訳じゃない。
怖いのは別だ。
家族を残して死ぬこと、仲間に重荷を背負わせてしまうこと。
それだけが怖い。
ネプギア達にグレートレッドやロアを押し付ける?
否、否である。
それだけは、いけない。
(動け、動けってんだよ、このポンコツが!)
だからもがく。
必死に浮上しようと動く。
─そうして、1つの変化が起こる。
(……────光?)
海に光が差し込む。
暗いだけの哀しい海に、光が。
その光から、誰かが泳いでくる。
(──)
ああ、そんな。
どうして?
この世界でも、俺を助けてくれるというのか?
俺は、手を伸ばす。
その子もまた、俺に手を伸ばしてくれた。
沈んでいくだけの俺の手を掴む手が、懐かしくて。
─ズェピア
(─ああ)
また、家族に助けられるとは。
そして、帰ってもいないのにまた会えるなんて。
穏やかに笑って、俺を引き上げてくれるこの子に俺もまた穏やかに笑う。
(久し振り──オーフィス)
俺がそう言うと、オーフィスはただ静かに頷いて引き上げるスピードを上げた。
ワラキー家初期メンバーの二人が再会する。
家族は彼を見捨てない。
何故なら、彼が見捨てなかったから。
無限の龍神の力が少ない時間で彼に残す言葉とは。
そして、女神候補生達と共に短い時間だが行動するカオスの力や如何に。
次回、超次元ゲイムネプテューヌmk2 with ワラキー
『遥か彼方からの贈り物 後編』
感想、質問などがあればくださると作者はBLOOD HEATします