ワラキー異世界渡航劇   作:ロザミア

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ロザミアです。

今回、不快感が出る人がいるかもしれませんのでご注意。
まあ……多分、そうでもないとは思いますけど。





赤龍変容

 

相容れない存在というのは誰にだってある。

どんな小さい存在でも、それがとても疎ましく思うものだ。

 

俺にとってのそれは目の前にいる。

 

だが、それは俺の知る奴とはどこか違う。

 

「おい。」

 

『なんだ?』

 

「お前に何があった?」

 

『それはお前が一番知っているはずだ。

私がお前を知りたいように、お前もまた私を知りたい。そこにどのような感情が入り交じっているのかは私にはまだ、理解できないがな。』

 

目の前の龍、グレートレッドは穏やかに話す。

だが、周りからすれば巨大な赤い龍が現れたのだからパニック状態だ。

 

ネプギアはグレートレッドに敵意が無いのが分かったのか俺の隣まで来てグレートレッドを見上げる。

 

確信を得る。

 

「感情を得たのか。」

 

『ああ、そうだとも。

あの時、私はようやく人の感情と呼べるものを獲得した。あの怒りが、憎悪が、私を新たなステージへと進ませてくれた。感謝しよう、ズェピア・エルトナムよ。』

 

「お前に感謝されたって吐き気しかないね。

お前がしたことは許されない。

それは分かっているんだろう?なら、何故今来た。」

 

俺は黒い銃身を取りだし、グレートレッドに向ける。

 

グレートレッドは前のように焦ることはなく、それを見ても穏やかだ。

 

『そうだ、私がしたことは魂を弄ぶ外道のすること。

─だが、それがどうした?』

 

「貴方は、それをして何とも思わないんですか!?」

 

『……私には、使命がある。』

 

「抑止力のか。」

 

『抑止力?ああ、そうだな……私の親に該当する抑止力が私に与えた使命とこれはほぼ同じだ。

だが、これは私が感情を得て改めて自らの意思で決めた使命だ。』

 

抑止力から解放されたからか、独自の感情を得て独自の使命を得たようだ。

厄介な。

機械的な頃の方が楽だったろうに。

 

『私が人間を……否、世界を管理する。

そして、私の定める運命で平穏に死なせる。』

 

「……一応、どうしてそうなったか教えてもらってもいいか。」

 

『いいだろう。……ロア、作戦は失敗だ。

お前は戻るといい。』

 

「俺が来た意味がわかんねぇなぁこれじゃ。」

 

『可能性を見れただろう。』

 

「……変に賢しくなりやがって。」

 

ロアはそう言って俺達を一瞥した後に去っていった。

 

……フェンリルが増えていない。

グレートレッドが何かしたのか?

 

『話をするのに無粋なものは要らない。

あちらのディスクに干渉させてもらった。』

 

「……そっか、あのディスクはグレートレッドのだから干渉するのも自由なんだ。」

 

「何でもありだな。」

 

『誉め言葉として受け取ろう。

では、私の身に何があったのかを話すとしよう。』

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

ズェピア・エルトナムと共にこのゲイムギョウ界へと落ちた日。

私が落ちたのはギョウカイ墓場だった。

そう、マジェコンヌの奴らがいて、女神達が捕らえられているあの場所だ。

 

私はお前を滅ぼすことのみを考えていた。

だからこそ、マジェコンヌと手を結んだ。

私の力が上手く作用しないから、という理由もある。

 

ロアを再現し、元の世界のモンスターをこちらに再現という形でディスクに納めた。

 

しかし、その作業をしている中で冷静になった。

冷静になって考えた。

 

私は、何故ここまでお前を滅ぼすことばかり考えているのか。

抑止力に見放され、ここへと来た私は何なのだろうか。

何故明確な未来よりも不確かな運命を選ぶのか。

 

考え出した時、私の思考はそれのみを考えていた。

 

だから私はお前を観察した。人を観察した。

お前は人としての弱さを抱えているのに人としての強さを保っている。

同時に化物の弱さを抱え、化物の強さを保っている。

そんなお前を観察すれば、何かが分かると思ったのだ。

 

そうして私は感情を学び、人を学んだ。

過去見てきた悪魔や堕天使、天使やドラゴンを思い出せば、行動の理由が分かった。

 

私はようやく、自分の今の感情が虚しさだと分かった。

 

使命も何もかもを失った私にはもう何も残されていない。

復讐という一時の感情に呑まれていた私の行動は虚しいものだと気付いた。

 

故に、また考えたのだ。

私はどうするべきなのかと。

理由がほしかった。

この無意味とも呼べる行為の理由を。

復讐という空虚な穴しかもたらさない物よりも明確な理由が。

 

人を理解したときにその疑問は解消された。

自らの命題が決まったのだ。

 

沸き上がったのは歓喜と使命感。

私は何としてでもこれを達成しなければならない。

 

そう、それこそがあらゆるものの運命の運営だった。

 

元より私はそれを為すために生まれた。

だが、もう親の意思は関係ない。

私は私だ。

私という個が手にした命題。

人類と人外の価値を理解し、汚さを理解し、素晴らしさを理解した私の見つけた使命だ。

 

私が未来を修正し、確定させる。

 

あらゆるものを私が管理し、世界を平和へと導く。

 

それが私の使命だ、ズェピア・エルトナム。

 

 

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 

 

『人も人外も、全てを私が定めた運命の線路へと進ませ終わりなき世界へと変える。

全てを私が管理する。』

 

……本気のようだ。

本気でこいつはそうする気だ。

言葉の一つ一つに感情が宿っている。

 

俺もネプギアもそれを聞いて冗談とは思わない。

 

だからこそ、それを許さない。

 

「それをしてお前に何になる。」

 

『報酬があるか、ということならば問題はない。

私の管理する世界。これこそが私への報酬となる。』

 

「人一人の運命だけでなく、全ての生命の運命……そんなの、許されません!何でそんな事をしようと思えるんですか!感情を得て、理解したなら……それがどれほど酷いことなのか分かっている筈です!」

 

『理解した。理解した上での裁定だ、女神候補生。

私は人を、人外を理解した……だからこそ私が管理するのだ、愚かで浅ましい発展をした間違った世界を修正するために!』

 

「間違った世界だと?」

 

『そうだ、私は修正する。

あの世界に戻り、世界の深奥を操りあの戦争からな。

あの時から世界は間違えたのだ。』

 

「……仮にそうだとしても、お前が、お前なんかが変えていいものじゃない。」

 

大層な目的だが、下らない。

本気でそう思っているのなら、こいつの印象は変わらない。

 

クソ蜥蜴はクソ蜥蜴だった。

それだけだろう。

 

「どんなに愚かであっても、それが犠牲の下で成り立っているのなら誰にも否定できないはずだ。

その時代を生きて、その時代で死んだ奴等がどんな奴等かなんて知らないし興味はない。

だが、人の世も人外の世も……ただ機械的に見ていたお前に変えていいものなんてない。」

 

『誰の許可も要らない。私は私がすべきと判断したからするのだ。

停滞を選んだ人外は全て、あの時あの場所で滅ぶべきだったのだ。』

 

「結局変わらない。お前はどこまで行っても独り善がりの屑だ、クソ蜥蜴。」

 

『……やはり、お前と私は相容れない。

何故私の使命を否定する。

お前の言い分では繁栄は犠牲が無ければあり得ないと言っているも同然だ。』

 

「そう言ってるんだよ、理解できないか?

あの世界も、この世界も……何かの犠牲がある。

醜い犠牲もあるかもしれない。

だが、それでも尊いものはある。」

 

『犠牲に尊いなどあるものか。

私はその犠牲の二文字が無い永遠に発展する世界にすると言っているのだ!無いに越したことはなかろう?』

 

「……悲しい世界です。」

 

『なに?』

 

俺が言うよりも早くネプギアが悲しそうに言う。

グレートレッドは訝しげにネプギアを見下ろす。

 

「私は、世界とか運命とか……そういった大きすぎるものを完全には理解できません。

でも、そうなってしまった世界は悲しいと思います。」

 

『……何故、そう思う?』

 

「誰かに決められてしまう運命。

決められている本人には分からないけど、操り人形と同じです。

機械のように、ただ運命の線路を歩くだけの人生が正しいとは思えません。」

 

『星そのものを捨て去る前に、私が正常な路線へ導くと言っているのだ!』

 

「捨てるだけが人なんですか?

捨てるのが人なら、拾うのも人です!

全ての人が何かを捨ててしまうのが世界なら、全ての人が何かを拾ってくれるのも世界です!

貴方は人の醜さと人の優しさを否定しています!

それだけじゃありません……貴方は貴方が正しいとは思えるかもしれない者すら否定しています!」

 

確かに理解したのだろう。

今まで理解できなかった物を理解できた。

 

だが、それだけだ。

物事を理解するのは誰でも出来る。

その先が大事なんだ。

 

だから、こいつのはもう性根なんだろう。

 

『私が、正しいと思える者……』

 

「積み上げられた物全てを否定するような貴方が正しい訳がありません!」

 

『……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それで?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──」

 

『ご意見ありがとう、女神候補生。

だが、いくら善良な言葉を投げられても響かないな。』

 

何とも思わず、自分こそが正しいと思うのは……こいつの根底から来る物だ。

感情を得ようと変わらない。

いや、感情を得て変わったのがこれなのかもしれない。

 

『ただまあ、多少面白い点は見つけられた。

そこだけは感謝しよう。

……まあ、それだけだよ、この会話は。』

 

だとすれば……何とおぞましい存在なんだろう。

こいつは『黒』だ。

損でもって、俺は分からないがネプギア達は間違いなく『白』だ。

 

笑うような声でグレートレッドはネプギアへ言葉を返す。

まるで、必死に反論する子供を馬鹿馬鹿しいと見下す大人のように。

 

だから、俺は黒い銃身(ブラックバレル)の弾丸を放った。

怒り任せの弾丸はグレートレッドの巨体へ向かっていくがグレートレッドは自身の巨体に弾丸が当たる前に避けられる。

あの巨体で避けるのは気持ち悪い。

 

『危ないな。』

 

「そのままくたばればよかったのにな。」

 

『それほどまでに私を殺したいか。』

 

「すっごく殺したいね。」

 

『それは私がお前にとって敵であるからか?』

 

「それもある。」

 

『も?』

 

「俺はな、クソ蜥蜴。」

 

黒い銃身(ブラックバレル)をクソ蜥蜴に向ける。

 

「俺もここに来て色々と変われたと思う。

俺は家族だけじゃなく、大切で守りたいと思うものを得られた。確かに、お前の言うように新たな見解を得れた……と思う。」

 

「ズェピアさん……」

 

「家族のためなら世界を塗り替えるのだってやってやるし、その他大勢を壊すのだって厭わない。

だけど、そんな俺にも得れたものがある。

それは仲間だ。お前が感情を得たように、俺も仲間を得れた。」

 

『魔王は違うと?』

 

「アイツらは友人だ。仲間にはなれない。」

 

アイツらは、俺とは違う。

寧ろ、俺は要らないだろう。

精々、話し相手になれるくらい。

俺に出来るのはそれくらい。

 

「お前のその性格はとことん俺を苛立たせくれる。

戸惑うことなく発砲できるくらいにな。」

 

『お前が先程向けてきた怒りとは別のものを感じる。

同じ怒りの感情だ……だが、中身が違うな。

それはなんだ?』

 

図々しいとはこの事か。

殺意を乗せた怒りを何ともないような様子で俺の感情を探りに来る。

 

別にそれくらい教えたって構わない。

 

「家族に対してしてきた行いへの怒り。

それが今までの俺の怒りの中身だ。

これは、仲間に対してお前が今やった事への怒りだ。

お前は、屑だ。

茶番をしていたかのような態度しやがってさ。

気に食わない。

俺の仲間を、相棒を馬鹿にした事が気に食わねぇ!」

 

『……ハ、ハハ、』

 

グレートレッドが感情の乗った声でくつくつと嗤う。

 

『ハハ、ハハハ!怒り、そう怒りだ!

そうだ、人間も人外も怒りという感情が剥き出しになった時が一番恐ろしく感じる!

そうだ、その感情をもっと見せてくれ!

私に、怒りを教えてくれ!

もっと、もっとだハハハハハハハハ!』

 

「─狂ったか、お前。」

 

『狂う?私が?否、これが私だ、グレートレッドだ!

感情を得て、より私という個を確立させた!

そうだ、お前の、お前らの感情が私をより私としての存在を確立させてくれる!』

 

狂っている。

そう思ってしまっても仕方がない。

だって本当に嬉しそうに笑っているのだ、あの化物は。

 

龍の姿をしたナニカ。

そう言うしかない。

これを聞いているのは俺とネプギアだけじゃないだろう。

なんせ、かなりデカい声だ。

 

しかし、グレートレッドは突然笑うのをやめてこちらをまた静かに見下ろす。

それが更に異様さを際立たせる。

 

『さて、今回のところは去るとしよう。』

 

「今なら……殺せるのにか?」

 

『今はまだ惜しい。

まだ、お前から学べる感情はある。

私は、全てを学んだ後に行動を起こすのみ。』

 

「学ぶ事のためにマジェコンヌに属しているんですか……?どうして、貴方はそこまで……ッ!」

 

『おお、いい怒りの感情を感じる。

そうか、女神候補生だけでなく、他の者もか。

これはいい、益々興味深いぞ。

もっと、私に感情を教えてくれ──』

 

グレートレッドはそこに居なかったかのようにパッと消えてしまった。

 

……厄介な事態になったな。

マジェコンヌとロアだけでも面倒なのにそれ以上に面倒な案件だ。

 

「─ぁ……」

 

「ネプギア、大丈夫か!」

 

奴が消えた所を睨んでいると隣にいたネプギアが座り込む。

女神化も解けて、酷く疲れた様子だ。

俺は膝をついて目線を同じにする。

ネプギアは恐ろしいものを見たような顔をしていた。

 

安心させようと思って手を握ると、手が震えている。

それどころか、体も少し震えている。

 

そりゃ、そうだよな。

あんなのマトモじゃない……狂ってる人よりも恐ろしいものを見た。

 

「アレが、グレートレッド、なんですよね?」

 

「ああ、あれが俺の解決すべき案件だ。

……怖かったか?」

 

「……はい、とても。」

 

「そうか。……よく、頑張った。」

 

俺は震える手をもう少し強く握る。

 

足音が聞こえる。

それも、何人も。

多分、皆だろう。

 

なら、モンスターはもう発生してないんだろうな。

それだけは、よかった。

 

 

 

─その後、ホワイトディスクが修復されたと大急ぎで来たミナさんから俺達は聞いたが素直には喜べなかった。

 

心に妙にまとわりつくモヤモヤが俺達に不安という感情を植え付けたからだ。

 

それでも、俺達はルウィーを守りきった。

 

それだけは確かだ。




─ナゼなに女神のコーナー─

ワラキー「はい……やって参りました、ナゼなに女神のコーナー。コーナー担当のワラキーです。
今回のゲストは、ルウィーということでね。
ホワイトハート様ことブランさんに来てもらいました~」

ブラン「ルウィーの守護女神、ブランよ。」

ワラキー「今回は……うん、筆が乗ってたな。」

ブラン「作者がやりたい放題してたわね。収集つくの?」

ワラキー「わ"か"ん"ね"。
まあ……完結はさせるだろうさ。」

ブラン「ならいいのだけど。……で、質問よね?」

ワラキー「何かあります?」

ブラン「ノワールがグレートレッドについては質問してしまったし……そうね、なら、現状の犯罪組織について教えてちょうだい。」

ワラキー「状況整理だな。
あー……マジックがリーダーで、撃退された後鍛えてるとかなんとか。
んで、グレートレッドがロアを再現して協力してるってのが今のところ分かってる情報だな。
目的についてはよく分かってないな。」

ブラン「そもそも、どうしてグレートレッドはマジェコンヌに協力してるのかしら?」

ワラキー「感情を見やすいからじゃないかねぇ。
マジェコンヌってだけで色々な反応するからってあるのかも。」

ブラン「傍迷惑な存在ね。そんなのがルウィーに危害を加えていたなんて……」

ワラキー「怒ってるか?」

ブラン「かなりね。
……それで、もう1つ聞きたいのだけれど」

ワラキー「ほいほい、何です?」

ブラン「モンスターにもコミケみたいなのはあるの?」

ワラキー「……」

ブラン「……」

ワラキー「はい、では次回の超次元ゲイムネプテューヌ mk2 with ワラキーは!」

ブラン「ちょっと……?」

ワラキー「グレートレッドが去り、ホワイトディスクが修復されてキラーマシンを再度封じ込める事に成功した俺達はルウィー教会へと戻る。
そして、次に目指すはグリーンハートの国であるリーンボックス!」

ブラン「……おい」

ワラキー「次回、『監督気取り、緑の大地へ』!
次回もまた見てくれよな!」

ブラン「無視すんじゃねぇぇぇぇ!!」

ワラキー「やめろぉ!俺は知らない!
あの混沌としたナマモノに聞いてくれぇぇ!!」
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