死ぬかと思いました、色々と。
まあ、不幸話はさておいて、どうぞ。
各々の自由行動も終わりを告げる。
ユニが帰ってきたようだ。
久しぶりに会った気がするが、それほど経ってないので濃厚な時間を過ごしてたんだなとしみじみ思う。
「何か待たせちゃってたみたいね」
「顔を見ておこうかなって思っただけだから気にすることないぞ。元気か?」
「元気じゃなきゃクエスト行ったりしないわよ」
「それもそうかぁ」
「そっちも元気そうね。それで、今度はリーンボックスに行くの?」
「そうそう。んで、時間がかかるそうだからユニに挨拶でもしようかなって」
「なるほどね…ネプギアたちは?」
「出掛けてるよ。まあ、もうすぐ戻ってくると思うけどな」
「そう…」
「早く会いたいか?」
「…まあ、ライバルだから、様子くらい知りたいわよ」
「ツンデレいただきましたぁグボォ!」
みぞおちっ…!
無言での鳩尾パンチはノーガードな俺にクリーンヒット。
その場で蹲るが、何とか立ち上がる。
「な、ナイスツッコミ…」
「やっぱり真面目な態度に期待しちゃダメね」
「無情…あまりにも無情っ…!」
「アンタが悪いでしょ、アンタが。ユニ、代わりにありがと」
「いや、殆ど反射的だったし…それ言ったらアイエフは既に構えてたし…何か前より洗練されてない?」
「ルウィーで学んだわ…こいつの馬鹿さをね。だからそれに対応するために迅速な行動が必要になる…自然と洗練されるわ」
「何かごめんって感情と反射神経のトレーニングにされてることへの複雑な感情がない交ぜになってるんだけど!」
「「じゃあボケるな」」
「死ねと?」
「重症ね」
「ねぷ子が戻ってきたらボケが二人…」
嘆くアイエフは後でコンパに投げておこう。
それより、アイツらはいつになったら戻ってくるんだ。
日本一もいつの間にか居なくなってたし。
俺がボケで時間を稼ぐのにも限度が…え?やんなくていい?
ワラキー節をそろそろ見せろ?
じ、事件が起きたら出すかもね…
ワラキー的に本末転倒なことを考えていると教会の扉が開く。
「来たか」
「ユニちゃん!」
「ネプギア!」
ネプギアがユニの姿を確認した瞬間、嬉しそうに駆けてくる。
ユニも嬉しそうである…デレですね。
後ろにはコンパと日本一がいた。
荷物を持ってるところを見るに買い物でもしてたか。
「あれから大丈夫?怪我とかしてない?」
「平気よ。まだまだ安心できない状況だけどね」
「ネプギア、何してたんだ?」
「えっと、ちょっとだけ部品を…」
「部品?」
「はい、Nギアの機能を増やそうかなって思って!」
「なるほどな、となると、俺のとかも?」
「はい!まだ時間があるなら今のうちにやろうと思ってます」
「…えらいなぁネプギアは…」
頑張る姿勢にとても感動した俺はネプギアの頭を撫でる。
何か、あれだ。
感動するよ…俺、昔からこういう頑張る系に弱いんだよね。
「えへへ…」
「ところで、どんな機能をつけるのよ」
「それ、気になるわね」
「Nギアからビームが出るとか!」
「隠し武器ということか…日本一、眼の付け所が違うぜ…」
「あ、違いますよ」
「「ガーン…!」」
俺たちの夢は儚く砕け散った。
無情、あまりにも無情。
期待とはこのようなもの。刹那の内に消えていくものなのだ…
「相当ショックデカイわね…で、答えは?」
「通信機能の強化です。今までのはあまり遠くにいると連絡が出来なかったので今のうちにと」
「なるほど、流石だなネプギア」
「これからも何があるか分かりませんから!」
「備えあれば憂いなし、リーンボックスの治安がどれだけ悪くなってるか分からないからやれることはしておいた方がいいものね」
「やれることかぁ。俺も魔法使えた方がいいかね?」
「ルウィーの時に習うべきだったわね」
「くそぅ…攻撃呪文…!」
落ち込むのもここまでにしておいて…真面目に考えよう。
ここは一つ、ワラキアに聞いてみますか。
─魔法、どうなん?
『私に聞くことでもないだろう。君があの世界で習得した物は私の力ではない、君の力だろうに』
─この世界でも使えるのか?
『流石にそこまでの強制力をこの世界は有してはいないだろう。君の魔力量ならば今まで通り使えるとも。…まあ、タタリと一緒に使うなら配分は考えたまえ』
詰まる所、今まで通り使えるそうだ。
今まで何してたんだろう、俺。
ま、まあ…大事に至るまえに気付けたのでよいではないか。
最近抜けてますよ、監督。
ん~、試してみるか。
「アイエフ」
「なに?」
「今から転移するから、適当に場所指定してみ?」
「は?転移?突然言われても…リピートリゾート、とか?」
「よし、リピートリゾートだな?」
「ちょっと、どこまでボケる気?冗談もそこまでに──」
ちょっとそれっぽく指を鳴らしてみる。
前はさっさとしてたから面白味に欠けてたし、こうした方が洒落てるかも?
一瞬の浮遊感と共に俺達は教会から姿を消す。
─それと同時に、リピートリゾートへと転移する。
うむ、感覚は前と同じ。
消費量的にも問題なし、と。
「うーん、何故便利なのを忘れてたのか…」
「ちょ、ちょ…」
「ふ、ふわっとしたですぅ…」
「凄いです、ズェピアさん!」
一応、こういったダンジョンを脱出する道具はあるけど、あれはダンジョン限定だ。
どうしようもないときとかに撤退手段として使えるから忘れてちゃ駄目だったのになぁ…
ため息をはいた後、困ったように微笑んだアイエフが目に映る。アカン、怒らせたか?
「…とりあえず、魔法は使えるってことね?」
「攻撃面の魔法はないけど、サポートは出来る筈だ」
「そう…ふぅ、アンタには驚かされてばっかりだけど、最近じゃ見方も変わるわね。アンタなら出来るんじゃって」
「クックック、俺も主人公であるからして」
大丈夫だった。
そうだよな、出来たからってツッコミ来ないよな。
よかったぁ…
「調子に乗らない。で、帰れるんでしょうね?」
「問題ナッシング。一度行ったことがある場所なら行ける。
…あれ、ユニ?大丈夫か?」
「…えっ?」
上の空なユニに話しかけると驚いたようにこちらを見る。
どうしたんだろうか。
何か負荷でもかかったか?
「転移で体が変になったか?」
「あ、ううん!大丈夫よ!…アタシは、大丈夫」
「そうか。なら、戻るぞ」
「そうしてちょうだい。ここから歩いて帰るのは面倒だもの」
「あいあいキャプテン」
座標とかは…問題なし。
じゃあ、戻りますか。
俺はもう一度指を鳴らす。
え、無駄行動?
無駄の中にも意味はあるんだよ。
再び浮遊感が来るが、気にせずに。
見える景色が海から教会の慌ただしい様子へと変わった。
「戻ってこれたっす」
「ややこしくなるから語尾つけないの」
「うぃー」
「ねぇ、ズェピア」
「ユニか、何だ?」
話し掛けてきたユニの様子はどこか焦りのようなものが見受けられた。
危うさがある焦りようだ。
躓いたら起き上がれなくなるような。そんな危うさ。
「─ちょっとだけ話したいことがあるの」
「…分かった」
「…?」
──────────────────
ユニの話に付き合うことにした俺は二人きりの方が話しやすいかと思い、教会を出て、少し歩いた先にあったベンチに座る。
ここは、前にユニの悩みを聞いたときの場所か。
「それで、話って?」
「…強くなるって、難しいのね」
「成長を感じられないか?」
俺の問いに小さく頷く。
「強くなろうと闇雲になるのはもうやめたわ。それじゃ強くなれないって気づかされたから…積み重ねるようにゆっくり強くなろうとした。でも…少しでも強くなれたのか実感が沸かないの。何が向上したのか分からないの」
「…」
「ネプギアたちが来たとき、嬉しかったわ。無事かどうか心配だったところもあるから。でも、分かっちゃったの。
ネプギアがアタシよりもどんどん先へと進んでるって」
「……」
「妬みとかじゃないの。ネプギアが強いのは知ってるもの。
でも…置いていかれてる感じがして、悔しくて…」
「……難しい悩みだな、それは」
本当に難しい悩みだ。
俺には、答えを出すことはできない。
俺は借り物の力ありきでの強さなのに。
いいこと言ったって道化にしかならない。
俺の力なんて、無いようなものだから。
だが、放っておけるかよ。
「難しい悩みだよなぁ………あっ」
あった。
そんなときが。
生前の俺が。
「俺も、ひたむきに頑張ってたときがあった」
「人間だったときの話?」
「そうだな…夢に向かって、ひたすら走ったときがあったよ。でも、俺は駄目だったんだ。」
大学で、それを学んで。
さらにその先へと行けると夢想してた。
でも、それは夢に過ぎなかった。
分かりやすく言うと、俺には才能はなかった。
夢を見て、夢を諦めることしか出来なかった。
「俺のしてきたことは何だったんだろうなって…挫折したときは思ったよ。普通の会社に就いて働いてるときもそう。
ゲームや漫画に逃げ出してるときも、そうだった」
「…あんたも、そんなときあったんだ」
「そんな時しか無かったよ、人の頃は。夢を掴める存在なんて一握りだと信じてしまったんだ。そんなことはないのに…けどな、その時の後悔や辛さが役に立つときだってあったんだ」
「後悔や、辛さが…?」
「ああ。夢を諦めた後悔が、見てきた夢を捨てる辛さが。
逆に、今の夢を諦めない…捨てないって気持ちに力をくれるんだよ」
「…」
「だからユニ…諦めちゃ駄目だ。
だって後悔を味わって、辛さを味わったじゃないか。
それを力に変えて頑張るしかない…大丈夫、お前の頑張りは報われる。俺が保証する」
「…もし、報われなかったら?後悔しか残らなかったら?」
不安そうに俺を見つめる。
その時は…そうだな。
「また、次に繋げればいいさ。どんなに絶望的な状況でも出来ることってのはあるもんだ。
結局は、人生なんて誰だって後悔だらけなのかもな。
だが、それの何が悪い?
どれだけ後悔しても、最後は負けなきゃいい。他人に、自分に負けないものを見つけたら今までの後悔は拭える…そう思うよ、俺は」
「負けないものを、見つける…アタシだけの」
そう言ってから、ユニはしばらく考え込む。
…道化だな、俺も。
言葉を並べ立ててばかりで…俺自身はこんなばっかだ。
そうして、悩みが晴れたのか立ち上がって俺の方へ体を向ける。
「そうね、あんたの言う通りやれることをやるしかないものね」
「そうそう、やることやってそれで駄目なら仕方ない。やらない後悔よりやった後悔だ」
「ええ、いつか誰よりも強くなって見せるわ!」
「その調子だ、ユニ。ユニは落ち込んでる姿よりもそういう張り切る姿の方が俺は好きだな」
「えっ!?」
「ん?」
おかしなこと言ったか?
いやいや、言ってない。
ちゃんと普通のこと言ったよ。
顔が赤いよ、ユニさん。
怒ってます?怒る要素ありました?
「あ、あんたねぇ…驚くから変なこと言わないでよね」
「ええ…何か言ったか?」
「言ったわよ!…ったくもう、ネプギアも大変ね…」
「まあ、確かに俺が相棒じゃ苦労かけるかもだけどそこまで言う?」
「相棒?」
「およ、言ってなかったか」
俺はユニにルウィーでの出来事を話した。
それを聞いたユニは大層驚いた様子だった。
「なるほどね、あんたの世界の強いドラゴンを倒した後、相棒って関係になったのね。ていうか、無茶も程々にしなさいよ」
「仰る通りです…」
「そういう奴だっていうのは分かってるつもりだけど心配させ過ぎて愛想尽かされても知らないわよ?それに、取り返しのつかないことになってからじゃ遅いんだから…」
「…そうだなぁ…うん、気を付けるよ。泣いた顔も見たくないしな」
「誰の?」
「皆だけど?」
「ふーん…」
なんだそのふーんって。
さっきからユニの反応が変だぞぉ…
俺なんかしちゃいましたか、そうなんですか?
何をしてしまったかを結構真剣に考えているとNギアから音楽が流れる。
取り出して誰からの連絡か確認するとネプギアからだった。
「どうかしたか?」
『ズェピアさん、船の準備が整ったそうなので戻ってきてください!』
「おお、了解。急いで戻るよ」
Nギアの通信を切る。
「案外早く準備が終わったのね」
「そうらしいな。また少しお別れだな」
「そうなるわね。ドタバタして忙しいわね、あんたたちは」
「まあ、世界救おうとしてますから」
「それもそっか…さ、戻りましょ。皆いるだろうしね」
「そうだな…」
お悩み相談も終わったし、教会に戻ろう。
待たせるのも悪いし、急ぎ目に俺達は教会へと戻る。
「…転移すればいいんじゃ?」
「あっ」
─────────────────────
「待たせたな!」
「…普通、教会のど真ん中に転移する?」
「急いでたから座標は気にするな、ユニよ!」
「まあ、いいけど…」
「早速使ってるのね、転移。使い勝手がいいようで羨ましいわ」
「ハハハ、そうであろうそうであろう」
転移したら教会のど真ん中。
まあ、時間短縮ってことで一つ。
「戻ってきたようだね。もう行くのかい?」
「はい、ありがとうございました!」
「いや、構わないよ。…ズェピア、前の話はリーンボックスの件が終わってからになるかな?」
「そうなるかな」
「分かった、それまで楽しみに待っておこう」
「ああ、俺も楽しみだよ。…よし、行くか」
「はい!」
「船まではあたしも行くわ」
「おう、ケイは?」
「僕はまだやることがあるから遠慮しておくよ。君たちの無事を祈るとするさ」
「おう、そっちも無理はしないようにな」
「…」
「…あの、ネプギアさん?そのどの口が言うんですかみたいな視線はやめてください…心に刺さる。コンパさんもやめて…精神攻撃やめて…」
「無茶なことを常日頃からするズェピアさんが悪いんです」
「ですです。心配する私たちの身にもなってほしいです」
「仰る通りでございます…」
「でも、それでもやめないのがズェピアよね」
日本一からも謎の信頼を頂いている…
くそぅ、泣くぞそろそろ!
「ははは、楽しそうで何よりだ。それと、そろそろ行った方がいいんじゃないかな?」
「そ、そうだな。よし、皆行こう!」
「逃げたわね」
「逃げたです」
「リーンボックスでは無茶しませんように…」
「皆大変なのね…」
後ろから色々と聞こえるが俺は聞こえない。
聞こえないったら聞こえない。
無茶してるんじゃないです。自分の望むように行動した結果無茶に繋がっただけです~
うん、分かってますけどね。
放っておけないっていうか何ていうかさ。
むむむ、もう少し気を付けておいた方がいい、よな~…
──────────────────────
たどり着きました、港!
「船だぜ船…楽しみですよ」
「いい年して子供ねー…」
「男はいつでも子供なんだよ」
「アンタが子供なのは分かったから落ち着きなさい」
「そうだな。…それにしても、やっぱ俺の時代の船とは違うな」
「そうなの?アタシはこれを何度か見てるけどそっちはどんな感じなの?」
「何て言うのかなぁ…これよりゴツいかな。物とか建物とか…俺の世界より技術が上だよ」
「ふーん…」
ここに堕天使連中が来たらうるさそうだ。
というか、ろくでもないことになるのは確定的に明らかなのでNG。
もし来たらすみやかに消していただくべきと進言しよう。
「もう船には乗れるんだったな」
「楽しみです!」
「おお、コンパもか?」
「私も船はあまり乗ったことはないですから、皆と乗れるなんて嬉しいです!」
「なるほどな~」
俺も前世含めて船にはあまり乗ったことないからな。
それに超次元世界の船なんて興奮する。
ぶっちゃければどんな構造か解体して調べてみたいくらいに興奮する。
おっと…大事なことがあるんだった。
「ユニ、ついてきてくれてありがとな」
「い、いいわよ。アタシも相談に乗ってもらったし…」
「どんな相談をしたの?」
「それは…って内緒よ内緒!特にライバルのあんたに教えられないっての!」
「そ、そんな重大なことをズェピアさんに?」
「あー…まあ、心配するようなことじゃないさ。
もう吹っ切れたもんな?」
「ええ、前進あるのみって分かったもの」
うんうん、それでこそユニだ。
次会うときはまた一段と成長してるだろう。
前へ進む姿勢は大好きだ。
人間であろうとなかろうとそれは変わらない。
躓いたっていい、止まったっていい。
前へ進む意志をまた灯せるならばそれでいいんだ。
そういう『人』を俺は信じたい。
「お互い、頑張ろうね!」
「ええ、もっと強くなってみせるわ!」
「うんうん…いいなぁ。友情はいいなぁ」
「また年寄りみたいな…」
「でも、こういう場面はテレビで見てもいいと思うのよね。
特に、特撮とかヒーロー物にも欠かせないわ」
「日本一、その通りだ。人は友情や愛情があれば更に前へと…」
「はいはいアンタの人間好きは分かったから!さっさと乗るわよ!」
「船の人を待たせるのはよくないです。エルエル、早く乗るですよ!」
「え、何で俺だけ?えーー……」
「我輩たちは老人ってか!」
ワラキー、ショック。
もう少し優しさをくれてもいいのでは?
え、あまり邪魔するな?
あ、うん…そうだよね…老人が語っても誰得だよね。
大人しく船に乗りまーす…
「ズェピア!」
「ん?どうした」
「次会うとき、もっと強くなってるんだからね。
相棒のネプギアよりも強くなってやるんだからね!」
「ええ!?」
「それは楽しみだ!」
「ズェピアさんまで!」
「ハハハ、いいじゃないか、こういうの。期待してるよ!」
「うー…私だって、強くなりますからね!」
「望むところよ!」
いい関係だな。
きっと、ああいう関係が互いを高めていくに違いない。
一人勝手に頷いているとネプギアがこちらに来た。
「もういいのか?」
「はい、いつまでも話してるわけにもいきませんから。
私たちの出来ることをしに行きましょう」
「おう、やる気十分なようで何よりだ。
さあ、リーンボックス!は何が起こるか分からないから冷静かつド派手にいこう!」
「矛盾してるしリーンボックスの言い方がちょっとおかしくない?」
「あいちゃん、気にしちゃダメですよ」
「…そうね、今日はもうやめておくわ」
ツッコミすら来なくなった俺には無だけが残った。
いや、嘘だけど…空しいなぁ。
最後にユニに手を振っておく。
ユニも気付いたのか目立たない程度に手を振り返してきた。
ありがてぇ…
船もちょうど動き出したし、グッドタイミング。
さて…
「少し寝てるから着いたら起こしてくれ」
「分かりました!」
「どう起こした方がいい?」
「…いや、普通に揺すって起こしてくれればいいよ」
ボケそうになるが日本一にはボケが通じにくいのを思い出したので我慢して普通に起こしてもらうように頼んだ。
「んじゃあ我輩も適当にぶらついてるぞ。ここでベリィキュートな女性とコンタクトするのも船旅の嗜み…」
よし、椅子もあることだし座って寝る。
きっといい国さー!
・
・
・
…揺すられる感覚。
なんだ、着いたようだ。
案外早かったなぁ。
「あー…あんまり寝れなかった」
「まあ、そんな遠いわけでもないしね。良く眠れた?」
「うむ、サンキュー日本一」
「良いってことよ!ほら、降りるわよ!」
「うぃ…ネプギアたちは?」
「私に任せて先に降りてるわ」
「おおう酷い…」
無情な世界もあるもんだと船から降りる。
さて、着いたぜリーンボックス。
他の国とはどう違うかを見てk「この人です!!」…はえ?
「ちょっと、君」
「え、何ですか?」
かなり素で聞き返す。
いや、だって見た目警官だよ?
ちょ待てよ
え、女の人泣いて俺のこと指差してない?
「この女性が君が財布を盗んだと言っている。荷物検査をさせてもらいたい」
「…ええ?いいですけど…」
と、とりあえず俺の荷物を見せるか…
えっと、マイ財布にNギアに………
「…この財布は…」
「それが私のよ!返しなさいよ!」
「あ、はい…って待て待て!返すのはいいけど俺は盗んでない!」
「白々しいぞ!証拠は出ているんだ、大人しくついてこい!」
「くっ…!」
確かにその通りだが、どういうことだ!?
俺は寝てた筈だ、操られたわけでもない…
『うむ、君が魔法を使ったわけでもないよ』
ワラキアもそう言ってるし…
考えられるのは一つだけだ。
このリーンボックスには俺を陥れたい誰かがいる。
そしてその誰かはネプギアたちの存在も知ってる筈だ…
同じかそれ以上の手を使うかもしれない…
「待ちなさい!」
「何だ、お前もこの男の仲間か?」
「そう「違いますよ」なっ…」
俺の仲間と言おうとした日本一を遮り、俺は否定する。
…なら、こっちも裏から動いてやればいい。
道具やなんやらは制限されるが能力は制限されない。
やりようはある。
「…そうか。なら、ついてきてもらおう」
警官は俺に手錠を掛けて連行する。
日本一の横を通りすぎる瞬間、日本一にだけ聞こえるように伝える。
「───」
「!ええ…!」
…表舞台はあちらに任せよう。
黒幕さんよ…俺を裏方にしようとはいい度胸だ。
仲間を引き連れてない時の俺は容赦しないぞ。
…ああ、ネプギア、大丈夫かなぁ。