ワラキー異世界渡航劇   作:ロザミア

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監督気取り、交渉する

やあ、皆。

俺だ、ワラキーだ。

 

さて、ラステイションのギルドへと着いた俺たちはちょいとギルド内の現状に落胆している。

 

「過疎ってるな~……マジェコンヌの影響はラステイションにも、か…当然っちゃ当然か」

 

「これじゃ情報収集も出来そうにないしね」

 

「でも、シェアは回復させないとです!」

 

「そうですよ、二人とも。あ、私、クエスト貰ってきますね」

 

「ああ、俺も行くよ」

 

ネプギアと俺は情報収集は二人に任せてクエストを取りに行った。

さぁてお仕事だな。

 

元の世界だと討伐といったも胸糞悪い依頼ばかりだったし、ここのはマシだ。

 

「「すいません、クエストを貰いに来たんですけど……え?」」

 

「息ピッタリじゃねぇか」

 

ネプギアがカウンターまで行ったが、後ろにいた俺はもう一人、ネプギアと同じくらいの少女がカウンターへ行ったのを見た。

 

お?と思って見ていたら、見事にハモった。

 

「あんた達もクエストを?」

 

「そういう貴女も?」

 

「ポーゥ、新キャラ登場ダナ?」

 

「うわ、変な奴…」

 

「泣くぞ」

 

「心折れるの早ッ!?」

 

「お前に分かるか、この痛みが、苦しみが、憎しみが?俺の場を整えようという一心で放ったネタが無惨にも打ち返され、己の身に致命傷となった時の……辛さがッ」

 

「何か凄い血涙流しそうな顔で語られてるけど、それって単にネタに乗ってもらえなかったことへの八つ当たりよね!?」

 

「ぐほぁ!?」

 

「ず、ズェピアさん!」

 

俺は的確な少女の返しに崩れ落ちる。

間違いない……こいつ、出来るッ!!!

 

立ち上がり、ふっと笑いかける。

 

「な、何よ?」

 

「強き者よ、君の名前を聞かせてくれないか」

 

「つ、強き?……ふふん!そこまで言うなら仕方無いわね!アタシはラステイションの女神候補生 ユニよ!」

 

「「女神候補生!?」」

 

「え、何よ!?二人してそんな驚いて……?」

 

馬鹿な…メインが当たった!?

自信満々といった様子でユニと名乗る、黒髪ツインテールの少女は俺たちの驚きの声に驚く。

 

ネプギアは顔を輝かせてユニの手を取る。

 

「貴女がラステイションの女神候補生なんだよね!?」

 

「そ、そうよ?あんた達は何なのよ?」

 

「私はネプギア!プラネテューヌの女神候補生なの!」

 

「そんで、俺はズェピア・エルトナム・オベローンだ。長いから好きに呼べ」

 

「っ、プラネテューヌの、女神候補生……?(というか、名前長ッ……!)」

 

「私たち、ユニちゃんのこと探してたんだ!」

 

「アタシを、探してた…ですって……?」

 

「……(ん?)」

 

様子がおかしい。

ネプギアは興奮しているからか、分かってないが、ユニの顔にどんどんと影がさす。

 

「待て、ネプギア─」

 

「ユニちゃん、お願い!私たちと一緒にゲイムギョウ界を救おう!お姉ちゃん達を助けるためにも──」

 

 

 

 

「─ふざけないでよっ!!」

 

 

 

 

「えっ─?」

 

「……」

 

やっぱこうなったか。

様子がおかしいと思ったら……

 

ユニは叫び、ネプギアの手を強引に振りほどく。

 

顔を俯かせていたが、こちらを…正確には、ネプギアを睨むように顔をあげた。

 

「アンタが……アンタがプラネテューヌの女神候補生だっていうなら…!」

 

「ユニ、ちゃん?」

 

「アタシは、アンタを認めない!認められない!

ねえ、何でアンタなの!?何で、あの時連れて行ってもらえたのがアンタなのよ!……アタシなら、上手くやれた!お姉ちゃん達が捕まるような事はさせなかった!!」

 

怒りをぶつける。

そこに、周りの目なんて気にする余裕はない。

涙を浮かべながらも、困惑するネプギアにひたすら怒りをぶつける。

どうして自分じゃないのかと。

 

俺は、黙ってその会話を見ている。

 

俺に介入する隙なんて、そこにはない。

 

「確かに、私はあの時、何も出来なかったけど…でも、だからこそ、私は……!」

 

「黙ってよ…何もできなかったのは事実でしょ!?

アタシは、アンタと協力なんかしない!するもんですか……絶対に!!」

 

「あ……ユニちゃん!」

 

「やめておけ、ネプギア」

 

協力を拒否し、逃げるように走っていったユニを追いかけようとしたネプギアの腕を掴む。

 

「でも、ズェピアさん!」

 

「…ユニの言い分も分かる。そうだろ?」

 

「ッ、はい……ッ」

 

悔しそうに顔を歪ませ、俯かせるネプギアに俺は優しく頭を撫でる。

この子が悪い訳じゃない。ユニが悪いわけでもない。

間が悪かった。そうとしか言えない。

あ、じゃあグレートレッドが悪いで良いや

 

会話が聞こえていたであろうアイエフ達も終わるまで傍観していたのだろう。

こちらへと駆け寄ってきた。

 

「ネプギア、今お前が会いに行っても火に油を注ぐだけだ。だから、ここは俺に任しちゃくれないか?」

 

「ズェピアさんに…?」

 

「何、ちょっとああいうのを見てると放っておけないってやつでさ。まあ、俺の」

 

「自分勝手な考え、ですよね。…お願いして、良いんですか?」

 

「仲間だろ、適材適所って奴だ。それに、連絡手段はあるだろ?」

 

「そう、ですね……ズェピアさん、お願いします。

私たちは、ゲイムキャラさんの情報を集めます」

 

「おう。……って訳だ、二人とも、ネプギアのこと頼むな」

 

「勝手に話進めちゃって……でも、そうね。分担した方が早いでしょうし、頼むわ」

 

「ゲイムキャラさんは私たちに任せてくださいです!」

 

「頼もしい限りだ……マジェコンヌにも気を付けろよ。

出会う確率はそっちの方が高いだろうからな」

 

「分かってるわ、もしまた会ったら容赦しないんだから……!」

 

おおう、怖いなぁアイエフさん。

 

「さて、んじゃ、また!」

 

「はい!」

 

俺は走って外へと出た。

ゲイムキャラはあっちが上手くやってくれるだろうしな

 

こっちも頑張るゾイ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走って、走って、走った。

頑張って、ユニを追いかけた。

 

ぶっちゃけ、会話に時間かけすぎた。

 

でも、何も言わずに行くと怒られるからな。

 

幸い、ユニの足はそこまで速くなくて、追い付くことには成功した。

 

でもまさか、ベンチで座って落ち込んでるとは。

教会にいるかと思ってたが……

 

まあ、いい。

 

「よう、ユニ」

 

「えっ…?あ、あんたは…!」

 

「久し振りだなぁイーノック」

 

「誰がイーノックよ!?アタシはユニだって名乗ったしさっきあんたも名前呼んだでしょ!」

 

「ですよね」

 

「ですよねって……で、何の用?ネプギアを手伝えって言うならお断りよ」

 

「いやいや、単に鼻☆塩☆塩…話をしようと思ってな」

 

「何?あんたマトモに喋れないの?」

 

「そんな訳…………………………………………ないよ」

 

「今の間は何!?」

 

「うるせぇな、カボチャをテメェの頭に差し替えてやろうか!?」

 

「キレ方!?何そのあんパンの頭をしたヒーローみたいな感じの嫌がらせをされなきゃならないのよ!

あーもう!真面目に話をしなさいよ!」

 

ユニは苛立ちながら話をするなら真面目にしろと言ってきた。

何だよ……結構元気あるじゃねぇか……へっ

 

俺は隣に座る。

 

「……話って?」

 

「……お前があそこまでネプギアに怒りを向けた理由は聞かなくても分かる」

 

「分かるって…あんたに、何が分かるのよ!置いていかれて、帰ってこなかったのよ!?しかも、その時、一人だけ女神候補生が一緒に行ったって聞いたときは…!」

 

「悔しかったか?」

 

「っ、そうよ!アタシはなれなかったのに、あいつはなれた!でも、アイツは負けて、なのにアイツだけ助かった!ねえ、何でお姉ちゃんじゃなくてアイツなの!?

何でアイツじゃなくてアタシじゃなかったの…!?

何でよ……!」

 

俺に涙を流しながら言うユニを見て、何となく昔の自分が重なった。

同情、ではない。ただ、おかしくなる前に言いたいことがあった。

きっと、俺がやらなくても、俺がいなかったとしてもユニはネプギアと仲直りして仲間として戦うとは思う。

 

俺がやろうとしてるのは余計なことかもしれない。

 

でも、俺は自分勝手なんだ。

 

「お前は何でだと思う?」

 

「そんなの…」

 

「ネプギアがお前より優秀だった、か?」

 

「っ……」

 

「そんな事はないと思うぞ」

 

「じゃあ、何でなのよ!」

 

「じゃあ、俺からも一つ聞くが、どこが優秀だと思った?」

 

「え……」

 

「ネプギアの何処が優秀だと思ったんだ?」

 

「それ、は……」

 

「分からないわな、俺も分からん」

 

「…は?」

 

威圧的な声が隣でする。

まあ、分かるよ。

 

でもな、分からんもんだよ、これは。

 

「そもそもさ、焦りすぎだったんじゃないか」

 

「アタシが……?」

 

「そう、ユニ、お前は姉をどう思っていた?」

 

「突然何よ……お姉ちゃんは、完璧な人だったわ。

何をしても、そつなくこなして、ラステイションの人たちを愛していた。あの人は、誰よりも完璧だった」

 

「じゃあ、追い付かなきゃって焦りはあったか?」

 

「……無かったとは、言えない。完璧なお姉ちゃんの妹だから、私も強くなくちゃいけない。早く女神化して、追い付かなきゃいけないって思ってた…」

 

「だろ?」

 

「……でも、何で分かったのよ」

 

「経験がある、と言うべきか。俺にも家族がいたんだがな。その子、どんどん日を追う毎に衰弱って言うか…まあ、弱くなっていったんだ」

 

「……大切な人?」

 

「大切な人だな。きっと、あの時は何よりも手放したくなかったと思う。……だってのに、その子、死んじゃってさぁ…また会おうって約束取り付けて居なくなったんだわ」

 

「……そう」

 

昔話をする。

もう何百年前かすら覚えてない。

でも確かにあった話。

 

「それから、俺はやるべきと定めたことを一心不乱に走った。その時から…オーフィスって言うんだけどな?

その子がおかしくなりだしてさ。今思えば、ちゃんと時間を作ればよかったと思ってる」

 

「その子はどんな人なの?」

 

「家族だ」

 

「家族……」

 

「オーフィスはあの子が死んでから、失う事に対する意識が強くなったんだろうな。俺に狂気に近い優しさを向けてくるようになった」

 

平気な顔で、他人の体を貪る蛇を造りだし、渡し、骸にした。

それを笑顔で渡してくるのだ。

俺のためになると。

 

あの時はゾッとした。

教授がいなければどうなっていたか。

 

「それで、どうなったの?」

 

「凄い喧嘩してさ、仲直りしたんだ。でも、それまでずっと、俺はあの子の心に気づけなかった。あの子は俺に気づいてたのにな……だから─」

 

俺はユニをしっかりと見て、強い意思を込めて言う。

 

「─お前は俺のようにはなるな。焦りが全てを見えなくするんだ。お前には、まだ落ち着けるチャンスがある」

 

「落ち着ける、チャンス……?」

 

「走りすぎるなってことだ。一度、息を整えて、考えるんだ。あの時どうだったか、今をどうすべきかを」

 

「……」

 

「それが決まるまでは、俺が居てやるよ。といっても、ネプギア達がやること済ませたら戻っちゃうけどさ」

 

俯いて考えるユニに笑いかける。

自分から動かないと、真に成長はできない。

 

後は、少し支えてやるくらいしか出来ない。

お節介が過ぎるかもしれない。

でも、ユニの背中は昔の俺のようで、見ていられなかった。

姉に近づくために必死に頑張りすぎて、その結果に何を取り零したのかを分からないで破滅…なんて、嫌だし。

 

きっと、そうはならないんだろうけど、それでも俺は心配だったから。

 

「……一回、帰るわ」

 

「そうか」

 

「そうか、じゃないわよ。あんたも来るの!」

 

「…ああ、はい。なるほど」

 

「そうよ!あんたから言ったんだから…仕方無く居させてあげるわ!」

 

あ、はい。

でも、少しは気分が軽くなったようだ。

よかったよかった。

 

……というか、思えば、あの時の俺って相当な無茶したような。

いやでも、オーフィスに腕千切られたり、全身の骨砕かれたり、腹に腕ぶちこまれただけだしそうでもないか。

 

ツンデレかぁ……大丈夫かな、耐えられるかな、俺…

 

そうして俺は、ユニと共に教会へ向かった。

 

……ん?教会?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラステイション教会にやって来たけど…あー、うん。

どうなるんだ、俺。

 

「やあ、ユニ。今日は早く帰ってきたんだね」

 

「……ええ」

 

「あ、どうも」

 

「ああ、これはどうも。君はプラネテューヌの女神候補生と共にいた人かな?」

 

「なるほど、調査済みか?」

 

ユニの所まで来たのは中性的な顔立ちで、男か女かよく分からない人だった。

やけに親しいが、もしかしてとは思うが、多分合ってるかな。しかし、情報の早いことで

 

「目的まではまだ分からないけどね。僕はラステイションの教祖をしている、神宮司ケイ」

 

「俺はズェピア・エルトナム・オベローン。長いだろうから好きに呼べ」

 

「じゃあ、ズェピアと呼ばせてもらうよ。それで、君はプラネテューヌの女神候補生と一緒にいないのは何故かな?」

 

「まあ、成り行きって奴さ。何となく、ついてきただけだから、お気になさらず。ユニからの許可は得てる」

 

「ふむ、そうか。別に拒む理由もないし、構わないけどね。それで、君たちがラステイションに足を運んだのは何故か聞いても?」

 

「ああ」

 

それから俺は一通り話した。

ケイはそれを聞いて、なるほどね、と言った。

 

「プラネテューヌはそうすることを選んだか…」

 

「そういうことだな。それで、どうだ?ラステイションのゲイムキャラの情報、教えちゃくれねぇか?」

 

「教えても良いが…君はこの情報に『価値』をつけるとしたらどうする?」

 

……そういう手合いか。だからユニも俺を連れてきたのか?

だが、そうさな。

これは不利だな。

元より情報を提供される側だしな。

 

まあ、とりあえずは

 

「そちらが集めてほしい物とかを集めよう。この労働とその労働によって手に入れた物、それでどうだ?」

 

「…なるほど、君はいい交渉の相手になってくれそうだ」

 

「そりゃどうも。交渉成立だな」

 

「ああ、君たちがこちらの提示する素材を持ってきてくれれば情報を渡そう。さて、欲しい素材だが…『血晶』と『宝玉』だ」

 

「『血晶』、『宝玉』ね……OK、時間は多少かかるが手にいれることは約束しよう」

 

俺とケイは不敵に笑いながら握手をする。

食えないやつだ。

恐らく、この二つはレア素材の類い。

なぜ欲しいかは分からないが、何かの開発に使うんだろうな。

 

だが、まあいい。

それはラステイションの問題だ。

俺たちは情報が手にはいればそれでよし。

 

「まあ、それはそれとして教会の一室を貸そう」

 

「ありがたい」

 

「ああ……後は、ユニも同行させて構わないよ」

 

「マジか?」

 

「えっ?ケイ!ちょっと!」

 

「良いじゃないか、いい経験になると思うよ」

 

「……もうっ!分かったわよ!ズェピア、行くわよ!」

 

「はいはい」

 

ユニは怒ってそのまま出ていってしまった。

一度帰ると言ったらこれだもんな。

体を動かすついでにモンスター退治か。

 

ま、それで『血晶』か『宝玉』が手にはいればいいがな。

 

そうして、俺も出ようとしたその時だった

 

「ユニを頼むよ」

 

「……任せとけ」

 

意外と普通に心配なのかと思った。

だが、任せてもらおう。

ズェピアさんがいれば、解決さ

 

その後、ネプギアたちに連絡したら、感謝の言葉と、無理しないでくださいという言葉をいただいた。

『血晶』はこちらが、『宝玉』はネプギア達が担当することになった。

分担って、大事。

 

何やかんやで和解できるといいなと思いつつ、俺はユニとモンスターを倒しに出掛けた。

 

でもさ、これってモンハンのマラソンに似てない?




ユニちゃんが若干弱気ですが、すぐに強気に戻ると思うのでズェピアパパの活躍を見ながらお待ちください。

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