ワラキー異世界渡航劇   作:ロザミア

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監督気取り、黒の女神と共に

やあ、皆。

俺だ、ワラキーだ。

 

現在、俺はセプテントリゾートへと来ております。

 

「何ボサッとしてるのよ」

 

「ここにあるのかなぁって」

 

「さあね。クエストついでに来ただけなんだから、知らないわよ」

 

「へえ、なるほど」

 

クエスト周るついでに集められればいいという効率思考ですな?分かりますよ。

俺もそれやってたから

 

「ユニはそのライフルが武器か」

 

「ええ、そうよ。あんたは?」

 

「これですね」

 

「ガントレット…拳ね。それなら、前衛後衛がはっきりしててやりやすいわ」

 

「だろう?俺たちは無敵のコンビだぜぇ~旦那~」

 

「旦那じゃないわよ!そんな事より、あんた戦えるんでしょうね?」

 

「勿論、吸血鬼ですよ?パーフェクトに戦ってやるぜぇ」

 

「はあ?吸血鬼って……馬鹿じゃないの?第一、吸血鬼なら太陽に当たったら死ぬじゃない」

 

「ごもっともっちゃごもっともなんだけど…特別な吸血鬼はいるから」

 

「…妄想?」

 

「酷い!ユニは俺を信じられないのか!?」

 

「いや、普通に考えていきなり吸血鬼とか言われても信じないでしょ」

 

「だな。じゃあ頑張るか」

 

「開き直んな!」

 

「ぐはぁ!?」

 

ら、ライフルで殴ってくるとは思わなかった……

しかも、背中だし……!

 

さ、さて……おう、痛い……ここらのモンスターを倒す事が最優先なのだ。

ネプギアたちは多分、別のダンジョンだろうし、会うことはない。寂しいんだよなぁ……

 

ぶっちゃけ、死徒化すればモンスターなんてすぐに倒せるけど、最悪を想定しておいて、この体でも動けるようにしないと。テイルズシリーズのジュード君並には動けるようにしないと!

 

無理だ!

 

「さて…頑張るか」

 

「足引っ張らないでよね」

 

「足引っ張ってだって?」

 

「引っ張るなって言ったのよ!」

 

「元気だなぁお前」

 

「こ、こいつ……!」

 

「あ、モンスターだ!」

 

「モンスターって……ドルフィンじゃない!」

 

「イルカすら殺すのか、最近のゲイムギョウ界は…」

 

「ボケてる場合じゃないわ!あれは危険種よ!」

 

「危険種って…イルカがですか?」

 

あの見た目がですか……?

いやどうみても……あ、正面向いた。

うわ、凶暴な面してる。

 

「危険種な顔してますね」

 

「あんた、余裕そうね?」

 

呆れたように見てくるのはあれですか、振りですか。

まあ、銃使う人はあれだもんな、結構掛け合いとか好きだもんな。

 

「お前がいるからな」

 

「は、はぁ!?」

 

「──!」

 

「おい、突っ込んできたぞ」

 

「あんたが騒ぐからでしょ!」

 

「お互い様ってことで一つ」

 

まあ向かってくるなら殴ってやる。

ワラキーの力が無くてもやれるところ見せてやるぜ。

 

「ともかく、前衛後衛、はっきりしててやりやすいんだろ?狙い撃ってくれよな、ユニさんよ!」

 

俺は構え、突っ込んでくるドルフィンにアッパーをかます。

フゥ!当たった、固い!

 

あまりダメージはないのか、ドルフィンは顔を振って近くの俺を攻撃しに来る。

 

しかし、銃声と共に、ドルフィンは怯んだ。

 

「あんたに言われなくても…アタシは女神候補生よ!

こんな奴に遅れを取るわけないのよ!」

 

「…頼もしいじゃないか!」

 

自信ある態度に違わぬ狙いの澄まされた一撃に頼もしさを感じた。

 

怯んだ隙を逃す事はない。

俺はそのまま、ドルフィンの顔面を殴る、蹴る、時には叩く。

 

いやあ、あれです、吸血鬼の筋力ってこういう時便利。

殴ったときの痛みとか感じないもの。

 

まあでも、流石にやられてばかりでないのは危険種といったところ。

じたばたと暴れて俺は離れざるを得ない。

 

ワラキー時のラッシュなら倒せるだろうが、今の俺ならダメージはそこまで高くはないか。

 

俺よりもユニが厄介と思ったのか、ユニへと突撃する。

 

「ちょっと、私を放っておかないでよ~アナタ~!」

 

「──!!」

 

「キモッ!」

 

そのまま通すはずないけど。

通り過ぎようとしたドルフィンにドロップキックで横に吹っ飛ばし、ユニが罵倒と共にライフルから何発も弾丸を放ち、全弾命中。ビューティフォー……

 

ドルフィンさんもこれは致命傷だったのか、消え去った。

 

危険種……哀れなり。

 

「泣くぞ!」

 

「泣けッ!」

 

「ああんひどぅい……」

 

「ハァ……お疲れ様」

 

「!ああ、お疲れ、ユニ。ナイスショットだった」

 

「あんなの、出来て当然よ」

 

「またまた~照れちゃって」

 

「はぁ!?照れてないっての!いいから、このままクエスト終わらせるわよ!」

 

「はいはい……素直じゃねぇなぁ」

 

「何か言った?」

 

「なーんも」

 

「ふん!」

 

そのまま、一人先へ進んでしまうユニにこのまましっかりと立ち直れればいいと思いながらついていく。

 

この後、クエストは無事完遂したが『血晶』は手に入らなかった。

これは強敵ですね……

多分、他の場所にいるか、それとも…まだ倒してないモンスターがいるか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらズェピア、応答頼む」

 

『はい、ネプギアです!体は大丈夫ですか?』

 

Nギア、というこの世界の携帯をネプギアから渡された俺は現状の確認をしたく、ネプギアに連絡をいれる。

ネプギアはすぐに連絡に応じてくれ、体の心配をされて苦笑する。

 

「今のところ快調だな。そっちの調子はどうだ?」

 

『まだ『宝玉』は手に入ってませんが、ある場所を知ってる人には会えました!』

 

「へえ、そうなのか?俺の方はまだまだだけどな…どんな人だったんだ?」

 

『はい!ファルコムさんって人なんですけど……』

 

それから、色々聞いたが、そのファルコムという冒険者からバーチャフォレスト最奥部で見たとのことでこれから向かうらしい。

 

あちらは順調らしく、こちらも嬉しくなる。

というより、その事を楽しそうに話すネプギアに自然と笑みが浮かぶ。

 

出会い話を楽しく話してくれるなら、それはいい縁となることだろう。

事実、良いことがあったんだから、間違いない。

 

『あ、すいません…そっちも忙しいのに、話し込んじゃいました』

 

「いや、いいよ。…良い出会いだったんだな」

 

『はい!』

 

「ハハハ、なら、その縁を大事にな」

 

『はい。ズェピアさんの方も頑張ってくださいね!』

 

「おう、頑張るよ」

 

『じゃあ、また後で!』

 

「ああ」

 

そうして、通信を切って空を見る。

晴れている空は綺麗で、何となく、心が洗われる。

 

……あっちは、どうなってるんだろうか。

 

「心配だ……」

 

主に、オーフィスが。

何かやらかしちゃってないか。

 

「何が心配なのよ」

 

「ん、ああ…終わったか?」

 

空を見るのをやめてギルドから戻ってきて話しかけてきたユニの方を見る。

ユニにはネプギア達と連絡を取りたいと言ったら『好きにしたら?アタシはクエストの報告するから』と言われたので報告を任せて連絡を取っていたのだ。

ユニには悪いことをした。

 

「ええ。それで、連絡はもういいの?」

 

「ああ、あっちは順調、だそうだ。俺たちも先越されないように頑張らないと」

 

「そんなの、当然でしょ。…あんたはネプギア達といないで寂しくないの?」

 

「寂しくないといえば嘘になるな」

 

「……そう」

 

明らかに暗い顔をするユニに苦笑する。

 

「別にお前と居たくない訳じゃないぞ?」

 

「そんな事聞いてないわよ!」

 

「じゃあ、俺が居たいってことでいいよ」

 

「あ、あんたまたそういうこと言って……!…もういいわ、それで何が心配なの?ネプギア?」

 

「それもあるが……ああ、ユニには話してなかったな?俺って実はゲイムギョウ界出身じゃないんだ」

 

「うわ……あんたそこまで妄想が現実と混同してたの?」

 

「お前なぁ…」

 

ドン引きしているユニに確かに突然こんな事言ったらそう思うかもしれないがとは思う。

でも、事実だし。

 

納得してもらえるように、尚且つ、色々省いて座りながら説明した。

 

まあ、まだ信じられない感じだが……

 

「信じてもらえねぇかなぁ……」

 

「あまりにもぶっ飛び過ぎてて普通信じないわよ」

 

「まあ、俺もそうは思うけどさぁ」

 

「……でも、話が本当なら家族が待ってるのよね?」

 

「まあ……信じてくれるのか!?」

 

「半々よ。あんたがそんな龍と戦ってたなんて信憑性ないし……姿も今とは違うとか」

 

「グレートレッドのことは仕方ないが、姿云々なら証明できるが」

 

「ふーん…」

 

「興味無さげだなぁ…」

 

「そういう訳じゃないわ。でも…聞きたいことがあるのよ」

 

「聞きたいこと?」

 

何だろうか。

一通り話した筈だが……?

 

「あんた、何でそんな平然としているの?」

 

「何でって?」

 

「家族を置いて、この世界に来ちゃったんでしょ?

なのに、そうして飄々として…なんでそうしていられるのよ」

 

そう聞かれて、何となく、考える。

俺としては、暗い雰囲気が苦手だからこうしているだけで真面目でいるつもりだが。

でも、ユニはそれが納得できないとの事。

 

……まあ、分かる。

実際にあっちの事が心配で仕方がないところはある。

 

「心配だよ」

 

「だったら、何でよ?焦らないの?自分が居ない間に何かあったらどうしようとか、思わないわけ?」

 

「思わないかな」

 

「ッ、何で!?」

 

「家族だから」

 

「…何よ、それ。どういうことよ」

 

「家族だから、心配しない。俺がしばらく居なくとも皆大丈夫だよ。そんな柔な奴等じゃない。そりゃ、一時期拗らせてたけど…仲直りしたし、約束もした。

それだけで、俺たちは十分だよ」

 

俺たちの紡いだ物語は、絆は、少し離れた程度で裂けるものじゃない。

だって、俺の家族は皆優しいから。

 

優しさで世界を壊そうとした龍神。

優しさで一歩引いた視線で支えてきた混沌。

優しさで皆を繋いでくれた人間。

 

そんな、優しさで満ちた家族だ。

 

「だから、ちょっとの心配だけで良い。

俺は、必ず帰るんだから」

 

「…変な奴」

 

「ええ?今の真面目に答えたじゃないか」

 

複雑な表情をしたユニに変呼ばわりされた。

何でさ、俺真面目でしたよ。

酷いや酷いや

 

「だって、いつもはふざけた態度なのに、こういう時だけそんな態度で……でも、根底には家族への信頼がいっぱいで……羨ましいわ」

 

辛そうに笑ってそんな事を言うユニに、何となくだがさせたかった顔じゃないなと思った。

気がついたら、俺の手はユニの頭に置かれていた。

 

「何よ突然……?」

 

「ユニなら出来ると思うぞ」

 

「私にも…出来る?」

 

「家族を信じて、頑張る位出来るさ。俺が保証する」

 

「出来るかな、アタシに。今まで、完璧なお姉ちゃんに追い付けなくて、怖くなってたアタシに」

 

不安そうなユニにもう少しエールを送ろうと思い、頭を撫でながら笑って

 

「出来る出来る絶対できる!頑張れ頑張れやれるって!もっと熱くなれよ!」

 

「最後まで真面目な態度維持しなさいよ!」

 

「おうふっ!?」

 

頭を叩かれた。

痛い。

ひょっとしたらアイエフとタメを張れるかもしれぬ。

逸材だな……

 

「でも……」

 

「ん?」

 

「ありがと」

 

「…おう!」

 

今度はしっかりと笑顔でお礼を言ってきた。

よし、成功……でいいのかな。

 

絆が深まった。そんな気がした。

 

「よし、じゃあ『血晶』探しに行こうぜ」

 

「そうね、とっとと見付けるわよ!」

 

「手当たり次第にやってく感じになるけどな」

 

「うっさい」

 

「はい」

 

「セプテントリゾートはまた後で行くとして、他の場所行くわよ!」

 

「おk」

 

仕方ねぇ、他の場所に行ってやるぜ。

でも、今日行ける範囲か……まあ、地理はユニの方が詳しいし、任せよう。

 

そんで、次はどうやらリピートリゾートに行くらしい。

わぁ、海だぁ。ズェピア海大好き。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という訳で、海だ。リピートリゾートだ!

何て言いにくい名前なんだ!

 

「おっし、程々に探索するぞ」

 

「さっきと同じで、前衛は任せるわよ」

 

「任せろ」

 

「よし、じゃあ……あれ?」

 

ユニが何か見つけたようだ。

俺もそちらを見る

 

そこにいたのは……

 

「何でまたここに来なきゃならねぇんだ……ゲイムキャラとか何処にいんだよ…結局見つからねぇじゃねぇか!」

 

あ、あいつは……

 

マジェコンヌの……り、り……下っ端!

ええい、ここでも邪魔をするか!

邪魔はさせんぞぉぉ!!

 

「おいコラァ!下っ端ぁ!!」

 

「うおぉ!?誰が下っ端だ!って、て、テメェは!?」

 

「何?知り合い?」

 

「知り合い……でいいのかな…とにかく、アイツは犯罪組織マジェコンヌの…り……下っ端だ!」

 

「リンダだよ!テメェ、ふざけんなこの野郎!?

一度名乗ったのに忘れんじゃねぇ!」

 

「良いじゃん別に!」

 

「良くねぇ!人の名前は覚えろよ!」

 

下っ端、リンダがそれっぽい事言ってくる。

くそ、下っ端の癖にマトモな発言すんじゃねぇ!

 

「マジェコンヌ…なら、逃がすわけにはいかないわね」

 

「気を付けろ、何してくるか分かったもんじゃない」

 

「ガキ一人は良いとして、あの男相手かよ……!」

 

「ガキだってさ」

 

「は?……頭きた!後悔させてやるわ!」

 

(チョロい)

 

悪態をつきながら刀を構えるリンダの言葉をユニに伝えると、イラッと来たのかユニは後悔させてやる宣言。

 

そして、ユニを中心に光が集まる。

 

め、女神化ですか?

オーバーキルぅ……

 

女神化したユニは、黒かった髪の色は白くそまり、顔の横でくるくると巻かれている。

ネプギアと違い、黒いプロセッサであり露出も多い。

 

武器も、ライフルというより……うーん。

ユニよりもデカい銃でこれだ撃たれるのかと思うと可哀想だ。

 

「アタシたちがあんたを倒す!」

 

「なっ、女神候補生だなんて、聞いてねぇぞ!」

 

「言ってないし」

 

「くそ……使わざるを得ない状況ってか……!」

 

リンダは二枚のディスク……内一枚は赤いオーラを放っている。

それを投げる。

ディスクより現れたのは……

 

「フェンリルと……何よアイツ?」

 

「おいおい……こっちの世界のフェンリルかよ…」

 

「二体とも、頼んだぞ!あばよ!」

 

ゲイムギョウ界のフェンリルとハイスクールD×D世界のフェンリルだった。

神殺しの牙か、女神ならば相性は最悪だろう。

 

リンダは二体に任せて逃げ出す。

俺たちは当然、追おうとはするが二体に阻まれて逃がしてしまった。

 

「あんたの世界のフェンリルって……」

 

「ああ、気を付けろ。強いぞ……もっとも…ユニにはその牙が当たるとは思うなよ、犬が」

 

─おい、やるぞ

 

『構わぬとも。だが、気を付けろ。フェンリルは素早いからね。弾丸が当たるとは思わないことだ』

 

─分かってるよ

 

俺は魔力を大量に消費する。

緊急用にあと一回だけ変身出来るようにリソースを残し、残りを全部使う。

 

「ユニ、お前も女神化出来るように、俺も変身できるのさ」

 

「変身って、まさか!?」

 

「そのまさかだ─」

 

 

「─『死徒化(変身)』!」

 

ノイズが俺を覆う。

姿が、変わる。

 

ノイズが晴れれば、いつもの、俺!

 

呆然とそれを見ていたユニだが、すぐに勝ち気な笑みに戻る。

 

「本当だったのね、あの話。…じゃあ、行くわよ!」

 

「ああ、開幕といこう!」

 

「グルル……!」

 

「──!!」

 

二体の大狼、ここで狩らせてもらう。

 

……にしても、こっちに来てからこの姿でも力下がってんのは、仕方無いのかな。仕様が違うもんな。

 




ネプテューヌ世界のワラキアの夜状態とハイスクールD×D世界のワラキアの夜状態だと大きく差があります。
仕様です。

ポケモンでいうとLv100からLv40位にまで下がってます

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