ワラキー異世界渡航劇   作:ロザミア

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あー…筆が進むぜ!

今回はユニ視点もあります


監督気取り、倒れる

女神化したユニと死徒化した俺。

対する相手はこの世界のフェンリルと俺の世界のフェンリル。

これからはネプテューヌ世界のをNフェンリル、ハイスクール世界のをHフェンリルとしよう。

北欧の獣をコピーしたのか……だが、何のつもりだ、グレートレッドの奴……

 

まるで俺を試しているように小出しにしている。

 

フェンリルとサマエルを同時に出せば俺でも苦戦はしたのに一体ずつ。

 

……どういうことなんだ。

 

「ガァゥ!!」

 

「おっと、危ない、カット!」

 

「ギャゥ!?」

 

流石の素早さで俺を爪で引き裂きに来るHフェンリルに、危なげなくヒラリとかわし、手首を上にくいっとあげる。

 

すると、俺の手より巨大な黒い爪がHフェンリルを切り裂く。

だが、浅い。

 

爪痕を残すに留まり、Hフェンリルは警戒して後ろに下がる。

交代とばかりに後ろにNフェンリルが巨体でのし掛かりに来る。

 

「させるわけないでしょうが!」

 

「──!!」

 

「ナイスアシストだ!」

 

ユニがNフェンリルに巨大な銃から発射されたレーザーで撃つ。

だが、こちらも危険種だ。

貫通はしてないが効いている。

 

「ふん、当然よ!」

 

「そうかね?」

 

「ガァ!」「──!」

 

二体とも息を合わせたかのように俺とユニを挟み込み、Nが爪で俺を、Hが牙を使いユニを攻撃してくる。

 

「ユニ、合わせたまえ!」

 

「ええ、狙い撃つわ!」

 

ユニの肩に触れてNとHの真横へと転移。

エーテライトで二体の前肢を縛る。

縛った頃にはユニが持つ巨大な銃…後に教えてもらったがクロスマルチブラスターというらしい。以降はXMBと略す。

XMBのチャージが終わったようだ。

 

「ぶち抜けぇぇぇぇ!」

 

ユニの叫びに呼応するようにXMBから極太のビームが発射される。

 

XMBのビームは二体を飲み込み、水平線の向こうまで向かっていった。

 

うわぁ……

 

ビームが消えた時には、Nフェンリルの姿は消え去っているが、Hフェンリルはボロボロになりながらも立ち、俺たちを睨み付けている。

 

が、それも力尽き、倒れることで出来なくなる。

そして、Hフェンリルは赤い粒子となって消えていった

 

「…終わったわね」

 

「ああ、私たちの勝利だ」

 

「それにしても……」

 

ユニが急に俺の周りを歩いてジロジロと見る。

え、なに?モデルショーかなにか?

 

「あんた、変わりすぎじゃない?」

 

「そうかね?どちらかと言うとこちらの姿の方が長いのだが」

 

「違和感しかないわ……」

 

「似たようなことを言われたな。それよりも、ユニ」

 

「何?」

 

「お疲れさま、君との共演はよき物だった」

 

手を差し出す。

ユニはキョトンとしていたがそれも一瞬で、握手に応じる。

 

「悪くはなかったわ」

 

「素直じゃないな君は」

 

「ふん!」

 

顔をぷいと横へ向けるユニに苦笑する。

 

「……む、時間か」

 

「え?」

 

俺にノイズがかかり、元の姿へと戻ってしまう。

 

「うおっ───!?」

 

「きゃっ───!?」

 

すると、どっと疲労感が襲い掛かってきた。

予期せぬ疲労感に、体が前に倒れてしまう。

 

当然、ユニにぶつかってしまう訳で。

 

「わ、悪いユニ…体が急に重くなって……」

 

「い、いい、いいから退きなさいよ!」

 

「ごふぅ!?」

 

ユニのパンチが顔面にクリティカルヒットし、俺は吹っ飛んだ。

 

まあ、これはされても仕方無い。

ユニもまた女神化を解除し、元の黒髪に戻った。

そして、顔を赤くしてこちらへと歩いてやってくる。

 

「急に倒れないでよ!変態!」

 

「すまん…今のは俺が悪かった」

 

「……ほら、立ちなさいよ」

 

座り込む俺にユニが手を差し伸べる。

 

俺はそれにありがとうと言って手を握り、立ち上がる。

……でも、ヤバイな、ここまでくるか。

 

「別に、あんたがここで座り込んでモンスターの餌になったら女神候補生として気が引けただけよ」

 

「そっか……」

 

「ちょっとあんた、フラフラじゃないの…大丈夫?」

 

「どうやら、『死徒化』して動くとそれなりの反動が来るらしい…」

 

眠気というか、体が重い。

ワラキアの夜の姿の負担、こんなにヤバイのか……

 

『当たり前だろう?君のその姿のスペックとあの姿のスペックでは差がありすぎるからね』

 

─分かっててやりやがったなこいつ……

 

『君は口で説明するより実際に分からせないといけないタイプだからね』

 

─ぐっ、その通りだから何も言えない

 

ユニに体を支えてもらい、何とか立てているが……

 

「とにかく、教会に帰るわよ。早く帰って休みなさいよね」

 

「ああ、悪い、苦労かける…」

 

「しっかりしなさいよ。あんたがその調子じゃ何だかやりにくいのよ」

 

「まだ知り合って一日だってのに、優しいな」

 

「感謝しなさいよね、アタシが優しくするなんて滅多に無いんだから」

 

「そうだな……ありがとう、ユニ。助かるよ」

 

「……ふん、元気になってから言いなさいよ」

 

「手厳しい…」

 

そうして、ユニの肩を借りながら俺たちはラステイション教会まで戻っていった。

こうなると弱いな、俺。情けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラステイション教会まで戻ってきた俺は、宛がわれた部屋にまでユニの肩を借りながら入った。

 

「よいしょっと……あー疲れたわ……」

 

「悪い、ここまで疲労感が来るとは思ってなかった…」

 

ベッドに座らされて、ユニは伸びをする。

悪いことしてしまった、今度お詫びをしないと…

 

「だからいいって。早く寝ちゃいなさいよ」

 

「……ああ、そうするよ」

 

「全く…明日、動けそうなら見つけるわよ」

 

「そう、だな。頑張ろう」

 

ユニはそう言って部屋から出ていった。

出ていったあと、俺はベッドに横になる。

自分からケイに提案したくせにこの様だ。

何が死徒だって話だ。

人に御高説垂れといてこの様…悔しいなぁ

 

ああ……何だか、眠気が…凄く……

 

 

 

 

・ ・ ・ ・

 

 

 

 

出ていった後の部屋の扉をもう一度開ける。

こっそりと入る。

ベッドからは規則正しい寝息が聞こえる。

 

どうやら、アタシが出ていった後、すぐに寝たらしい。

 

「……寝顔は可愛いわね」

 

何となく、ポツリと呟く。

 

目の前で寝ている男の寝顔を見て、苦笑する。

全く、人が苦労して運んだのに呑気な寝顔して。

 

「……ズェピア・エルトナム、か」

 

最初の出会いはラステイションのギルドだった。

あの時、まだネプギアがプラネテューヌの女神候補生と知らずに居たからアタシは普通に接していた。

何でこんな小さい女の子がとも思った。

 

ズェピアに対する第一印象は、頭おかしい奴だった。

 

今思うとそれも取り繕ってるだけなのかもしれないけど。

 

ネプギアが女神候補生と分かってから、アタシは感情を抑えきれなかった。

何で戻ってきたのがお姉ちゃんじゃなくてネプギアなのか、とか何で女神化出来たのがあんただったの、とか。

 

酷いことを言ったとは思う。

 

でも、それを言ってしまうくらいアタシにとって女神たちの敗北は衝撃的なモノだった。

何をしても完璧にこなしてきたお姉ちゃんが負けるなんて思ってもいなかった。

 

ケイから聞かされたときは、茫然自失としていたと思う

 

それからはずっと自分を追い詰めるようにクエストに行ってシェア回復に努めた。

 

女神化が出来た時も、嬉しさが込み上げてこなかった。

 

『どうして、今なのよ……!!』

 

痛いくらいに手を握りしめていた。

どうして、あの時じゃなくて今なのかと。

 

自分は所詮、出来損ないなのかと。

何をしてもお姉ちゃんに一歩どころか三歩も遅れるアタシじゃ、救えないのかと悔やんでいた。

 

お姉ちゃんという存在が憧れであると同時に強いコンプレックスを抱いていた。

完璧に近づける訳がないと。

 

姉に張り付く妹でしかないと。

 

…ネプギアに散々なことを言った後、アタシはギルドから逃げるように走り去った。

女神たちを、ゲイムギョウ界を救うと決意のある目で言われたときに、アタシの心は限界だった。

 

あの目を見ていると自分が惨めに思えて仕方なかった。

 

だから逃げ出した。

 

……逃げ出したのに。

 

一人だけ追ってきた馬鹿がいた。

それが今ベッドで寝ている男、ズェピアだった。

 

ズェピアはボケをかましてきて、それにツッコミをいれるという構図が自然と出来上がった。

でも、真面目に話始めると印象は崩れた。

 

怒りを向ける理由は分かると言われた時は、我慢できなかった。

会って間もない男に理解されてたまるかと怒鳴り、自分の劣等感を吐き出してる途中で、さらに口を挟んできた。

悔しかったのかと言われ、図星だった。

 

悔しかった。

凄い悔しかった!

何でアタシじゃないのと、何で何でと泣きながら叫んだ

 

吐き出さないと、何かが崩れそうだった。

 

だけど、アイツはもう一歩アタシの心に踏み込んできた。

 

『お前は何でだと思う?』

 

その問いに、答えようと思ったが喉に詰まった。

 

アイツは確信めいた顔で

 

『ネプギアがお前より優秀だった、か?』

 

怖くなってきた。

自分の心を見透かすような目が。

 

でも、アイツは退くことはなかった。

アタシの怯える目を見ていたはずなのに。

 

そうは思わないとアイツは言った。

何処が優秀だと思ったとも聞いてきた。

 

また答えられなかった。

 

けれど、頬を掻きながらアイツも俺も分からないと言った。

何なんだろう、こいつは。

 

『そもそもさ、焦りすぎだったんじゃないか』

 

焦りすぎ。

そうなのかもしれない。

 

それから、アイツはアタシに質問を混ぜながら真面目にアタシの心と触れ合ってきた。

心地よくなってきてたと思う。

 

何でそこまで分かるのかを聞いた。

それで、いつの間にかアイツはアタシに自分の過去を話し出した。

 

それは家族との話。

もう一緒にいれなくなった人との話や、他にも一緒にいた家族の話。

喧嘩もした、でも仲直りもした。

 

そんな話を聞かされた。

ずっと走り続けて、失敗したこともあったと言うアイツに、大変な事があったんだろうと思った。

 

そうして、アイツはアタシに

 

『─お前は俺のようにはなるな。焦りが全てを見えなくするんだ。お前には、まだ落ち着けるチャンスがある』

 

『走りすぎるなってことだ。一度、息を整えて、考えるんだ。あの時どうだったか、今をどうすべきかを』

 

『それが決まるまでは、俺が居てやるよ。といっても、ネプギア達がやること済ませたら戻っちゃうけどさ』

 

そう言うアイツに……彼は何だか泣きそうだった。

焦っては何も見えなくなる。

 

そう言われて、心が軽くなった気がする。

 

それから、教会に一緒に帰って、ケイと交渉する彼に顔に出さないよう驚いたり、クエストに一緒にいったりした。

 

その中で、気になったことがあった。

 

彼にも待っている家族がいる。

別世界から来たとか言ってるが、それはまだ分からない。でも、信じてもいいとは思う。

 

なら、尚更焦らないのは何故か分からなかった。

 

アタシならお姉ちゃんの元に帰ろうと必死になる。

 

なのに、彼は大丈夫と言った。

 

何故だと問い詰めれば家族の絆は柔じゃないと言ってきた。

ずっと過ごしてきた家族の絆。

それを信じて、何も起こるわけがないと断言した。

 

『だから、ちょっとの心配だけで良い。

俺は、必ず帰るんだから』

 

迷いのあるアタシとは違う。

そう思った。覚悟の差を感じた。

信頼の差を感じた。

 

アタシはお姉ちゃんにそこまでの信頼を寄せられていたのかな。

 

羨ましいと言ったら、アタシにも出来ると言ってきた。

 

ベッドで寝る彼を見ながら、自分の頭に触れる。

 

撫でながら、出来ると断言した彼が眩しく見えた。

 

「…だから、あんたが弱ってるのを見ると、嫌なのよ」

 

リピートリゾートで見た『死徒化』。

姿も声も強さも全然違う。

 

でも、優しさは彼だった。

 

だから安心して背中を預けられた。

連携ができたときは嬉しかったと思う。

 

その後、フラフラになって弱った彼を見たときは心が痛かった。

 

で、でも、倒れこんできた事はまだ許してないんだから

 

ベッドの端に座って、彼の手を握ってみる。

 

「…暖かい」

 

…たった一日でここまで惹かれるなんて思わなかったけど、悪くはないかなって思う。

不思議な男。

 

だから、早く元気になってよね。

元気じゃないと調子狂うじゃない。

 

早く、見付けなきゃね。

ネプギアよりも早く見つかったら、アタシたち二人の方が凄いって事じゃない。

 

明日は活躍してやるんだから。

 

ふふん、見返してやるんだから。

ネプギアも、あんたも。

 

自分でも驚くくらい優しい笑みを浮かべた後、部屋を出ていく。

 

「─おやすみなさい、ズェピア」

 

聞こえてないだろう彼に、そっと言ってから。




この男、たった一日でこれだけの好感度を獲得してやがる……

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