避難訓練・鬼   作:アンギュラ

1 / 2
この作品はフィクションであり、実際の出来事や企業とはなんの関連もありません。

ウソっぱちです。


プロローグ

   + + +

 

この国のAIやVR技術は、ここ数年で実際に現実を体感出来るレベルに達した【仮想空間】を造り出せる迄に昇華していた。

 

 

 

この技術はゲームやアトラクションになどのエンターテインメントに利用されるだけでなく、様々物に利用されている。

 

 

 

 

実体験を伴う教育や、工業や建設業などの研修に積極的に取り入れられたのだ。

 

 

 

 

この技術に目を付けた■■県●●市の職員は、街のトップにある提案を持ち掛ける。

 

 

 

 

それを聞いた市長は議会に訴えかけ、更に県や国に承諾を得た上でついに県知事は、■■県全体を巻き込んだ条例を可決させる。

 

 

【県民防災協力条例】の施行である。

 

 

 

 

これは、近年多発化傾向にある甚大な災害に対して、国民全体の意識レベルの向上を、各地方自治体で謀る事を法的に義務付けた【激甚災害減災法】が施行されたこと。

 

 

 

そして、防災または減災効果が認められる事業に於いては、20XX年から徴収が開始された、【災害復興予備税】の助成金が受けられる制度を最大限利用するのが目的だった。

 

 

 

 

彼等がここまで動いた理由、それは……

 

 

 

ピィーン!

 

 

 

 

『え~只今、■■時■■分となりました。あの【痛ましい災害】からこれでマル■■年になりました。あの日……多くの方が亡くなられ、■■県は多くの悲しみに包まれたのです。遺された遺族の方々の心の傷に【復興】の二文字は本当は見えていないのかもしれません』

 

 

 

 

テレビで流れたアナウンスの言葉を誰もが静かに聞き入り、そして目を閉じて手を合わせた。

 

 

 

 

繰り返しては成らない

 

 

 

でなければ……

 

 

 

あの日に【逝って】しまった方々を本当の意味で【救う】事が出来ないからだ。

 

 

 

 

確かに¨アレ¨の実施には反発する者は大勢いた。

 

 

条例に則り、県全体の企業営業の休止、ならびに全員の参加を半ば強制したこと

 

 

 

更にだ――

 

 

 

アレの実施によって当事の出来事がフラッシュバックされ、強烈な精神的苦痛やPDSDなどを引き起こす可能性が指摘されたからである。

 

 

 

しかし、人間は【忘れる動物】なのである。

 

 

そうでなければ、他の動物を遥かに凌駕する知性が、自信の心をズタズタに引き裂いてしまうからだ。

 

 

 

ところが、その自己防衛システムは危機意識を希薄にして、再び膨大な犠牲を産み出す事に繋がる。

 

 

幾ら語り部が、当時の様子を語っても、幾ら映像で悲惨な映像を流しても、一度脳内で古典と成り果てた記憶は、当事者であった自身でさえも、まるで他人事のように感じさせてしまう。

 

 

 

 

故に政府も重い腰を上げた訳だ。

 

 

 

人手不足から来る税収の低下や経済の衰退。

 

 

これだけでも、沢山だと言うのに、災害で失う人的、物的損失に血税を失う訳にはいかなかったのだ。

 

 

故に、先行投資で減災が叶えば安い出費と考えた当時の内閣と自由民権党は、野党の反発を押しきって法案を強行に採決したのであった。

 

 

 

 

 

そして明日、とうとう始まるのだ。

 

 

 

全国に先駆け、最新技術を使った県民全員を参加対象にした……

 

 

 

 

 

 

 

【避難訓練】が………

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。