【完結】秘封道楽 〜少女達の食探訪〜   作:ユウマ@

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今回はみじかいのね〜


学食日替わりメニュー 〜ドライカレー編〜

「……」

 

黙々と、キャンパス内を食堂に向かって歩く。いつもなら隣に蓮子の姿があるが、今日は私1人だ。

蓮子はといえば、何やら講義の事で岡崎教授に呼び出されているらしい。テストの成績はともかく遅刻癖のありそうな蓮子のことだ、出席数が足りずに単位が取れない、なんて事にならなければ良いのだけど。

 

どうあれ、そのせいでお昼は別行動となった。私は講義が終わるや早足で食堂に向かい、どうにか空いている席を確保する。

 

 

「ええっと…特に食べたいものが無いのよね…」

 

 

学食のメニューの前で頭を悩ませる。蓮子がいれば同じものに合わせていて考える事は無いけれど、その機会が多かったせいか1人で学食となると食べたいものがあまり浮かんでこないのだ。

 

「…日替わりでいいかしら」

 

 

確か、前は生姜焼きだったろうか。たまにはランダムなのも良いだろうと、日替わりメニューを選択して受け取り口に行く。正面に立つと同時に皿の載ったお盆が流れてくる、そこに盛られていたのは。

 

 

 

 

 

「ええっと…ドライカレー、だったかしら?チャーハンがどうみたいな名前もあった気がするけど…」

 

 

カレー色をしたご飯にみじん切りにされた野菜、それに不釣り合いな位に大きな鶏肉に、輪切りにされたゆで卵がのっている。受け取って近くに持ってくると、ほのかに漂うスパイスの香りが鼻や食欲を刺激した。

これは意外と辛そうだ。気持ち水を多めについで、スプーンで小さくすくいとる。そのまま鶏肉と一緒に一口。

 

 

 

 

「はふ、美味しい…ん、でもちょっと辛い…」

 

 

見た目以上に鋭い辛さに、思わず目をつぶる。出来立てのそれをどうにか飲み込んで、水を飲んで一息いれる。

 

 

「ふぅ…思ったより、割と辛いのね…」

 

 

メニューを遠目に見れば、確かに隅に小さく“辛さ注意”の文字が見えた。もっと見える位置に大々的に書いてほしいものである。

と、ふと思い当たる。ゆで卵はこういう時のためのものでは無いのか。早速今度はゆで卵も一緒に大きく一口食べる。

 

 

「うん、うんやっぱり」

 

 

ゆで卵のお陰でいくらかマイルドになり、より楽しめるような味だ。入っている大ぶりの鶏肉も若干スパイシーでどんどん手が進んでいく。あっという間に、半分程食べてしまった。

 

 

「ふぅ…」

 

 

水を飲み干し、口を休める。その間に、ふと、この間の事を考えていた。

 

蓮子と2人、不思議なバーに行った帰り道。バーでの出来事も充分不思議ではあったけれど、それを上回るであろう事が起こってしまった。

 

 

 

私は、視界に謎の亀裂を見た。

 

 

一瞬の出来事であったから、疲れていたのだと言われればそれまでかもしれない。けれど、私はどうにも、それで納得できる気はしないのだ。いつか、またあの亀裂を空に見るような気がして、どうにも落ち着かないのだ。

 

 

 

「ねぇ、蓮子はどうーー」

 

 

 

無意識に、目の前に話しかけようとして、口を閉じる。今は、私1人だけで。蓮子がいない事を、すっかり失念してしまっていた。

 

ここ数ヶ月、秘封倶楽部の活動が盛んで、蓮子と一緒にいる機会が増えたからだろうか。なんとなく、蓮子が居ないと落ち着かないのだろうか。

 

 

「…まさか、ね」

 

 

蓮子に振り回されるせいで、それが一般化してしまっただけだ。一般化して欲しいとは、そこまで思っていないけれど。

 

どうあれ。帰る時には、蓮子と一緒に帰れるだろうか。食べ終わったらメールでも入れる事にしよう。

水をおかわりして、残りのドライカレーを口に運ぶ。下の方が辛味があるのか、先程より強いしびれるような辛さの中、どうにか完食したのだった。

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでした、と」

 

思ったよりも時間がかかってしまった。3杯目になる水を飲み干し、カレーの皿を返却する。食べながらデバイスを眺めたりはしていたが、やはり蓮子がいないとどこか寂しく感じるものだ。そう思うあたり、私も蓮子の影響を受けているといえるかもしれない。

 

 

 

「さて、蓮子にメールを…と」

 

 

幸いこの後講義は無いため、蓮子の方が終わるまで図書館にでも行って時間を潰すとしよう。

そう思いデバイスを開こうとすると、丁度メールの着信音が響いた。表示された名前は、蓮子のもの。

 

 

「あら、何かあったのかしら…」

 

 

活動に関する何かか、あるいは今の用事の事か。そう思いメールを開いた私は、しばし呆然とするほか無かった。

 

 

 

「……え?」

 

 

メール自体は、急いでいたのかたったの1文だけのそっけないもの。けれど私は、その普段見ない内容を、しばし認識出来なくて。

 

 

 

 

つまるところ。

 

 

 

 

 

『ごめんメリー、今日、メリーの所に泊まらせて!』

 

 

 

 

 

ーーたったこれだけを把握するのに、私は数分の時間を要することになったのだった。




<WARNING>
「……」
「こ、これから来るの⁉︎」
「とりあえず、部屋を掃除しないと…」


【次回 緊急、秘封お泊まり会⁉︎】
お楽しみに〜
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