身体に走る痛みで、目が覚めた。すぐに身体を起こして周囲を確認すれば、無限に迫る氷礫を防ぐマグナとアスタの姿がある。
どうやら、気絶していた時間はそう長くないようだ。
(それでも………情けないわね、私)
敵の眼前で気を失うなど、本来はあってはならないだろうに。しかも、守るべき国民の前でなんて。
「刀、は?」
近くにない。ヒース達の奥の方に転がっている。流石にあの距離だと、拾いに行けれない。拾う前に集中砲火を喰らって終わりだ。死ぬ。
(刀がないなら、“水の呼吸”の型を使った攻撃はできないわね………)
ーーーだから、何だというのか。
刀が手元にない程度、何の言い訳にもならない。幸い、まだ身体の右側は無事だ。片手片脚でも、まだ動ける。傷を負った左側にしても、動かなくなった訳じゃない。
そして右側が残ってある以上、先程の攻撃がもう一度できる。もう一度でも届けば、まだ状況はマシになる筈だ。
「ノエ公、生きてるな!?なら、もう無理せず休んでろ!!後はオレとアスタに任せて………」
氷礫を防ぎながら、私に一瞬だけ顔を向けてそう言うマグナ。全く、何も甘いことを言っているのやら。私の身を案じる余裕なんて、どこにもないことは一目瞭然なのに。
(そこが、マグナの………黒の暴牛の良いところなんでしょうね)
「状況、が…分かってないの!?そんなっ………物言いが、できる程。現状に…余裕は、ないわ!!」
ヒースに一撃こそ与えたが、まだ無傷な敵も残っている。私の見た目は酷いかもしれないし、実際に酷い傷なのだろうけど………それでも、動ける魔法騎士を休ませていい状況じゃない。
「まだ、私は動けるっ!戦えるっ!!」
だから、大丈夫。さっきは失敗したけど、次はちゃんと決めるから。きちんと、私が一番強い敵を倒すから。しっかり、皆を守れるように働くから。
………………………………………必ず、役に立つから。
「だから」
「ふざけんな!」
立ち上がろうとした、身体が止まる。傷が原因じゃない………もっと、もっと根本的な部分が叩かれる予感がして仕方ない。
マグナと視線が交わって、息が荒れるのが分かった。
(………………………その目を止めて)
脳裏に兄の、ノゼル兄様の姿が浮かぶ。
銀翼の大鷲団、団長。その強さで以てシルヴァ家と一つの魔法騎士団をまとめ上げ、団長として国を守護する偉大で、尊敬すべき人物だ。
そんな人の。
「仮に動けても!その怪我で無理に動けば、下手すりゃ死ぬぞ!!分かったら、もうオマエは何もするんじゃねえ!!!!」
冷酷に。無慈悲に。残酷なまでにかつて私を切り捨てた時の瞬間が、どうしてかマグナと重なった。重なって見えた。
「あ」
やめて。
「いいな、ノエ公!!」
そんなことを言わないで。
『ーーー何もできないお前は、何もするな』
黒の暴牛の貴方にさえ、そう言われてしまったら。
「私、は」
もうーーー。
「諦めんな!!!!!」