憑依転生者『ノエル・シルヴァ』   作:紅ヶ霞 夢涯

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ちょっとキャラ崩壊が起きてるかも。でも先輩だし、これくらいは頭が回って欲しいよね。


6話

〈マグナ〉

 

 目的地の、ソッシ村が見えてきた。しかしそこは遠目にも分かる程、深い霧で覆われている。

 

「マグナ先輩、何か霧がヤバいですね!!」

 

「うるせぇ!そんな大声出さなくても聞こえてるわ!!」

 

 後ろのアスタに怒鳴り返し、考える。俺も下民だ。黒の暴牛に入るまでは、『恵外界』で暮らしていたから分かる。

 

 この辺りで霧に覆われる村など、聞いたことも見たこともない。つまりは、明らかに異常だ。

 

(どうする?)

 

 あれが何らかの原因で自然発生したなら、別に何の問題もない。幸いここには魔法を…魔力を無力化できる、新人のアスタがいる。簡単にどうにかできるだろう。

 

 しかし、万が一にもそうじゃない場合は?

 

 村一つを覆う魔法の使い手。明らかに新人二人を抱えて、対敵していい相手じゃない。一度アジトに戻って、誰かしら増援を………駄目だ。その間に何かあるかもしれねー。

 

「速度を上げて!!」

 

「ッ!?」

 

 いきなり耳元でノエ公が叫んだ。これまで無言だったこともあり、驚きで箒の操作が僅かにブレる。………………………あと、近い。

 

「きゅ、急に叫ぶんじゃねぇ!?ビックリするだろが!!」

 

「いいから早く!バカスタは先頭で待機。貴方の剣で霧を斬って道を作るの。分かった!?」

 

「いや、いきなり言われても。どうしたんだ、ノエル?」

 

 舌打ちが聞こえたのでチラリと後ろを見る。ノエ公がアスタの胸ぐらを掴んで持ち上げ、箒先頭にある飾りに叩きつけるように運んだ。

 

 ………ってオイ、待て待て。

 

(今、箒が揺れなかったぞ!?)

 

 箒の上で派手な動きをすれば、その分だけ箒も揺れる。箒を操る人物に余程の腕前があれば、話は変わるだろうが………俺にそんな腕はない。なら、つまり。

 

(………いや)

 

 それは、今は置いておく。それより今は。

 

「ちょっと待て、ノエ公!まだ何かあると決まった訳じゃ「何かあったらどうするの!?」ッ、それは」

 

「何もないならそれでいい。でも、あれは絶対に何かある」

 

 普段のこいつは、嫌いとまで言わないがぶっちゃけ苦手だ。王族らしくツンケンした態度をしている癖に、その目の中には下民に対する憧憬すらある。多分、今朝も下民・平民に対する劣等感が爆発した結果だろう。だからって、あの言い方はどうかと思うが。

 

(ーーーそれでも)

 

 生意気には違いないが、それでも後輩だ。その後輩に、ここまで言わせて。

 

(それで引き下がったら、もう俺は先輩でも漢でもねーだろ!!)

 

「最高速度で突っ込むぞ!振り落とされるなよ!!」

 

 そして俺は、深い霧に箒を進めた。

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