憑依転生者『ノエル・シルヴァ』   作:紅ヶ霞 夢涯

8 / 14
 お久しぶりです………どれか一つに連載するの絞った方が良いのかね?


8話

アスタが雄叫びを上げながら真っ直ぐ氷魔法の男に突撃した直後、フードで顔を隠した何人かの一人が霧の魔法を行使する。

 

 その人物は恐らく、この村を霧で覆っていた張本人。あの霧に包まれてしまえば、それだけで詰みになりかねないが………アスタにそれは通じない。

 

「誰が惑うかあああああ!!」

 

 氷魔法の使い手、ヒースへと単身突撃するアスタ。敵の誰もが魔力を一切用いず魔法を無力化した彼に、思わず意識を一瞬だけでも奪われた。

 

(今!)

 

 瞬間、駆け出す。標的はたった今アスタを妨害しようとした、霧の魔法を使った奴。

 

 この初任務で脅威となるのは、炎と氷という相性差を魔力で覆す、ヒースではない。そのヒースと当たり前のように合体魔法を行う、霧魔法の使い手だ。

 

 ーーーあの合体魔法があったから、この村の住人を守らなければならなかったから、ノエル・シルヴァは成長した。その状況になれば、もしかしたら私も………なんて、考えなかった訳じゃない。

 

(でも、できる訳ないわよね)

 

 そんなご都合主義に頼る程、私は甘く考えない。そもそも国民を危険に晒すと分かっていて、どうしてそんな選択ができるものか。

 

「“水の呼吸”捌の型、滝壺っ!」

 

 抜き身の刀を振り下ろし、脳天をかち割る。

 

 原作でヒースとこいつ以外に、どんな属性の者がいるかは描写されていない。つまり回復魔法の使い手は居ない筈だが………念には念を。

 

(それに、こんな劣勢な状況で………敵を生かす理由もないし)

 

 そんな余裕はない。殺すに限る。

 

「何でここの村人達を殺そうとしてんだ、テメェ等ぁ!!」

 

 アスタが賊に、ヒースに問いかける。しかし返されたのは、問いとはまるで関係のない村人達への侮蔑。

 

「………この村は、下民が住む『恵外界』だ。ここにいる者のほとんどは、生活で多少役に立つ程度の魔法しか使えない劣等種…まるで、モノを扱えない獣だ」

 

 それはきっと、この国の誰もが………下民に生まれた人達自身が、感じていること。

 

「私の時間を奪う可能性のある役立たずな獣を、先に片付けようとしただけの事だ」

 

 そしてヒースの矛先は、私達にも向けられる。

 

「オマエら、騎士団に入れる程の魔力を持っているんだろう?任務だから助けようとしているだけで、オマエらにもコイツらが取るに足りん獣に見えないか?」

 

 しかし、その事実を主人公は一蹴する。

 

「その人達は、オレが守るべき存在だ!!」

 

(そこは嘘でも、“オレ達”って言いなさいよね)

 

 でも、やっぱり………魔力すらない下民でありながらその台詞は………格好いいなぁ。

 

(私が王族でもなく魔力もなければ………多分、そんな台詞は吐けないでしょうね)

 

 ヒースに向けて駆け出した。奴をサポートする者達こそ面倒な存在だが、この中で一番強いのはやはりヒース。最速最短で仕留められるなら、それに越したことはない。

 

「そうか…そんなにその薄汚い獣共が大事か………!」

 

  氷霧複合魔法“無限氷礫艦”

 

(………一人始末しただけじゃ、こうなるか)

 

 霧属性の使い手は、やはり他にもいたらしい。全員が一斉に複合魔法を使い始めたから、顔を隠した連中の誰を叩いたとしても止まる保証はない。

 

 一瞬、思考。少しの間、後ろのアスタとマグナで村人の防御は足りるだろう。

 

「マグナ、バカスタ!死んでも村人を守りなさいよ!!」

 

 むしろ魔力を操作できない私が防御に加わっても、足手まといでしかない。なら、私がすべきことはーーー

 

    “水の呼吸”弐の型、水車

 

 宙に飛び上がり、前転しながら刀を振り降ろす。だが、魔力を纏っていないただの物理的な攻撃だからか、容易く氷で受け止められる。

 

(予想通り!)

 

 そして………ここからは、賭けだ。ぶっつけ本番だけど、決して分の悪いような賭けではない筈。まぁ、失敗したらその時ーーーというか、敢えて失敗するという表現が正しいか。

 

 私は左手を刀から放し、そこから魔力を生成した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。