○月□日
最終選別から帰って来てから10日ほど。帰ってきた当日に鱗滝さんが困惑しながら出迎えてくれたり俺の分の食料が用意されてなかったから毎日狩りをする生活をしたりしてたのだがついに刀が届いた。
届けてくれたのは風鈴をつけた虚無僧みたいな帽子にひょっとこの面を被った奇妙な男の人だった。名前を鋼鐵塚さんというらしい。俺の回りの人は面で顔を隠すルールでもあるんだろうか。
鬼殺隊が持つ刀は日光を吸収する特殊な性質を持つ鋼鐵を打って作るらしい。そしてその刀は別名色変わりの刀と呼ばれて持ち主の素質によって刀身の色が変わるらしい。
ということを軒先で刀を広げながら説明された。いくら中に入ってくださいよ。と言ってもガン無視で話を進めてくるんだがこの人。
全然話を聞いてくれないので話させながらズルズルと引きずって居間へと上げた。
それでも全く気にせずに刀を渡してきて何色に変わるか見せてくれと言ってきた。すげぇなこの話の聞かなさ。千寿流嬢ちゃんにそっくりだわ。うっ、出来れば貧乳のことなんて思い出したくなかったぜ。
そんなことを考えながら刀を持ったからだろうか俺の刀は紺に近い青色に変わった。
その瞬間鋼鐵塚さんの顔色も変わって急にぶちギレて俺のことをポカポカと殴り始めた。
なんでももっと綺麗な青色が見れると思って楽しみにしてたとか前のやつは綺麗な赤色だったとか言われた。知らんがな。そんなこと俺に言わんで下さいよ。
あまりに知るか! 責任取れぇ!みたいなメンヘラみたいなこと言って来るのでこちょこちょしたらあふんみたいな声だしてへにゃったのでそのまま追い出しておいた。
刀が来たということは明日くらいから任務が始まるのだろうか。憂鬱である。
○月△日
案の定翌日から任務が始まった。夜の素振りをしているとどこにいたのか鎹烏が騒ぎだした。なんでも北東の村に行けとか。
烏の言うとおりにその村に行ったはいいんだがどうにも活気がなくて休息も取れなかったしひたすら長い農道を歩かされたりで若干飽き飽きしていたところにそれはあった。
どこかの資産家のような巨大の屋敷。ここが俺の仕事場のようだ。
とりあえずすいませーんと声を描けてみたんだが反応がなかったので無断ではいることにした。
屋敷には鼓をポンポンと叩く音と気持ちの悪い気配が充満していた。
でもまぁ1人しかいないようだし一番気配の濃い部屋をそっと開けて中を見ると両肩、両足と胸のところに鼓を埋め込んでなにやらボソボソと呟いている鬼だった。
何か怖いなー怖いなーと思いながら突っ込んで行ったらポンという音が聞こえた瞬間に畳を切り裂く3本の斬撃が飛んできた。
斬撃飛ばしてくるとかどこのマリモ剣士だよとか思ったがぐっと飲み込んだ。だって誰もツッコんでくれないし。
まぁただその程度では大したことないのだがその鬼は厄介なことに肩と足の鼓をポンポンすることで部屋を回転させるとかいうワケわからん血鬼術を使ってきたのでちょっと苦労した。って言っても肩の鼓が横回転、足の鼓が縦回転になっていることに気づけたらあとは【玖の型 水流飛沫・乱】で間合い詰めて首を斬るだけだった。
ちなみに血鬼術っていうのは鬼が強くなると使える固有の術だ。ということは今回のやつは結構強いやつなんだろうか。そういや目に【下陸】って書いてあったけどなんだったんだろ。目玉タトゥーとかこの鬼といい嬢ちゃんといい大正時代にハイセンスすぎるなぁ。
○月◇日
皷男を倒してからというもののからあげが次々と任務を下してきて辛い。何が辛いって移動時間が長すぎるんだよ。
まだ大正時代なので俺のような貧乏人が人力車なんかに乗って移動できるはずもなく全部徒歩で移動をするためしこたま時間がかかってしまう。
藤の花の家で休ませてもらったりもするんだが鬼の活動時間が夜だということもあり最近はぐっすり眠れていない。移動に人力車を手配できるくらいになるのはいつぐらいなのだろうか。
そういやこの組織の給料体系について何も聞いてなかった。からあげに聞いても何も答えない。
俺はとんでもないブラック企業に就職してしまったのかもしれない。
○月▽日
1週間ほど鬼を斬っては寝て斬っては寝ての退廃的な暮らしをしていた頃からあげの指示にしたがってどこぞの山に向かったらその麓で見覚えのある真っ赤な頭を見つけた。
すぐに回れ右して歩き始めたのに首根っこをがっ、と捕まれてしまった。
お前がいるなら俺いなくていいじゃん、来るとき見つけたうどん屋で力うどん食べて帰るよ。と言ったら鬼の脅威度によっては複数でいく場合もあるのよ、と俺を引きずりながら言ってた。
えー、そんな嬢ちゃんの力で及ばないようなところに俺がノコノコついていったところで何かできるとは思わないんですけど。そんな文句を垂れ流しながら山のなかに入ると鬼殺隊員を操り人形みたいにして戦う鬼や蜘蛛男など結構バラエティに富んだ鬼たちと出会った。
操り鬼は俺が攻撃引き付けてる間に嬢ちゃんが突っ込んで行って倒したし蜘蛛男はちょっと固くて早いだけで大したことはなかったな。あと人面蜘蛛もいたんだがギャー!みたいな可愛いげの欠片もないガチ悲鳴を上げた嬢ちゃんに見た瞬間にバラバラにされてた。まぁあれはしゃーない、俺も気持ち悪いと思った。
問題は白い髪をした子供みたいな鬼だった。やたら硬い糸をクモの巣状にしてぶつけてきたり、ドフラミンゴさんみたいに糸で檻作ってきて閉じ込めたりしてきたんだが俺が水の呼吸【拾の型 生生流転】で距離を詰めて気を引いている間に後ろから忍び寄った嬢ちゃんの刀一閃。わりと苦戦はしたもののやはり二人いると大分楽になるな。本来俺は攻めるより受け流す方が得意だし。
でも嬢ちゃんとコンビを組むつもりは特にないぞ。なんかお前といると大変な目に会うって俺の本能が告げている。
そんな話をしていたらそっか、分かったよ。とあっさり引き下がった。
あまりに聞き分けがいいので少し疑問に思ったが性根が真っ直ぐな俺は素直に信じて藤の家に戻って休むことにした。
嬢ちゃんが風呂に入る前に覗かないでね!とダチョウ倶楽部くらい念押ししてきたので行くわけねぇだろ、貧乳に何の興味もねぇわ。と返したらフルスイングで桶を投げつけられた。不条理が過ぎる。今どき暴力系ヒロインは流行らんぞ全く。
そういや今日戦った鬼も目に【下伍】って入ってたな。やっぱり鬼の間であのタトゥー流行っているのだろうか。
***
産屋敷耀哉の誤算
玄信と千寿流。最初からこの子たちは他の剣士たちとは格が違っていた。最終選別の鬼を一晩で全て切り捨ててしまい過去最高の合格者数を出す原因になったのがこの二人だった。
この二人のおかげで下弦ではあるが十二鬼月の伍と陸を倒すことができた。しかも玄信に至っては手違いでぶつけてしまったとはいえ初の任務でだ。きっとこの二人はすぐに柱になる。お互いに支えあってこの鬼殺隊の柱になってくれる。
鎹烏からの報告を聞けば二人は本当に息がピッタリだったみたいだ。玄信が【水の呼吸】ならではの柔軟さで相手の攻撃を受け止め、受け流しその隙を千寿流の【炎の呼吸】がもつ攻撃力で斬る。磨きあげれば上弦にすら届くのではないだろうか。いや、届く。近い将来きっと彼らが鬼無辻に刃を突き付け100年もの停滞を打ち崩してくれる。そう私は信じている。
原作主人公たちの成長フラグをゴリゴリ潰していく系主人公。
累くんのところにいた人面蜘蛛はしのぶさんがいなかったら即ゲームオーバーなぶっ壊れ性能なので人を食わせまくればわりと強いんじゃないかと思った今日この頃。