次の話では多分めっちゃ喋るから許してクレメンス
知らない間に夏休みが終わっていた。
今朝の出来事である。いつものように自室でダラダラと過ごそうとしていたのだが、二度寝を決め込んでいたところ、親に叩き起こされたのである。
学校通ってる本人が日程把握してないなんてありえんと朝っぱらからとても有難い説教を頂いたのち、非常に暗い気分での登校となった。
ただでさえ沈んでいる俺の気分をさらに落としてきたのが、始業式の集まりであった。何が楽しくて長ったらしい校長の話を聞かなければならないのか。あーありがたやありがたや(棒)
と、二学期開始早々学校に嫌気が差し、これ冬休みまで毎日登校できるかね・・・と不安に思っていると、さらに追い打ちをかけてきた者がいたのだ。
「何故、夏休み中の集まりに来なかったのかな?キミは」
・・・・もうマジで学校来るの辞めようかな。そこに立っていたのは、百合野守であった。
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「何故キミは仕事を放棄したんだい?委員として職務を全うすることも出来ないのかい?上手く仕事ができるできないはこの際仕方ないとして、仕事にさえ来ないなんて有り得ないよ」
「・・・・別に俺がいてもいなくても変わんねぇだろ」
「そういうことを言ってるのでは無くてね・・・委員として選ばれた以上しっかり出席はしろ、ということを言ってるんだよ」
・・・・また有難い話ですか。どいつもこいつも他人に説教したくなる季節なんですかね。
「俺は自分から立候補した訳じゃねぇ。担任が勝手に俺に決めやがっただけだ」
「出鱈目をいうんじゃあない。君は最初の会議の帰りに自分から立候補したと言っていたじゃないか」
・・・あー話合わせるっつーかコイツに全部押し付けようとしてそう言ったかもしれねぇ。こんな所で嘘が自分に返ってくるとはな・・・
んまぁ良いか。今回出席して徹底的に俺の無能っぷりを晒せばコイツも何も言わなくなるだろう。今日で全部終わりにしてやる。正直氷川さんと顔を合わせるのは超気まずいが、これで最後と思えば我慢できる。
「・・・解ったよ。行きゃあいいんだろ」
お前が強引に俺を連れてったこと、後悔させてやるよ。
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俺たちは花女への道を歩いていた。
会話など一言も無かった。まぁ当然と言えば当然だしまずコイツと話したくねぇからいいんだが。
しかし、この空気にヤツは耐えることが出来ないのか、口を開いた。
「・・・キミは夏休み中会議に出てなかったから今何をしているか分からないかもしれないから、そういう所はフォローしてあげるよ」
・・・・・何言ってんだコイツは。
コイツ、優しさからこんな発言してんだろうか。お前俺に言ったよな?お前を徹底的に叩き潰す、みてえな事を。
何考えてんだ?本当に俺を助けようとしているのか?それとも期待させて叩き落そうとしてんのか?
どちらにせよ、俺がこの発言に憤慨しない訳がない。
「・・・お前さ、俺を利用するだけ利用しといて何な訳?罪悪感でもあんのか?俺を励ましたいんだったら発言じゃなくて行動で示せや」
「・・・・キミは強く言うようになった。前に比べると。そのことを君は進歩と捉えてるのかもしれないが、それは違うよ」
「あーはいはい。そうだね。どうすれば俺は成長できるんですかねー」
うるせぇな。お前は俺を心配してんのか嫌いなのかどっちなんだよ」
「キミが何をしたのかは氷川さんから色々聞いてるよ。例の喫茶店のストーカーとのひと悶着の話も青葉さん経由で聞いた。まぁ、そんなことになってしまったのは僕の責任も1%くらいあると思うしね」
何だそれ。そんなどうでも良いことで気に病んでんのか?案外心が弱いもんだな。あと1%じゃなくて絶対もっとある。
でも、ひとつだけ俺も気になることがあるんだよ。
どいつもこいつも、何故俺が間違ってると言うんだ?
間違ってなんか無いんだよ。俺は誰からも認められねぇ負け犬として生きてきた。
だから、俺だけは俺を認めてやれるように、もう気後れしないように、虚勢を張っている。
確かに俺は無能だ。コミュ障だ。でもな、それで一生終わらせる訳ねぇだろ。
「安心しろ。間違ってなんかねぇよ。お前は精々その説教癖をさせて是非徳の高いお方にでもなってくださいってこった」
そう言われた百合野の顔は、何とも言えない顔をしていた。俺はコイツの顔を見てなかったから分かんねぇが。
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花女に着いた。何か月ぶりだろうか。校門に着いた時思ったが、滅茶苦茶この前と様子が違っていた。
文化祭の用意が着々と進んでいるのだ。放課後も生徒が居残りでクラスの出し物に関する作業をしていた。
・・・こんだけ花女では準備が進んでるけどウチの学校は大丈夫か・・・?
そういや今日はあまりにも憂鬱さに考えを支配され過ぎてウチの学校がどの位準備が進んでるかなんて気にも留めなかったな・・・
まぁそんなことはどうでもいいか。間も無く俺には関係なくなる。この文化祭が成功しようがしまいが、どうでもいい。
「おはようございます」
百合野が挨拶しながら会議室のドアを開く。さぁ、全部終わりにしようか。
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「・・・・・来たんですね」
「・・・・どーも」
氷川さんと目が合い、言葉を交わす。いやもうなんか無理だ。気まずい。早く帰りたい。
会議室には夏休み前とは変わって、花女や羽丘、そして我が羽丘北からも追加の委員が来ていた。そりゃそうか。流石に4人で運営していくのは難しいだろうしな。
少し今までと違うメンツに若干の不安を覚えながら、会議が始まった。
さて、会議の内容だが、今回はどうやら実行委員が企画したイベントについて話し合うらしい。
どんなイベントかと言うと、「ステージ」だ。各々がステージでダンスやバンド演奏の音楽に関連した出し物や、手品とか漫才などのエンターテイメント性のある出し物なども持ち寄るものだ。
なんか夏休み前にもうステージにどんなグループが出るかは面接済みらしい。その面接やってみたかったな。勿論面接官としてな!
とまぁそんな感じで会議が進んでいたのだが。
肝心のチャンスが回ってこない。俺が無能を曝け出すためのチャンスが。
誰か俺に話を振ってくれ。恐ろしいほどに的外れな意見で場を凍り付かせてやる。
そう意気込んでいると、チャンスはおよそ期待していなかった形で回ってきた。会議中に挟まれた小休止の時のことだ。
「ねぇ、そこのキミ。ストーカーしてたって、本当?」
そう口を開いたのは、羽丘の生徒だった。名前は知らないし、顔も見覚えは無い。
「マジ最悪なんですけど。なんでこんなのが実行委員にいるわけ?」
そう続けて言葉を発する。いやどこから漏れたんだこの話は。なんでこんな知れ渡っているんだ?
疑問に思っている場合ではない。このチャンスを逃してはならない。
ぶっ壊してやるんだ。主にこういう礼儀をわきまえねぇヤツを。
なんでストーカーの話が広まったかは考えてません。
でもまあそういうものだよね。