今まで読んでくださった方々、後もう少しお付き合いください。
あと今回みじけぇ
「ちょっとお話いいかな?」
そう言うのは、天才こと氷川日菜である。
断る理由も無い。何より、この人なら俺の変わりようをすでに見破っているだろう。
それによってどんな言葉が飛んで来るかは分からん。
「ええ。いいですよ。僕も話したいことがあったんです」
「何かな?」
「その・・・・色々とすいませんでした。貴方の友達や家族にも大変迷惑をかけたと思います。謝らせてください」
「あれだけ好き勝手やっておいて結局謝らせて欲しいなんて、おかしー人だね」
「そ、それは・・・・」
そりゃそうだろう。あんだけ暴れまわっていた人間がいきなり頭を下げるなんて奇妙過ぎる。
「でも、あたしとしてはそこはどーでもいいんだよね。キミが暴言言おうがあたしを侮辱しようが、ノーダメージだし?」
「あ、そうですか・・・・」
それはそれで凹むな・・・いやまぁ傷ついてないならいいんだけどね・・・
「おねーちゃんがね、言ってたの」
「はい?」
いきなり何の話だろうか。
「キミがライブに来た日にね、私の実力はまだまだだ、ってね
「・・・・あぁ」
多分、氷川さんは俺のライブにノり切れない様子を見たことが原因で俺を覚えていたわけではない。
俺がライブをつまらないものだと扱っているように見えたのだろう。
それを見て、自分の演奏ではまだまだ魅了できない客がいる、それが原因で俺のことを覚えていたのだ。
本人はああ言っていたが、あの人もなかなか堅物なもんだから、本当のことは言いたくなかったのだろう。
・・・・まぁ薄々感じてはいたが、氷川さんがそんな理由でもなければ俺のコトなど覚えているハズがないのだ。
言われてみれば納得の出来事である。
「・・・って話はそれだけですか?」
「いや、ソレだけじゃないよ」
「そうですか・・・・なんですか?」
「キミとは最初に羽女であったよね?」
「やはりバレてますよね」
「あの時からキミをストーカーとして疑ってはいたんだけど、話していて悪い子じゃないと思ってたんだよ」
「それはどうも」
「だからさ・・・
文化祭の実行委員、頑張ってね」
まさか、この人からこんなセリフが聞けるとは。
大体俺が文化祭の実行委員に復帰したのは今さっきだと言うのに、何故お見通しなのだろうか。
この人には、絶対敵わないだろう。
それと同時に、そんな激励を頂けたことに、嬉しさもこみ上げる。
こんなストーカーに。
それはきっと、俺の運が良いのではなくて、彼女達が優しいからに他ならない。
「それだけだから!じゃあね!」
そう言って、彼女は去って行った。
「・・・・言われなくても」
誰もいなくなった空間に向かって、独り決意するように呟く。
「さて、明日から頑張らなくっちゃあな」
文化祭、コレをはじめにしよう。
自分を愛せるようになるための、切っ掛けだ。