百合の伝道師   作:ちんだまんぞう

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主人公は基本陰キャですが、興奮すると陽キャのように饒舌になります。
・・・・結局陰キャやんそれ。


天使のような悪魔

「キミだよね?最近あたし達のことつけまわしてるの」

 

「何の話ですじゃ?」

 

俺は精一杯とぼけた顔をする。ついでにおじいちゃんみたいな話し方でしゃべる。頭の上に?マークが浮かび上がってそうな勢いだ。

 

「とぼけてもムダだよ?全部分かってるからねー」

 

おいおい嘘だろ。俺の活動実績0でストーカー認定されムショ行きですか?やべぇ言葉にするとめっちゃ情けない。

 

しかし、俺がこの程度で音を上げると思うなよ・・ここは羽女の生徒指導のふりをして・・・って羽女生徒相手じゃバレるに決まってるわ!なんか策はないのか・・・・てかそもそもなんでバレたんだ?そんなに目立って活動してたわけでもなし・・

 

ーそうか。カマをかけられているな。自分の学校の近くに帽子サングラスひげ全身ジャージなんて誰でも不信がる姿だしな。じゃあなんでこの格好で生徒指導になりきろうとしたんだよっつー話だが。ここで諦めてゲロってしまえばそれこそ警察行だ。ここはめげずに関係ないふりを続けるのだ!

 

「いやいや、ほんとに何かよくわからんのですよ。それともあれかね?恰好が怪しいからといって人をストーカー扱いかね?」

 

そういうと彼女は少し考えるようなそぶりを見せた。

 

「うーん・・・本当に違うんだ。見た目からしてそうだと思ったんだけどなー」

 

彼女のセリフからして、本当にストーカーは存在するらしい。ていうかほぼ俺だろう。だがバレるわけにはいかない。

 

ん?いいこと考えたぞ。全部責任をA男になすりつけてやろう。

 

「それよりもっと怪しい男、あそこにいるんじゃが」

 

俺は羽女登下校門の近くで未だに待機している三人組を指さし、そう言った。

 

「どれどれ~ってホントだ。確かにアレは怪しいね~」

 

「じゃろう?アレがお前さんの言ってたストーカじゃないのかい?」

 

「そのしゃべり方、もうバレてるからしなくてもいいよ」

 

「ウソだろ・・・」

 

コイツ見破ってやがったのか・・・声も頑張ってしわがれた感じにしてたのに・・・

 

「と、とにかく、アレを止めたほうがいい。この耳で聞いたがアイツらナンパするつもりだ。実力行使も厭わないかも」

 

あることないこと伝えておこう。悪く思うな。

 

「ふ~ん。まぁこの際キミのことは見逃してあげるよ。今はアレを止めるほうが大事っぽそうだしね」

 

大事っぽそうってどういうことだろうか。アレか?生徒会か風紀委員かに入ってて女生徒に不貞を働こうとする輩を取り締まりでもしているのか。

 

「でも一人で行くのもアレだし・・・そうだキミ!ちょっと手伝ってよ!」

 

「え?俺?」

 

「そう!キミ!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

手伝うことになった俺は、氷川に俺が事前に考えていた作戦をさも今思いついたように話した。正直俺一人出て行っても生徒指導と信じ込んでもらえるか微妙だったし、羽丘の生徒が付き添いとして来てくれるのは非常に説得力が上がるのでありがたい。氷川は風紀委員という設定で俺についてくることになった。

 

「いやー風紀委員って一回なってみたかったんだよねー」

 

「え?風紀委員じゃないのか?」

 

「違うよ?」

 

「へぇ。やっぱどんなものでも一度は経験してみたいとか?」

 

「いや、おねーちゃんが風紀委員やっててさ。あたし、おねーちゃんがやってること全部やってみたいんだよねー」

 

そう言われてみれば。俺の身辺調査によると双子の姉がいたな。学校は違うし、性格も全然違うみたいだが。

 

そんなことを考えていると、野郎どもまであと少しだった。気持ちを切り替えろ。俺は生徒指導、俺はおっさん、俺は百合大好きマン・・・!

 

「キミたちィ、何をやってるのかね?」

 

「ア?なんだよおっさん。男が女子高の近く歩いてたらなんか問題あんのか?」

 

「いや、ワシは羽女の生徒指導なんだがね・・・実は生徒から怪しい男三人組がいるという報告を受けているのだが・・・」

 

「ア?てめぇが生徒指導か?嘘ついてんじゃねぇよ。大体報告もあったかどうか怪しいもんだしな」

 

「ところがどっこいこれがホントなんだよねー」

 

ひょこっ、と横から氷川が飛び出す。

 

「あたし風紀委員なんだけどさ。報告受けたときその場にいたから」

 

決定打が氷川の口から放たれる。これで奴らはお終いだ。また一つ平和を守ってしまったか・・・いやまたじゃねえな。初めてだわ。

 

しかし、終わったと思われた野郎三人組は、驚いたような、それでいて嬉しそうな顔をしていた。

 

「氷川・・・氷川日菜さん、だよな?」

 

「え?うん。そうだけど?」

 

「今度俺とメシでも食いに行きません?」

 

・・・・

 

狙い氷川だったのかよォォォォォォォォォォォォォォォ!!!

 

クソったれめが!ここは強引に話を断ち切るしかねぇ!

 

「とにかく!二度とこんな真似はするなよ!今度報告があったらどうなるか分かってるだろうなァァァァァ!?」

 

「うるせェおっさん!俺はメシ食いに行くか聞いてるだけだろうがァ!?疚しいことなんてねぇだろ!?」

 

「うるせぇ!メシだぁ?疚しいわ!俺なんか女と手つないだこともねぇのに!」

 

「何言ってんだこのジジイ!?」

 

ヒートアップしていく会話。俺はあまりにもこの三人組を返すことに全力を注ぎすぎたせいか、自分たちの会話がうるさく、騒音と化していることに全く気がつかなかった。

いつしか周りには人だかりができていた。

 

「いいから早く帰れぇ!ほんで二度と来んじゃあねぇ!」

 

「メシの返事だけでも聞かせてくれェ!氷川さん!」

 

「あはははははははっ!何このやり取りすっごいおもしろーい!」

 

「楽しんでんじゃねぇ!協力してくれ!」

 

しかし、周りにひとだかりができるほどの騒ぎを、学校が放置すると思うだろうか?

 

「おい、何やってんだ!迷惑だろがぁ!」

 

そう言いながら登場したのは。

 

「あ、生徒指導のせんせーだ」

 

氷川はあっけなくそう口にした。

 

・・・・え?

 

モノホン登場したァァァァァァァァァァァ!?




本物が登場する展開というのは、やはり大体偽物が断罪されますが、負犬はどのように吠え散らかしてこの場をやり抜けるのでしょうか。

てか日菜って紗夜さんが風紀委員やってるの知ってましたっけ
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