百合の伝道師   作:ちんだまんぞう

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多分この話が投稿される頃には前回言った修正が完了してると思います。してなかったらすべて私の責任です。だが私は謝らない。

なんと言いますか、結局若干重い感じにはなってしまいました。さーせん


ストーカーには、男も女もご用心

俺は商店街へと足を運んでいた。そう、行先はもちろん、羽沢珈琲店である。

 

この喫茶店はあの日俺が見たバンドの一つ、「Afterglow」がたむろしている場所で有名らしい。なんかツブヤイターで見た。

 

しかし、この羽沢珈琲店には、どうやらそんなたむろするバンドウーマンを野獣の眼光でなめまわすように観察し、今か今かとナンパする機会を窺っている野郎がいるらしい。なんかツブヤイターで見た。ネット社会怖い。

 

そこで俺は今日、そんな悪党を誰であるのか見定めるため、ここへやってきたのだ。決して間近でAfterglowのメンバーを見てみたいわけではない。

 

俺は喫茶店のドアを開ける。ドアが開くと同時にベルが鳴り、従業員がこちらめがけて歩いてくる。

 

「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」

 

うん。かわいいな。俺を接客した従業員というのは皆さん分かっているだろう、Afterglowのキーボード担当、羽沢つぐみさんである。

 

「ええ。そうです」

 

俺はなるべく言葉を交わさぬよう端的に返事をする。

 

「かしこまりました!あちらの席へどうぞ!」

 

俺は軽く会釈をし、指定された席へと向かう。

 

・・・・・パーフェクトッ!素晴らしい対応だ!羽沢さんも俺も!

 

なんだか異常にやり切った気分でメニューを開く。

 

・・・開いたのだが。

 

「俺はカフェオレが飲みたいんだけど、すげぇ紅茶がプッシュされてる・・・」

 

ここ珈琲店だよな?てかこういう時どうすればええんや?教えてエロい人!

 

俺がメニューとにらめっこしていると、それを見かねた天使、羽沢さんがこちらへやってきた。

 

「ご注文はお決まりですか?」

 

俺はあまりにも頭の中で紅茶と珈琲を反芻するあまり、とんでもねぇ間違いを犯してしまった。

 

「こ、紅茶珈琲で」

 

「はい!紅茶珈琲ですね!・・・・・・えっ」

 

場が凍る。今日は寒いな。もっと厚着してくるんだった。

 

羽沢さんの方へ目をやると、めっちゃ困ってる顔をしていた。

 

「えっ・・・えっと、紅茶珈琲というのはウチでは出してないんですけど・・・」

 

やべぇ何か言わなければ!でもこういうときほど言葉が出てこねぇ!やべぇ!

 

二人そろってあたふたしていると、見知らぬ男がこちらへやってきた。

 

「羽沢ちゃん、ここは僕に任せてよ」

 

「へ?あ、はい!すいませんお願いします!」

 

なんかよくわからん謎の男の圧に負けた羽沢さんはすんなりと対応を譲ってしまう。

 

 

「紅茶だよね?ここ紅茶が美味しいんだし」

 

「は、はい・・・紅茶で・・・」

 

「だってさ。羽沢ちゃん」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

そういうと羽沢さんは店の奥の方へと注文を告げに消えていった。俺紅茶飲めねぇ・・・

 

クソったれ・・・謎の圧をかましやがって・・・おかげで紅茶頼んじまったじゃねえか・・・と、恨みを込めた目線で謎の男の方へ目をやると、その男もまた、こちらを鋭い目つきで睨んでいた。

 

「キミ、いくら困った羽沢ちゃんが可愛いからと言って、あんなことしちゃ駄目だよ・・・彼女の困り顔は、僕のものだからね」

 

そう耳元で囁く。

 

・・・・・・ストーカー見つけたァァァァァァァァァ!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

注文から30分が経った。俺は用意してきた本を取り出し、あたかも「読書が目的できてます」みたいな感じで時間を潰している。ちなみに紅茶は美味かった。

 

だがそんな感じで振舞っているのは件のストーカー野郎も同じことで、先ほどから羽沢さんの方をチラチラ見ている。

 

そんな中、喫茶店のドアが開かれた。

 

そう、Afterglowの登場である。

 

「つぐみ、来たよ」

 

そうぶっきらぼうに告げるのはボーカル、美竹蘭だ。

 

「あ、いらっしゃい!お母さん、少し上がらせてもらうね!」

 

羽沢さんは笑顔で答える。嬉しそうな顔だ。Afterglowの面々も同じような顔をしている。よほど仲がいいのが見て取れた。まぁ、調査で分かっていたことだが。

 

Afterglowメンバーは席に着くやいなや、話を始めた。最初に声を上げたのはリーダーである上原ひまりだった。

 

「早速だけどつぐ、ストーカーに遭ってるって本当!?」

 

「ブッッ!!」

 

俺は紅茶を噴き出してしまった。え?なんで?バレてんの?もうこれ逆にバレてない方が

おかしくなってくるレベルでは!?

 

「ちょっ!ひまりちゃん!声抑えて!」

 

「でも・・・私心配で!だってつぐ可愛いし・・・」

 

「そうだな。ひょっとしたら今この喫茶店の中にもいるかもしれないしな」

 

そう言うのはAfterglowの姉貴分、宇田川巴だ。美人だが男勝りであり、メンチでも切られようもんならちびってしまいそうな迫力がある。

 

というかさっきから鋭いなコイツら!もう探偵目指せるレベルだろ!てかさっきの男めっちゃこっち睨んでんだけど!テメェ同業者だろうが!

 

「つぐだけじゃないよ~モカちゃんもストーカーされてるっぽい感じ~」

 

「な!モカそれ本当!?」

 

ギター担当の青葉モカが衝撃の事実を告白し、美竹がそれに反応する。衝撃というのは、俺にとってもそうなのだ。俺は確かに、ストーカーだが、Afterglowのメンツは基本固まって行動しているため、俺は一人一人を個別にストーカーしていた訳じゃない。だがこれはあたかも一人一人がストーカーを受けているみたいではないか。

 

「そうだな・・・確かにアタシも最近誰かに付きまとわれてる気がする・・・」

 

「実は、私もそうなんだよね・・・」

 

青葉に続き、宇田川と上原がそう言った。これは確定だ。このストーカーは俺のことじゃない。

 

「え!?皆ストーカーされてるの!?大丈夫なの!?」

 

「らーんー、多分蘭もストーカーされてるよ~。ほんっとにモカちゃんが付いてないと心配だな~」

 

「ちょっ!こんなところでそういうの言わないでって!」

 

ストーカーは俺じゃないと分かったし、これで安心して百合百合しい雰囲気を美味しい紅茶とともに楽しめる・・・

 

ーそう、思っていたのだが。

 

「そのストーカー、そこで紅茶飲みながら本読んでるやつですよ!」

 

謎の男が、俺を指さし、そうAfterglowのメンバーに告げた。

 

・・・・テメェやりやがったなァァァァァァァァァァン!?

 




一難去ってまた一難。負け犬に難が無い時など無いのだ。

あと、つぐみだけさん付けしてしまうのはどういうことなのだろうか。
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